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トール師になる
PHASE-1130【適当に訳してます】
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「な、なんだ……と……」
眼界に収める輝きはエルフにとって馴染みがあり、尚且つエルフにとっての誇り。
目の前の三メートルクラスは全身がその誇りによって形成されている。
「ミスリルゴーレムのゴロ丸だ。ゴロ丸、皆さんに挨拶を」
「キュ!」
元気な返事と共に丁寧に頭――ではなく胴体を下げる。
バレーボールのマスコットみたいに頭と胴体が一体化しているから、そういった動作になるのはご愛敬。
接しやすそうな所作とは裏腹に、それを見ている者達は戦く。
「さあゴロ丸。俺達にいけない事をする悪い方々にお灸を据えてあげなさい」
「キュウ!」
一礼を終えれば、俺の指示に従って即座に駆け出すゴロ丸。
走り迫ってくるゴーレムを見るだけで相手サイドは一気に大混乱。
なんとか魔法を放つも、咄嗟に発動できるのはよくて中位魔法。十分に素晴らしい対応ではあるけども、全身がミスリルの塊であるゴロ丸には痛痒をあたえることは出来ない。
「クリミネアン様!」
「わ、分かっている!」
配下の私兵がイエスマンを頼ろうとする。
応じるように地面へと両掌を当てるイエスマンは、
「いでよストーンゴーレム!」
「おお。出せるんだな」
流石は氏族である。
ふんぞり返るくらいの実力があるのは初手の弓術と魔法で理解はしている。
その後の感情に左右されての弓術はダメダメなド三品だったけど。
だがここでの召喚は威厳の回復にも繋がったようで、周囲からは感嘆の声が上がった。
その声にイエスマン、カゲストはご満悦。
だがしかし。ここで出してくるのがストーンゴーレムとはね。
もちろん脅威ではあるよ。同じ石から出来ていたシーゴーレムを初めて目にした時は、ファンタジーが牙を向いてきたと思ったからね。
ミズーリがなかったら間違いなく海戦は苦しいものだっただろう。
でも今回は双方が地上戦だし、なにより相手が悪いってもんだ。
というか、イエスマンは勝てると思っているのだろうか?
ストーンゴーレムの全長はゴロ丸より大きく、五メートルはあるみたいだが、質では圧倒的にゴロ丸が上。
「キュゥゥゥ?」
目の前に現れた相手に対して足を止め、下方から睨みを利かせるゴロ丸。
んだテメェ? と、言っているようである。
対してストーンゴーレムは発声器官がないようで、声で返すことはない。
同じ無機物な存在でも石の巨人は無口である。
「キュ! キュキュキュ。キュゥゥゥ?」
オラ! なんとか言ってみろよ。びびってんのか? と、言っているんだろうか。
二体の巨人がお互い向き合う状態が続く。
この状況に全体が見入っている。
そんな中、ゴロ丸の会話を俺なりに心の中で訳していた。
訳していれば背中に届くのは――
「師匠」
――二番弟子の声。
「おうエリス。大事ないか」
「はい……。申し訳ありません……。お叱りはしっかりと受けます」
「誰も叱らねえよ。別に悪い事してないんだから。隙があったとか思わなくていいから。それで動けるか?」
「いえ、まだ足が思うように動いてくれません」
何かしらの力で眠らされた状態で連れ去られたそうで、本調子ではないようだ。
「なら無理せずにゲッコーさんに担がれていればいい。そこは絶対不落の結界みたいなもんだから」
「分かりました。よろしくお願いします。ゲッコー殿」
「絶対不落の結界に任せておけ」
その別称が気に入ったのかな?
