ラブラブハッピーな未来のために頑張るぞ!

ミミナガ

文字の大きさ
12 / 18

特殊事例

しおりを挟む
「調べてみたけどお菓子メーカー重役の次男だな。3年生、成績優秀で委員会活動も積極的、生徒や先生からも慕われているが、絡まれることが多く売られた喧嘩は必ず買う好戦的な性格。特に問題はないんじゃない?」

 拓司たくじが報告書を見ながらお母さん作のアップルパイを頬張る。新しいオーブンを買ったのでテンションが上がったお母さんが大量に作る料理やお菓子の消費役として、拓司たくじは毎日ものすごい量の食べ物を食べていく。家族だけでは消費し切れないからね。
 みやびが入学式に絡まれたと言っていた先輩は"他学年の治安の悪そうな人"という特徴ですぐに発覚した。プロフィールだけを聞くとちょっとヤンチャな優等生。しかしその見た目は金髪、ピアスだらけ、制服も着崩していて背が高くて体も大きいので威圧感が増々マシマシ。なぜ指導されないんだ。

「風紀委員だから入学式に学校にいたみたいだね。」
「こんなに治安の悪い風紀委員っている!?」
「うちは校則はゆるいからね。成績さえよければいいんじゃない?」

 アルファは特に実力主義だもんね。 

「この先輩、婚約お披露目のときに挨拶したお菓子メーカーの宮永一二みやながかずじ様のご子息だよ。」
「あ、双子の?」
「そうそう、調べてみたけど双子のどちらとも子供が男のアルファばっかりみたいだね。」
一二かずじ様は爽やかなおじ様って感じだったのに似てないね~。」

 そう、ボクもその先輩の顔はとっくに知っている。なぜなら学校が始まって早々に昼休みになるとその先輩がみやびを拉致していくようになったからだ。泣き叫ぶみやびをオメガクラスのボクたちは誰も助けられない。
 まぁ、見た目以外はスペックも高いし性格も好戦的ではあるが人から好かれているみたいだし大丈夫だろうと思うことにした。

「そういえば今日は一華いちかさんは?」
「うーんなんか会社関係の手続きだって。」

 一華いちかちゃんは大学の単位を取り終えて、1年早く卒業した。一華いちかちゃんは大学で知り合った人たちと会社を立ち上げ、社長になった。
 会社に専念したいため大学は早期卒業することにしたと言っていた。同じ会社のメンバーも同級生は早期卒業し、後輩は単位を取り次第卒業するそうだ。優秀だね。

まい一華いちかさんに誘われてバイトをすることになったらしい。」
「聞いた聞いた。珍しく一華いちかちゃんがテンション高かったよ。」
「多分そのまま就職することになりそうだな。」
静哉しずやくんも"優秀な人材が取られた"って電話で言ってた。」
「俺の彼女はすごい!」

****************************

 そして今日もみやびは連れ去られてしまった。完

「ていうか露骨にみやびくん狙いだよねぇ。」
みやびくんて発情期ヒートはまだなんでしょう?相手のフェロモンがわからないみたいだから恐怖しか感じないでしょうね。」
「でもあの様子じゃもう逃げられないんじゃない?」

 オメガ女子たちがキャッキャ話している横でボクは心の中でみやびにエールを送った。

*****************************

 高校生活も順調に進み毎日楽しく通学している。中間テストも学年で48位になり、まずまずの出来だ。しかしそんな中でもボクはある問題を抱えている。

「欲求不満なのかもしれない。」
「どゆこと?」

 みやびが「何言ってんだこいつ?」という顔で見てくる。
 中学と同メンバーで相変わらず放課後のオメガ会は続いている。変わったことと言えばメンバーの1人であるロングヘアの木村きむらさんにつがい候補ができたことだ。
 多くのアルファとオメガが集まるこの学校では希望者にフェロモンの相性が良い人を紹介してもらえるという制度がある。木村きむらさんはその制度で2年生の男性アルファとお試しでお付き合いをすることになった。
 大抵はそのまま本当の恋人になり、ゆくゆくはつがいになることが多いのでこの制度でお付き合いを始めた人たちはつがい候補と呼ばれる。

静哉しずやくんとあまり会えないし、会ってもイチャイチャしたいのにできない。」
「なんで?もうつがいなんでしょ?存分にイチャつけばいいじゃん。」

 静哉しずやくんは一華いちかちゃんと同じく卒業単位を全て取り終えているので、3年生のときに卒業することは可能だったのだが、色々考えてまだ学生でいることを選んだと言っていた。
 しかしすでに母親の百合子ゆりこさんの仕事の手伝いで忙しくしているので前よりも会う時間が減ってしまった。電話は毎日しているけどね。

「結婚するまでは発情期ヒート以外でのエッチは禁止ってうちの家族に言われた。」
「ぶほっ。」

 あ、みやびが飲んでいたお茶を吹き出した。さっとティッシュを出す森川もりかわさん。高校に入ってからピンクネイルはオレンジネイルになっていた。何でも推し変したらしい。推し変ってなんだ?

