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特殊事例
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「調べてみたけどお菓子メーカー重役の次男だな。3年生、成績優秀で委員会活動も積極的、生徒や先生からも慕われているが、絡まれることが多く売られた喧嘩は必ず買う好戦的な性格。特に問題はないんじゃない?」
拓司が報告書を見ながらお母さん作のアップルパイを頬張る。新しいオーブンを買ったのでテンションが上がったお母さんが大量に作る料理やお菓子の消費役として、拓司は毎日ものすごい量の食べ物を食べていく。家族だけでは消費し切れないからね。
雅が入学式に絡まれたと言っていた先輩は"他学年の治安の悪そうな人"という特徴ですぐに発覚した。プロフィールだけを聞くとちょっとヤンチャな優等生。しかしその見た目は金髪、ピアスだらけ、制服も着崩していて背が高くて体も大きいので威圧感が増々。なぜ指導されないんだ。
「風紀委員だから入学式に学校にいたみたいだね。」
「こんなに治安の悪い風紀委員っている!?」
「うちは校則はゆるいからね。成績さえよければいいんじゃない?」
アルファは特に実力主義だもんね。
「この先輩、婚約お披露目のときに挨拶したお菓子メーカーの宮永一二様のご子息だよ。」
「あ、双子の?」
「そうそう、調べてみたけど双子のどちらとも子供が男のアルファばっかりみたいだね。」
「一二様は爽やかなおじ様って感じだったのに似てないね~。」
そう、ボクもその先輩の顔はとっくに知っている。なぜなら学校が始まって早々に昼休みになるとその先輩が雅を拉致していくようになったからだ。泣き叫ぶ雅をオメガクラスのボクたちは誰も助けられない。
まぁ、見た目以外はスペックも高いし性格も好戦的ではあるが人から好かれているみたいだし大丈夫だろうと思うことにした。
「そういえば今日は一華さんは?」
「うーんなんか会社関係の手続きだって。」
一華ちゃんは大学の単位を取り終えて、1年早く卒業した。一華ちゃんは大学で知り合った人たちと会社を立ち上げ、社長になった。
会社に専念したいため大学は早期卒業することにしたと言っていた。同じ会社のメンバーも同級生は早期卒業し、後輩は単位を取り次第卒業するそうだ。優秀だね。
「舞が一華さんに誘われてバイトをすることになったらしい。」
「聞いた聞いた。珍しく一華ちゃんがテンション高かったよ。」
「多分そのまま就職することになりそうだな。」
「静哉くんも"優秀な人材が取られた"って電話で言ってた。」
「俺の彼女はすごい!」
****************************
そして今日も雅は連れ去られてしまった。完
「ていうか露骨に雅くん狙いだよねぇ。」
「雅くんて発情期はまだなんでしょう?相手のフェロモンがわからないみたいだから恐怖しか感じないでしょうね。」
「でもあの様子じゃもう逃げられないんじゃない?」
オメガ女子たちがキャッキャ話している横でボクは心の中で雅にエールを送った。
*****************************
高校生活も順調に進み毎日楽しく通学している。中間テストも学年で48位になり、まずまずの出来だ。しかしそんな中でもボクはある問題を抱えている。
「欲求不満なのかもしれない。」
「どゆこと?」
雅が「何言ってんだこいつ?」という顔で見てくる。
中学と同メンバーで相変わらず放課後のオメガ会は続いている。変わったことと言えばメンバーの1人であるロングヘアの木村さんに番候補ができたことだ。
多くのアルファとオメガが集まるこの学校では希望者にフェロモンの相性が良い人を紹介してもらえるという制度がある。木村さんはその制度で2年生の男性アルファとお試しでお付き合いをすることになった。
大抵はそのまま本当の恋人になり、ゆくゆくは番になることが多いのでこの制度でお付き合いを始めた人たちは番候補と呼ばれる。
「静哉くんとあまり会えないし、会ってもイチャイチャしたいのにできない。」
「なんで?もう番なんでしょ?存分にイチャつけばいいじゃん。」
静哉くんは一華ちゃんと同じく卒業単位を全て取り終えているので、3年生のときに卒業することは可能だったのだが、色々考えてまだ学生でいることを選んだと言っていた。
しかしすでに母親の百合子さんの仕事の手伝いで忙しくしているので前よりも会う時間が減ってしまった。電話は毎日しているけどね。
「結婚するまでは発情期以外でのエッチは禁止ってうちの家族に言われた。」
「ぶほっ。」
あ、雅が飲んでいたお茶を吹き出した。さっとティッシュを出す森川さん。高校に入ってからピンクネイルはオレンジネイルになっていた。何でも推し変したらしい。推し変ってなんだ?
