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死霊魔術師
PHASE-570【マテバとよりを戻しそう】
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「ゲッコーさん。夢の中で襲ってくる殺人鬼のようなゾンビですよ」
「中折れ帽で鉄の爪とは正にエルム街だな」
服装は違うけども結構にてる。
革製の黒い中折れ帽に、黒いトレンチコート。ここが赤と緑のボーダーのセーターならまんまだったんだけどな。
右手にはよく磨かれて光を反射する鉄の爪が装備されている。しかも長い。
指から延長したような鉄の爪の長さはざっと三十センチほど。それが五指に備わっている。
もの凄く指に負担がかかりそうな装備だけど、アンデッドだから問題ないんだろう。
爪と同じくらいに目立つのが、首からさげた銀色のネックレス。
デザインはサークルの中に上下逆の五芒星。
こいつが信仰している何かなのだろう。多分だけどここの主かな。
肌は白蝋じみていて、頬の部分からは赤い筋繊維が見えている。目は虹彩部分が白目に侵食されているかのようで分かりにくく、生者のものではない。
「だからエルムガイじゃなイ! ゾンビではあるがナ」
知能の高いゾンビのようだ。アーとかウーじゃなく、受け答えもしっかり出来ている。
語尾が若干だが力強くなるのは癖なのだろうか。
「ここの主にお目にかかりたい」
「お断りダ」
「即答かよ」
「侵入者はこのビッシュ・クルーガーが排除すル」
「「クルーガーって、やっぱりエルム街じゃねえか」」
しっかりとゲッコーさんとシンクロする。
クルーガーって姓がまんまじゃねえか。親族の方ですか? と聞きたいくらいだよ。
「訳の分からン。やレ!」
鉄の爪の食指部分だけを俺たちに向ければ、スケルトンとスケルトンソルジャー達が動き出す。
レベル差が原因なのか移動速度に違いが生じ、スケルトンソルジャーが突出してくる。
スケルトンよりも上位で数は少ない。
装備も良い物。その手にする武器を必殺としたいなら、
「ちゃんと隊列組んでから部隊行動した方が効果的だぞ」
などと、相手に対して偉そうにレクチャーしてみる。
指揮は出来るようだけど、隊列が崩れていることを気にしないエルム街の親戚。
指揮能力は低いようだな。
距離はまだ離れているので、ドラゴンゾンビの時は豆鉄砲だったFN-57を使用してヘッドを狙う。
「スケルトン程度なら十分だろう」
「ですよ――ね!」
返答しつつ引き金を引く。
ゲッコーさんに比べれば射撃技術は天壌の差だけども、三発撃てば一発は頭に当たる。
兜を装備していようが、チェインメイルで頭全体を守っていようが、この世界の普通の防具なんかで5.7x28mm弾を防ぐ事なんて無理!
