異世界冒険記『ストレージ・ドミニオン』

FOX4

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チートがほぼ無い冒険

PHASE-262【中々によき弾力よな】

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 力任せにコクリコを四つん這いにさせる。
 なんか四つん這いってのがエロい感じもするが、そんな事はない。断じてエロくない。これは復讐なのだから!

「オラッ!」

「ヒィン!?」
 ピシャーンと思いっ切り尻を叩いてやる。
 
 ――……未発達と思いきや、中々に柔らかいじゃないか……。

 俺、女の子の体をこうやって触るのは寝惚けてベルのおっぱい触った時以来だな。
 あの時は寝惚けてたけども、今回は鮮明ですよ。

 ――……じゃない!

 俺は制裁を加えているんだ。柔らかいとかって感想はいらないのだ!

「せいや!」

「きゅぅ! ごめんなさい! もうしませんので許してください!」
 可愛い声を出しやがる。

「だまらっしゃい!」

「ヒィィィィ!」
 バチーンと思いっ切り叩けば、素晴らしき弾力が俺の手を跳ね返してくる。
 弓なりになるコクリコの姿。
 スナップをきかせて叩けば、連動するように背を反らせるわけで……。
 やばいであります! 怒りではなく、エロが俺の心を支配し始めております。

「お、おい会頭?」
 ここでむさ苦しさなら、この空洞で随一のギムロンが接近。
 そのおかげでエロい心が静まっていく。

「もういいんじゃねえのか?」

「駄目だ、これはしつけなんだよ」
 ビシンッ!

「お願いですから許してください。ご慈悲を!」
 ギムロンを見て俺のエロが修まったと思ったら、再び違う感情が芽生える。
 高慢ちきなフラッパーまな板が許しを請う姿に、征服欲がわき出てきた。

 これが雄としての本能なのだろうか! しつけを楽しいんでいる俺がいる。
 端から見たら完全なる変態紳士のポジション。それは俺だ!

「まだまだ~」
 言葉尻が伸びる俺の声は何とも明るい。怒りなど纏っていないのが自分でもよく分かる語調だ。

 もういっちょ的な感じで手首をスナップさせる動作に入ったところで……、
 
 ゴッ…………。

 つい先ほどまで俺が発していた高く響く音とは違い、重く鈍い音が低く空洞内に響いた。
 
 発信源は俺ではない。
 ――……いや、正確には俺か……。
 だが、俺が能動的に発した音ではない。

 現在、俺は頭をおさえて丸まった状態。ダンゴムシの如き状態……。
 無論、この間にコクリコからは逃げられる。

「……なにをするのだ。タチアナよ…………」
 諸手に持つスタッフは震えている。
 ゴッっと奏でた音の原因であるのはソレだ……。
 
 コクリコを捕らえた時点で、肉体強化のインクリーズ以外の各能力は解除している。
 当然タフネスもだ。
 そこに白樺の木から出来たスタッフの一撃は、重くて痛い……。
 
 このシチュエーション……。まるで悪役のラストの一つみたいじゃないか。
 悪の首魁が主人公を倒す手前で、子飼いに刺されるっていうね……。
 そんなシーンでお約束なのは、首魁の服装は白のスーツ。赤が映えるように白スーツ。
 で、瀕死の状態で子飼いに顔を向ければ、恐怖や罪悪感に襲われた震える手は、利器と共に鮮血に染まっているわけですよ。
 タチアナの震えと表情は正にそれ。

「ねえ、なんで殴るの……」
 鈍痛に耐えつつも、今一度、質問をすれば、

「会頭に対して殴るという行為は駄目だとは思いますが、表情があまりにも……、へ、変態すぎました!」

「何を言っているんだタチアナ……」
 変態とは何事だ。
 問い、周囲に目を向ければ、タチアナの発言が正しいとばかりに皆して鷹揚に首肯している。
 忠誠こそがなんちゃらって言ってるクラックリックまでもだ。

「会頭よい」
 俺の前で樽型体系のギムロンが、蹲踞にて屈む。
 体型と身長で、屈んでるのか立ってるのかよくは分からないが。

「顔がだらしなさすぎだ」
 継いで出た発言。
 これまた皆して頷けば、離れた所で様子を窺っていたコボルト達も頷く。
 
 どうやら俺の中での怒りと復讐は、完全に尻の柔らかさと弾力にはね飛ばされたようで、征服欲と新たに湧き出たエロ心が俺の心底でまさった証として、知らず知らずに表情は、目尻の垂れ下がったドスケベなものになっていたようだ……。
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