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人質救出大作戦
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建設中のビルはほぼ完成状態で、足場解体も半分ほど終えた状態だった。追加のメッセージで地下駐車場を指定されたので地下へ続く坂道を歩いて下っていくと、車が1台もない駐車場は足音がよく響いた。駐車場奥には4人の人物と椅子に座らされた涙目の雅が見えた。口のテープは外されていたが、かぶれてしまったみたいで口周りが赤くなってしまっている。
「ちゃんと1人で来た?」
「見てのとおり。」
京橋くんはボクの後ろに誰もいないかをしきりに確認した。
「それで?雅を捕まえてボクを呼び出して何のつもり?」
「静哉さまとの婚約を解消しろ!」
「やだよ。」
このお坊ちゃんは何を言っているんだ。ボクたちと何の関係もない他人がどうして静哉くんとの婚約をどうこう言えると思っているんだ。
「こいつがどうなってもいいのか!?」
「えー!雅は関係ないじゃん!」
「ひーん、小太郎ぉ~助けて~!」
京橋くんは泣いている雅の頭を乱暴に掴んだ。
「うーん⋯でもボクは静哉くんとの婚約は絶対にやめたくないしなー。」
「うわーん!小太郎ぉ~!!」
ごめん雅。
ボクにも考えがあるからもうちょっと耐えてくれ。
「僕は知ってるんだからな!本当は一華さまが静哉さまと結ばれるはずだったんだろ!」
「⋯んん?何で一華ちゃんが出てくるの?」
全く予想していなかった姉の名前に一瞬思考が止まった。
「大学生の兄から聞いていたんだ。静哉さまは一華さまと付き合っていたけど結果的に婚約者になったのはお前だった。これはお前が自分のオメガ性を利用して一華さまの代わりに婚約者になったんだろう!?」
一華ちゃんたちと同い年のベータのお兄さんのことかな。そしてなにその間違えまくった情報。
「なぜわざわざ姉弟間でそんなややこしいことをすると思ったの?」
「そんなのアルファとオメガが結ばれることこそが至高だからに決まっているだろう!」
あーはいはい。バース性至上主義者ね。上流階級の間ではいまだにアルファとオメガの繋がりこそが素晴らしく、その間には優秀なアルファが生まれると思っている人がいると聞いたことがある。
そんなの、アルファとして上位の静哉くんとその兄の輝哉さんがアルファ同士のカップルから生まれている時点で迷信だとわかるものなのに。
「大学では理想の恋人同士だと有名だったんだ。僕も兄の学祭で静哉さまと一華さまを見たときにお似合いだと憧れていたんだ。なのに婚約者になったのはこんなオメガの風上にも置けない、静哉さまに相応しくない底辺オメガだったなんて!」
だからボクに対して当たりが厳しかったのか。
「じゃあ静哉くんに相応しいオメガってどんな人?」
「当然家柄も顔も良くて成績優秀、礼儀作法や様々な事柄の造詣が深いオメガのことだよ。」
「⋯それは自分みたいなってこと?」
京橋くんは目を見開いた。
「やっぱりね。憧れの恋人同士とか言ってて結局は自分が静哉くんの婚約者になりたかっただけでしょ?それが格下と思っているボクが婚約者で悔しかった?」
「⋯そうだよ!何でお前みたいな底辺オメガが!僕の方がオメガとして勝っているのに!」
「確かに君はボクよりも秀でているところが沢山あるかもしれないね。でも"静哉くんの好きな人はボク"なんだ。それに勝るものはないよ。」
渾身のどや顔を決めると京橋くんは怒りに満ちた顔で真っ赤に染まった。
「そろそろ雅を離してくれない?こんな事してただで済むと思ってるの?」
「思ってるわけないだろ!3人とも、今すぐアイツを抑えて裸にして!写真を撮っておけば誰にも言えないだろ。ついでに犯しちゃえば誰かに言うこともないでしょ?」
京橋くんは雅から手を離してスマホを構え、取り巻きABCに指示を出した。しかし取り巻きABCはお互いに困惑した顔を見合わせて動こうとしない。
「何してんの?早く動いてよ。」
「サキ、それはちょっとできないよ。」
「そうだよ、最初は一緒に悪口を言ったりちょっと物を盗るだけって言ってたじゃないか。」
「さすがに暴力は止めたほうが⋯」
取り巻きABCはすっかり萎縮してしまっている。
「早くしてよ。お父様に頼んでお前たちの親を左遷させてもいいんだからね!」
「そんな!?それは困るよ!」
うーん取り巻きABCが可哀想になってきたな。まぁ言質は取れたしそろそろいっかな?