「しかし流石は師匠です。ミスリルゴーレムを容易く召喚してしまうなんて」
やはりエルフにとってミスリルは特別なようで、その鉱石からなるゴーレムを召喚できる俺に敬慕の念をエリスは抱く。
「俺自身の実力ではないけどな。地龍の恩恵ってやつさ」
本当は俺の力と言って師として格好つけたいけど、ゲッコーさんがいる手前、イキった発言は出来ない。
怒られるのは嫌だからな。
エリスは地龍から力を与えられているという事が凄いんです。と、返してくれた。
「キュウ、キュゥゥウ」
と、俺たちの会話の最中にゴロ丸が新たなアクションをとる。
自分の頭――というか、胴体の中央に拇指を向けている。
来いよ、試してやる。と、言っているのかな。
ゴロ丸のその所作に反応したかのように、ストーンゴーレムが巨塊からなる拳をゴロ丸の顔がある胴体中央部に向けて放つ。
ノーガードのゴロ丸は躱すこともなく正面から受ける。
リィィィィィィィン! といった心地の良い大きな音が響く。
集落全体に響いたであろう音。
巨石の一撃は――直撃。
同体格の大型モンスターなんかが喰らえば、一撃で戦闘不能になるであろう威力。
独特な音と拳が生み出す衝撃に、イエスマンサイドの方から驚嘆した声が上がる。
「よし! いいぞ我がストーンゴーレムよ。もっと激しく叩き込むのだ!」
イエスマンの声に従って、石の巨人が拳をゴロ丸に打ち込むこと十数回――。
まあ、ね。分かっていた結果だけどね。
殴られ続けるゴロ丸は心地のいい音を体から奏でながらも、立っている位置から一切、動く事はない。
如何にストーンゴーレムの攻撃が強烈であっても、ゴロ丸をその場から動かすだけの威力は有していなかった。
それどころかストーンゴーレムの両拳はボロボロに砕けてしまっている。
拳が通用しないならと、前蹴りを打ち込んでみるがゴロ丸は動かない。
「キュ、キュキュウ?」
なに、もう終わり? と、言っているんだろう。
「キュウ――キュゥゥゥゥゥウ」
じゃあ――次はこっちの手番ね。と、言ってるんだろうね。
チラリとゴロ丸がこちらを見てくるので、
「お手本を見せてやれ。世界を取れるワンツーってのを!」
声を受ければ、タタンッと短い足で愛らしいフットワークを見せ、
「キュキュ!」
ゴロ丸と違い、しっかりと人型からなるストーンゴーレムに対しミスリルの拳による右左の二発。
お手本を見せてやれとは言ったけど、俺が見ても手本になる。
軽く握った拳をインパクト時に強く握り込むというものだったからね。
右ストレートを胸部に打ち込めば大いにその部分が抉れ、ストーンゴーレムのバランスが崩れる。
崩れることで頭部がゴロ丸の拳と同じ高さになったところに左ストレート。
ストーンゴーレムの頭部は粉々に吹き飛び、機能停止とばかりに巨体が地面へと倒れれば、石の体は形を維持する事が出来なくなったようで、ガラガラと音を立てて崩れていく。
「お、おのれ!」
己の生み出したゴーレムが瞬殺されると一気に距離を取る。
自分を守るように私兵を招集させる動きは迅速だった。
この間にゲッコーさんはエリスを連れて安全圏で見物。
「ゴロ丸!」
俺と精神がリンクしているゴロ丸は、名を発するだけで次の行動に移ってくれる。
私兵とダークエルフさん達に向かって再度の攻撃を開始。
ドカドカと地面を耕すように拳を打ち込んでいく。
命を奪わないという事をちゃんと理解してくれているゴロ丸は、立っている手前を殴り、衝撃で相手を怯ませていくスタイル。
私兵たちがミスリルからなるゴロ丸に対応しうる攻撃手段を持ち合わせていないのは逃げ腰な姿で理解できた。
だからだろう、イエスマンの周囲にはイエスマンが求めていた以上の私兵の護衛がつくことになった。
よっぽど戦いたくないんだろうな。
気丈なダークエルフさん達は何とか堪えて戦おうとする姿を見せるけども、私兵同様に攻略法を見出す事が出来ず、ジリジリと下がっていくだけ。
――時間が経過すれば心が折れてしまったのか、イエスマンの護衛についていた私兵たちの中から逃散する者達が出てくる始末。
