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天空要塞
PHASE-1578【胸鰭】
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――頼れる仲間がいる。
だからこそ、俺もそれに見合うだけの勇者――男となりたい。
「不敵に笑みを湛えるではないか。勇者。揺るぎない自信が伝わってもくるよ」
「水龍タレス。安心して浄化作業に移ってください。俺個人の力は微々たるものですけど、俺の周りは伊達じゃないですよ!」
「……うん……。自分は小さく見積もり、仲間は大きく。一見、情けない発言のようでもあるが、言い切るだけの自信はそれだけ周囲の者達を信頼している証でもある」
「もちろん俺自身も今まで以上に励んでいきます。砥礪切磋ってやつです」
「期待しよう。その成長に少しでも役立てばよいが――」
「ん?」
「先の二柱も力を託しているのだからな。私も託さねばならないだろう」
託されているっていうか、完全に恩恵なんだけどね。
新たなる聖龍からの力の恩恵を賜るってことになりそうだ――なん!?
「ほっ! ほほん!?」
賜るとか思っていた矢先に、褐色美人の水龍タレスが自身の胸の谷間へとおもむろに手を突っ込むという行為。
これに素っ頓狂な声を上げる俺。
声には出さないも、ゲッコーさんがくわりと目を見開いたのを目の端で捉えた。
ゲッコーさんの見せたわずかなリアクション。
普段からこれくらい周囲の挙動を察することが出来れば、相手の攻撃なんかをもっと見切れるんだろうな。と、思いつつ、目の前を凝視。
「ふんす!」
「あだっ!?」
凝視という行為がとてもはしたないとばかりに、コクリコからワンドでどつかれる。
本気で見舞ったようで、とんでもなく痛い……。
その後方では、シャルナがコクリコの行為を褒めちぎっている……。
「この世界の創造に携わった聖龍を見る目ではありませんよ! 男共!」
ワンドを自分の掌に当てつつの説教に、俺とッゲッコーさんは素直に反省の返事。
にしても痛い。
マジじゃん……。
お偉方がいるから耐えているけども、本当なら床を転げ回りたいくらいには痛いからね……。
で、なんで俺だけがどつかれるんだよ……。
フライパンじゃなかっただけ温情はあったんだろうけどさ……。
「ベスティリスも言っていたが、年相応の反応だ。魔術師の娘よ許してやるがいい」
「水龍も水龍で、急に自分の胸に手を突っ込むという下品な行為はやめてほしいですね! 四大聖龍としての品格!」
「ほう、言うではないか。流石は勇者の一行。私を前にしても堂々としている」
「今までの修羅場が私を剛胆へと変えたのですよ」
元々、剛胆だっただろう……。
「それだけの気概があれば、これから先も大いに勇者の助けとなるであろう」
「もちろんですよ。このロードウィザードであるコクリコ・シュレンテッド。この地にて更なる成長と力も手に入れましたからね!」
得意げに無い胸を張り、ワンドを握る右手に得た新たなる力を見せつつ発する。
右の食指と中指にはまった新たなる装身具。
金色と黒色の二色からなる、BB弾サイズの石がはめ込まれたマジックリング。
「いや、それは返して欲しいのだけれど……。貴女の物じゃないのよ」
「いえ、私のです。これは私がこの要塞を攻略している時に発見した物。ダンジョンと一緒です。見つけた者が所有権を得ることが出来るのです。なので私の物なのです!」
なんという傲慢な言い様……。
成長していると思えば、こういったところもある……。
持ち主の前でよくもまあ言い切ったもんだよ。
「大体、我々が勝利したのですから戦利品としてください」
「敗者であるのは確かだしね~。今後の関係も考えれば、ちょっとくらいは提供もしないといけないでしょうね。他にも見繕わないとね」
「流石はこの地の主。上に立つ者は気前がよくないといけませんからね」
「貰う側が偉そうに言うなよ……」
まあいいけど。
今以上にコクリコが強くなるなら俺達も助かるしな。
「さて、中断したが私からも」
胸元にツッコんでいた手を出し、俺へと向けられる掌に乗っているのは、
「――鰭?」
龍の姿の時に目にした鰭に似ている。
三間槍はありそうな鋭利な鰭条からなる胸鰭から、その鋭利な部分を切り取り、掌サイズにしたものだ。
鮮やかな青色からなる鰭は、室内の光源によって濃淡が変化する。
鰭を象った宝石のようだった。
「私の胸鰭の一部を与えよう」
胸鰭だからね。だから胸に手を突っ込んだんだな。
――つまりは、この鰭からは褐色美人の胸の温もり――が。
「ふふん――」
「変態もいいところ!」
「全くだね!」
「いっだいの!!」
今度は二人してどつきやがって!
コクリコとシャルナの両名に同時にどつかれれば、我慢できずに床を転がってしまう。
ミルモンは俺から華麗に7700。
お偉方がいる中でみっともない事この上ないが、まあ、そのお偉方の前でエロい事を妄想していた俺が悪いので、ここは素直に反省しましょう……。
「賑やかなことだ。敵方である者の前でそうなれるのも、勇者一行としての余裕。だからこそここまで来る事が出来たのだろう」
と、水龍タレスは妙な納得をするけども、
「今はもう敵方じゃないですよ」
と、涙目で頭をさすりつつ返せば、
「確かにな」
と、言いつつベスティリスを見るタレスに俺も視線を追う。
「後で秘密同盟の調印式の段取りでも話しましょうかね」
と、素晴らしい提案を笑みと共に出してくれる。
最高だね。
笑顔も最高だけど、やっとこさここまで来たって感じだよ。
「調印式には興味があるが、私はそろそろこの地を立とう」
「あらそう。ここも寂しくなるわね」
「私もここでの隠遁生活は楽しいものだったよ。ベスティリス」
隠遁生活ね。
封じられていたというのではなく、隠遁生活と言えるくらいには、ここでの生活には自由があったようだ。
だからこそ、俺もそれに見合うだけの勇者――男となりたい。
「不敵に笑みを湛えるではないか。勇者。揺るぎない自信が伝わってもくるよ」
「水龍タレス。安心して浄化作業に移ってください。俺個人の力は微々たるものですけど、俺の周りは伊達じゃないですよ!」
「……うん……。自分は小さく見積もり、仲間は大きく。一見、情けない発言のようでもあるが、言い切るだけの自信はそれだけ周囲の者達を信頼している証でもある」
「もちろん俺自身も今まで以上に励んでいきます。砥礪切磋ってやつです」
「期待しよう。その成長に少しでも役立てばよいが――」
「ん?」
「先の二柱も力を託しているのだからな。私も託さねばならないだろう」
託されているっていうか、完全に恩恵なんだけどね。
新たなる聖龍からの力の恩恵を賜るってことになりそうだ――なん!?