「おーい拓司ー。もういいでしょー?」
ボクが空に向かって話すと全員が不思議そうにこちらを向いた。その途端に大勢の人が空き駐車場になだれ込んできて京橋くんと取り巻きABCを取り押さえた。スーツ姿で彼らを捕縛したのは五十嵐セキュリティのSPたちだ。そして拓司もボクの横にやってきて来て胸ポケットから四角い機械を取り出した。
「今の話は全部聞かせてもらった。録音もしているから言い逃れはできないぞ。」
青ざめる取り巻きABC。京橋くんだけはポカンとしていたが、しばらくしてハッと思考を再開させた。
「1人で来いって言ったのに!?」
「本当に1人で来るわけないでしょ?」
「人質もいるのに!?」
「誘拐事件の場合人質はすでに死んだものとして行動するのが鉄則だよ。」
「ひどい!小太郎のバカー!」
「冗談だってば雅。」
怖い思いをした雅にはちゃんとアフターケアを用意している。すると駐車場入り口から誰かが走ってくる音がした。金髪の派手な風貌の男は文字通り猛虎のごとくボクの前を突っ切っていった。
「ミャー子ーっっ!!!!!」
「えっ!?先輩!?」
思ったより早かったな。全てが終わってから来られるくらいに合わせて連絡したのに。
「てめぇら⋯俺のミャー子に何しやがった⋯!」
ひぇぇぇぇ、ブチ切れてらっしゃる。高位アルファの威圧で空気が震える。京橋くんと取り巻きABCは今にも気絶しそうだ。
すると拓司がすっと先輩に近付いていった。
「宮永先輩、落ち着いて下さい。彼らの処分はこちらに任せて、飯塚を連れ帰って下さい。」
「チッ、適当な対応したら許さねぇぞ。」
そう言って先輩は雅を抱っこして去っていった。
************************
いつか雅と先輩のスピンオフ作品を書きたいな~。
「ちゃんと1人で来た?」
「見てのとおり。」
京橋くんはボクの後ろに誰もいないかをしきりに確認した。
「それで?雅を捕まえてボクを呼び出して何のつもり?」
「静哉さまとの婚約を解消しろ!」
「やだよ。」
このお坊ちゃんは何を言っているんだ。ボクたちと何の関係もない他人がどうして静哉くんとの婚約をどうこう言えると思っているんだ。
「こいつがどうなってもいいのか!?」
「えー!雅は関係ないじゃん!」
「ひーん、小太郎ぉ~助けて~!」
京橋くんは泣いている雅の頭を乱暴に掴んだ。
「うーん⋯でもボクは静哉くんとの婚約は絶対にやめたくないしなー。」
「うわーん!小太郎ぉ~!!」
ごめん雅。
ボクにも考えがあるからもうちょっと耐えてくれ。
「僕は知ってるんだからな!本当は一華さまが静哉さまと結ばれるはずだったんだろ!」
「⋯んん?何で一華ちゃんが出てくるの?」
全く予想していなかった姉の名前に一瞬思考が止まった。
「大学生の兄から聞いていたんだ。静哉さまは一華さまと付き合っていたけど結果的に婚約者になったのはお前だった。これはお前が自分のオメガ性を利用して一華さまの代わりに婚約者になったんだろう!?」
一華ちゃんたちと同い年のベータのお兄さんのことかな。そしてなにその間違えまくった情報。
「なぜわざわざ姉弟間でそんなややこしいことをすると思ったの?」
「そんなのアルファとオメガが結ばれることこそが至高だからに決まっているだろう!」
あーはいはい。バース性至上主義者ね。上流階級の間ではいまだにアルファとオメガの繋がりこそが素晴らしく、その間には優秀なアルファが生まれると思っている人がいると聞いたことがある。
そんなの、アルファとして上位の静哉くんとその兄の輝哉さんがアルファ同士のカップルから生まれている時点で迷信だとわかるものなのに。
「大学では理想の恋人同士だと有名だったんだ。僕も兄の学祭で静哉さまと一華さまを見たときにお似合いだと憧れていたんだ。なのに婚約者になったのはこんなオメガの風上にも置けない、静哉さまに相応しくない底辺オメガだったなんて!」
