1,347 / 1,861
矮人と巨人
PHASE-1347【炎、風、土、雷】
しおりを挟む
――今までの刺突と違い、凶悪な風切り音に加えてパチパチといった火花のような音も混ざっている。
聴覚だけでなく視覚でも違いは理解できた。
「雷を穂先に纏わせてるんだな」
「アークフィストという」
名前からして雷系による打撃のような攻撃を行う魔法なんだろうけど、見る限りでは穂先が纏う青白い電撃によって、斬撃範囲と威力が強化されているようである。
この辺は俺も似たようなもんでもあるか。
本来なら炎の柱で対象を呑み込んでダメージを与える上位魔法のブレイズを残火に纏わせてるからな。
ハルダームのパルチザンであるプロトスも同様の仕様なんだろう。
ただ複数の魔法を使用できているから、槍の効果というよりは当人の実力ってことも考えられる。
エンドリュー候のとこの美人征東騎士団団長であるイリーが使用する魔法剣みたいなものかもしれない。
――ふむん。
「その槍の力は凄いな。色々な雷系の魔法が使用できるんだからな」
魔法剣の使い手なのか分からない以上、鎌をかけてみる。
「欠点としては数種類の中位を使用できるということに留まっている。上位は封じ切れていない」
「へ~」
魔法剣の類いじゃないのは今の発言で理解できた。
というか、そういう事を普通に言っちゃうんだな。
手の内を晒しても欠点になり得ないということなのかもしれないけど。
その証拠とばかりに、表情は何かしら含みのある笑みになっているからな。
――なんにせよ。
「そっちに出来ない事をこっちはしてやる。ブレイズ!」
上位魔法であるブレイズを残火へと纏わせ、
「ウィンドスラッシュ」
この森で習得した中位魔法をマラ・ケニタルへと留める。
炎と風を纏わせた二振りでの攻撃も可能になったな。
熟れてくれば、二つを組み合わせての攻撃も可能となるかもしれない。
炎と風による合体技も習得していかないとな。
その為にも――、
「この戦いで更に俺は成長させてもらう」
「よい刀を持っているからといって、自分が強くなったと勘違いしないことだな」
「んなこたあ言われなくても分かってるっての」
俺が力に溺れるなんて事はねえよ。そんなことになったら最強さん達にしばかれるからな。
「こっちの事よりも自分の事を心配しろよ。その槍の力に溺れないことだな」
「ぬかせ! その二振りは絶対に手に入れる」
「だから――絶対に渡さない」
「いや手にする。欲するものは絶対に手にする。戦い勝利し収奪。それが蹂躙王の理念だからな」
「エゴの塊みたいな連中だよ」
分かりきっている事だけどもさ。
「死ね!」
「お断りだね」
巨体による驀地に対してアクセルから側面へと回り込んでの、
「ふん!」
脇腹へと目がけて炎と風の力を纏った二振りでの斬撃。
「斬られてはやれんな!」
柄にて受け止められてしまう。
こちらの斬撃を捌いて直ぐに柄を回転させると、石突き部分にてこちらに仕掛けてくる。
迫る石突きは背を反らせてから回避。
力技だけでなくこういった小手先の攻撃も得意なようで。
姿勢を戻したところで視界に入るのは、相対する方からの連撃。
今度は電撃を纏った穂先での刺突。
残火で受け流せば、炎と電撃がゴウゴウ、バチバチと音を立ててぶつかり合う。
「これはどうだ!」
ここで地面を一踏み。
マッドメンヒルによる攻撃と判断したので、
「おら!」
隆起してくる地面に向かってマラ・ケニタルを振るう。
ウインドスラッシュを纏った斬撃。新技であるスクワッドリーパーにより鋭利な土が力を発揮する前に切り刻んでやった。
「やりおる」
「あ、そういう上からな発言は俺が言うから。だって俺の方が上だからね。顔に触れてみろよ。鼻――曲がってるよ」
「小僧が!」
お怒りの刺突。
二振りで捌いて距離を取る。
逃がすかとばかりに地面から追撃のマッドメンヒルと、直上からアークフォールの二段構え。
下方へは斬撃。上方からのはイグニースで対応。
多方向からの攻撃は御免なので、周囲を見つつ跳躍。
建物の屋根へと着地して一息入れる。
「我が屋敷に立つとは不届きだな」
「壁に穴を空けてる前科もあるから、屋根の上くらいいいだろ」