「ボク発情期ヒートのときは意識が朦朧としちゃうんだよね。初めてのときみたいに全く記憶が無くなることはないんだけど、勿体ないし悔しい!」
「⋯まぁ僕たちまだ高校生だしね。」
みやびくん、アルファとオメガに年齢は関係ないわ!」
「社会的には関係あるでしょ。」

 林原はやしばらさんは眼鏡をクイッと正した。

「オメガの発情期ヒートは愛の証!そこに年齢も第一性も関係ないわ!まぁ、つがいになるのは慎重に決めないといけないと思うわよ。小太郎こたろうくんみたいにこの年でつがいになる人は相当珍しいから参考にしちゃだめよ?」
「しないよこんな特殊事例。」

 酷い言われようだ。でもみやびは特殊事例の仲間入りする予感がするんだよね。

******************************

 この世界の教育機関は優秀なアルファのための飛び級制度が存在します。
 一華いちかの会社はアパレル関係です。
しおりを挟む
感想 2

あなたにおすすめの小説

Ωだったけどイケメンに愛されて幸せです

空兎
BL
男女以外にα、β、Ωの3つの性がある世界で俺はオメガだった。え、マジで?まあなってしまったものは仕方ないし全力でこの性を楽しむぞ!という感じのポジティブビッチのお話。異世界トリップもします。 ※オメガバースの設定をお借りしてます。

起きたらオメガバースの世界になっていました

さくら優
BL
眞野新はテレビのニュースを見て驚愕する。当たり前のように報道される同性同士の芸能人の結婚。飛び交うα、Ωといった言葉。どうして、なんで急にオメガバースの世界になってしまったのか。 しかもその夜、誘われていた合コンに行くと、そこにいたのは女の子ではなくイケメンαのグループで――。

運命の番はいないと診断されたのに、なんですかこの状況は!?

わさび
BL
運命の番はいないはずだった。 なのに、なんでこんなことに...!?

ウサギ獣人を毛嫌いしているオオカミ獣人後輩に、嘘をついたウサギ獣人オレ。大学時代後輩から逃げたのに、大人になって再会するなんて!?

灯璃
BL
ごく普通に大学に通う、宇佐木 寧(ねい)には、ひょんな事から懐いてくれる後輩がいた。 オオカミ獣人でアルファの、狼谷 凛旺(りおう)だ。 ーここは、普通に獣人が現代社会で暮らす世界ー 獣人の中でも、肉食と草食で格差があり、さらに男女以外の第二の性別、アルファ、ベータ、オメガがあった。オメガは男でもアルファの子が産めるのだが、そこそこ差別されていたのでベータだと言った方が楽だった。 そんな中で、肉食のオオカミ獣人の狼谷が、草食オメガのオレに懐いているのは、単にオレたちのオタク趣味が合ったからだった。 だが、こいつは、ウサギ獣人を毛嫌いしていて、よりにもよって、オレはウサギ獣人のオメガだった。 話が合うこいつと話をするのは楽しい。だから、学生生活の間だけ、なんとか隠しとおせば大丈夫だろう。 そんな風に簡単に思っていたからか、突然に発情期を迎えたオレは、自業自得の後悔をする羽目になるーー。 みたいな、大学篇と、その後の社会人編。 BL大賞ポイントいれて頂いた方々!ありがとうございました!! ※本編完結しました!お読みいただきありがとうございました! ※短編1本追加しました。これにて完結です!ありがとうございました! 旧題「ウサギ獣人が嫌いな、オオカミ獣人後輩を騙してしまった。ついでにオメガなのにベータと言ってしまったオレの、後悔」

『アルファ拒食症』のオメガですが、運命の番に出会いました

小池 月
BL
 大学一年の半田壱兎<はんだ いちと>は男性オメガ。壱兎は生涯ひとりを貫くことを決めた『アルファ拒食症』のバース性診断をうけている。  壱兎は過去に、オメガであるために男子の輪に入れず、女子からは異端として避けられ、孤独を経験している。  加えてベータ男子からの性的からかいを受けて不登校も経験した。そんな経緯から徹底してオメガ性を抑えベータとして生きる『アルファ拒食症』の道を選んだ。  大学に入り壱兎は初めてアルファと出会う。  そのアルファ男性が、壱兎とは違う学部の相川弘夢<あいかわ ひろむ>だった。壱兎と弘夢はすぐに仲良くなるが、弘夢のアルファフェロモンの影響で壱兎に発情期が来てしまう。そこから壱兎のオメガ性との向き合い、弘夢との関係への向き合いが始まるーー。 ☆BLです。全年齢対応作品です☆

捨てられた生贄オメガ、魔王城で極上の『巣作り』始めます!~不眠症の魔王様、私のクッションで爆睡して溺愛モードに突入~

水凪しおん
BL
「役立たずのオメガ」として冷遇され、血も涙もない魔王への生贄として捨てられたリノ。 死を覚悟して連れてこられた魔王城は、寒くて硬くて、居住性最悪のブラック環境だった!? 「こんなところで寝られるか!」 極限状態で発動したオメガ特有の『巣作り本能』と、神業レベルの裁縫スキルが火を噴く! ゴミ同然の布切れをフカフカのクッションに、冷たい石床を極上のラグマットにリフォーム。 すると、不眠症で常にイライラしていた魔王ザルドリスが、リノの作った「巣」のあまりの快適さに陥落してしまい……? 「……貴様、私を堕落させる気か」 (※いいえ、ただ快適に寝たいだけです) 殺されるどころか、魔王様に気に入られ、気付けば城中がリノの虜に。 捨てられた生贄オメガが、裁縫一つで魔王城を「世界一のマイホーム」に変える、ほのぼの逆転溺愛ファンタジー!

いい加減観念して結婚してください

彩根梨愛
BL
平凡なオメガが成り行きで決まった婚約解消予定のアルファに結婚を迫られる話 元々ショートショートでしたが、続編を書きましたので短編になりました。 2025/05/05時点でBL18位ありがとうございます。 作者自身驚いていますが、お楽しみ頂き光栄です。

どうも。チートαの運命の番、やらせてもらってます。

Q矢(Q.➽)
BL
アラフォーおっさんΩの一人語りで話が進みます。 典型的、屑には天誅話。 突発的な手慰みショートショート。

処理中です...