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極東
PHASE-448【赤帽子がとても怖そう……】
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「レッドキャップス。イギリスの伝承に出て来る邪悪な妖精だな。殺した人間の血で、被っている帽子を赤く染め上げるって話だ」
「いぎりす? 申し訳ありません、知識が狭いので存じません。ですが、大体は合っております。妖精ではないですが」
コトネさんは知識不足を恥と思い、ゲッコーさんに頭を下げるけど、イギリスは知らなくて当然だから。
下げた頭を戻せば、魔王護衛軍精鋭部隊・レッドキャップスの概要を教えてくれた。
ゲッコーさんが言ったように、倒した相手の血でとんがり帽子を染め上げるらしいが、これはレッドキャップスに入隊する時の通過儀礼だそうだ。
強敵と一対一で戦い勝利し、その血で帽子を染め上げる。
武器は一撃必殺の斧系を好むそうだ。
もちろんその他の利器も使用するそうだが、大半のレッドキャップスは、手斧や戦斧、ハルバートなどを好んで使うらしい。
三組織とはちがい、様々な種族の混成部隊であり、ゴブリンにオークもいれば、サハギンやガーゴイルなどもいるそうだ。
従来のゴブリンやオークとは比べることの出来ない力を有しており、絶対忠誠からくる統率力も脅威。
各部隊の戦闘指揮者の下で、使命を果たすために死ぬまで行動する。
闇夜に乗じて行動するなら、遠く離れた位置に血のような赤い輝きが見えたら警戒してほしいとコトネさんは言う。
輝きの原因は目だそうで、レッドキャップスに入隊したら、強制的に目の色を変えさせられるらしい。
魔法の効果らしいが、ピリアであるビジョンと同じ効果をパッシブで発動できるそうだ。
赤い輝きに捕捉されれば、この世のものとは思えない狂ったような咆哮と共に、遠い距離から一瞬にして懐まで飛び込んで来るという。
「うん。無理ゲー」
瞬間移動みたいなのを使ってくるとか、やっかいじゃねえか。
つまりは転移魔法みたいなのを造作もなく使ってくる連中ばっかりって事だろうからな。
普通に強すぎなんじゃないの?
俺、この世界で未だに転移魔法って見たことないし。
そんな魔法を多用する連中とか……。
「情けない口調で言葉を出すな。勇者だろう。それにトールはなんだかんだで困難を突破している」
小馬鹿にすることもなく称賛をくれるベル。
最近は俺に対してツンケンしていない、和らいできているよね。
「勇者様一行なら攻略も可能と存じます。火龍様を救い出したのですから」
火龍を救い出したことがポイント高いみたいだけど。
守護していたマレンティが大したことなかったからね。
シーゴーレムと瘴気。陸から離れたところにある要塞ってのがセットになっていることで、現状、人類サイドは攻略不可能だったわけなんだけど。
俺にはユナイテッドステイツの魂、ミズーリがあったからね。
「現在では、トール様たちの力を脅威と判断した魔王が、収容拠点の防備を厚くしているとも聞きます」
更に不安になることを言わなくていいです。コトネさん。
でもやっぱり魔王の事を嫌悪しているようだな。魔王って固有名詞で妙に力んだ口調になる。
ニュアンス的に、口にしたくないと言ったところか。よほど辛い目にあわされたんだろうな。
「トール様たちならば――――きっと!」
凄く期待してくれてますね。
まるで藁にも縋るって勢いだ。
ついつい圧に押されて体を反らせてしまうよ。
「地龍がいる事は理解した。その地龍が姫にかかった呪術を解除するのかな? その事に関してはまだ聞かされていない。なんだか回りくどくもある。言いたいことがあるようだが、言えないのかな?」
煙草の火を消し、紅茶を一口飲めば、ゲッコーさんは刺すような目でコトネさんへと問う。
確かに、地龍が囚われているとは言ったし、魔王護衛軍精鋭部隊のレッドキャップスがいるというのも理解した。
だけどもこの話において、俺たちが最初に求めたのは姫の呪解だ。
ゲッコーさんは要塞の概要を求めた。でも概要には、姫の呪解の内容は出てきていない。
要塞に行くことで姫の呪解の可能性があるのかもしれないが、肝心の主目標である話はちゃんと述べられていない。
「言いたい事があるなら言ってください」
コトネさんの背中を押すように、俺が優しい声音で伝えれば、コトネさんは周囲のメイドさん達と顔を見合わせ、皆からの首肯をもらうと、真っ直ぐな視線で俺を見る。
美人の直視、右目の泣きぼくろの効果もあって、魅入ってしまいそうになる。
「地龍様を助けるついででいいのです。お願いします。私達の主を救ってください」
「主。つまりはその方が姫の呪解を可能とすると?」
「トール様のお察しの通りです。その可能性があるとまでしか言えませんが……」
まあ、無いよりはましなんだけど。
サキュバスさん達の主って事は、やはりサキュバスなのだろうか?
