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ダンジョン何階まで潜れる?
PHASE-680【しょっぱい言うな】
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――……絶対って難しいんだよな~。
俺がチートキャラならね。堂々と言えるんですけど。
「勇者なのに優柔不断なところがですね~」
腕組みして熟考している俺に、ジト目を向けながらのコクリコの発言。
「慎重なんだよ。慎重に行動しないと皆が困るだろ」
「それで動きが鈍くなって、危険に晒されると」
「いやいや、いままでそんな事なかったじゃん!」
「大体はベルとゲッコーがしっかりと対処したからでしょう」
「ええ、その通りですとも」
でもさ、俺だって生き物の保護に対しては考えてきたよ。
クレトス村の山道でもそうだっただろう。
出会ったケーニッヒス・ティーガーとその子供を救ったりもしたじゃない。
生き物を保護する思いは、シャルナと同じくらいの気持ちは持っているからね。
目の前のミストドラゴンのイルマイユだって守ってみせるさ。
大体、俺の周囲にはそっち方向に突出した存在もいるからね。
生き物、主に可愛らしい存在の為なら、世界を敵に回しても守ろうと本気で考えていそうな最強のベルさんがいる。
可愛い生き物を守るためなら、魔王軍すらも恐れさせる第三の勢力として、覇を唱えるって事もわりかしガチでやりそうだからな。
王都の王侯貴族はベルが怒れば皆が皆、即効で視線を逸らすくらいだからね。
そんなベルがミストドラゴンを保護しようと進言すれば、その場で王様が勅令を発するというのが想像に難くない。
ベルの発言に王様が従う光景……。
本当にありそうで怖い。見ようによっては傀儡政治だ。
むしろ第三の勢力というより、王様たちを支配下におくかもな。
うむ。そう考えるなら、
「絶対に大丈夫だ。俺たちが守ってやるから、こんな寂しい場所から飛び出そうぜ」
「そういうしっかりとした言葉が欲しかったのよ」
「納得してくれて何より。というか、イルマイユを俺たちに最初から託すつもりだったんだろう」
じゃなきゃそんな簡単に素材の場所なんかを教えるわけないからな。
ここまで到達する実力と、ミストドラゴンに対する接し方をやはりリンは見極めたかったんだろう。
で、ここでイルマイユを守るという言質を取れなかったら、リンは間違いなく俺達の前からいなくなっていたんだろうな。
守る以上は安心して生活できるようにしてあげないといけない。
うん――。
「俺たちの所にはリズベッド――前魔王がいる。そしてリズベッドを支援する方々もいる。リズベッドは四大聖龍からも信頼のある人物なんだけど知ってる?」
「少しは――」
流石に前魔王が俺たちといるという話の内容には懐疑的なようで、信実なのかとリンを見れば、リンは首肯で返す。
信実を伝える動作に驚いたようで、目を見開くイルマイユ。
青色の瞳と、ドラゴンらしい縦長の黒目が細くなり俺を凝視。
「リズベッド達や俺たちと一緒に行動しよう。皆でお互いを守りあうんだ」
「守りあう――」
「そう。それに俺の仲間には生物の保護を重視しているエルフもいる。それに以前のような人間達は少ない。まずそんな考えを持つ者は俺の周囲にはいない。そんな皆がイルマイユを助けてくれるだろうさ。もちろん俺も」
「この人、本当に信頼出来るの」
「まだ見極めているところだけど、少なくとも悪意のある虚言はしないわね」
「当然でしょうとも。トールは勇者として火龍や地龍からも認められていますからね」
「本当に!?」
「本当ですよ。もしトールが本気の装備だったら、貴方が姿を見せないかもしれないからと、普段の装備ではなく、しょっぱいオリハルコン装備にてこのダンジョンに挑んだんですよ」
――……コクリコさん。お願いだから侯爵の前では絶対にしょっぱい装備って言うなよ。