「叩き落としてやれ」
部下達に命令すれば、鏃と魔法発動のために伸ばした腕が俺へと向けられる。
上下からの同時魔法を防がれたからか、配下にも攻撃を仕掛けるように言ってくる辺り、俺に対して決定打となる攻撃を持ち合わせていないというのが分かる動きだ。
――どのみちその攻撃手段も決定打にはなり得ないけどね。
――お前達の背後、隙だらけだよ。
「ブラストスマッシュ」に「ファイヤーボール」と続く。
二人の声が発せられると、俺に向けて攻撃をしようとした遠距離からの脅威はなくなった。
「突破するのか!? この数を!」
「「当然!!」」
頼りになる格好の良い声だ。
シャルナとコクリコによる魔法は挟撃によるもの。
たった二人による挟撃ってのもおかしな話だけども、戦闘の中心となっている俺とハルダームの立つ場所において敵兵を蹴散らしていく。
聴覚だけでなく視覚でも違いは理解できた。
「雷を穂先に纏わせてるんだな」
「アークフィストという」
名前からして雷系による打撃のような攻撃を行う魔法なんだろうけど、見る限りでは穂先が纏う青白い電撃によって、斬撃範囲と威力が強化されているようである。
この辺は俺も似たようなもんでもあるか。
本来なら炎の柱で対象を呑み込んでダメージを与える上位魔法のブレイズを残火に纏わせてるからな。
ハルダームのパルチザンであるプロトスも同様の仕様なんだろう。
ただ複数の魔法を使用できているから、槍の効果というよりは当人の実力ってことも考えられる。
エンドリュー候のとこの美人征東騎士団団長であるイリーが使用する魔法剣みたいなものかもしれない。
――ふむん。
「その槍の力は凄いな。色々な雷系の魔法が使用できるんだからな」
魔法剣の使い手なのか分からない以上、鎌をかけてみる。
「欠点としては数種類の中位を使用できるということに留まっている。上位は封じ切れていない」
「へ~」
魔法剣の類いじゃないのは今の発言で理解できた。
というか、そういう事を普通に言っちゃうんだな。
手の内を晒しても欠点になり得ないということなのかもしれないけど。
その証拠とばかりに、表情は何かしら含みのある笑みになっているからな。
――なんにせよ。
「そっちに出来ない事をこっちはしてやる。ブレイズ!」
上位魔法であるブレイズを残火へと纏わせ、
「ウィンドスラッシュ」
この森で習得した中位魔法をマラ・ケニタルへと留める。
炎と風を纏わせた二振りでの攻撃も可能になったな。
熟れてくれば、二つを組み合わせての攻撃も可能となるかもしれない。
炎と風による合体技も習得していかないとな。
その為にも――、
「この戦いで更に俺は成長させてもらう」
「よい刀を持っているからといって、自分が強くなったと勘違いしないことだな」
「んなこたあ言われなくても分かってるっての」
俺が力に溺れるなんて事はねえよ。そんなことになったら最強さん達にしばかれるからな。
「こっちの事よりも自分の事を心配しろよ。その槍の力に溺れないことだな」
「ぬかせ! その二振りは絶対に手に入れる」
「だから――絶対に渡さない」
「いや手にする。欲するものは絶対に手にする。戦い勝利し収奪。それが蹂躙王の理念だからな」
「エゴの塊みたいな連中だよ」
分かりきっている事だけどもさ。
「死ね!」
「お断りだね」
巨体による驀地に対してアクセルから側面へと回り込んでの、
「ふん!」
脇腹へと目がけて炎と風の力を纏った二振りでの斬撃。
「斬られてはやれんな!」
柄にて受け止められてしまう。
こちらの斬撃を捌いて直ぐに柄を回転させると、石突き部分にてこちらに仕掛けてくる。
迫る石突きは背を反らせてから回避。
力技だけでなくこういった小手先の攻撃も得意なようで。
姿勢を戻したところで視界に入るのは、相対する方からの連撃。
今度は電撃を纏った穂先での刺突。
残火で受け流せば、炎と電撃がゴウゴウ、バチバチと音を立ててぶつかり合う。
「これはどうだ!」
ここで地面を一踏み。
マッドメンヒルによる攻撃と判断したので、
「おら!」
隆起してくる地面に向かってマラ・ケニタルを振るう。
ウインドスラッシュを纏った斬撃。新技であるスクワッドリーパーにより鋭利な土が力を発揮する前に切り刻んでやった。