流石はポルパロングの私兵。主が変わってもそのスタイルに一切のブレはない。
「この程度の連中を伴って謀反とか恐れ入る」
小馬鹿に独白をする中で、その対象となるイエスマンことカゲストを見れば、顔は蒼白となり引きつったものになっていた。
「終幕だぞ」
今度はきっちりとあの長い耳に届くように声を届ければ、
「黙れ、黙れ! この国は私が変える! その機会を得た以上は絶対に成功させる!」
「成功なんてしない。俺達がこの国を訪れたからな」
「ほ、ほざくな! そのような強者のような言いようはやめろ! 貴様からはその様な風格は伝わってこない!」
俺自身それは理解しているけども、そんな風格を感じさせない俺程度に圧を受けて上擦った声で返すようじゃ、説得力はないよ。
眼界に収める輝きはエルフにとって馴染みがあり、尚且つエルフにとっての誇り。
目の前の三メートルクラスは全身がその誇りによって形成されている。
「ミスリルゴーレムのゴロ丸だ。ゴロ丸、皆さんに挨拶を」
「キュ!」
元気な返事と共に丁寧に頭――ではなく胴体を下げる。
バレーボールのマスコットみたいに頭と胴体が一体化しているから、そういった動作になるのはご愛敬。
接しやすそうな所作とは裏腹に、それを見ている者達は戦く。
「さあゴロ丸。俺達にいけない事をする悪い方々にお灸を据えてあげなさい」
「キュウ!」
一礼を終えれば、俺の指示に従って即座に駆け出すゴロ丸。
走り迫ってくるゴーレムを見るだけで相手サイドは一気に大混乱。
なんとか魔法を放つも、咄嗟に発動できるのはよくて中位魔法。十分に素晴らしい対応ではあるけども、全身がミスリルの塊であるゴロ丸には痛痒をあたえることは出来ない。
「クリミネアン様!」
「わ、分かっている!」
配下の私兵がイエスマンを頼ろうとする。
応じるように地面へと両掌を当てるイエスマンは、
「いでよストーンゴーレム!」
「おお。出せるんだな」
流石は氏族である。
ふんぞり返るくらいの実力があるのは初手の弓術と魔法で理解はしている。
その後の感情に左右されての弓術はダメダメなド三品だったけど。
だがここでの召喚は威厳の回復にも繋がったようで、周囲からは感嘆の声が上がった。
その声にイエスマン、カゲストはご満悦。
だがしかし。ここで出してくるのがストーンゴーレムとはね。
もちろん脅威ではあるよ。同じ石から出来ていたシーゴーレムを初めて目にした時は、ファンタジーが牙を向いてきたと思ったからね。
ミズーリがなかったら間違いなく海戦は苦しいものだっただろう。
でも今回は双方が地上戦だし、なにより相手が悪いってもんだ。
というか、イエスマンは勝てると思っているのだろうか?
ストーンゴーレムの全長はゴロ丸より大きく、五メートルはあるみたいだが、質では圧倒的にゴロ丸が上。
「キュゥゥゥ?」
目の前に現れた相手に対して足を止め、下方から睨みを利かせるゴロ丸。
んだテメェ? と、言っているようである。
対してストーンゴーレムは発声器官がないようで、声で返すことはない。
同じ無機物な存在でも石の巨人は無口である。
「キュ! キュキュキュ。キュゥゥゥ?」
オラ! なんとか言ってみろよ。びびってんのか? と、言っているんだろうか。
二体の巨人がお互い向き合う状態が続く。
この状況に全体が見入っている。
そんな中、ゴロ丸の会話を俺なりに心の中で訳していた。
訳していれば背中に届くのは――
「師匠」
――二番弟子の声。
「おうエリス。大事ないか」
「はい……。申し訳ありません……。お叱りはしっかりと受けます」
「誰も叱らねえよ。別に悪い事してないんだから。隙があったとか思わなくていいから。それで動けるか?」
「いえ、まだ足が思うように動いてくれません」
何かしらの力で眠らされた状態で連れ去られたそうで、本調子ではないようだ。
「なら無理せずにゲッコーさんに担がれていればいい。そこは絶対不落の結界みたいなもんだから」
「分かりました。よろしくお願いします。ゲッコー殿」
「絶対不落の結界に任せておけ」
その別称が気に入ったのかな?
