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シーズン2 私の邪悪な魔法使いの友人の弟子
第七章 25)特別な日の満月
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そしてこの日が来た。新しい太陽の光が部屋に届いて、私をゆっくりと目覚めさせてくれる。
その目覚めは爽やかだ。と言いたいところであるが、昨日、昼寝というか、夕方頃それなりに長い時間眠ってしまったせいで、今晩の眠りはとてもつもなく浅かった。
私はその浅い眠りの中で、ずっと夢を見ていたようだ。
私が見ていたのはフローリアの夢だ。
いや、しかしそのフローリアという女性が何者なのか知らないのだ。それなのにフローリアの夢を見たなんて言えるのだろうか。
夢の中に女性がいて、私はその人をフローリアとして扱っただけというのが本当のところ。あまりにフローリアという女性のことが気になり過ぎて、夢の中にまでその名前を持ち込んでしまったわけだ。
当然のこと、彼女についての何か手掛かりのようなものを、その夢から持ち帰ることは出来なった。
フローリア・・・。
優しい響きのする女性の名前だ。
その言葉を何度も口にしたことがある気がする。しかし他の名前にだって同じで、フローリアという名前が、例えばアンネやマリアと比べて何が違うのかなんて言えるはずもない。
フローリア・・・。
その謎の女性のことは、アビュに聞くのが一番だろう。そんなことはわかっている。しかし私がその名前を忘れているという事実をアビュは許せないという態度。
彼女にとってそれは、私の人間性を根底から疑わしめるほどの重大事らしい。アビュをこれ以上落胆させないためにも、私は自力で思い出す必要がある。
フローリア・・・。
しかしこれ以上、彼女のことに気を取られている場合でもない。私は急いで朝食に手をつける。
この日も朝食が載せられたトレイには、一本の花が活けられていた。朝食をここまで運んでくれる召使いの心遣いらしい。
いったいどんな召使いがこのようなことをしてくれているのだろうかわからない。少し早起きして、部屋の前で待ち構え、その召使いに直接お礼を言うべきなのかもしれない。
私はそんなことを思いながら食事をして、服を着替え、執務室に向かう。
とにかく今日は重要な日なのだ。アリューシアの運命が決まる日と言っても決して言い過ぎではない日。
しかし特別な日ではあるが、いつも通りに塔の仕事も進めておかなければいけない。それも当然。
アリューシアが決断を下さなければいけない期限は満月が登る時刻。それがプラーヌスの設けた期限だったはず。
ということは夕暮れ。その時間までまだまだある。その時刻まで、私は自分の仕事を淡々とこなしておこう。
執務室に入ると、既に多くの人がいた。アビュがいる。まあ、それは当然のこと。私の助手なのだから、この時間に彼女がいるのはいつも通り。
サンチーヌやラダ、リーズ、彼ら以外にもアリューシアが連れてきた執事や侍女たちも揃っている。それだって昨日と同じ。
アリューシアもいた。この部屋に彼女が現れたことは初めてかもしれない。私のデスクに腰かけ、腕組みなどをしている。
彼女はこんなところで時間を潰している場合なのだろうか。プラーヌスの課題をクリアーしなければ、この塔から追い出されるというのに。
それともアリューシアはもう、課題をクリアーする努力を放棄してしまったのだろうか。
アリューシアが気になるが、しかしそれ以上に私を緊張させるお方がいた。
バルザ殿が部屋におられたのである。
そして彼の隣には昨日、雇ったばかりのスザンナという傭兵。
何か二人の間に問題でも起きたのかと危うんだが、毎朝のこの会合に、バルザ殿の部隊の副官か誰かに、参加してもらう取り決めになったことを思い出した。だとすれば彼女がその役官に就任したのかもしれない。
相変わらずバルザ殿の眼光は鋭く、その雰囲気は厳粛。高く聳える聖なる山という趣。私は思わず、その御姿を仰ぎ見てしまう。
「す、すいません、お待たせしました」
待ち合わせの時間に遅れたわけではないが、私は腰を低くして会合の参加者たちに謝る。それが私という人間なのだろう。
その目覚めは爽やかだ。と言いたいところであるが、昨日、昼寝というか、夕方頃それなりに長い時間眠ってしまったせいで、今晩の眠りはとてもつもなく浅かった。
私はその浅い眠りの中で、ずっと夢を見ていたようだ。
私が見ていたのはフローリアの夢だ。
いや、しかしそのフローリアという女性が何者なのか知らないのだ。それなのにフローリアの夢を見たなんて言えるのだろうか。
夢の中に女性がいて、私はその人をフローリアとして扱っただけというのが本当のところ。あまりにフローリアという女性のことが気になり過ぎて、夢の中にまでその名前を持ち込んでしまったわけだ。
当然のこと、彼女についての何か手掛かりのようなものを、その夢から持ち帰ることは出来なった。
フローリア・・・。
優しい響きのする女性の名前だ。
その言葉を何度も口にしたことがある気がする。しかし他の名前にだって同じで、フローリアという名前が、例えばアンネやマリアと比べて何が違うのかなんて言えるはずもない。
フローリア・・・。
その謎の女性のことは、アビュに聞くのが一番だろう。そんなことはわかっている。しかし私がその名前を忘れているという事実をアビュは許せないという態度。
彼女にとってそれは、私の人間性を根底から疑わしめるほどの重大事らしい。アビュをこれ以上落胆させないためにも、私は自力で思い出す必要がある。
フローリア・・・。
しかしこれ以上、彼女のことに気を取られている場合でもない。私は急いで朝食に手をつける。
この日も朝食が載せられたトレイには、一本の花が活けられていた。朝食をここまで運んでくれる召使いの心遣いらしい。
いったいどんな召使いがこのようなことをしてくれているのだろうかわからない。少し早起きして、部屋の前で待ち構え、その召使いに直接お礼を言うべきなのかもしれない。
私はそんなことを思いながら食事をして、服を着替え、執務室に向かう。
とにかく今日は重要な日なのだ。アリューシアの運命が決まる日と言っても決して言い過ぎではない日。
しかし特別な日ではあるが、いつも通りに塔の仕事も進めておかなければいけない。それも当然。
アリューシアが決断を下さなければいけない期限は満月が登る時刻。それがプラーヌスの設けた期限だったはず。
ということは夕暮れ。その時間までまだまだある。その時刻まで、私は自分の仕事を淡々とこなしておこう。
執務室に入ると、既に多くの人がいた。アビュがいる。まあ、それは当然のこと。私の助手なのだから、この時間に彼女がいるのはいつも通り。
サンチーヌやラダ、リーズ、彼ら以外にもアリューシアが連れてきた執事や侍女たちも揃っている。それだって昨日と同じ。
アリューシアもいた。この部屋に彼女が現れたことは初めてかもしれない。私のデスクに腰かけ、腕組みなどをしている。
彼女はこんなところで時間を潰している場合なのだろうか。プラーヌスの課題をクリアーしなければ、この塔から追い出されるというのに。
それともアリューシアはもう、課題をクリアーする努力を放棄してしまったのだろうか。
アリューシアが気になるが、しかしそれ以上に私を緊張させるお方がいた。
バルザ殿が部屋におられたのである。
そして彼の隣には昨日、雇ったばかりのスザンナという傭兵。
何か二人の間に問題でも起きたのかと危うんだが、毎朝のこの会合に、バルザ殿の部隊の副官か誰かに、参加してもらう取り決めになったことを思い出した。だとすれば彼女がその役官に就任したのかもしれない。
相変わらずバルザ殿の眼光は鋭く、その雰囲気は厳粛。高く聳える聖なる山という趣。私は思わず、その御姿を仰ぎ見てしまう。
「す、すいません、お待たせしました」
待ち合わせの時間に遅れたわけではないが、私は腰を低くして会合の参加者たちに謝る。それが私という人間なのだろう。
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