――一発では倒すことは出来なかったが、一体のスケルトンソルジャーの頭部に五発目が命中すれば動きが止まる。
「……うん」
威力の大きいマテバの方がこういう時はいいな。と心の中だけで呟いておこう。
倒れたスケルトンソルジャーの頭部には穴が三つ。
小さい穴が二つに、大きめの穴が一つ。三発の弾が頭蓋を砕いて穴を広げたのが効果的だったようだ。
頭部へのダメージが一定量に達せば、スケルトン系は倒すことが出来るようだな。
「面妖な物を使ウ」
面妖ではあるだろうけど、やはりハンドガンだと対人戦闘以外ではパンチ力に欠けるな。
同じ弾を使用するPDWのP-90なら、瞬間火力によってスケルトンソルジャーを倒すのは容易だろうけど。
俺はそっと57をホルスターに仕舞った。
弾数が二十発という多さが素敵なんだ。と、マテバを返却してコイツを選択した自分をフォローしながら――――仕舞った。
同時に、ワンマガジン使うくらいの勢いで一体……。FPSやってる時の俺じゃん……。って虚しい気持ちにもなった。
「行ケ!」
俺の所作に笑みを湛えるエルム街の親戚。
面妖な攻撃だけど、弱い武器だと判断したからにやついたんだろうな。スケルトン達に更に命令を下す。
今すぐベルギーに行ってFN社に謝ってこいと言ってやりたい。
選択ミスしている俺が一番悪いんですけど。
二度目の号令で、スケルトン達は歩みから駆け足に変わる。
余計にスケルトンソルジャーとスケルトンの足並みが揃わなくなっている。
「白骨の集団ってのは中々に迫力があるな」
ガシャガシャと、鎧の擦れる音とはまた違った独特な音を立てる軍勢だ。
「アークディフュージョン!」
伝播の電撃が炸裂。
ナイス、コクリコ! と、言いたかったけど、人間と違ってこいつらにスタン系はあまり効果が無いようだ。
一瞬だけ動きが止まったけど、問題ないとばかりに即動き出す。
「ではファイヤーボール」
回廊の時と同様。
着弾すれば爆発によって一体が倒れ。周辺のスケルトンが爆風に襲われる。
「私も。ファイヤーボール」
シャルナも続く。
決定的に違うのは、火球の大きさ。
コクリコのソフトボールサイズに比べたら、シャルナのはサッカーボールくらいある。
「術者としての差か」
「うるさいですよ!」
コクリコ以上に大きな爆発が発生し、着弾すれば複数のスケルトンの眼窩が空虚なものに変わった。
密集隊形があだとなる典型的な隊列だ。
しかも主力であるスケルトンソルジャーが犠牲になっているっていうね。
「どう攻めてくるのだろうな」
斬撃、刺突に強いスケルトンであったとしても、ベルには浄化の炎があるから問題はないだろう。
回廊で使用していたメイスをそのまま持ち込めばよかったとも思えるけど。
――――というより、ベルの目はスケルトンには向けられていなかった。
端から相手にしていない。
建物の上で、蹲踞の姿勢でこちらを窺っているエルム街の親戚に意識を向けていた。
ベルが意識を向けるって事は、スケルトンと違って中々の強者と考えるべきだろう。
「中折れ帽で鉄の爪とは正にエルム街だな」
服装は違うけども結構にてる。
革製の黒い中折れ帽に、黒いトレンチコート。ここが赤と緑のボーダーのセーターならまんまだったんだけどな。
右手にはよく磨かれて光を反射する鉄の爪が装備されている。しかも長い。
指から延長したような鉄の爪の長さはざっと三十センチほど。それが五指に備わっている。
もの凄く指に負担がかかりそうな装備だけど、アンデッドだから問題ないんだろう。
爪と同じくらいに目立つのが、首からさげた銀色のネックレス。
デザインはサークルの中に上下逆の五芒星。
こいつが信仰している何かなのだろう。多分だけどここの主かな。
肌は白蝋じみていて、頬の部分からは赤い筋繊維が見えている。目は虹彩部分が白目に侵食されているかのようで分かりにくく、生者のものではない。
「だからエルムガイじゃなイ! ゾンビではあるがナ」
知能の高いゾンビのようだ。アーとかウーじゃなく、受け答えもしっかり出来ている。
語尾が若干だが力強くなるのは癖なのだろうか。
「ここの主にお目にかかりたい」
「お断りダ」
「即答かよ」
「侵入者はこのビッシュ・クルーガーが排除すル」
「「クルーガーって、やっぱりエルム街じゃねえか」」
しっかりとゲッコーさんとシンクロする。
クルーガーって姓がまんまじゃねえか。親族の方ですか? と聞きたいくらいだよ。
「訳の分からン。やレ!」
鉄の爪の食指部分だけを俺たちに向ければ、スケルトンとスケルトンソルジャー達が動き出す。
レベル差が原因なのか移動速度に違いが生じ、スケルトンソルジャーが突出してくる。
スケルトンよりも上位で数は少ない。
装備も良い物。その手にする武器を必殺としたいなら、
「ちゃんと隊列組んでから部隊行動した方が効果的だぞ」
などと、相手に対して偉そうにレクチャーしてみる。
指揮は出来るようだけど、隊列が崩れていることを気にしないエルム街の親戚。
指揮能力は低いようだな。
距離はまだ離れているので、ドラゴンゾンビの時は豆鉄砲だったFN-57を使用してヘッドを狙う。
「スケルトン程度なら十分だろう」
「ですよ――ね!」
返答しつつ引き金を引く。
ゲッコーさんに比べれば射撃技術は天壌の差だけども、三発撃てば一発は頭に当たる。
兜を装備していようが、チェインメイルで頭全体を守っていようが、この世界の普通の防具なんかで5.7x28mm弾を防ぐ事なんて無理!
