ラブ×リープ×ループ!

虚仮橋陣屋(こけばしじんや)

文字の大きさ
510 / 539

第508話 そして、僕らが願うのは at 1996/3/15

しおりを挟む
「………………だろうと思った。知りたくなかったけどね」


 はぁ、と溜息を吐くと、向こう側からか細く震える声が聴こえてきた。


『……すまない。騙すつもりではなかったのだ』

「僕らを不安にさせないため……だろ?」


 コトセは僕の問いにこたえなかった。
 僕は代わりにこう続ける。


「リトライまでの時間はわかっているし、知っている。だから、きっと戻れるはず。でも……その方法なんて知らない、と言ったら不安にさせるもんな。実にお前らしい気の遣い方だよ」


 それでもコトセはすぐにはうなずこうとはせず、しばらく黙ったままだった。

 すると、ロコがこう言った。
 いつものように困ったようなはにかんだ笑い顔で。


「気にしないで。まあ、ショックって言ったらショックだけど。戻れるのはわかってるからさ」

『……本当にすまない。勝手に巻き込んでおいて』

「いいって言ってるだろ、コトセ――?」


 僕は笑う。
 ロコも同じ思いなのだろう。僕の目を見つめてうなずいている。


「僕らは、この『リトライ』のおかげで、あの時からずっと悔やんでいたことを『やり直す』ことができたんだ。それぞれの望む未来は違っていても、それはロコも同じだと思う。だろ?」

「うん。そう、そうだわ」

「だからさ、あんまり自分を責めないでくれよ。本当に……本当に楽しかったんだ、この一年」



 本当に――本当にいろんなことがあった『中学二年生』だった。



 純美子のことをもっともっとスキになっている自分に気がついて。


 小山田や吉川、桃月――そして室生。あの頃は勝手に『自分とは違う』と乱暴に線を引き、遠ざけていた仲間たちとわかりあえて。


 そして、かけがえのない仲間――『電算論理研究部』の部員たちと出会って、いろんなことにチャレンジして。そのひとつひとつを、みんなでチカラを合わせて乗り越えてきた。





 最後に――ロコの想いを知ることができて。
 自分のキモチを思い知ることができて。





 まだ『馬鹿野郎だな』という想いは消えなかったけれど、なんだ僕と同じだったんだなって。



「……でもさ? これで終わりたくないんだよ、コトセ」


 僕はずっと伝えたかった言葉を口にする。

 コトセがいなくなってから――ロコとふたりきりの『リトライ者会議』の時に、ずっとふたりで相談していたことだ。ずっと考えに考えまくって、絶対に叶えようね、って約束してきた。もちろん、僕のスマホの中の『やりたいことリスト』にも、当然書かれていることだ。

 そのセリフを、僕は、そっ、と手の中のスマホに向けて囁いてやった。


「僕らの未来には、君にもいて欲しいんだよ、コトセ。友だちとして。大切な仲間としてさ?」

『――っ』

「そのためだったら、僕はいくらでも戦ってやる。誰が相手でもね。たとえそれが神とかでも」


 向こう側の静寂から、く、と押し殺したようなかすかな呻きが聴こえた――ような気がした。


 この終わらない『一年間』の中で、ずっとひとりであらがって、戦ってきた女の子の声。

 何度敗北しようとも決して屈せず、何度でも、何度だって立ち上がった小さな戦士の叫び。


 その声は、僕とロコならよく知っている。知っていた。
 だからこそ、僕は不敵な笑みを浮かべて、最後にこう告げたのだった。


「もう、終わりにしようぜ。終わらせなきゃ。僕が、絶っ対にお前を未来へ連れて帰ってやる」


しおりを挟む
感想 2

あなたにおすすめの小説

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

【完結】年収三百万円台のアラサー社畜と総資産三億円以上の仮想通貨「億り人」JKが湾岸タワーマンションで同棲したら

瀬々良木 清
ライト文芸
主人公・宮本剛は、都内で働くごく普通の営業系サラリーマン。いわゆる社畜。  タワーマンションの聖地・豊洲にあるオフィスへ通勤しながらも、自分の給料では絶対に買えない高級マンションたちを見上げながら、夢のない毎日を送っていた。  しかしある日、会社の近所で苦しそうにうずくまる女子高生・常磐理瀬と出会う。理瀬は女子高生ながら仮想通貨への投資で『億り人』となった天才少女だった。  剛の何百倍もの資産を持ち、しかし心はまだ未完成な女子高生である理瀬と、日に日に心が枯れてゆくと感じるアラサー社畜剛が織りなす、ちぐはぐなラブコメディ。

お兄ちゃんはお兄ちゃんだけど、お兄ちゃんなのにお兄ちゃんじゃない!?