「ほっ! ほほん!?」
賜るとか思っていた矢先に、褐色美人の水龍タレスが自身の胸の谷間へとおもむろに手を突っ込むという行為。
これに素っ頓狂な声を上げる俺。
声には出さないも、ゲッコーさんがくわりと目を見開いたのを目の端で捉えた。
ゲッコーさんの見せたわずかなリアクション。
普段からこれくらい周囲の挙動を察することが出来れば、相手の攻撃なんかをもっと見切れるんだろうな。と、思いつつ、目の前を凝視。
「ふんす!」
「あだっ!?」
凝視という行為がとてもはしたないとばかりに、コクリコからワンドでどつかれる。
本気で見舞ったようで、とんでもなく痛い……。
その後方では、シャルナがコクリコの行為を褒めちぎっている……。
「この世界の創造に携わった聖龍を見る目ではありませんよ! 男共!」
ワンドを自分の掌に当てつつの説教に、俺とッゲッコーさんは素直に反省の返事。
にしても痛い。
マジじゃん……。
お偉方がいるから耐えているけども、本当なら床を転げ回りたいくらいには痛いからね……。
で、なんで俺だけがどつかれるんだよ……。
フライパンじゃなかっただけ温情はあったんだろうけどさ……。
「ベスティリスも言っていたが、年相応の反応だ。魔術師の娘よ許してやるがいい」
「水龍も水龍で、急に自分の胸に手を突っ込むという下品な行為はやめてほしいですね! 四大聖龍としての品格!」
「ほう、言うではないか。流石は勇者の一行。私を前にしても堂々としている」
「今までの修羅場が私を剛胆へと変えたのですよ」
元々、剛胆だっただろう……。
「それだけの気概があれば、これから先も大いに勇者の助けとなるであろう」
「もちろんですよ。このロードウィザードであるコクリコ・シュレンテッド。この地にて更なる成長と力も手に入れましたからね!」
得意げに無い胸を張り、ワンドを握る右手に得た新たなる力を見せつつ発する。
右の食指と中指にはまった新たなる装身具。
金色と黒色の二色からなる、BB弾サイズの石がはめ込まれたマジックリング。
「いや、それは返して欲しいのだけれど……。貴女の物じゃないのよ」
「いえ、私のです。これは私がこの要塞を攻略している時に発見した物。ダンジョンと一緒です。見つけた者が所有権を得ることが出来るのです。なので私の物なのです!」
なんという傲慢な言い様……。
成長していると思えば、こういったところもある……。
持ち主の前でよくもまあ言い切ったもんだよ。
「大体、我々が勝利したのですから戦利品としてください」
「敗者であるのは確かだしね~。今後の関係も考えれば、ちょっとくらいは提供もしないといけないでしょうね。他にも見繕わないとね」
「流石はこの地の主。上に立つ者は気前がよくないといけませんからね」
「貰う側が偉そうに言うなよ……」
まあいいけど。
今以上にコクリコが強くなるなら俺達も助かるしな。
「さて、中断したが私からも」
胸元にツッコんでいた手を出し、俺へと向けられる掌に乗っているのは、
「――鰭?」
龍の姿の時に目にした鰭に似ている。
三間槍はありそうな鋭利な鰭条からなる胸鰭から、その鋭利な部分を切り取り、掌サイズにしたものだ。
鮮やかな青色からなる鰭は、室内の光源によって濃淡が変化する。
鰭を象った宝石のようだった。
「私の胸鰭の一部を与えよう」
胸鰭だからね。だから胸に手を突っ込んだんだな。
――つまりは、この鰭からは褐色美人の胸の温もり――が。
「ふふん――」
「変態もいいところ!」
「全くだね!」
「いっだいの!!」
今度は二人してどつきやがって!
コクリコとシャルナの両名に同時にどつかれれば、我慢できずに床を転がってしまう。
ミルモンは俺から華麗に7700。
お偉方がいる中でみっともない事この上ないが、まあ、そのお偉方の前でエロい事を妄想していた俺が悪いので、ここは素直に反省しましょう……。
「賑やかなことだ。敵方である者の前でそうなれるのも、勇者一行としての余裕。だからこそここまで来る事が出来たのだろう」
と、水龍タレスは妙な納得をするけども、
「今はもう敵方じゃないですよ」
と、涙目で頭をさすりつつ返せば、
「確かにな」
と、言いつつベスティリスを見るタレスに俺も視線を追う。
「後で秘密同盟の調印式の段取りでも話しましょうかね」
と、素晴らしい提案を笑みと共に出してくれる。
最高だね。
笑顔も最高だけど、やっとこさここまで来たって感じだよ。
「調印式には興味があるが、私はそろそろこの地を立とう」
「あらそう。ここも寂しくなるわね」
「私もここでの隠遁生活は楽しいものだったよ。ベスティリス」
隠遁生活ね。
封じられていたというのではなく、隠遁生活と言えるくらいには、ここでの生活には自由があったようだ。
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