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シーズン2 私の邪悪な魔法使いの友人の弟子
第五章 20)別の新しい仕事
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その日の夕食の席で、私はプラーヌスに報告した。森の開拓事業の責任者を、バルザ殿に勤めてもらうという件。
それを聞いたプラーヌスは何ら不満そうな表情を見せず頷いた。
「いいだろう、バルザ殿にお任せしよう。僕の大事な番犬だけど、彼ならば同時に二つも三つも仕事をこなしてくれる」
「その代わり、新たに三十人の傭兵を補充する約束したんだけど?」
「問題ない。こちらからバルザ殿に仕事を頼むだけでは不公平だからね。彼の要求にも、きちんと応えなければいけない。それくらいのことは僕だってわきまえているさ。今の彼の部下の数は?」
「明日すぐに戦える者が十人くらいというところかもしれない」
「この塔を守る兵数は多いほうが良い。すぐに街に赴いて、傭兵たちを連れて帰ってきてやる。魔法なら一飛びさ」
「ああ、兵が増えたらバルザ殿も安心して、我々の仕事を手伝ってくれると思う」
バルザ殿にとって、全てが良い方向に転がるはずだ。
もちろん新しい兵が来るということは、訓練が大変だったりするのかもしれない。古い兵と新しい兵の間に問題が起こることもあるのかもしれない。それによって、バルザ殿の仕事が増えたり、彼を煩わせる心配事も増えたりするのかもしれない。
しかしそんなのは一時的なこと。何よりもバルザ殿の部隊が強化されるのだ。長い目で見れば、プラスになることしかないはず。
「いや、しかし僕がわざわざ街に赴いて、傭兵たちを連れて帰ることもないね。せっかく助手を雇ったんだ、そういう仕事こそ、シュショテにやらせてみるべきかな」
しかしプラーヌスはそんなことを言い始める。「明日もやらなければいけない仕事がある。僕は忙しいんだ。それに何より、街に行く気分じゃない。下品な傭兵たちと会話を交わすのも面倒だ。奴らと交渉するのは、けっこう手間暇が掛かるしね。よし、シュショテに任せよう」
「はあ? あの少年に傭兵たちと交渉させるのかい?」
いくらあの少年が魔法使いとして優秀であっても、そんなのは無理だ。
一軒一軒酒場などに赴いて、傭兵たちと直接交渉して、報酬を定め、条件面を話し合って、この塔に来る約束を取り付けなければいけないのだ。
こんな僻地で働きたくないという傭兵も多いだろう。魔法使いに雇われたくないなんて者も多いはずだ。
傭兵なんて、誰もが荒くれ者の乱暴者。気が強くて下品で粗暴。礼儀も何もない者が多い。シュショテのような子供の話しを真面目に聞く者がいるとは思えない。
「いや、もちろん、シャグラン、君も行くんだよ。君を魔法で送り届けするのがシュショテの仕事。傭兵たちと交渉するのは君だ」
「な、何だって?」
私は驚きのあまり、すぐに彼が何を言ったのか理解出来ない。私が行くだって?
「明日の朝から街に行ってくれば、昼過ぎには傭兵たち連れてここに戻ってこられるはずだ」
「だ、だけどプラーヌス、僕だって塔の仕事がある。明日から、森を開拓するため、召使いたちを外で働かせるんだろ? その手配をしなくちゃいけない」
「それはバルザ殿がやってくれるんじゃなかったかのかい?」
「そ、そうだけど。しかし僕がその作業に立ち会わないわけにもいかない。それはバルザ殿に失礼だと思う」
「だったら朝の間だけ立ち会えばいい。どうせ君が現場に居ても、何の役にも立たない。バルザ殿だって、さっさと新しい傭兵を連れて帰ってくれたほうが喜ぶぞ」
「そうかもしれないけど・・・」
「昼過ぎに出ても、夕食の時間までには傭兵たちを連れて帰ることが出来るはずだ」
「ああ、確かにそうかもしれない、しかしプラーヌス」
「シャグラン、この塔のため、バルザ殿のため、僕はこの仕事を、君に頭を下げてでも頼みたい。この通りだ」
「・・・わ、わかったよ」
実際に、プラーヌスは私に頭を下げたわけではないのだけど、ただ単に、「この通りだ」と口で言っただけなのだけど、しかし彼にこのような態度を取られたら、もはや断る術はない。
いや、プラーヌスが最初にそれを提案した時点で、私の運命は決まっていたも同然。
それがこの塔の定めなのだ。どんなに不合理でも、どれだけ不効率でも、プラーヌスが言えば従わなければいけない。
「わかったよ、プラーヌス。街に出向いて、傭兵を雇って来ればいいんだね」
私は淡々とした口調で言う。
「そう、とても簡単な仕事だ。誰にでも出来るはずさ」