「ボク発情期のときは意識が朦朧としちゃうんだよね。初めてのときみたいに全く記憶が無くなることはないんだけど、勿体ないし悔しい!」
「⋯まぁ僕たちまだ高校生だしね。」
「雅くん、アルファとオメガに年齢は関係ないわ!」
「社会的には関係あるでしょ。」
林原さんは眼鏡をクイッと正した。
「オメガの発情期は愛の証!そこに年齢も第一性も関係ないわ!まぁ、番になるのは慎重に決めないといけないと思うわよ。小太郎くんみたいにこの年で番になる人は相当珍しいから参考にしちゃだめよ?」
「しないよこんな特殊事例。」
酷い言われようだ。でも雅は特殊事例の仲間入りする予感がするんだよね。
******************************
この世界の教育機関は優秀なアルファのための飛び級制度が存在します。
一華の会社はアパレル関係です。
拓司が報告書を見ながらお母さん作のアップルパイを頬張る。新しいオーブンを買ったのでテンションが上がったお母さんが大量に作る料理やお菓子の消費役として、拓司は毎日ものすごい量の食べ物を食べていく。家族だけでは消費し切れないからね。
雅が入学式に絡まれたと言っていた先輩は"他学年の治安の悪そうな人"という特徴ですぐに発覚した。プロフィールだけを聞くとちょっとヤンチャな優等生。しかしその見た目は金髪、ピアスだらけ、制服も着崩していて背が高くて体も大きいので威圧感が増々。なぜ指導されないんだ。
「風紀委員だから入学式に学校にいたみたいだね。」
「こんなに治安の悪い風紀委員っている!?」
「うちは校則はゆるいからね。成績さえよければいいんじゃない?」
アルファは特に実力主義だもんね。
「この先輩、婚約お披露目のときに挨拶したお菓子メーカーの宮永一二様のご子息だよ。」
「あ、双子の?」
「そうそう、調べてみたけど双子のどちらとも子供が男のアルファばっかりみたいだね。」
「一二様は爽やかなおじ様って感じだったのに似てないね~。」
そう、ボクもその先輩の顔はとっくに知っている。なぜなら学校が始まって早々に昼休みになるとその先輩が雅を拉致していくようになったからだ。泣き叫ぶ雅をオメガクラスのボクたちは誰も助けられない。
まぁ、見た目以外はスペックも高いし性格も好戦的ではあるが人から好かれているみたいだし大丈夫だろうと思うことにした。
「そういえば今日は一華さんは?」
「うーんなんか会社関係の手続きだって。」
一華ちゃんは大学の単位を取り終えて、1年早く卒業した。一華ちゃんは大学で知り合った人たちと会社を立ち上げ、社長になった。
会社に専念したいため大学は早期卒業することにしたと言っていた。同じ会社のメンバーも同級生は早期卒業し、後輩は単位を取り次第卒業するそうだ。優秀だね。
「舞が一華さんに誘われてバイトをすることになったらしい。」
「聞いた聞いた。珍しく一華ちゃんがテンション高かったよ。」
「多分そのまま就職することになりそうだな。」
「静哉くんも"優秀な人材が取られた"って電話で言ってた。」
「俺の彼女はすごい!」
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そして今日も雅は連れ去られてしまった。完
「ていうか露骨に雅くん狙いだよねぇ。」
「雅くんて発情期はまだなんでしょう?相手のフェロモンがわからないみたいだから恐怖しか感じないでしょうね。」
「でもあの様子じゃもう逃げられないんじゃない?」
オメガ女子たちがキャッキャ話している横でボクは心の中で雅にエールを送った。
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高校生活も順調に進み毎日楽しく通学している。中間テストも学年で48位になり、まずまずの出来だ。しかしそんな中でもボクはある問題を抱えている。
「欲求不満なのかもしれない。」
「どゆこと?」
雅が「何言ってんだこいつ?」という顔で見てくる。
中学と同メンバーで相変わらず放課後のオメガ会は続いている。変わったことと言えばメンバーの1人であるロングヘアの木村さんに番候補ができたことだ。
多くのアルファとオメガが集まるこの学校では希望者にフェロモンの相性が良い人を紹介してもらえるという制度がある。木村さんはその制度で2年生の男性アルファとお試しでお付き合いをすることになった。
大抵はそのまま本当の恋人になり、ゆくゆくは番になることが多いのでこの制度でお付き合いを始めた人たちは番候補と呼ばれる。
「静哉くんとあまり会えないし、会ってもイチャイチャしたいのにできない。」
「なんで?もう番なんでしょ?存分にイチャつけばいいじゃん。」
静哉くんは一華ちゃんと同じく卒業単位を全て取り終えているので、3年生のときに卒業することは可能だったのだが、色々考えてまだ学生でいることを選んだと言っていた。
しかしすでに母親の百合子さんの仕事の手伝いで忙しくしているので前よりも会う時間が減ってしまった。電話は毎日しているけどね。
「結婚するまでは発情期以外でのエッチは禁止ってうちの家族に言われた。」
「ぶほっ。」
あ、雅が飲んでいたお茶を吹き出した。さっとティッシュを出す森川さん。高校に入ってからピンクネイルはオレンジネイルになっていた。何でも推し変したらしい。推し変ってなんだ?
「ボク発情期のときは意識が朦朧としちゃうんだよね。初めてのときみたいに全く記憶が無くなることはないんだけど、勿体ないし悔しい!」
「⋯まぁ僕たちまだ高校生だしね。」
「雅くん、アルファとオメガに年齢は関係ないわ!」
「社会的には関係あるでしょ。」
林原さんは眼鏡をクイッと正した。
「オメガの発情期は愛の証!そこに年齢も第一性も関係ないわ!まぁ、番になるのは慎重に決めないといけないと思うわよ。小太郎くんみたいにこの年で番になる人は相当珍しいから参考にしちゃだめよ?」
「しないよこんな特殊事例。」
酷い言われようだ。でも雅は特殊事例の仲間入りする予感がするんだよね。
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この世界の教育機関は優秀なアルファのための飛び級制度が存在します。
一華の会社はアパレル関係です。
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