「しかし流石は師匠です。ミスリルゴーレムを容易く召喚してしまうなんて」
やはりエルフにとってミスリルは特別なようで、その鉱石からなるゴーレムを召喚できる俺に敬慕の念をエリスは抱く。
「俺自身の実力ではないけどな。地龍の恩恵ってやつさ」
本当は俺の力と言って師として格好つけたいけど、ゲッコーさんがいる手前、イキった発言は出来ない。
怒られるのは嫌だからな。
エリスは地龍から力を与えられているという事が凄いんです。と、返してくれた。
「キュウ、キュゥゥウ」
と、俺たちの会話の最中にゴロ丸が新たなアクションをとる。
自分の頭――というか、胴体の中央に拇指を向けている。
来いよ、試してやる。と、言っているのかな。
ゴロ丸のその所作に反応したかのように、ストーンゴーレムが巨塊からなる拳をゴロ丸の顔がある胴体中央部に向けて放つ。
ノーガードのゴロ丸は躱すこともなく正面から受ける。
リィィィィィィィン! といった心地の良い大きな音が響く。
集落全体に響いたであろう音。
巨石の一撃は――直撃。
同体格の大型モンスターなんかが喰らえば、一撃で戦闘不能になるであろう威力。
独特な音と拳が生み出す衝撃に、イエスマンサイドの方から驚嘆した声が上がる。
「よし! いいぞ我がストーンゴーレムよ。もっと激しく叩き込むのだ!」
イエスマンの声に従って、石の巨人が拳をゴロ丸に打ち込むこと十数回――。
まあ、ね。分かっていた結果だけどね。
殴られ続けるゴロ丸は心地のいい音を体から奏でながらも、立っている位置から一切、動く事はない。
如何にストーンゴーレムの攻撃が強烈であっても、ゴロ丸をその場から動かすだけの威力は有していなかった。
それどころかストーンゴーレムの両拳はボロボロに砕けてしまっている。
拳が通用しないならと、前蹴りを打ち込んでみるがゴロ丸は動かない。
「キュ、キュキュウ?」
なに、もう終わり? と、言っているんだろう。
「キュウ――キュゥゥゥゥゥウ」
じゃあ――次はこっちの手番ね。と、言ってるんだろうね。
チラリとゴロ丸がこちらを見てくるので、
「お手本を見せてやれ。世界を取れるワンツーってのを!」
声を受ければ、タタンッと短い足で愛らしいフットワークを見せ、
「キュキュ!」
ゴロ丸と違い、しっかりと人型からなるストーンゴーレムに対しミスリルの拳による右左の二発。
お手本を見せてやれとは言ったけど、俺が見ても手本になる。
軽く握った拳をインパクト時に強く握り込むというものだったからね。
右ストレートを胸部に打ち込めば大いにその部分が抉れ、ストーンゴーレムのバランスが崩れる。
崩れることで頭部がゴロ丸の拳と同じ高さになったところに左ストレート。
ストーンゴーレムの頭部は粉々に吹き飛び、機能停止とばかりに巨体が地面へと倒れれば、石の体は形を維持する事が出来なくなったようで、ガラガラと音を立てて崩れていく。
「お、おのれ!」
己の生み出したゴーレムが瞬殺されると一気に距離を取る。
自分を守るように私兵を招集させる動きは迅速だった。
この間にゲッコーさんはエリスを連れて安全圏で見物。
「ゴロ丸!」
俺と精神がリンクしているゴロ丸は、名を発するだけで次の行動に移ってくれる。
私兵とダークエルフさん達に向かって再度の攻撃を開始。
ドカドカと地面を耕すように拳を打ち込んでいく。
命を奪わないという事をちゃんと理解してくれているゴロ丸は、立っている手前を殴り、衝撃で相手を怯ませていくスタイル。
私兵たちがミスリルからなるゴロ丸に対応しうる攻撃手段を持ち合わせていないのは逃げ腰な姿で理解できた。
だからだろう、イエスマンの周囲にはイエスマンが求めていた以上の私兵の護衛がつくことになった。
よっぽど戦いたくないんだろうな。
気丈なダークエルフさん達は何とか堪えて戦おうとする姿を見せるけども、私兵同様に攻略法を見出す事が出来ず、ジリジリと下がっていくだけ。
――時間が経過すれば心が折れてしまったのか、イエスマンの護衛についていた私兵たちの中から逃散する者達が出てくる始末。
流石はポルパロングの私兵。主が変わってもそのスタイルに一切のブレはない。
「この程度の連中を伴って謀反とか恐れ入る」
小馬鹿に独白をする中で、その対象となるイエスマンことカゲストを見れば、顔は蒼白となり引きつったものになっていた。
「終幕だぞ」
今度はきっちりとあの長い耳に届くように声を届ければ、
「黙れ、黙れ! この国は私が変える! その機会を得た以上は絶対に成功させる!」
「成功なんてしない。俺達がこの国を訪れたからな」
「ほ、ほざくな! そのような強者のような言いようはやめろ! 貴様からはその様な風格は伝わってこない!」
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