すずなり。
恋愛
幼いころ、母に施設に預けられた鈴(すず)。 お母さん「病気を治して迎えにくるから待ってて?」 その母は・・迎えにくることは無かった。 代わりに迎えに来た『父』と『兄』。 私の引き取り先は『本当の家』だった。 お父さん「鈴の家だよ?」 鈴「私・・一緒に暮らしていいんでしょうか・・。」 新しい家で始まる生活。 でも私は・・・お母さんの病気の遺伝子を受け継いでる・・・。 鈴「うぁ・・・・。」 兄「鈴!?」 倒れることが多くなっていく日々・・・。 そんな中でも『恋』は私の都合なんて考えてくれない。 『もう・・妹にみれない・・・。』 『お兄ちゃん・・・。』 「お前のこと、施設にいたころから好きだった・・・!」 「ーーーーっ!」 ※本編には病名や治療法、薬などいろいろ出てきますが、全て想像の世界のお話です。現実世界とは一切関係ありません。 ※コメントや感想などは受け付けることはできません。メンタルが薄氷なもので・・・すみません。 ※孤児、脱字などチェックはしてますが漏れもあります。ご容赦ください。 ※表現不足なども重々承知しております。日々精進してまいりますので温かく見ていただけたら幸いです。(それはもう『へぇー・・』ぐらいに。)

(完)百合短編集 

南條 綾
恋愛
ジャンルは沢山の百合小説の短編集を沢山入れました。

クラスメイトの王子様系女子をナンパから助けたら。

桜庭かなめ
恋愛
 高校2年生の白石洋平のクラスには、藤原千弦という女子生徒がいる。千弦は美人でスタイルが良く、凛々しく落ち着いた雰囲気もあるため「王子様」と言われて人気が高い。千弦とは教室で挨拶したり、バイト先で接客したりする程度の関わりだった。  とある日の放課後。バイトから帰る洋平は、駅前で男2人にナンパされている千弦を見つける。普段は落ち着いている千弦が脚を震わせていることに気付き、洋平は千弦をナンパから助けた。そのときに洋平に見せた笑顔は普段みんなに見せる美しいものではなく、とても可愛らしいものだった。  ナンパから助けたことをきっかけに、洋平は千弦との関わりが増えていく。  お礼にと放課後にアイスを食べたり、昼休みに一緒にお昼ご飯を食べたり、お互いの家に遊びに行ったり。クラスメイトの王子様系女子との温かくて甘い青春ラブコメディ!  ※特別編4が完結しました!(2026.2.22)  ※小説家になろうとカクヨムでも公開しています。  ※お気に入り登録、いいね、感想などお待ちしております。

ヤンデレ美少女転校生と共に体育倉庫に閉じ込められ、大問題になりましたが『結婚しています!』で乗り切った嘘のような本当の話

桜井正宗@オートスキル第1巻発売中
青春
 ――結婚しています!  それは二人だけの秘密。  高校二年の遙と遥は結婚した。  近年法律が変わり、高校生(十六歳)からでも結婚できるようになっていた。だから、問題はなかった。  キッカケは、体育倉庫に閉じ込められた事件から始まった。校長先生に問い詰められ、とっさに誤魔化した。二人は退学の危機を乗り越える為に本当に結婚することにした。  ワケありヤンデレ美少女転校生の『小桜 遥』と”新婚生活”を開始する――。 *結婚要素あり *ヤンデレ要素あり

【完結】イケメンが邪魔して本命に告白できません

竹柏凪紗
青春
高校の入学式、芸能コースに通うアイドルでイケメンの如月風磨が普通科で目立たない最上碧衣の教室にやってきた。女子たちがキャーキャー騒ぐなか、風磨は碧衣の肩を抱き寄せ「お前、今日から俺の女な」と宣言する。その真意とウソつきたちによって複雑になっていく2人の結末とは──

クラスメイトの美少女と無人島に流された件

桜井正宗@オートスキル第1巻発売中
青春
 修学旅行で離島へ向かう最中――悪天候に見舞われ、台風が直撃。船が沈没した。  高校二年の早坂 啓(はやさか てつ)は、気づくと砂浜で寝ていた。周囲を見渡すとクラスメイトで美少女の天音 愛(あまね まな)が隣に倒れていた。  どうやら、漂流して流されていたようだった。  帰ろうにも島は『無人島』。  しばらくは島で生きていくしかなくなった。天音と共に無人島サバイバルをしていくのだが……クラスの女子が次々に見つかり、やがてハーレムに。  男一人と女子十五人で……取り合いに発展!?

処理中です...