あの人の自慢の装備なんだからな。
命を預けて戦場で活躍したって装備なんだから。それを貶すことは許されない。コンプライアンス重視でお願いね。
俺のギルドのパトロンになって欲しいんだからさ。
「本当なの?」
「本当だよ。なあリン」
俺たちと戦った経験のあるリンからも言質を取るために問えば、ここでも首肯が返ってくる。
火龍の装備に身を包んだ俺の武勇伝を伝えてくれるのかと思えば、俺ではなくパーティーメンバーのチートさん二人のことばかりだったけど……。
最終戦でのエビルプラント戦では、俺とコクリコが頑張ったような気がするんだけどな。
「ちなみに私はその時、リンの右腕であるオムニガルを倒しています。それ以降は再戦再戦と言ってきてしつこいんです。まあ強者ゆえの悩みでもありますがね」
「すごーい」
「そうでしょうとも」
オムニガルを倒したと知れば、イルマイユが驚く。
先ほどまで怖がっていたコクリコに対しての接し方とは真逆で、話を聞きたがっている。
敬慕の念にも似たイルマイユの急接近に気をよくしたコクリコは上機嫌。
別に右腕ではないのだけれど。と、リンの意味深な独白を耳にする俺。
この地にいるリッチのコリンズの実力も聞かされているし、別段オムニガルがリンの筆頭部下ってことじゃないんだろうな。
オムニガルってレベルは78もあるのにね。それでも右腕ポジションじゃないんだな。
こりゃリンと本腰入れて敵対したとしたら、マジで一国――しかも大国を相手にするレベルになりそうだな。
リン個人の大魔法も含めれば、更に脅威レベルは上がる。
そら魔王軍もわざわざ敵対しようとは考えないわけだ。
この世界に置いて最強格の人材を味方に出来た事は喜ばしいけど、反面、リンを失望させないようにしないといけないという思いも強くなる。
活躍できる人材は多すぎて困ることはない。
先生もリンの参加には大いに喜んでくれることだろう。
だからこそ――だ!
赫々とした伝説を持っている存在の期待には応えないといけない。
なによりも弱者を守るのが、勇者という俺の勤めであり使命でもあるのだから。
俺がチートキャラならね。堂々と言えるんですけど。
「勇者なのに優柔不断なところがですね~」
腕組みして熟考している俺に、ジト目を向けながらのコクリコの発言。
「慎重なんだよ。慎重に行動しないと皆が困るだろ」
「それで動きが鈍くなって、危険に晒されると」
「いやいや、いままでそんな事なかったじゃん!」
「大体はベルとゲッコーがしっかりと対処したからでしょう」
「ええ、その通りですとも」
でもさ、俺だって生き物の保護に対しては考えてきたよ。
クレトス村の山道でもそうだっただろう。
出会ったケーニッヒス・ティーガーとその子供を救ったりもしたじゃない。
生き物を保護する思いは、シャルナと同じくらいの気持ちは持っているからね。
目の前のミストドラゴンのイルマイユだって守ってみせるさ。
大体、俺の周囲にはそっち方向に突出した存在もいるからね。
生き物、主に可愛らしい存在の為なら、世界を敵に回しても守ろうと本気で考えていそうな最強のベルさんがいる。
可愛い生き物を守るためなら、魔王軍すらも恐れさせる第三の勢力として、覇を唱えるって事もわりかしガチでやりそうだからな。
王都の王侯貴族はベルが怒れば皆が皆、即効で視線を逸らすくらいだからね。
そんなベルがミストドラゴンを保護しようと進言すれば、その場で王様が勅令を発するというのが想像に難くない。
ベルの発言に王様が従う光景……。
本当にありそうで怖い。見ようによっては傀儡政治だ。
むしろ第三の勢力というより、王様たちを支配下におくかもな。
うむ。そう考えるなら、
「絶対に大丈夫だ。俺たちが守ってやるから、こんな寂しい場所から飛び出そうぜ」
「そういうしっかりとした言葉が欲しかったのよ」
「納得してくれて何より。というか、イルマイユを俺たちに最初から託すつもりだったんだろう」
じゃなきゃそんな簡単に素材の場所なんかを教えるわけないからな。
ここまで到達する実力と、ミストドラゴンに対する接し方をやはりリンは見極めたかったんだろう。
で、ここでイルマイユを守るという言質を取れなかったら、リンは間違いなく俺達の前からいなくなっていたんだろうな。
守る以上は安心して生活できるようにしてあげないといけない。
うん――。
「俺たちの所にはリズベッド――前魔王がいる。そしてリズベッドを支援する方々もいる。リズベッドは四大聖龍からも信頼のある人物なんだけど知ってる?」
「少しは――」
流石に前魔王が俺たちといるという話の内容には懐疑的なようで、信実なのかとリンを見れば、リンは首肯で返す。
信実を伝える動作に驚いたようで、目を見開くイルマイユ。
青色の瞳と、ドラゴンらしい縦長の黒目が細くなり俺を凝視。
「リズベッド達や俺たちと一緒に行動しよう。皆でお互いを守りあうんだ」
「守りあう――」
「そう。それに俺の仲間には生物の保護を重視しているエルフもいる。それに以前のような人間達は少ない。まずそんな考えを持つ者は俺の周囲にはいない。そんな皆がイルマイユを助けてくれるだろうさ。もちろん俺も」
「この人、本当に信頼出来るの」
「まだ見極めているところだけど、少なくとも悪意のある虚言はしないわね」
「当然でしょうとも。トールは勇者として火龍や地龍からも認められていますからね」
「本当に!?」
「本当ですよ。もしトールが本気の装備だったら、貴方が姿を見せないかもしれないからと、普段の装備ではなく、しょっぱいオリハルコン装備にてこのダンジョンに挑んだんですよ」
――……コクリコさん。お願いだから侯爵の前では絶対にしょっぱい装備って言うなよ。
あの人の自慢の装備なんだからな。
命を預けて戦場で活躍したって装備なんだから。それを貶すことは許されない。コンプライアンス重視でお願いね。
俺のギルドのパトロンになって欲しいんだからさ。
「本当なの?」
「本当だよ。なあリン」
俺たちと戦った経験のあるリンからも言質を取るために問えば、ここでも首肯が返ってくる。
火龍の装備に身を包んだ俺の武勇伝を伝えてくれるのかと思えば、俺ではなくパーティーメンバーのチートさん二人のことばかりだったけど……。
最終戦でのエビルプラント戦では、俺とコクリコが頑張ったような気がするんだけどな。
「ちなみに私はその時、リンの右腕であるオムニガルを倒しています。それ以降は再戦再戦と言ってきてしつこいんです。まあ強者ゆえの悩みでもありますがね」
「すごーい」
「そうでしょうとも」
オムニガルを倒したと知れば、イルマイユが驚く。
先ほどまで怖がっていたコクリコに対しての接し方とは真逆で、話を聞きたがっている。
敬慕の念にも似たイルマイユの急接近に気をよくしたコクリコは上機嫌。
別に右腕ではないのだけれど。と、リンの意味深な独白を耳にする俺。
この地にいるリッチのコリンズの実力も聞かされているし、別段オムニガルがリンの筆頭部下ってことじゃないんだろうな。
オムニガルってレベルは78もあるのにね。それでも右腕ポジションじゃないんだな。
こりゃリンと本腰入れて敵対したとしたら、マジで一国――しかも大国を相手にするレベルになりそうだな。
リン個人の大魔法も含めれば、更に脅威レベルは上がる。
そら魔王軍もわざわざ敵対しようとは考えないわけだ。
この世界に置いて最強格の人材を味方に出来た事は喜ばしいけど、反面、リンを失望させないようにしないといけないという思いも強くなる。
活躍できる人材は多すぎて困ることはない。
先生もリンの参加には大いに喜んでくれることだろう。
だからこそ――だ!
赫々とした伝説を持っている存在の期待には応えないといけない。
なによりも弱者を守るのが、勇者という俺の勤めであり使命でもあるのだから。
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