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天空要塞
PHASE-1579【攻めのバリエーションが増えるね】
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「この地を発つ前に、我が胸鰭の効果を教えておこう」
「お願いします」
――説明を受ける中で、現在の装備の力も再確認。
火龍の鱗からなる装備は、魔法があまり使用できない俺でも、装備に宿った火龍の力を使用して上位魔法が発動可能。
加えてその力を利用し、新たな技を生み出すことも出来る。
身を守る鎧は完全防寒だし、炎系の魔法に対して絶大な耐性も持っている。
地龍の鱗の一欠片からなる勾玉は、身につけていれば完全なる毒耐性の恩恵があり、その勾玉で地面を擦れば、頼れるミスリルゴーレムであるゴロ丸を召喚することが出来る。
ゴロ丸の存在は本当に有り難い。
圧倒的な力。頼れるタンク役。
そして――今回、賜ったのは、鱗ではなく鰭。
再確認の中で説明を受ける胸鰭の効果は、俺に更なる可能性を与えてくれるものだった。
その効果は水中において呼吸が出来るというもの。
加えて、水の抵抗を一切受けなくなる。
一切受けないということだから、瀑布、川の激流。海なら潮の流れや波の衝撃にも耐えることが可能となる。
水中では思考するだけで自由自在な高速移動も可能。
更には水系の魔法の効果もアップ。
自身で習得したのは初歩のウォーターカーテンという相殺魔法だが、数度は相手の攻撃に耐えられるだけのものに変化するという。
自力習得の水系魔法がウォーターカーテンだけという発言をした時、タレスとベスティリスの表情はとても驚いたものだった……。
初歩も初歩である魔法しか使用できない勇者が、これほどの手練れを率いているのか? という心の声が聞こえてくる聞こえてくる……。
ちょっとずつだけど、自力で習得もしているんですよ……。
これからも励んでいくので、相対する両名は驚きの目を向け続けないように……。
コイツで大丈夫なのか? 本当に同盟を結んでもいいものなのか? などと心の中で決して思わないでください……。
ともあれ、
「蹂躙王を攻略した後、溟海王の深海都市で大活躍する素晴らしいアイテムとなりそうですね」
「最大の難関となるであろう蹂躙王ではなく、その先を見据えた発言。蹂躙王に勝つ気でいる思考だけは、勇者然とした素養だな。風龍の巫女よ」
「そのようね」
――思考だけは――の部分がグサリと俺を刺してくる……。
それでもウォーターカーテンしか使えないと知った時よりは、幾分かだけど安心した表情に変わる両名。
「鰭の効果で新しい戦術も立てられそうですからね。今以上の活躍をご期待ください!」
水中で呼吸も出来て、自由に動ける。
そんでもって水の衝撃に耐えられるようになるのならば――、
「単身で敵陣に突っ込んで、大魔法であるスプリームフォールを発動ってのもありだな」
「ウォーターカーテンしか使えないんでしょ?」
「リズベッドの恩恵で使用が可能なんです」
「前魔王からも恩恵を受けているわけね」
「はい。ですので自爆攻撃のような戦術になりますが、これなら味方の巻き添えを回避しつつ発動できますよ」
初期の頃の反省を活かさないといけないからな。
今思えば、ワック・ワックさんを救った時なんて、下手したら命を奪いかねない使用方法だったからな……。
それ以降は禁じ手に位置づけてあまり使用しなかったが、この戦術なら使用も問題ない。
「なんで自爆のような戦術を生み出せて嬉々としているのかしら……」
対面するベスティリスは呆れ顔。
「仲間の事を思っての戦術ということだろう」
と、水龍タレスからのフォロー。
「そんな無茶はさせないように我々が支えますよ」
あらコクリコ。格好いいことを言うじゃないの。
「ですので水龍タレスよ。私にも素敵なアイテムを!」
――……格好悪い発言で継ぐじゃないの……。
きっぱりと断られたけど……。
代表者だけに与えるというタレスの返答に、「ケチッ!」と、言い返せるコクリコの胆力は大したものですよ……。
この世界の理として存在するような立場に対して……。本当に大したもんだよ……。
大したもんだから、後で俺から拳骨をプレゼントしてあげよう。
俺とは違い、堂々と言い切る姿にベスティリスは笑いつつ、
「ロードウィザードの胆力は素晴らしいわね。いいでしょう。ケチな水龍と違い、妾からは前言通り、そのマジックリング二つを与えましょう。他にも使えそうな物を後であげるわね」
「おお! 既に我が物ではありますが、言質を取れたのは喜ばしいです!」
「本当にいい性格してるわよ」
「さて、ならばケチな私はそろそろ退出しよう」
「瘴気の浄化よろしくお願いします」
九十度での最敬礼。
「勇者の期待に応えてみせよう。ではな――」
言えば人型から再び龍の姿へと戻ると、登場時の逆再生とばかりに体を霧散させ、完全に俺達の視界から消える。
で、
「私がこの外殻から出た瞬間――」
と、声だけになり、
「分かっているわよ。ここから真下のルドルクナスに道を作ってあげるから、そこからお帰りくださいね~」
と、ベスティリスが鷹揚に頷きながら言葉を遮る。
「ならば、双方の武運を祈っている」
それを最後に、水龍タレスの声は俺達の耳に届かなくなる。
「それで――タレスが外殻から出たらってのは?」
遮られた部分が気になったので問えば、
「外殻であるルドルクナスは、外からの立ち入りを限定する為でもあるのだけれど、マナの遮断も可能なのよ」
堂々とショゴスのクリスタルを破壊してタレスを解放し、隠遁生活を楽しませることが出来たのも、その遮断効果のおかげってことね。
「お願いします」
――説明を受ける中で、現在の装備の力も再確認。
火龍の鱗からなる装備は、魔法があまり使用できない俺でも、装備に宿った火龍の力を使用して上位魔法が発動可能。
加えてその力を利用し、新たな技を生み出すことも出来る。
身を守る鎧は完全防寒だし、炎系の魔法に対して絶大な耐性も持っている。
地龍の鱗の一欠片からなる勾玉は、身につけていれば完全なる毒耐性の恩恵があり、その勾玉で地面を擦れば、頼れるミスリルゴーレムであるゴロ丸を召喚することが出来る。
ゴロ丸の存在は本当に有り難い。
圧倒的な力。頼れるタンク役。
そして――今回、賜ったのは、鱗ではなく鰭。
再確認の中で説明を受ける胸鰭の効果は、俺に更なる可能性を与えてくれるものだった。
その効果は水中において呼吸が出来るというもの。
加えて、水の抵抗を一切受けなくなる。
一切受けないということだから、瀑布、川の激流。海なら潮の流れや波の衝撃にも耐えることが可能となる。
水中では思考するだけで自由自在な高速移動も可能。
更には水系の魔法の効果もアップ。
自身で習得したのは初歩のウォーターカーテンという相殺魔法だが、数度は相手の攻撃に耐えられるだけのものに変化するという。
自力習得の水系魔法がウォーターカーテンだけという発言をした時、タレスとベスティリスの表情はとても驚いたものだった……。
初歩も初歩である魔法しか使用できない勇者が、これほどの手練れを率いているのか? という心の声が聞こえてくる聞こえてくる……。
ちょっとずつだけど、自力で習得もしているんですよ……。
これからも励んでいくので、相対する両名は驚きの目を向け続けないように……。
コイツで大丈夫なのか? 本当に同盟を結んでもいいものなのか? などと心の中で決して思わないでください……。
ともあれ、
「蹂躙王を攻略した後、溟海王の深海都市で大活躍する素晴らしいアイテムとなりそうですね」
「最大の難関となるであろう蹂躙王ではなく、その先を見据えた発言。蹂躙王に勝つ気でいる思考だけは、勇者然とした素養だな。風龍の巫女よ」
「そのようね」
――思考だけは――の部分がグサリと俺を刺してくる……。
それでもウォーターカーテンしか使えないと知った時よりは、幾分かだけど安心した表情に変わる両名。
「鰭の効果で新しい戦術も立てられそうですからね。今以上の活躍をご期待ください!」
水中で呼吸も出来て、自由に動ける。
そんでもって水の衝撃に耐えられるようになるのならば――、
「単身で敵陣に突っ込んで、大魔法であるスプリームフォールを発動ってのもありだな」
「ウォーターカーテンしか使えないんでしょ?」
「リズベッドの恩恵で使用が可能なんです」
「前魔王からも恩恵を受けているわけね」
「はい。ですので自爆攻撃のような戦術になりますが、これなら味方の巻き添えを回避しつつ発動できますよ」
初期の頃の反省を活かさないといけないからな。
今思えば、ワック・ワックさんを救った時なんて、下手したら命を奪いかねない使用方法だったからな……。
それ以降は禁じ手に位置づけてあまり使用しなかったが、この戦術なら使用も問題ない。
「なんで自爆のような戦術を生み出せて嬉々としているのかしら……」
対面するベスティリスは呆れ顔。
「仲間の事を思っての戦術ということだろう」
と、水龍タレスからのフォロー。
「そんな無茶はさせないように我々が支えますよ」
あらコクリコ。格好いいことを言うじゃないの。
「ですので水龍タレスよ。私にも素敵なアイテムを!」
――……格好悪い発言で継ぐじゃないの……。
きっぱりと断られたけど……。
代表者だけに与えるというタレスの返答に、「ケチッ!」と、言い返せるコクリコの胆力は大したものですよ……。
この世界の理として存在するような立場に対して……。本当に大したもんだよ……。
大したもんだから、後で俺から拳骨をプレゼントしてあげよう。
俺とは違い、堂々と言い切る姿にベスティリスは笑いつつ、
「ロードウィザードの胆力は素晴らしいわね。いいでしょう。ケチな水龍と違い、妾からは前言通り、そのマジックリング二つを与えましょう。他にも使えそうな物を後であげるわね」
「おお! 既に我が物ではありますが、言質を取れたのは喜ばしいです!」
「本当にいい性格してるわよ」
「さて、ならばケチな私はそろそろ退出しよう」
「瘴気の浄化よろしくお願いします」
九十度での最敬礼。
「勇者の期待に応えてみせよう。ではな――」
言えば人型から再び龍の姿へと戻ると、登場時の逆再生とばかりに体を霧散させ、完全に俺達の視界から消える。
で、
「私がこの外殻から出た瞬間――」
と、声だけになり、
「分かっているわよ。ここから真下のルドルクナスに道を作ってあげるから、そこからお帰りくださいね~」
と、ベスティリスが鷹揚に頷きながら言葉を遮る。
「ならば、双方の武運を祈っている」
それを最後に、水龍タレスの声は俺達の耳に届かなくなる。
「それで――タレスが外殻から出たらってのは?」
遮られた部分が気になったので問えば、
「外殻であるルドルクナスは、外からの立ち入りを限定する為でもあるのだけれど、マナの遮断も可能なのよ」
堂々とショゴスのクリスタルを破壊してタレスを解放し、隠遁生活を楽しませることが出来たのも、その遮断効果のおかげってことね。
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