「魔族にとって主とは、魔王の事をさすんじゃないんですか?」
色々と派閥もあるから、魔王が必ずしも主ってわけじゃないんだろうけどさ。
「確かに。私達の主は魔王様です」
ん~……。なんだろう。よく分からない。
主である魔王様を救って欲しい。魔王軍から。
哲学的な言い回しですな。
しかも、ここでは魔王様と発言しているし、妙な力みもない。
「いぎりす? 申し訳ありません、知識が狭いので存じません。ですが、大体は合っております。妖精ではないですが」
コトネさんは知識不足を恥と思い、ゲッコーさんに頭を下げるけど、イギリスは知らなくて当然だから。
下げた頭を戻せば、魔王護衛軍精鋭部隊・レッドキャップスの概要を教えてくれた。
ゲッコーさんが言ったように、倒した相手の血でとんがり帽子を染め上げるらしいが、これはレッドキャップスに入隊する時の通過儀礼だそうだ。
強敵と一対一で戦い勝利し、その血で帽子を染め上げる。
武器は一撃必殺の斧系を好むそうだ。
もちろんその他の利器も使用するそうだが、大半のレッドキャップスは、手斧や戦斧、ハルバートなどを好んで使うらしい。
三組織とはちがい、様々な種族の混成部隊であり、ゴブリンにオークもいれば、サハギンやガーゴイルなどもいるそうだ。
従来のゴブリンやオークとは比べることの出来ない力を有しており、絶対忠誠からくる統率力も脅威。
各部隊の戦闘指揮者の下で、使命を果たすために死ぬまで行動する。
闇夜に乗じて行動するなら、遠く離れた位置に血のような赤い輝きが見えたら警戒してほしいとコトネさんは言う。
輝きの原因は目だそうで、レッドキャップスに入隊したら、強制的に目の色を変えさせられるらしい。
魔法の効果らしいが、ピリアであるビジョンと同じ効果をパッシブで発動できるそうだ。
赤い輝きに捕捉されれば、この世のものとは思えない狂ったような咆哮と共に、遠い距離から一瞬にして懐まで飛び込んで来るという。
「うん。無理ゲー」
瞬間移動みたいなのを使ってくるとか、やっかいじゃねえか。
つまりは転移魔法みたいなのを造作もなく使ってくる連中ばっかりって事だろうからな。
普通に強すぎなんじゃないの?
俺、この世界で未だに転移魔法って見たことないし。
そんな魔法を多用する連中とか……。
「情けない口調で言葉を出すな。勇者だろう。それにトールはなんだかんだで困難を突破している」
小馬鹿にすることもなく称賛をくれるベル。
最近は俺に対してツンケンしていない、和らいできているよね。
「勇者様一行なら攻略も可能と存じます。火龍様を救い出したのですから」
火龍を救い出したことがポイント高いみたいだけど。
守護していたマレンティが大したことなかったからね。
シーゴーレムと瘴気。陸から離れたところにある要塞ってのがセットになっていることで、現状、人類サイドは攻略不可能だったわけなんだけど。
俺にはユナイテッドステイツの魂、ミズーリがあったからね。
「現在では、トール様たちの力を脅威と判断した魔王が、収容拠点の防備を厚くしているとも聞きます」
更に不安になることを言わなくていいです。コトネさん。
でもやっぱり魔王の事を嫌悪しているようだな。魔王って固有名詞で妙に力んだ口調になる。
ニュアンス的に、口にしたくないと言ったところか。よほど辛い目にあわされたんだろうな。
「トール様たちならば――――きっと!」
凄く期待してくれてますね。
まるで藁にも縋るって勢いだ。
ついつい圧に押されて体を反らせてしまうよ。
「地龍がいる事は理解した。その地龍が姫にかかった呪術を解除するのかな? その事に関してはまだ聞かされていない。なんだか回りくどくもある。言いたいことがあるようだが、言えないのかな?」
煙草の火を消し、紅茶を一口飲めば、ゲッコーさんは刺すような目でコトネさんへと問う。
確かに、地龍が囚われているとは言ったし、魔王護衛軍精鋭部隊のレッドキャップスがいるというのも理解した。
だけどもこの話において、俺たちが最初に求めたのは姫の呪解だ。
ゲッコーさんは要塞の概要を求めた。でも概要には、姫の呪解の内容は出てきていない。
要塞に行くことで姫の呪解の可能性があるのかもしれないが、肝心の主目標である話はちゃんと述べられていない。
「言いたい事があるなら言ってください」
コトネさんの背中を押すように、俺が優しい声音で伝えれば、コトネさんは周囲のメイドさん達と顔を見合わせ、皆からの首肯をもらうと、真っ直ぐな視線で俺を見る。
美人の直視、右目の泣きぼくろの効果もあって、魅入ってしまいそうになる。
「地龍様を助けるついででいいのです。お願いします。私達の主を救ってください」
「主。つまりはその方が姫の呪解を可能とすると?」
「トール様のお察しの通りです。その可能性があるとまでしか言えませんが……」
まあ、無いよりはましなんだけど。
サキュバスさん達の主って事は、やはりサキュバスなのだろうか?
「魔族にとって主とは、魔王の事をさすんじゃないんですか?」
色々と派閥もあるから、魔王が必ずしも主ってわけじゃないんだろうけどさ。
「確かに。私達の主は魔王様です」
ん~……。なんだろう。よく分からない。
主である魔王様を救って欲しい。魔王軍から。
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しかも、ここでは魔王様と発言しているし、妙な力みもない。
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