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北伐
PHASE-716【統制は取れていていいんだけどさ……】
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――――せっつくコクリコと共に王城を後にする。
ベル、ゲッコーさん、シャルナ、リンは思い思いの自由行動。
王様や臣下の皆さんは先生と今後の話し合い。
その中でリンのアンデッド達による王都の復興支援も受諾。
この地に馳せ参じた外様の方々は、王城に近い屋敷を貸し出されることになった。
率いてきた兵士たちは、一部が屋敷内で主の護衛の任に就き、残りは屋敷周辺の官舎に寝泊まり。
王都にいる兵達との関係性を築くためでもある。
また不満がたまらないように、非番、公休時には街中に出ることも許可されている。
ただし問題を起こした場合、兵達の責任者である長を厳罰に処すと、外様の方々は先生から釘を刺されていた。
日和見だった者達だ。ここで失態をすれば今後の関係性にも直結するので、率いてきた兵達にはきつく言い聞かせるだろう。と、先生。
可能性として公爵サイドの間者もいるかもしれないからと、しっかりとその辺りの監視をS級さん達が担当。
この方々が監視の目を光らせているとなればなんの心配もいらない。
――――。
「じゃあ頼むよ」
「任せてください」
自身の胸を強く叩いて答えてくれるのはカイル。
さっそくラルゴと砦にいた面子、合わせて百二十一人がギルド預かりとなった。
ラルゴ以外の面子は、数輌の馬車をストライカーに牽引させての無理矢理な力業での移動だったようだ。
カイルが鋭い目で睨めば、胆力があるラルゴ達であっても、歴戦の圧力に呑まれてしまう。
カイルはその他の古参たち同様に多忙な立場なんだろうけど、人手不足の中で百二十一人が加入するのは喜ばしいということで、自ら世話役を買って出てくれた。
無頼漢のようだけど、真面目で面倒見がいいから助かる。
俺としては気さくに語りかけてほしいんだけどね。
シークランナーのやり取りを思い出してしまう。
「――そう言えばその段平はどう?」
「最高です。火龍の鱗によるコーティング。会頭には感謝しかありません」
「まあ、いつも迷惑かけてたから」
「当たり前の事を当たり前にやっているだけです。会頭への忠誠を抱きながら」
――……もう冒険者じゃないよ……。
まあ気に入ってもらえてよかった。
刃の潰れた段平は斬るというより叩き付けるといった武器だったようだけど、今では火龍コーティングの効果で、鉄塊の如き大剣だったのが、ワックさん調べでは緋緋色金とアダマンタイトの中間ほどの業物になったそうだ。
「焔丸と名付けました」
横文字じゃないのは俺の影響だろうか?
火龍の鱗の粉末とはいえ、俺の残火ほどではなくても、炎を纏わせた剣攻撃も可能だそうだ。
後の世まで語り継がれる剣としますと言ってくれる。
だからだろうか、見た当初は無骨な作りだった段平も、柄、鍔、柄頭、剣身などが金をかけた拵えになっている。
鍔は金細工が施されてるし、地味な革巻きだった柄も光沢有る上質な革になっていた。
俺に感謝を再度述べ、ラルゴ達をギルドハウス近くの馬小屋まで誘導。
何が凄いって、いきなり百人以上が来ても寝床を賄える馬小屋が凄いよね。
「さあトール。私達はギルドハウスへ向かいましょう」
「はいはい」
早いところ白色級の認識票をとせがむコクリコ。
これまでの活躍もあるしちゃんと昇格させましょう。
本音だと黄色級でもいいんだけど、調子には乗せたくないから、俺みたいに堅実な一歩一歩をコクリコには歩んでもらいたい。
――――ギルドハウスに戻れば、知らない顔が多くなっているけど、その中で見知った顔たちが笑顔になって俺とコクリコを迎えてくれる。
「やあクラックリック」
「お久しぶりです会頭! 精悍なお顔になられましたね」
久しぶりの挨拶になると、必ず精悍と言わないといけない異世界ルールでもあるのかな?