それを聞いたプラーヌスは何ら不満そうな表情を見せず頷いた。
「いいだろう、バルザ殿にお任せしよう。僕の大事な番犬だけど、彼ならば同時に二つも三つも仕事をこなしてくれる」
「その代わり、新たに三十人の傭兵を補充する約束したんだけど?」
「問題ない。こちらからバルザ殿に仕事を頼むだけでは不公平だからね。彼の要求にも、きちんと応えなければいけない。それくらいのことは僕だってわきまえているさ。今の彼の部下の数は?」
「明日すぐに戦える者が十人くらいというところかもしれない」
「この塔を守る兵数は多いほうが良い。すぐに街に赴いて、傭兵たちを連れて帰ってきてやる。魔法なら一飛びさ」
「ああ、兵が増えたらバルザ殿も安心して、我々の仕事を手伝ってくれると思う」
バルザ殿にとって、全てが良い方向に転がるはずだ。
もちろん新しい兵が来るということは、訓練が大変だったりするのかもしれない。古い兵と新しい兵の間に問題が起こることもあるのかもしれない。それによって、バルザ殿の仕事が増えたり、彼を煩わせる心配事も増えたりするのかもしれない。
しかしそんなのは一時的なこと。何よりもバルザ殿の部隊が強化されるのだ。長い目で見れば、プラスになることしかないはず。
「いや、しかし僕がわざわざ街に赴いて、傭兵たちを連れて帰ることもないね。せっかく助手を雇ったんだ、そういう仕事こそ、シュショテにやらせてみるべきかな」
しかしプラーヌスはそんなことを言い始める。「明日もやらなければいけない仕事がある。僕は忙しいんだ。それに何より、街に行く気分じゃない。下品な傭兵たちと会話を交わすのも面倒だ。奴らと交渉するのは、けっこう手間暇が掛かるしね。よし、シュショテに任せよう」
「はあ? あの少年に傭兵たちと交渉させるのかい?」
いくらあの少年が魔法使いとして優秀であっても、そんなのは無理だ。
一軒一軒酒場などに赴いて、傭兵たちと直接交渉して、報酬を定め、条件面を話し合って、この塔に来る約束を取り付けなければいけないのだ。
こんな僻地で働きたくないという傭兵も多いだろう。魔法使いに雇われたくないなんて者も多いはずだ。
傭兵なんて、誰もが荒くれ者の乱暴者。気が強くて下品で粗暴。礼儀も何もない者が多い。シュショテのような子供の話しを真面目に聞く者がいるとは思えない。
「いや、もちろん、シャグラン、君も行くんだよ。君を魔法で送り届けするのがシュショテの仕事。傭兵たちと交渉するのは君だ」
「な、何だって?」
私は驚きのあまり、すぐに彼が何を言ったのか理解出来ない。私が行くだって?
「明日の朝から街に行ってくれば、昼過ぎには傭兵たち連れてここに戻ってこられるはずだ」
「だ、だけどプラーヌス、僕だって塔の仕事がある。明日から、森を開拓するため、召使いたちを外で働かせるんだろ? その手配をしなくちゃいけない」
「それはバルザ殿がやってくれるんじゃなかったかのかい?」
「そ、そうだけど。しかし僕がその作業に立ち会わないわけにもいかない。それはバルザ殿に失礼だと思う」
「だったら朝の間だけ立ち会えばいい。どうせ君が現場に居ても、何の役にも立たない。バルザ殿だって、さっさと新しい傭兵を連れて帰ってくれたほうが喜ぶぞ」
「そうかもしれないけど・・・」
「昼過ぎに出ても、夕食の時間までには傭兵たちを連れて帰ることが出来るはずだ」
「ああ、確かにそうかもしれない、しかしプラーヌス」
「シャグラン、この塔のため、バルザ殿のため、僕はこの仕事を、君に頭を下げてでも頼みたい。この通りだ」
「・・・わ、わかったよ」
実際に、プラーヌスは私に頭を下げたわけではないのだけど、ただ単に、「この通りだ」と口で言っただけなのだけど、しかし彼にこのような態度を取られたら、もはや断る術はない。
いや、プラーヌスが最初にそれを提案した時点で、私の運命は決まっていたも同然。
それがこの塔の定めなのだ。どんなに不合理でも、どれだけ不効率でも、プラーヌスが言えば従わなければいけない。
「わかったよ、プラーヌス。街に出向いて、傭兵を雇って来ればいいんだね」
私は淡々とした口調で言う。
「そう、とても簡単な仕事だ。誰にでも出来るはずさ」
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第二章:勇者パーティ結成&魔王討伐軍北上編
第三章:帰郷&魔将・魔王決戦編
※「小説家になろう」にも掲載(異世界転生・恋愛12位)
※ アルファポリス完結ファンタジー8位。応援ありがとうございます。
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