「やりおる」
「あ、そういう上からな発言は俺が言うから。だって俺の方が上だからね。顔に触れてみろよ。鼻――曲がってるよ」
「小僧が!」
お怒りの刺突。
二振りで捌いて距離を取る。
逃がすかとばかりに地面から追撃のマッドメンヒルと、直上からアークフォールの二段構え。
下方へは斬撃。上方からのはイグニースで対応。
多方向からの攻撃は御免なので、周囲を見つつ跳躍。
建物の屋根へと着地して一息入れる。
「我が屋敷に立つとは不届きだな」
「壁に穴を空けてる前科もあるから、屋根の上くらいいいだろ」
「叩き落としてやれ」
部下達に命令すれば、鏃と魔法発動のために伸ばした腕が俺へと向けられる。
上下からの同時魔法を防がれたからか、配下にも攻撃を仕掛けるように言ってくる辺り、俺に対して決定打となる攻撃を持ち合わせていないというのが分かる動きだ。
――どのみちその攻撃手段も決定打にはなり得ないけどね。
――お前達の背後、隙だらけだよ。
「ブラストスマッシュ」に「ファイヤーボール」と続く。
二人の声が発せられると、俺に向けて攻撃をしようとした遠距離からの脅威はなくなった。
「突破するのか!? この数を!」
「「当然!!」」
頼りになる格好の良い声だ。
シャルナとコクリコによる魔法は挟撃によるもの。
たった二人による挟撃ってのもおかしな話だけども、戦闘の中心となっている俺とハルダームの立つ場所において敵兵を蹴散らしていく。
1
あなたにおすすめの小説
凡人がおまけ召喚されてしまった件
根鳥 泰造
ファンタジー
勇者召喚に巻き込まれて、異世界にきてしまった祐介。最初は勇者の様に大切に扱われていたが、ごく普通の才能しかないので、冷遇されるようになり、ついには王宮から追い出される。
仕方なく冒険者登録することにしたが、この世界では希少なヒーラー適正を持っていた。一年掛けて治癒魔法を習得し、治癒剣士となると、引く手あまたに。しかも、彼は『強欲』という大罪スキルを持っていて、倒した敵のスキルを自分のものにできるのだ。
それらのお蔭で、才能は凡人でも、数多のスキルで能力を補い、熟練度は飛びぬけ、高難度クエストも熟せる有名冒険者となる。そして、裏では気配消去や不可視化スキルを活かして、暗殺という裏の仕事も始めた。
異世界に来て八年後、その暗殺依頼で、召喚勇者の暗殺を受けたのだが、それは祐介を捕まえるための罠だった。祐介が暗殺者になっていると知った勇者が、改心させよう企てたもので、その後は勇者一行に加わり、魔王討伐の旅に同行することに。
最初は脅され渋々同行していた祐介も、勇者や仲間の思いをしり、どんどん勇者が好きになり、勇者から告白までされる。
だが、魔王を討伐を成し遂げるも、魔王戦で勇者は祐介を庇い、障害者になる。
祐介は、勇者の嘘で、病院を作り、医師の道を歩みだすのだった。
夢幻の錬金術師 ~【異空間収納】【錬金術】【鑑定】【スキル剥奪&付与】を兼ね備えたチートスキル【錬金工房】で最強の錬金術師として成り上がる~
青山 有
ファンタジー
女神の助手として異世界に召喚された厨二病少年・神薙拓光。
彼が手にしたユニークスキルは【錬金工房】。
ただでさえ、魔法があり魔物がはびこる危険な世界。そこを生産職の助手と巡るのかと、女神も頭を抱えたのだが……。
彼の持つ【錬金工房】は、レアスキルである【異空間収納】【錬金術】【鑑定】の上位互換機能を合わせ持ってるだけでなく、スキルの【剥奪】【付与】まで行えるという、女神の想像を遥かに超えたチートスキルだった。
これは一人の少年が異世界で伝説の錬金術師として成り上がっていく物語。
※カクヨムにも投稿しています
最強の異世界やりすぎ旅行記
萩場ぬし
ファンタジー
主人公こと小鳥遊 綾人(たかなし あやと)はある理由から毎日のように体を鍛えていた。
そんなある日、突然知らない真っ白な場所で目を覚ます。そこで綾人が目撃したものは幼い少年の容姿をした何か。そこで彼は告げられる。
「なんと! 君に異世界へ行く権利を与えようと思います!」
バトルあり!笑いあり!ハーレムもあり!?
最強が無双する異世界ファンタジー開幕!