――一発では倒すことは出来なかったが、一体のスケルトンソルジャーの頭部に五発目が命中すれば動きが止まる。
「……うん」
威力の大きいマテバの方がこういう時はいいな。と心の中だけで呟いておこう。
倒れたスケルトンソルジャーの頭部には穴が三つ。
小さい穴が二つに、大きめの穴が一つ。三発の弾が頭蓋を砕いて穴を広げたのが効果的だったようだ。
頭部へのダメージが一定量に達せば、スケルトン系は倒すことが出来るようだな。
「面妖な物を使ウ」
面妖ではあるだろうけど、やはりハンドガンだと対人戦闘以外ではパンチ力に欠けるな。
同じ弾を使用するPDWのP-90なら、瞬間火力によってスケルトンソルジャーを倒すのは容易だろうけど。
俺はそっと57をホルスターに仕舞った。
弾数が二十発という多さが素敵なんだ。と、マテバを返却してコイツを選択した自分をフォローしながら――――仕舞った。
同時に、ワンマガジン使うくらいの勢いで一体……。FPSやってる時の俺じゃん……。って虚しい気持ちにもなった。
「行ケ!」
俺の所作に笑みを湛えるエルム街の親戚。
面妖な攻撃だけど、弱い武器だと判断したからにやついたんだろうな。スケルトン達に更に命令を下す。
今すぐベルギーに行ってFN社に謝ってこいと言ってやりたい。
選択ミスしている俺が一番悪いんですけど。
二度目の号令で、スケルトン達は歩みから駆け足に変わる。
余計にスケルトンソルジャーとスケルトンの足並みが揃わなくなっている。
「白骨の集団ってのは中々に迫力があるな」
ガシャガシャと、鎧の擦れる音とはまた違った独特な音を立てる軍勢だ。
「アークディフュージョン!」
伝播の電撃が炸裂。
ナイス、コクリコ! と、言いたかったけど、人間と違ってこいつらにスタン系はあまり効果が無いようだ。
一瞬だけ動きが止まったけど、問題ないとばかりに即動き出す。
「ではファイヤーボール」
回廊の時と同様。
着弾すれば爆発によって一体が倒れ。周辺のスケルトンが爆風に襲われる。
「私も。ファイヤーボール」
シャルナも続く。
決定的に違うのは、火球の大きさ。
コクリコのソフトボールサイズに比べたら、シャルナのはサッカーボールくらいある。
「術者としての差か」
「うるさいですよ!」
コクリコ以上に大きな爆発が発生し、着弾すれば複数のスケルトンの眼窩が空虚なものに変わった。
密集隊形があだとなる典型的な隊列だ。
しかも主力であるスケルトンソルジャーが犠牲になっているっていうね。
「どう攻めてくるのだろうな」
斬撃、刺突に強いスケルトンであったとしても、ベルには浄化の炎があるから問題はないだろう。
回廊で使用していたメイスをそのまま持ち込めばよかったとも思えるけど。
――――というより、ベルの目はスケルトンには向けられていなかった。
端から相手にしていない。
建物の上で、蹲踞の姿勢でこちらを窺っているエルム街の親戚に意識を向けていた。
ベルが意識を向けるって事は、スケルトンと違って中々の強者と考えるべきだろう。
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