王城でも同じことを聞いたけども。
「クラックリックも出世したね」
首からさげた認識票が赤色級になっている。
もともと山賊たちと行動していたから肩身が狭い立ち位置だったけど、パーティーメンバー達と一緒に活躍してくれているようだ。
だからこその昇格なんだろうし。
「頑張らせてもらっています」
「背中の革袋もいい物になっているし、中身の弓も?」
「ええ強化を施していますよ」
以前の拵えからさらに手を加えているという。
クラックリックの会頭という発言から、俺を見たことがない人達が、こちらを窺っていた状態から、背筋を真っ直ぐと伸ばした姿勢に変わった。
緊張した顔だ。
緊張するような顔をしてるかな? パーティーメンバーには間の抜けた顔であつかわれているんですけど。
俺としてはもっと気さくに話しかけてほしいところ。
「皆、頑張ってくれているね」
ここは自分から切り込んで、笑顔で右手を掲げれば、
「「「「ありがとうございます!!!!」」」」
――……なんて元気で丁寧な一礼なんでしょう……。
息の合った見事な一礼だった……。
統制が見事に取れている。
自由を謳歌する冒険者とは…………。
ベル、ゲッコーさん、シャルナ、リンは思い思いの自由行動。
王様や臣下の皆さんは先生と今後の話し合い。
その中でリンのアンデッド達による王都の復興支援も受諾。
この地に馳せ参じた外様の方々は、王城に近い屋敷を貸し出されることになった。
率いてきた兵士たちは、一部が屋敷内で主の護衛の任に就き、残りは屋敷周辺の官舎に寝泊まり。
王都にいる兵達との関係性を築くためでもある。
また不満がたまらないように、非番、公休時には街中に出ることも許可されている。
ただし問題を起こした場合、兵達の責任者である長を厳罰に処すと、外様の方々は先生から釘を刺されていた。
日和見だった者達だ。ここで失態をすれば今後の関係性にも直結するので、率いてきた兵達にはきつく言い聞かせるだろう。と、先生。
可能性として公爵サイドの間者もいるかもしれないからと、しっかりとその辺りの監視をS級さん達が担当。
この方々が監視の目を光らせているとなればなんの心配もいらない。
――――。
「じゃあ頼むよ」
「任せてください」
自身の胸を強く叩いて答えてくれるのはカイル。
さっそくラルゴと砦にいた面子、合わせて百二十一人がギルド預かりとなった。
ラルゴ以外の面子は、数輌の馬車をストライカーに牽引させての無理矢理な力業での移動だったようだ。
カイルが鋭い目で睨めば、胆力があるラルゴ達であっても、歴戦の圧力に呑まれてしまう。
カイルはその他の古参たち同様に多忙な立場なんだろうけど、人手不足の中で百二十一人が加入するのは喜ばしいということで、自ら世話役を買って出てくれた。
無頼漢のようだけど、真面目で面倒見がいいから助かる。
俺としては気さくに語りかけてほしいんだけどね。
シークランナーのやり取りを思い出してしまう。
「――そう言えばその段平はどう?」
「最高です。火龍の鱗によるコーティング。会頭には感謝しかありません」
「まあ、いつも迷惑かけてたから」
「当たり前の事を当たり前にやっているだけです。会頭への忠誠を抱きながら」
――……もう冒険者じゃないよ……。
まあ気に入ってもらえてよかった。
刃の潰れた段平は斬るというより叩き付けるといった武器だったようだけど、今では火龍コーティングの効果で、鉄塊の如き大剣だったのが、ワックさん調べでは緋緋色金とアダマンタイトの中間ほどの業物になったそうだ。
「焔丸と名付けました」
横文字じゃないのは俺の影響だろうか?
火龍の鱗の粉末とはいえ、俺の残火ほどではなくても、炎を纏わせた剣攻撃も可能だそうだ。
後の世まで語り継がれる剣としますと言ってくれる。
だからだろうか、見た当初は無骨な作りだった段平も、柄、鍔、柄頭、剣身などが金をかけた拵えになっている。
鍔は金細工が施されてるし、地味な革巻きだった柄も光沢有る上質な革になっていた。
俺に感謝を再度述べ、ラルゴ達をギルドハウス近くの馬小屋まで誘導。
何が凄いって、いきなり百人以上が来ても寝床を賄える馬小屋が凄いよね。
「さあトール。私達はギルドハウスへ向かいましょう」
「はいはい」
早いところ白色級の認識票をとせがむコクリコ。
これまでの活躍もあるしちゃんと昇格させましょう。
本音だと黄色級でもいいんだけど、調子には乗せたくないから、俺みたいに堅実な一歩一歩をコクリコには歩んでもらいたい。
――――ギルドハウスに戻れば、知らない顔が多くなっているけど、その中で見知った顔たちが笑顔になって俺とコクリコを迎えてくれる。
「やあクラックリック」
「お久しぶりです会頭! 精悍なお顔になられましたね」
久しぶりの挨拶になると、必ず精悍と言わないといけない異世界ルールでもあるのかな?
王城でも同じことを聞いたけども。
「クラックリックも出世したね」
首からさげた認識票が赤色級になっている。
もともと山賊たちと行動していたから肩身が狭い立ち位置だったけど、パーティーメンバー達と一緒に活躍してくれているようだ。
だからこその昇格なんだろうし。
「頑張らせてもらっています」
「背中の革袋もいい物になっているし、中身の弓も?」
「ええ強化を施していますよ」
以前の拵えからさらに手を加えているという。
クラックリックの会頭という発言から、俺を見たことがない人達が、こちらを窺っていた状態から、背筋を真っ直ぐと伸ばした姿勢に変わった。
緊張した顔だ。
緊張するような顔をしてるかな? パーティーメンバーには間の抜けた顔であつかわれているんですけど。
俺としてはもっと気さくに話しかけてほしいところ。
「皆、頑張ってくれているね」
ここは自分から切り込んで、笑顔で右手を掲げれば、
「「「「ありがとうございます!!!!」」」」
――……なんて元気で丁寧な一礼なんでしょう……。
息の合った見事な一礼だった……。
統制が見事に取れている。
自由を謳歌する冒険者とは…………。
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