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極東
PHASE-412【間違いなく成長している】
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「さあ、始めようか。続きを」
俺の前に立つ三人に対して、俺は威風堂々。
こうなった以上は戦う。
対して三人は落ち着きがない。
そこそこに自信もあったんだろう。戦いたくないといっても、戦えば実力と数の差で勝てると踏んでいたのかもしれない。
が、俺の正面に立つ三人の目は忙しない。
忙しなくなる理由は、俺の仲間たちの実力によって、次々とメイドさん達が回廊の床に倒れていっているからだ。
しかも死者を出さないという手心を加えた状態の相手だというのに、全くもって太刀打ち出来ないといった状況。
実力差があまりにもかけ離れている現実を目の当たりにしているわけだ。
「ランシェルちゃん。一応、戦うからね」
俺が一言つたえれば、忙しかった目が俺だけに向けられる。
綺麗な黄色の瞳は罪悪感に支配されている。
「戦いだしね。勇者と魔王軍だし。せめて恨みっこなしで」
ようは俺がベルやゲッコーさんみたいにサクサクと綺麗にダウンさせればいいだけだ。
事が済んだら許してやるんだ。メイドさん達を!
なんたって俺は――――、
「バイカル湖のように広くて透明な心だからね!」
言ってすぐにイグニース、ラピッドと継ぐ。
亀甲の炎の盾で体当たりするように三人へと突撃。
盾を展開してのラピッドによる高速接近は、端から見れば人型サイズのファイヤーボールと見紛うばかりだろう。
炎の盾がゴウゴウと音を立てる。これだけでも相手にとっては、視覚的にも聴覚的にも脅威だろう。
「せいや!」
体当たりを見舞えば、
「くあ……」
心の中でごめんなさいと念じる。
俺の体当たりで吹き飛んだのはサニアさん。
ポニーテールを靡かせながら床へと倒れる。
倒れて直ぐ受け身を取って立ち上がるが、熱のダメージと衝撃は、ショートソードだけで防ぐには無理があったようで、一撃によって、肩で大きく息をしていた。
俺の展開する炎の熱に至近距離で襲われれば、呼吸もままならなくなるだろうからな。
炎での戦い方には、相手のスタミナを奪う方法もあるわけだ。
「サニア!」
サニアさんに心配の声を向けるコトネさん。その隙に狙いを定めて体当たり。
――――とはいかない。
ランシェルちゃん!
側面からの刺突。
だが、俺の盾は籠手の数だけある。もちろん側面から仕掛けてくると分かっていた。
コトネさんには左で仕掛け、右でランシェルちゃんの攻撃を防ぐ。
腕をなぎ払うように動かせば、連動した炎の盾がランシェルちゃんの刺突を払いのけ、ショートソードの切っ先は、俺から天井へと強制的に向けられる。
「胴!」
俺は腕をなぎ払う動きと同時進行にて、鞘のままの残火をランシェルちゃんのがらんどうになった胴に叩き込む。
「かは……」
息が弱々しく漏れるのが対面者から聞こえてくる。
こっちの心まで脱力感に見舞われる。
相手は女の子だ。俺を傀儡にするのが目的だったとはいえ、甲斐甲斐しく世話をしてくれた。
ヴァンパイアに強制的に戦わされているってのもあるから、こっちは罪悪感も芽生える。
まったくもって嫌な戦いだ。
いや、戦いなんてそもそも全てが嫌なものなんだよな。
不条理な力を振るわれ、振るう。
嫌であろうとも、戦わないと味方に累が及ぶ。
だからこそ俺は手加減なしでランシェルちゃんの胴に、残火を思いっ切り振り抜いた。
片手での振り抜きだったけど、威力は十分とばかりに、ランシェルちゃんはもんどりを打つようにして倒れ込んだ。
「これは酷い。あれだけ世話をしていた存在に」
「うるせえ!」
あのヴァンパイア! 俺の精神世界を攻撃してきやがって!
気にしてんだよ! んなことを言われなくても。
でも今はそれを気にすることも許されない。
「シッ!」
コトネさんの袈裟斬り。
残火で受け止めて流す。
火龍の鱗で作られた鞘には傷一つ無い。顕微鏡で見たとしても、傷なんて無いだろう。そんな安心感を与えてくれる強度だ。
速くはあっても鋭くないのは、不得手だからって問題じゃない。
俺たち以上に、心底で戦いたくないという思いが、鋭さを鈍らせているようだった。
同情はする、不殺も心がける。
――――でも、
「加減はなし!」
姿勢を崩したコトネさんの背中に、ドスリと鞘を叩き込めば、そのまま床へと力なく倒れ込む。
戦う気が感じられないとはいえ、迫る動きは本物だった。
そんなメイドさん達を相手にした俺は――――、強くなっていると、自信を持って思える。
三人のメイドさんと戦う前にサクサクと手早くダウンさせると考えていたが、それに近い事が出来た。
思っていた事が出来るようになるのは、成長の証だ。
――――周囲を見れば、流石と言うべきか、最強の二人が殆どを倒してくれる。
俺の自信が打ち砕かれるくらいに強いのは仕方ない。比べてはならない面子だからな。
シャルナは結局、俺が怪我をする事もなかったから、完全に空気になってて可哀想だった。
戦闘後にメイドさんの回復をお願いしよう。
コクリコは……、まあ強いな。
ワンド一本と体術でよくもまあ……。
もうウィザードなんて辞めて、以前、俺が言ってた魔闘家になれ。
頭にロード付けずに、美しいって付けとけ。
俺の前に立つ三人に対して、俺は威風堂々。
こうなった以上は戦う。
対して三人は落ち着きがない。
そこそこに自信もあったんだろう。戦いたくないといっても、戦えば実力と数の差で勝てると踏んでいたのかもしれない。
が、俺の正面に立つ三人の目は忙しない。
忙しなくなる理由は、俺の仲間たちの実力によって、次々とメイドさん達が回廊の床に倒れていっているからだ。
しかも死者を出さないという手心を加えた状態の相手だというのに、全くもって太刀打ち出来ないといった状況。
実力差があまりにもかけ離れている現実を目の当たりにしているわけだ。
「ランシェルちゃん。一応、戦うからね」
俺が一言つたえれば、忙しかった目が俺だけに向けられる。
綺麗な黄色の瞳は罪悪感に支配されている。
「戦いだしね。勇者と魔王軍だし。せめて恨みっこなしで」
ようは俺がベルやゲッコーさんみたいにサクサクと綺麗にダウンさせればいいだけだ。
事が済んだら許してやるんだ。メイドさん達を!
なんたって俺は――――、
「バイカル湖のように広くて透明な心だからね!」
言ってすぐにイグニース、ラピッドと継ぐ。
亀甲の炎の盾で体当たりするように三人へと突撃。
盾を展開してのラピッドによる高速接近は、端から見れば人型サイズのファイヤーボールと見紛うばかりだろう。
炎の盾がゴウゴウと音を立てる。これだけでも相手にとっては、視覚的にも聴覚的にも脅威だろう。
「せいや!」
体当たりを見舞えば、
「くあ……」
心の中でごめんなさいと念じる。
俺の体当たりで吹き飛んだのはサニアさん。
ポニーテールを靡かせながら床へと倒れる。
倒れて直ぐ受け身を取って立ち上がるが、熱のダメージと衝撃は、ショートソードだけで防ぐには無理があったようで、一撃によって、肩で大きく息をしていた。
俺の展開する炎の熱に至近距離で襲われれば、呼吸もままならなくなるだろうからな。
炎での戦い方には、相手のスタミナを奪う方法もあるわけだ。
「サニア!」
サニアさんに心配の声を向けるコトネさん。その隙に狙いを定めて体当たり。
――――とはいかない。
ランシェルちゃん!
側面からの刺突。
だが、俺の盾は籠手の数だけある。もちろん側面から仕掛けてくると分かっていた。
コトネさんには左で仕掛け、右でランシェルちゃんの攻撃を防ぐ。
腕をなぎ払うように動かせば、連動した炎の盾がランシェルちゃんの刺突を払いのけ、ショートソードの切っ先は、俺から天井へと強制的に向けられる。
「胴!」
俺は腕をなぎ払う動きと同時進行にて、鞘のままの残火をランシェルちゃんのがらんどうになった胴に叩き込む。
「かは……」
息が弱々しく漏れるのが対面者から聞こえてくる。
こっちの心まで脱力感に見舞われる。
相手は女の子だ。俺を傀儡にするのが目的だったとはいえ、甲斐甲斐しく世話をしてくれた。
ヴァンパイアに強制的に戦わされているってのもあるから、こっちは罪悪感も芽生える。
まったくもって嫌な戦いだ。
いや、戦いなんてそもそも全てが嫌なものなんだよな。
不条理な力を振るわれ、振るう。
嫌であろうとも、戦わないと味方に累が及ぶ。
だからこそ俺は手加減なしでランシェルちゃんの胴に、残火を思いっ切り振り抜いた。
片手での振り抜きだったけど、威力は十分とばかりに、ランシェルちゃんはもんどりを打つようにして倒れ込んだ。
「これは酷い。あれだけ世話をしていた存在に」
「うるせえ!」
あのヴァンパイア! 俺の精神世界を攻撃してきやがって!
気にしてんだよ! んなことを言われなくても。
でも今はそれを気にすることも許されない。
「シッ!」
コトネさんの袈裟斬り。
残火で受け止めて流す。
火龍の鱗で作られた鞘には傷一つ無い。顕微鏡で見たとしても、傷なんて無いだろう。そんな安心感を与えてくれる強度だ。
速くはあっても鋭くないのは、不得手だからって問題じゃない。
俺たち以上に、心底で戦いたくないという思いが、鋭さを鈍らせているようだった。
同情はする、不殺も心がける。
――――でも、
「加減はなし!」
姿勢を崩したコトネさんの背中に、ドスリと鞘を叩き込めば、そのまま床へと力なく倒れ込む。
戦う気が感じられないとはいえ、迫る動きは本物だった。
そんなメイドさん達を相手にした俺は――――、強くなっていると、自信を持って思える。
三人のメイドさんと戦う前にサクサクと手早くダウンさせると考えていたが、それに近い事が出来た。
思っていた事が出来るようになるのは、成長の証だ。
――――周囲を見れば、流石と言うべきか、最強の二人が殆どを倒してくれる。
俺の自信が打ち砕かれるくらいに強いのは仕方ない。比べてはならない面子だからな。
シャルナは結局、俺が怪我をする事もなかったから、完全に空気になってて可哀想だった。
戦闘後にメイドさんの回復をお願いしよう。
コクリコは……、まあ強いな。
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頭にロード付けずに、美しいって付けとけ。
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