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ミミナガ

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報告会

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「といわけでつがいができました!」
「どういうわけ!?」

 発情期ヒート明けの登校初日の放課後、いつものオメガ漫画会はそのままボクの初発情期ヒートつがい契約報告会になった。

「え?え?小太郎こたろうが休んでいたのは発情期ヒートだったからだよね?初めての発情期ヒートつがいができたってことは⋯はっ!まさか事故つがいで無理やり⋯!?」
「違う違う、完全同意。相思相愛でお互いの両親も納得済みのつがいだよ。黙ってたのはごめんね?」

 みやびの中でボクが可哀想な被害者オメガになりそうだったのですぐに訂正した。

「せっかくつがいになったのにネックガードは外さないの?」

 林原さんが驚いてズレた眼鏡を整える。ネックガードはオメガの項を守るためのもので、つがいができたら外す人が多い。

「うん、まだフェロモンが安定してないから数値が常にわかる方がいいし、周りから何か言われるのも面倒だしね。」

 ネックガードにはフェロモン数値が測れる機能が付いているのでそのまま使うことになった。そしてボクの年齢でつがいができることは珍しいので項の噛み跡を隠すためにも都合が良かった。そのことも見越してネックガードは少し大きく作られていた。
 ボク個人としては見せびらかしたい気持ちの方が強いのだが、家族がそれを許さなかった。

「おめでとう小太郎こたろうくん。お相手の方は?」
「ごめんね。そこはまだ内緒ー。」

 そう、つがいができたことは言ってもいいけど、つがい静哉しずやくんだということはまだ発表しないことになっている。それはボクの受験と関係がある。
 実はボクが通う高校はすでに決まっている。バース性に特化した私立の高校で、オメガは試験結果がどうであろうと入学できる学校だ。でもボクは合格が決まっていたとしても入試試験は全力で挑みたい。なので受験が終わるまでは秘密の婚約者のままでいることにした。
 ちなみに拓司たくじも同じ学校を受験することになっている。アルファとベータは一般入試で合否が決まるが、学年1位の拓司たくじなら大丈夫だろう。
 言ってはいけないことはぼかして説明をしていたらピンクネイルの森川さんがすすっと寄ってきて

小太郎こたろうくんのつがいって文化祭のときに来ていたお兄さんでしょ?」

 と耳打ちされた。

「えっ!?なんでわかるの?」
「私フェロモンの香りに敏感で個人を判別できるんだ。小太郎こたろうくんの威嚇フェロモン、前まではお姉さんだったけど今はあのお兄さんの香りになってるからね。あ、ちゃんと内緒にしておくよ。」

 フェロモンでそんなことまでわかるの?と驚いたけど個人判別までできるのは相当珍しいらしい。

「ねぇねぇ、それよりつがいになるってどんな感じ?」
「私も!私も聞きたい!」
「そ、そんなセンシティブな話って聞いても良いことなの⋯?」
「もう!みやびくんは堅いわね!ダメだったらダメって言うわよね?小太郎こたろうくん?」

 ううーん。静哉しずやくんには「何でも話してもいいよ」とは言われてるけど⋯

「実はあんまり覚えてないんだよ~!!!」

 ボクは机をドンッと拳で叩きつける。せっかく静哉しずやくんとつがいになった記念の初発情期ヒートはアルファのフェロモンを浴びてめちゃエロい気分になったときから記憶が曖昧なのだ。悔しい!!!

「ありゃ。小太郎こたろうくんは記憶が飛ぶタイプだったか~。慣れるとそんなことなくなるらしいけどね。」
「せっかく森川さんに借りたBL漫画で"誘い受け"の勉強したのに披露できなかったよ。」
「まーまー、それはこの先もチャンスがあるよ。」
「でも記憶がはっきりしてから起き上がれないくらい体が動かなくてびっくりした。」
「そ⋯それって⋯」
「特に腰とお尻が痛くて⋯」
「キャーー!!///////」

 大盛り上がりである。

「も⋯もしかしてその間の移動は⋯?」
「抱っこだけど?」
「キャーー!!///////発情期ヒート中につがいのお姫様抱っことか憧れるー!」

 いや、どちらかと言うとコアラちゃん抱っこだったけど夢を壊さないように黙っておこう。
 
*****************************

 ベータの拓司たくじはオメガ会には参加できないので校内のどこかで時間を潰しています。
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