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ドンツクドンツク
私が生まれて初めて聞いた音は、そんな音だった。
今にして思うと、それは鹿の蹄のだったんだろうと思う。
その時の私は、まだ何もわからなかったし、何もできなかった。
ただただ、泣いていただけだった。
「なんで泣いてんだ?」
その声に反応して顔を上げると、そこにいたのは兄上だった。
「あにうえ」
泣きながらそう言う私を、兄上は抱き上げてくれた。
そして、私を抱きかかえたまま、兄上は歩き出した。
「どこに行くんですか? 」「んー……お城かな」
「どうしてですか?」
「母さんが待ってるからだよ 食事も用意しないと」
「おかあさまが!? おかあさまに会いたいです! 」
「うん、だから一緒に行こうね」
そう言って頭を撫でてくれる兄上に抱かれながら、私達は小舟で沖合に見える鉄の鯨の頭に向かった。
「母さん、ただいま戻りました」
「あらあらまあまあ、お帰りなさい」
出迎えたのは、兄上の奥方で私達のおかあさんだ。この人はいつもニコニコしていて、優しかった。
「外で何かありましたか?」
「えぇ、実は……」
兄上は、外のことをお母さんに話した。
小麦粉や玉ねぎの値段が下がった事や、廃都市で大きな狩りがあったこと、台地の上の『病院』が本格的に運営を始めたこと……。
私はその間、ずっと兄上の腕の中でおとなしくしていた。
「そうなのですね」
「ええ母さん ところで『ツノ』の調子はどうですか?」
「また少し伸びてきましたよ」
そう言ってお母さんは自分の頭のてっぺんにあるツノを見せてくれた」
「そろそろまた切りますか?」
「そうねぇ……もうちょっと様子を見ましょう」
「わかりました」
「さて、じゃあご飯にしましょうか」
そうしてみんなで食卓を囲む。
その日の献立はパックご飯にシチューだった。
私はこの国のレトルト食品は美味しいと思う。
でも、やっぱりおかあさんの作る料理が一番好きだった。
「はい、あーん」
そう言いながらスプーンを差し出してくるお母さんに、私は口を開けた。口の中に入ってくる温かいシチューを飲み込むと、幸せな気持ちになった。
「おいしい!」
「うふふ、お兄ちゃんが用意したオパ会長シチューですよ 箱のデザインが怖いから魔除けにもなるのよ」
そう言いながら微笑むお母さんを見て、私もつられて笑った。
ーーー
お母さんのお父さんは「ある国」の衛生大臣だったらしいけど会議に向かう途中 飛行機の事故で亡くなったそうです。『フネ』に乗れたのも、お父様のおかげなのだから……と必ず週に一回 私に言い聞かせます ちょっと煩わしい……」
ーーー
この『フネ』がここに漂着して3年目に私は生まれました。
最初は鯨の頭から見える「病院」の夜景に感動してホンの少しあそこへ行ってみたいと思いましたが、お母さんと兄上の事を思い浮かべて誘惑を打ち消しました。
ーーー
私が8歳になり兄上に文字の読み書きを教わっている時、突然兄上が言いました。
「なぁ……バーシア お母さんとお兄ちゃんどっちが大事だ?」
その質問の意図がわからず、私はしばらく考えた後こう答えました。
「もちろん どっちもです」
すると兄上はため息をついて
「そっか、そうだよね ごめんね変なこと聞いて」
と言いました。なぜそんなことを聞くのか当時の私にはよくわかりませんでした。
ーーー
その日は前の晩から土砂降りだった雨も止み、朝起きてみると空一面雲一つない快晴でした。
「今日もいい天気ですね! 兄上様!」
「ああ、いい一日になるといいね」
「はい!…………あれ? 兄上様の角……また伸びました?」
「エグザクトリー! いや~困ったよ~」
そう言って兄上は笑いました。でも私はもう薄々気づいてました。これはただの遺伝じゃないってことを。