だからボクに対して当たりが厳しかったのか。
「じゃあ静哉くんに相応しいオメガってどんな人?」
「当然家柄も顔も良くて成績優秀、礼儀作法や様々な事柄の造詣が深いオメガのことだよ。」
「⋯それは自分みたいなってこと?」
京橋くんは目を見開いた。
「やっぱりね。憧れの恋人同士とか言ってて結局は自分が静哉くんの婚約者になりたかっただけでしょ?それが格下と思っているボクが婚約者で悔しかった?」
「⋯そうだよ!何でお前みたいな底辺オメガが!僕の方がオメガとして勝っているのに!」
「確かに君はボクよりも秀でているところが沢山あるかもしれないね。でも"静哉くんの好きな人はボク"なんだ。それに勝るものはないよ。」
渾身のどや顔を決めると京橋くんは怒りに満ちた顔で真っ赤に染まった。
「そろそろ雅を離してくれない?こんな事してただで済むと思ってるの?」
「思ってるわけないだろ!3人とも、今すぐアイツを抑えて裸にして!写真を撮っておけば誰にも言えないだろ。ついでに犯しちゃえば誰かに言うこともないでしょ?」
京橋くんは雅から手を離してスマホを構え、取り巻きABCに指示を出した。しかし取り巻きABCはお互いに困惑した顔を見合わせて動こうとしない。
「何してんの?早く動いてよ。」
「サキ、それはちょっとできないよ。」
「そうだよ、最初は一緒に悪口を言ったりちょっと物を盗るだけって言ってたじゃないか。」
「さすがに暴力は止めたほうが⋯」
取り巻きABCはすっかり萎縮してしまっている。
「早くしてよ。お父様に頼んでお前たちの親を左遷させてもいいんだからね!」
「そんな!?それは困るよ!」
うーん取り巻きABCが可哀想になってきたな。まぁ言質は取れたしそろそろいっかな?
「おーい拓司ー。もういいでしょー?」
ボクが空に向かって話すと全員が不思議そうにこちらを向いた。その途端に大勢の人が空き駐車場になだれ込んできて京橋くんと取り巻きABCを取り押さえた。スーツ姿で彼らを捕縛したのは五十嵐セキュリティのSPたちだ。そして拓司もボクの横にやってきて来て胸ポケットから四角い機械を取り出した。
「今の話は全部聞かせてもらった。録音もしているから言い逃れはできないぞ。」
青ざめる取り巻きABC。京橋くんだけはポカンとしていたが、しばらくしてハッと思考を再開させた。
「1人で来いって言ったのに!?」
「本当に1人で来るわけないでしょ?」
「人質もいるのに!?」
「誘拐事件の場合人質はすでに死んだものとして行動するのが鉄則だよ。」
「ひどい!小太郎のバカー!」
「冗談だってば雅。」
怖い思いをした雅にはちゃんとアフターケアを用意している。すると駐車場入り口から誰かが走ってくる音がした。金髪の派手な風貌の男は文字通り猛虎のごとくボクの前を突っ切っていった。
「ミャー子ーっっ!!!!!」
「えっ!?先輩!?」
思ったより早かったな。全てが終わってから来られるくらいに合わせて連絡したのに。
「てめぇら⋯俺のミャー子に何しやがった⋯!」
ひぇぇぇぇ、ブチ切れてらっしゃる。高位アルファの威圧で空気が震える。京橋くんと取り巻きABCは今にも気絶しそうだ。
すると拓司がすっと先輩に近付いていった。
「宮永先輩、落ち着いて下さい。彼らの処分はこちらに任せて、飯塚を連れ帰って下さい。」
「チッ、適当な対応したら許さねぇぞ。」
そう言って先輩は雅を抱っこして去っていった。
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いつか雅と先輩のスピンオフ作品を書きたいな~。
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