貧弱の英雄
カタナヅキ
ファンタジー
この世界では誰もが生まれた時から「異能」と「レベル」呼ばれる能力を身に付けており、人々はレベルを上げて自分の能力を磨き、それに適した職業に就くのが当たり前だった。しかし、山奥で捨てられていたところを狩人に拾われ、後に「ナイ」と名付けられた少年は「貧弱」という異能の中でも異質な能力を身に付けていた。
貧弱の能力の効果は日付が変更される度に強制的にレベルがリセットされてしまい、生まれた時からナイは「レベル1」だった。どれだけ努力してレベルを上げようと日付変わる度にレベル1に戻ってしまい、レベルで上がった分の能力が低下してしまう。
自分の貧弱の技能に悲観する彼だったが、ある時にレベルを上昇させるときに身に付ける「SP」の存在を知る。これを使用すれば「技能」と呼ばれる様々な技術を身に付ける事を知り、レベルが毎日のようにリセットされる事を逆に利用して彼はSPを溜めて数々の技能を身に付け、落ちこぼれと呼んだ者達を見返すため、底辺から成り上がる――
※修正要請のコメントは対処後に削除します。
異世界に召喚されて2日目です。クズは要らないと追放され、激レアユニークスキルで危機回避したはずが、トラブル続きで泣きそうです。
もにゃむ
ファンタジー
父親に教師になる人生を強要され、父親が死ぬまで自分の望む人生を歩むことはできないと、人生を諦め淡々とした日々を送る清泉だったが、夏休みの補習中、突然4人の生徒と共に光に包まれ異世界に召喚されてしまう。
異世界召喚という非現実的な状況に、教師1年目の清泉が状況把握に努めていると、ステータスを確認したい召喚者と1人の生徒の間にトラブル発生。
ステータスではなく職業だけを鑑定することで落ち着くも、清泉と女子生徒の1人は職業がクズだから要らないと、王都追放を言い渡されてしまう。
残留組の2人の生徒にはクズな職業だと蔑みの目を向けられ、
同時に追放を言い渡された女子生徒は問題行動が多すぎて退学させるための監視対象で、
追加で追放を言い渡された男子生徒は言動に違和感ありまくりで、
清泉は1人で自由に生きるために、問題児たちからさっさと離れたいと思うのだが……
サバイバル能力に全振りした男の半端仙人道
コアラ太
ファンタジー
年齢(3000歳)特技(逃げ足)趣味(採取)。半仙人やってます。
主人公は都会の生活に疲れて脱サラし、山暮らしを始めた。
こじんまりとした生活の中で、自然に触れていくと、瞑想にハマり始める。
そんなある日、森の中で見知らぬ老人から声をかけられたことがきっかけとなり、その老人に弟子入りすることになった。
修行する中で、仙人の道へ足を踏み入れるが、師匠から仙人にはなれないと言われてしまった。それでも良いやと気楽に修行を続け、正式な仙人にはなれずとも。足掛け程度は認められることになる。
それから何年も何年も何年も過ぎ、いつものように没頭していた瞑想を終えて目開けると、視界に映るのは密林。仕方なく周辺を探索していると、二足歩行の獣に捕まってしまう。言葉の通じないモフモフ達の言語から覚えなければ……。
不死になれなかった半端な仙人が起こす珍道中。
記憶力の無い男が、日記を探して旅をする。
メサメサメサ
メサ メサ
メサ メサ
メサ メサ
メサメサメサメサメサ
メ サ メ サ サ
メ サ メ サ サ サ
メ サ メ サ ササ
他サイトにも掲載しています。
異世界へ行って帰って来た
バルサック
ファンタジー
ダンジョンの出現した日本で、じいさんの形見となった指輪で異世界へ行ってしまった。
そして帰って来た。2つの世界を往来できる力で様々な体験をする神須勇だった。
はずれスキル『本日一粒万倍日』で金も魔法も作物もなんでも一万倍 ~はぐれサラリーマンのスキル頼みな異世界満喫日記~
緋色優希
ファンタジー
勇者召喚に巻き込まれて異世界へやってきたサラリーマン麦野一穂(むぎのかずほ)。得たスキルは屑(ランクレス)スキルの『本日一粒万倍日』。あまりの内容に爆笑され、同じように召喚に巻き込まれてきた連中にも馬鹿にされ、一人だけ何一つ持たされず荒城にそのまま置き去りにされた。ある物と言えば、水の樽といくらかの焼き締めパン。どうする事もできずに途方に暮れたが、スキルを唱えたら水樽が一万個に増えてしまった。また城で見つけた、たった一枚の銀貨も、なんと銀貨一万枚になった。どうやら、あれこれと一万倍にしてくれる不思議なスキルらしい。こんな世界で王様の助けもなく、たった一人どうやって生きたらいいのか。だが開き直った彼は『住めば都』とばかりに、スキル頼みでこの異世界での生活を思いっきり楽しむ事に決めたのだった。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる