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天空要塞
PHASE-1458【便利な翅だな】
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「好き勝手にやってくれたものだ!」
「こちらは対話を望んだけど、そっちが聞く耳をもたなくてね」
「無断で侵入してきたのだ。対話など考えるわけがない」
「引き籠もられると話も出来ないからね。だからこうやって危険を承知でやってきたんだ。突破してきたことへの称賛と歓待を望むね」
「称賛は理解できるが、歓待を望むとは強欲なようだ」
と、会話を交わすモスマンにはツッカーヴァッテのように口部がないように思えた。
どうやって話をしてんのかと注視していれば、
「歓待を欲するなら俺の技工をくれてやる!」
攻める合図とばかりに語調が強くなれば、赤い両目の下の体毛が大きく動いた。
体毛によって口が覆い隠されていただけか。
「ドワーフよりも口周りの手入れが出来てねえな。戦うってんなら俺がその口周りの毛を剃ってやるよ」
「やれるものならな!」
「よっしゃ来い!」
「ヴェノムショット」
以前、喰らったことのある毒魔法。
「ウォーターカーテン」
で、相殺。
「貧弱な障壁だな」
「使いようって事だよ」
イグニースを展開して防ぐと蒸発時に毒霧になるだろうし、切り払っても飛び散る。
俺はともかく周囲の面々にダメージが入る危険性があるからな。相殺できるコイツが最適解。
「おおよそ勇者の魔法とは思えん」
「はっ! その思えない魔法程度に防がれてりゃ世話ねえよ。この時点で力量差を理解して謝罪すれば、ここで終わらせるぞ」
「――なめたヤツだ!」
お怒りのようで、ぎらつく赤い瞳の輝きが増す。
同じような瞳を有するレッドキャップスのように縮地を使用できるかも。という警戒感も抱かせるけど、今のところ使用する気配はない。
「ファイヤーボール」
モスマンが俺へと注力しているところで、コクリコからの一撃。
隙を見せれば間髪入れずに打ち込むところは流石。
通常よりやや大きめの火球だったが――、
「無駄だ!」
「なんと!?」
鱗粉を舞わせる翅の一払いで、容易くファイヤーボールをかき消した。
そこそこ力を込めたものが防がれたからか、コクリコは驚きのご様子。
「大した火力だな。種火としては優秀だ」
小馬鹿にしたモスマンの発言に「ぐぬぬ!」と、悔しそうに声を漏らすコクリコ。
エルウルドの森で見せた、防御壁を木っ端にするだけの破壊力を持つ全力なら、翅で打ち消すなんて対応はしなかっただろうに。
急襲で放ったからな。全力で放つための練り上げに要する時間がなかったのは仕方ない。
「今度はこっち。ストームシージ」
相手を拘束するシャルナの上位魔法。
「それは御免こうむる」
一羽ばたきで俺達から距離を取り、風の牢獄を回避。
「弓箭、見ていないでエルフを射殺せ!」
俺達のやり取りを離れて見ている兵達に向けてモスマンが一喝。
これに従うように矢を放ち、魔法も使用してくる。
「その程度」
シャルナがプロテクションを数カ所に展開して全てを防いでみせる。
「トール。下です!」
「分かってる」
上方からの遠距離に意識を向かせているところを狙って、モスマンと取り巻き二名による編隊が下方から迫ってくる。
飛行能力を有する者たちの強味である全方位からの攻撃。
それが出来ないこちらからすれば鬱陶しいことこの上ない。
「叩き落とします」
ワンドの輝きは黄色。
ここでもライトニングスネークを――、
「アークウィップ」
使用せずに別の魔法。
電撃の鞭がワンドから伸びれば、それに追従するよう、展開させたアドンとサムソンからも同様の魔法が伸びる。
「無駄!」
「どんな翅だよ……」
ファイヤーボールも防げば電撃の鞭もはじき飛ばす。
でも、
「ぐぁ!」と、「ぎぃ!?」と、モスマンと共に下方から迫ってきていた二人は電撃を受けて痺れる。
この声を聞いてモスマンはこちらへの攻めを中断し、味方の状況を窺う。
対魔法の盾を持っていようとも、体中に電撃の鞭が巻き付けば流石に耐えることは難しいようで、動きが鈍くなっていた、
「予想外ですね」
コクリコとしては電撃で麻痺させ、そのまま戦闘不能へと追い込むつもりだったみたいだが、盾だけでなく鎧と兜も同様の対魔法付与が施されているようで、動きが鈍くなる程度の効果しかなかった。
でもって、攻撃を見舞われた連中をフォローするように、他の兵士が直ぐさま行動。
落下救助とこちらへの攻撃を両方こなせる位置取りで待機し、味方のダメージが軽微だと分かれば後者を選択。
魔法による攻撃を行いつつ、鈍い動きになった二人に代わって別の二名がモスマンと合流。
編隊を組み直し、再びこちらへと攻めてくる。
「こりゃ手加減してたらえらい目に遭うな」
「そうだよ兄ちゃん。相手はこっちの命を狙う気満々だからね」
「だな」
仕方ねえ、
「なんの断りもなくこの地へと入り込んだのは悪かったけども、話も聞かずに攻撃ってなると、こちらも手加減なしでいくしかねえな」
峰打ちスタイルの二刀だったが、ここで百八十度回転させ、こちらへと向かってくる編隊に切っ先を向ける。
今までと違って斬るという姿勢を見せれば、
「おもしろい! ようやく本気になったか!」
「死んでも文句を言うなよモスマン。死んだらアンデッドにならない限り文句なんて言えないけどな」
「そのふざけた言い様。永遠にその口を閉ざしてやるぞ――小僧!」
「こちらは対話を望んだけど、そっちが聞く耳をもたなくてね」
「無断で侵入してきたのだ。対話など考えるわけがない」
「引き籠もられると話も出来ないからね。だからこうやって危険を承知でやってきたんだ。突破してきたことへの称賛と歓待を望むね」
「称賛は理解できるが、歓待を望むとは強欲なようだ」
と、会話を交わすモスマンにはツッカーヴァッテのように口部がないように思えた。
どうやって話をしてんのかと注視していれば、
「歓待を欲するなら俺の技工をくれてやる!」
攻める合図とばかりに語調が強くなれば、赤い両目の下の体毛が大きく動いた。
体毛によって口が覆い隠されていただけか。
「ドワーフよりも口周りの手入れが出来てねえな。戦うってんなら俺がその口周りの毛を剃ってやるよ」
「やれるものならな!」
「よっしゃ来い!」
「ヴェノムショット」
以前、喰らったことのある毒魔法。
「ウォーターカーテン」
で、相殺。
「貧弱な障壁だな」
「使いようって事だよ」
イグニースを展開して防ぐと蒸発時に毒霧になるだろうし、切り払っても飛び散る。
俺はともかく周囲の面々にダメージが入る危険性があるからな。相殺できるコイツが最適解。
「おおよそ勇者の魔法とは思えん」
「はっ! その思えない魔法程度に防がれてりゃ世話ねえよ。この時点で力量差を理解して謝罪すれば、ここで終わらせるぞ」
「――なめたヤツだ!」
お怒りのようで、ぎらつく赤い瞳の輝きが増す。
同じような瞳を有するレッドキャップスのように縮地を使用できるかも。という警戒感も抱かせるけど、今のところ使用する気配はない。
「ファイヤーボール」
モスマンが俺へと注力しているところで、コクリコからの一撃。
隙を見せれば間髪入れずに打ち込むところは流石。
通常よりやや大きめの火球だったが――、
「無駄だ!」
「なんと!?」
鱗粉を舞わせる翅の一払いで、容易くファイヤーボールをかき消した。
そこそこ力を込めたものが防がれたからか、コクリコは驚きのご様子。
「大した火力だな。種火としては優秀だ」
小馬鹿にしたモスマンの発言に「ぐぬぬ!」と、悔しそうに声を漏らすコクリコ。
エルウルドの森で見せた、防御壁を木っ端にするだけの破壊力を持つ全力なら、翅で打ち消すなんて対応はしなかっただろうに。
急襲で放ったからな。全力で放つための練り上げに要する時間がなかったのは仕方ない。
「今度はこっち。ストームシージ」
相手を拘束するシャルナの上位魔法。
「それは御免こうむる」
一羽ばたきで俺達から距離を取り、風の牢獄を回避。
「弓箭、見ていないでエルフを射殺せ!」
俺達のやり取りを離れて見ている兵達に向けてモスマンが一喝。
これに従うように矢を放ち、魔法も使用してくる。
「その程度」
シャルナがプロテクションを数カ所に展開して全てを防いでみせる。
「トール。下です!」
「分かってる」
上方からの遠距離に意識を向かせているところを狙って、モスマンと取り巻き二名による編隊が下方から迫ってくる。
飛行能力を有する者たちの強味である全方位からの攻撃。
それが出来ないこちらからすれば鬱陶しいことこの上ない。
「叩き落とします」
ワンドの輝きは黄色。
ここでもライトニングスネークを――、
「アークウィップ」
使用せずに別の魔法。
電撃の鞭がワンドから伸びれば、それに追従するよう、展開させたアドンとサムソンからも同様の魔法が伸びる。
「無駄!」
「どんな翅だよ……」
ファイヤーボールも防げば電撃の鞭もはじき飛ばす。
でも、
「ぐぁ!」と、「ぎぃ!?」と、モスマンと共に下方から迫ってきていた二人は電撃を受けて痺れる。
この声を聞いてモスマンはこちらへの攻めを中断し、味方の状況を窺う。
対魔法の盾を持っていようとも、体中に電撃の鞭が巻き付けば流石に耐えることは難しいようで、動きが鈍くなっていた、
「予想外ですね」
コクリコとしては電撃で麻痺させ、そのまま戦闘不能へと追い込むつもりだったみたいだが、盾だけでなく鎧と兜も同様の対魔法付与が施されているようで、動きが鈍くなる程度の効果しかなかった。
でもって、攻撃を見舞われた連中をフォローするように、他の兵士が直ぐさま行動。
落下救助とこちらへの攻撃を両方こなせる位置取りで待機し、味方のダメージが軽微だと分かれば後者を選択。
魔法による攻撃を行いつつ、鈍い動きになった二人に代わって別の二名がモスマンと合流。
編隊を組み直し、再びこちらへと攻めてくる。
「こりゃ手加減してたらえらい目に遭うな」
「そうだよ兄ちゃん。相手はこっちの命を狙う気満々だからね」
「だな」
仕方ねえ、
「なんの断りもなくこの地へと入り込んだのは悪かったけども、話も聞かずに攻撃ってなると、こちらも手加減なしでいくしかねえな」
峰打ちスタイルの二刀だったが、ここで百八十度回転させ、こちらへと向かってくる編隊に切っ先を向ける。
今までと違って斬るという姿勢を見せれば、
「おもしろい! ようやく本気になったか!」
「死んでも文句を言うなよモスマン。死んだらアンデッドにならない限り文句なんて言えないけどな」
「そのふざけた言い様。永遠にその口を閉ざしてやるぞ――小僧!」
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