そして兄上は私の手を引き、ある場所へと連れていきました。
「ここが『アイヅ』僕たちの家の本当の名前は『エゾ』元々はひとつの大きい船だったんだけど、今はこの通りバラバラになってるんだ」
「なんでこんなにバラバラなんですか?」
「それはね、悪い人達がこの船を分解しちゃったんだ」
「どうしてですか?」
「うーん、難しいな……強いて言うなら この船は激ヤバ即ゲット めるかり~♪って感じかな」
「どうして激ヤバなんですか?めるかり~♪って何ですか?」
「えっ!?……いやその……ほら! この船の一番すごいところは、みんなで集まって寝れるところなんだよ!」
「本当ですか?」
「うん! だからみんな欲しがるんじゃないかな?」
「確かに!一緒に寝ると安心しますもんね」
「あ、あぁ……じゃあ戻ろうか」
「はい!」
兄上は嘘をつくと「ツノ」がぼんやりと光る癖があるので
実は兄上の嘘に私は気がついていました。
けど、それを言わなかったのは、何か理由がある嘘だと思ったからです。
ーーー
兄上から『アイヅ』の設備の使い方を習っていたある日のことです。
急にお母さんが死にました。
『フネ』に積まれていた危険なガスが漏れだしてそれを吸い込んでしまったためです。
唐突な事で初めは意味が分かりませんでしたが、そのうちいっぱい悲しくなりました。
私は沢山泣きました。季節が一つ巡るまで泣いたと思います。そのあいだ兄上はずっと側に居てくれました。
「バーシア、お兄ちゃんはねお父さんなんだよ」
「父さん?」
「そう お兄ちゃんはバーシアの父さんだ」
「薄々気づいてました だって兄上って動揺するとツノが光るし」
「……バ、バーシア、君はまだ子供だけど これから色々な事を学ばないといけない」
「学ぶこといっぱいありますか?」
「うん いっぱいあるよ」「私にできるでしょうか?」
「大丈夫だよ お兄ちゃんが教えてあげるから」
「はい!」
「でも、ひとつだけ約束して欲しい事がある」
「はい、どんな約束ですか?」
「お母さんの事を忘れないであげて欲しい」
「……忘れませんッ!絶対!」
「ありがとう……バーシア お兄ちゃんは少し出かけてくるから、良い子にして待っていてね」
そう言い残して兄上は部屋を出て行きました。『エゾ』に残っていたお母さんの遺体は兄がどこかへ運び去りました。
ーーー
私が11さいになったある日、兄上の体に異変がおきました。
最初は黒い斑点が全身に出来ました。
そして、その斑点は次第に増えていき、最後には顔まで覆い尽くしました。
「兄上!兄上!」
返事をしてくれない兄上に私は必死に呼びかけました。
すると兄上の体がビクンと跳ねて、ゆっくりと起き上がりました。
「あ、兄上……?」
私は最初、兄上が生き返ったと思いました、でもそれは間違いでした。
兄上が起き上がった瞬間、四つん這いになってまるで獣のような姿勢をとりました。
「あ、兄上……どうされたんですか?」
すると兄上は、私の方に顔を向けこう言いました。
「シアァ……ボートで『エゾ』に逃げろぉぉ!俺たちは水を渡れないッ!」
「なっ……!?」
「早くしろ!急げぇぇ! お前だけでもーッ!」
そう怒鳴る兄上の体をがみるみる波打ち、大きな異形へと変貌しました。
ドスン!
「ひぃっ……ぎゃああああ!」
私は埠頭に繋いでいたボートに走りました。何度も兄とお母さんに会うために乗ったボートに。
兄上だったものは、私を追いかけて迫ってきます。
ドンツクドンツクドンツクドンツク
「いやぁ……来ないで……」
私は船に乗り込みエンジンをかけました。
「うわああああああん!!兄上えァ!!」
私は泣きながら発動機の紐を引いて、急発進しようと試みましたが途中で兄上に追い付かれボートから転落してしまいました。
「ぎゃゃああ!」
ザブンザブン……
「うぅ……がぼぼぼ」
私は海に投げ出され、なんとか海面に顔を出しました。
(兄上はどこ?)
私は兄上を探しました。そして見つけました、兄上が首を伸ばしてこちらを見つめています。
「あ、兄上?」
「グルルル」
何と驚いたことに兄上はその大きなツノで私を掬い上げました。
「あ、兄上?何を?」
「グルルルー♪」
兄上は機嫌が良さそうです。
そのまま兄上は私を背中に乗せて『アイズ』へと引き返したました。
ーーー
それから3年、私達は『アイズ』で過ごしました。
エミサン達が来るまで私達は『アイズ』の施設を使ってガラクタを修理してフリマアプリで売ったり、スクラップヤードで拾ってきた物を売って生活していました。
兄上は私を守るように港の回りを徘徊して適当な時間に戻ってくるという日々を過ごしていました。
ちなみに武器の扱いはお母さんが死んだあと兄上と練習しました。兄上は消防署の方から来たおじさんに教わったと言っていましたが多分嘘だと思います。
ーーー
私がリョウスケクンに興味を持ったのは最初あの子がエミサンの息子さんだと勘違いしたからです。最初に会ったときエミサンはおかしな格好をしていたのでドン引きでしたが一歩下がってクロエサン達を見守る様子がお母さんにそっくりで、少し胸が締め付けられたのです。リョウスケクンと仲良くなればエミサンと仲良くなって一緒にシチューを……じゅるり……
「えっと、シアちゃんって呼んでいいかな?」
思索を中断された私はムッとしてリョウスケクンを睨んだ。
「駄目です 絶対にやめてください」
「そ、そうですか」
「ソレより どうして私に構うんですか?」
「だって、バーシアちゃん寂しそうだから」
「べ、別に寂しくナンカありませんよ!私はもう13さいです!」
「そうなんだ……ごめんね」
「この機会に仲良くなって……グヘヘ とか考えてませんよネ?」
「ギクッ」
「やっぱりソウカ!」
リョウスケには注意しよう。兄上が言っていた。
男は狼太郎なのだと、油断すれば襲われてしまうのだ。
「マァデモ……少し兄上に雰囲気が似てるし呼び捨てくらいなら許可します」
「本当!?ありがとうシアちゃん!」
「だからその呼び方をヤメイッ!」
「ヨーシ出発するぞ、忘れ物はないか?」
クマさんが大声でみんなに号令を出します。
「おー!大丈夫だよ!」
「じゃあ出発進行!」
こうして私は外の世界に旅立つことになりました。
兄上のいない世界へ……兄上だった怪物に跨がって……
ex3 おしまい
私が生まれて初めて聞いた音は、そんな音だった。
今にして思うと、それは鹿の蹄のだったんだろうと思う。
その時の私は、まだ何もわからなかったし、何もできなかった。
ただただ、泣いていただけだった。
「なんで泣いてんだ?」
その声に反応して顔を上げると、そこにいたのは兄上だった。
「あにうえ」
泣きながらそう言う私を、兄上は抱き上げてくれた。
そして、私を抱きかかえたまま、兄上は歩き出した。
「どこに行くんですか? 」「んー……お城かな」
「どうしてですか?」
「母さんが待ってるからだよ 食事も用意しないと」
「おかあさまが!? おかあさまに会いたいです! 」
「うん、だから一緒に行こうね」
そう言って頭を撫でてくれる兄上に抱かれながら、私達は小舟で沖合に見える鉄の鯨の頭に向かった。
「母さん、ただいま戻りました」
「あらあらまあまあ、お帰りなさい」
出迎えたのは、兄上の奥方で私達のおかあさんだ。この人はいつもニコニコしていて、優しかった。
「外で何かありましたか?」
「えぇ、実は……」
兄上は、外のことをお母さんに話した。
小麦粉や玉ねぎの値段が下がった事や、廃都市で大きな狩りがあったこと、台地の上の『病院』が本格的に運営を始めたこと……。
私はその間、ずっと兄上の腕の中でおとなしくしていた。
「そうなのですね」
「ええ母さん ところで『ツノ』の調子はどうですか?」
「また少し伸びてきましたよ」
そう言ってお母さんは自分の頭のてっぺんにあるツノを見せてくれた」
「そろそろまた切りますか?」
「そうねぇ……もうちょっと様子を見ましょう」
「わかりました」
「さて、じゃあご飯にしましょうか」
そうしてみんなで食卓を囲む。
その日の献立はパックご飯にシチューだった。
私はこの国のレトルト食品は美味しいと思う。
でも、やっぱりおかあさんの作る料理が一番好きだった。
「はい、あーん」
そう言いながらスプーンを差し出してくるお母さんに、私は口を開けた。口の中に入ってくる温かいシチューを飲み込むと、幸せな気持ちになった。
「おいしい!」
「うふふ、お兄ちゃんが用意したオパ会長シチューですよ 箱のデザインが怖いから魔除けにもなるのよ」
そう言いながら微笑むお母さんを見て、私もつられて笑った。
ーーー
お母さんのお父さんは「ある国」の衛生大臣だったらしいけど会議に向かう途中 飛行機の事故で亡くなったそうです。『フネ』に乗れたのも、お父様のおかげなのだから……と必ず週に一回 私に言い聞かせます ちょっと煩わしい……」
ーーー
この『フネ』がここに漂着して3年目に私は生まれました。
最初は鯨の頭から見える「病院」の夜景に感動してホンの少しあそこへ行ってみたいと思いましたが、お母さんと兄上の事を思い浮かべて誘惑を打ち消しました。
ーーー
私が8歳になり兄上に文字の読み書きを教わっている時、突然兄上が言いました。
「なぁ……バーシア お母さんとお兄ちゃんどっちが大事だ?」
その質問の意図がわからず、私はしばらく考えた後こう答えました。
「もちろん どっちもです」
すると兄上はため息をついて
「そっか、そうだよね ごめんね変なこと聞いて」
と言いました。なぜそんなことを聞くのか当時の私にはよくわかりませんでした。
ーーー
その日は前の晩から土砂降りだった雨も止み、朝起きてみると空一面雲一つない快晴でした。
「今日もいい天気ですね! 兄上様!」
「ああ、いい一日になるといいね」
「はい!…………あれ? 兄上様の角……また伸びました?」
「エグザクトリー! いや~困ったよ~」
そう言って兄上は笑いました。でも私はもう薄々気づいてました。これはただの遺伝じゃないってことを。
そして兄上は私の手を引き、ある場所へと連れていきました。
「ここが『アイヅ』僕たちの家の本当の名前は『エゾ』元々はひとつの大きい船だったんだけど、今はこの通りバラバラになってるんだ」
「なんでこんなにバラバラなんですか?」
「それはね、悪い人達がこの船を分解しちゃったんだ」
「どうしてですか?」
「うーん、難しいな……強いて言うなら この船は激ヤバ即ゲット めるかり~♪って感じかな」
「どうして激ヤバなんですか?めるかり~♪って何ですか?」
「えっ!?……いやその……ほら! この船の一番すごいところは、みんなで集まって寝れるところなんだよ!」
「本当ですか?」
「うん! だからみんな欲しがるんじゃないかな?」
「確かに!一緒に寝ると安心しますもんね」
「あ、あぁ……じゃあ戻ろうか」
「はい!」
兄上は嘘をつくと「ツノ」がぼんやりと光る癖があるので
実は兄上の嘘に私は気がついていました。
けど、それを言わなかったのは、何か理由がある嘘だと思ったからです。
ーーー
兄上から『アイヅ』の設備の使い方を習っていたある日のことです。
急にお母さんが死にました。
『フネ』に積まれていた危険なガスが漏れだしてそれを吸い込んでしまったためです。
唐突な事で初めは意味が分かりませんでしたが、そのうちいっぱい悲しくなりました。
私は沢山泣きました。季節が一つ巡るまで泣いたと思います。そのあいだ兄上はずっと側に居てくれました。
「バーシア、お兄ちゃんはねお父さんなんだよ」
「父さん?」
「そう お兄ちゃんはバーシアの父さんだ」
「薄々気づいてました だって兄上って動揺するとツノが光るし」
「……バ、バーシア、君はまだ子供だけど これから色々な事を学ばないといけない」
「学ぶこといっぱいありますか?」
「うん いっぱいあるよ」「私にできるでしょうか?」
「大丈夫だよ お兄ちゃんが教えてあげるから」
「はい!」
「でも、ひとつだけ約束して欲しい事がある」
「はい、どんな約束ですか?」
「お母さんの事を忘れないであげて欲しい」
「……忘れませんッ!絶対!」
「ありがとう……バーシア お兄ちゃんは少し出かけてくるから、良い子にして待っていてね」
そう言い残して兄上は部屋を出て行きました。『エゾ』に残っていたお母さんの遺体は兄がどこかへ運び去りました。
ーーー
私が11さいになったある日、兄上の体に異変がおきました。
最初は黒い斑点が全身に出来ました。
そして、その斑点は次第に増えていき、最後には顔まで覆い尽くしました。
「兄上!兄上!」
返事をしてくれない兄上に私は必死に呼びかけました。
すると兄上の体がビクンと跳ねて、ゆっくりと起き上がりました。
「あ、兄上……?」
私は最初、兄上が生き返ったと思いました、でもそれは間違いでした。
兄上が起き上がった瞬間、四つん這いになってまるで獣のような姿勢をとりました。
「あ、兄上……どうされたんですか?」
すると兄上は、私の方に顔を向けこう言いました。
「シアァ……ボートで『エゾ』に逃げろぉぉ!俺たちは水を渡れないッ!」
「なっ……!?」
「早くしろ!急げぇぇ! お前だけでもーッ!」
そう怒鳴る兄上の体をがみるみる波打ち、大きな異形へと変貌しました。
ドスン!
「ひぃっ……ぎゃああああ!」
私は埠頭に繋いでいたボートに走りました。何度も兄とお母さんに会うために乗ったボートに。
兄上だったものは、私を追いかけて迫ってきます。
ドンツクドンツクドンツクドンツク
「いやぁ……来ないで……」
私は船に乗り込みエンジンをかけました。
「うわああああああん!!兄上えァ!!」
私は泣きながら発動機の紐を引いて、急発進しようと試みましたが途中で兄上に追い付かれボートから転落してしまいました。
「ぎゃゃああ!」
ザブンザブン……
「うぅ……がぼぼぼ」
私は海に投げ出され、なんとか海面に顔を出しました。
(兄上はどこ?)
私は兄上を探しました。そして見つけました、兄上が首を伸ばしてこちらを見つめています。
「あ、兄上?」
「グルルル」
何と驚いたことに兄上はその大きなツノで私を掬い上げました。
「あ、兄上?何を?」
「グルルルー♪」
兄上は機嫌が良さそうです。
そのまま兄上は私を背中に乗せて『アイズ』へと引き返したました。
ーーー
それから3年、私達は『アイズ』で過ごしました。
エミサン達が来るまで私達は『アイズ』の施設を使ってガラクタを修理してフリマアプリで売ったり、スクラップヤードで拾ってきた物を売って生活していました。
兄上は私を守るように港の回りを徘徊して適当な時間に戻ってくるという日々を過ごしていました。
ちなみに武器の扱いはお母さんが死んだあと兄上と練習しました。兄上は消防署の方から来たおじさんに教わったと言っていましたが多分嘘だと思います。
ーーー
私がリョウスケクンに興味を持ったのは最初あの子がエミサンの息子さんだと勘違いしたからです。最初に会ったときエミサンはおかしな格好をしていたのでドン引きでしたが一歩下がってクロエサン達を見守る様子がお母さんにそっくりで、少し胸が締め付けられたのです。リョウスケクンと仲良くなればエミサンと仲良くなって一緒にシチューを……じゅるり……
「えっと、シアちゃんって呼んでいいかな?」
思索を中断された私はムッとしてリョウスケクンを睨んだ。
「駄目です 絶対にやめてください」
「そ、そうですか」
「ソレより どうして私に構うんですか?」
「だって、バーシアちゃん寂しそうだから」
「べ、別に寂しくナンカありませんよ!私はもう13さいです!」
「そうなんだ……ごめんね」
「この機会に仲良くなって……グヘヘ とか考えてませんよネ?」
「ギクッ」
「やっぱりソウカ!」
リョウスケには注意しよう。兄上が言っていた。
男は狼太郎なのだと、油断すれば襲われてしまうのだ。
「マァデモ……少し兄上に雰囲気が似てるし呼び捨てくらいなら許可します」
「本当!?ありがとうシアちゃん!」
「だからその呼び方をヤメイッ!」
「ヨーシ出発するぞ、忘れ物はないか?」
クマさんが大声でみんなに号令を出します。
「おー!大丈夫だよ!」
「じゃあ出発進行!」
こうして私は外の世界に旅立つことになりました。
兄上のいない世界へ……兄上だった怪物に跨がって……
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