異世界冒険記『ストレージ・ドミニオン』

FOX4

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死霊魔術師

PHASE-604【とあるゲームの電磁投射砲】

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「ガチガチガチガチ――――」
 と、上顎と下顎をぶつけて大きな音を奏でるガシャドクロのデザインは、妖怪アニメに出て来るのとそっくりのデザイン。
 巨大で胴体の長いスケルトンタイプだ。
 周囲には人魂みたいに青白い炎が浮遊している。攻撃手段として使用してくる可能性があると見ていいだろう。
 
 ――――で、本命が。

「さあ! 本気の戦いを始めましょうか!」
 リンとオムニガルが花弁部分へと移動すれば、半身部分が花弁の中へと沈んでいく。
 花弁からはめしべのような形をした物が動き、二人の体に巻き付きいて固定する。

「何とも面妖な」

「不気味よね」

「気持ち悪いです」
 内のメンバーのシルバーホワイト、ゴールド、ラゼットブラウンの順番に、リン達が乗り込んだというか、一体化した巨大妖華のデザインを酷評。

「失礼な。この美を理解できない矮小な頭しかないのね」

「それを美しいと思えるようになるくらいなら矮小で結構」
 先駆けはベルだ。

「やっちゃえガシャドクロ!」
 リンの隣で食指をベルへと向ければ、胴の長い猫背スタイルのガシャドクロがガチガチと音を立てながら、巨大な拳をベルの直上から叩き込む。
 巨大だが動きは速い。
 でもベルはさらに速い。
 回避しつつ妖華へと目がけてひた走る。

「やるわね」
 と、妖華から無数の蔓がのたうち回るようにして、床や宙よりベルへと向かっていく。
 背後からはガシャドクロ。やはりと言うべきか周囲の飛んでいる青い人魂も攻撃能力があるようで、ベルに向かって飛んでいく。
 大きいのに挟まれているが問題無いとばかりに突き進む。

「て、見てる場合じゃないや。俺も行きます」

「分かった。相手も本気を見せているからな。俺も本気を見せてやる」
 ゲッコーさんが新たなる武器を手にする。
 重々しそうに両手でしっかりと持ち上げるのは、現代兵器よりも時代が進んでいるようなデザインの代物。
 それも当然。ゲーム内に出て来るオリジナルの武器だ。
 その名はMM-208電磁投射砲。
 レールガンである。
 砲身だけでなく、外付けの大きなバッテリーとラジエーターも肥大化しているものだから、担って撃てるものではないし、一人での運用は不可能ではないが難しい兵器でもある。
 砲身先端のバイポッドを展開してやっとこさ照準を定めることが出来る重量級の携行武器。

「動いている相手には難しいが、的が大きければな」
 SG552でアルトラリッチの障壁を破る事は出来なかったけども、今回は自身が携行できる物での最高火力を見せつけてくれそうだ。
 ストーリーミッションとサブミッションをオールSでクリアすると入手可能な特典武器。
 二周目以降の使用になるけど、ストーリーラストに出て来る二足歩行型ロボットであるアーセナルフレームすらも、数発で倒せちゃうチート武器である。

「離れていろ」
 伏射姿勢になれば、ベルを襲うため、こちらに背中を見せるガシャドクロへと砲口を向ける。
 バリバリと音を立て、砲身に白光の電気が迸るのはゲームと同じエフェクトだ。

「一発でダウンさせてやる」
 トリガーを引けば、甲高い音が一つ広間に響く。
 擬音にすればピシュンといった短くて高い音。
 音と同時にガシャドクロの長い背骨部分が大きく爆ぜる。
 直撃部分から両断。
 直撃の威力が強力すぎたのか、巨体が前のめりに倒れてしまうほどだ。
 有言実行の一発ダウン。

「なに!? 今のは!」

「おもしろい武器だろ」
 と、得意げだ。
 おもしろい物を使うけども大した事がないと言われた事をやはり根に持っていたのか、驚いたアルトラリッチに対して不敵な笑みを湛えて返答していた。

「絶好のチャンス!」
 ストレンクスンとラピッドでベルの後を追走。
 眼前ではベルのレイピアが無数の蔓を断ち切っていき、その横に立ってから、

「お待たせ」

「もう少し早い行動が出来るように」

「了解」
 別に待ってはいない。と、すげなく言われなかったのが嬉しかったりもする。
 肩を並べて戦ってもいい存在というくらいには俺の事を見てくれている。

「生意気よ!」

「そうだよ。それにあの程度で私のガシャドクロがやられるわけないでしょ!」
 肩越しに見れば確かに動いている。
 さらに後方ではラジエーターや砲身から濛々と白煙を上げるレールガン。
 冷却に時間を要するけども、ゲームと同じ使用なら十秒後には撃てる。
 背骨が再度連結して立ち上がるまでに十秒以上はかかりそうなので――、

「問題ない。目の前だけに集中できる」

「いい覚悟だ」

「だろ」
 後方のチートさんが使用するチート武器。一人と一門が揃っていれば、ガシャドクロに対して敗北という二文字はない。
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