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天空要塞
PHASE-1580【釣り合わないとね】
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隠遁生活をやめ、水龍タレスが遮断効果のある外殻・ルドルクナスから外へと出たその瞬間、ショゴスには感知されるってことになるわけだが――。
「どのみち、妾達は勇者に負けたわけだから、解放されて当然なのは当然」
とのこと。
「大幹部の一角が敗北となれば、お宅や幹部達への査問会議が開かれるのではないかな」
ゲッコーさんの質問に、それはどの組織においてもそうでしょうとベスティリス。
上手く対応するし、この位置からフロトレムリを動かすつもりもないと申し開くそうだ。
勇者一行の活躍によって、要塞の下方に位置する領地も活発化し、その牽制にも従事しないといけない。
それも要塞の主と幹部達が負傷する中で行わないとならないので、魔大陸――レティアラ大陸へと戻る事も難しいと、兎に角それらしい弁解で誤魔化すそうだ。
「それでショゴスや周囲の連中が納得し、翼幻王殿が魔王軍の戦力に編制されない流れになるのなら、好きなだけ俺達を言い訳に使ってください」
「そうなれば、貴方たちに対する脅威は更に引き上がることになるでしょうね」
「でしょうね。まあ、そもそもショゴス自身が俺にご執心との事ですからね。どのみち苛烈になるのは覚悟していますよ」
「良い心構えね。貴方たちがアナクシメネス様を救い出してくれれば、妾達は玉体をこの地に避難させた後、貴方たちの元へと馳せ参じましょう」
「その言葉はこちらの戦意を大いに高めてくれるものです」
「耳にすることが可能なのも、貴方たちが妾が思い描いていた以上に期待できる者達だったから。誇っていいわよ」
「誇りましょう」
「上からな言い様だったのに、眉を顰めることなくそう言いきれるのは美徳よね」
上から物を言う連中には慣れているからね。
その程度で一々と不快感を抱く事はなくなったよ。
実際、立場としては俺よりも上の存在だろうし。
一応は公爵という立場だけど、人間の公爵と、風龍の巫女であり魔王軍大幹部の一角と比べればね。
――上も上だよ。
で、俺よりも上となれば、
「この報を我々の王が耳にすれば、大地を震わせるほどの喜びを体全体で表現することでしょう。よろしければ調印式の段取りを直ぐに決めて、翼幻王殿との会談が早期に成されれば更に良いかと。もちろん内々によるものですが」
「その時が来たらそうさせてもらいましょう。いま妾が直接王都へと赴くとなれば、王都で生き残った者達は妾を怖がるかもしれないから」
王都侵攻には参加していないとはいえ、蹂躙王の軍勢の侵攻準備が整うまでは、翼幻王率いる有翼の部隊が王軍を苦しめたということだからな。
王都の生き残りの中には、それを経験している者達もいるはずだ。
自分たちを大いに苦しめた連中のトップの来訪となれば、いざこざが起こることも考えられる。
「ならば我々が下地を作っておきましょう」
「そうしてもらえると助かるわね」
「ではそういった段取りでいきましょう。それでは――」
この報告を王様に――と、続けようとしたところで、
「待ちなさい。口約束だけでは駄目でしょう」
「――確かに」
「こういったのは、ちゃんと証拠として残しておかないとね」
「――確かに」
秘密同盟――といってもまだ仮契約のようなもの。
風龍を救い出したところでベスティリス達による本格参戦。
その旨を伝える手紙を書くそうな。
時が来れば、同盟の為の調印式を正式に開き、両陣営のトップによる対面からの署名と押印。
これは必ず達成させねばならないな!
「風龍――アナクシメネスを必ず救い出してみせます!」
「頼りになる声ね」
信頼してくれているのは表情から伝わってくる。
こちらの鼓動を高める柔和な笑みを向けられれば、俺って男は頑張れるってもんですよ。
「何よりもまずは南だね」
「おうよミルモン」
「オイラ、もっともっと頑張るよ」
「頼りにしてるぞ!」
「本当に頼りになるのかな~」
――……ここで俺達の意気込みを挫くかのような小馬鹿な言い方は……ポームス。
「あ? なに負けた側が言ってんの?」
意気込みの腰を折られた事で、俺の左肩に座る小悪魔は不快感まる出し。
「やめなさい。みっともないから」
「う、うぅぅ……」
ここでベスティリスが窘めれば、悔しそうに声を漏らすポームス。
これを見てミルモンは鼻を鳴らして上機嫌。
これには主として俺がミルモンを窘めれば、ポームス同様のリアクションとなる。
やれやれ……、同身長によるライバル意識は、俺達が思っている以上に強いようだ。
「さて、祝勝会でも開こうかしら? 敗北した側が提案するのもなんだけど」
「いえいえ、直ぐにでも王都に戻って報告をしたいところです」
なんだかんだでまだ正規の同盟を結んでいるわけじゃないからね。
ベスティリスやクロウス氏たちはいいとしても、他の面子――特にストームトルーパーの面々が敵対してきても嫌だしな。
ラズヴァートに挑発されれば、俺もミルモンの事を言えないくらいの口論に発展する可能性もあるし。
「ま、そう言わず少しは休んでいくといいわ。流石に心の疲労までは取れていないでしょうからね」
「助かります」
おう!? ベルが言うか。
最も重要なところで矢面に立ってくれたからな。凛とした表情を崩すことはなくても、心底ではしんどいってところか。
「では、お言葉に甘えて」
皆を見れば、顔から疲労感が滲み出ていたので、ご厚意に甘えさせてもらう。
相手の提案に応じれば、俺にだけ聞こえるくらいの音量で、側に立つゲッコーさんも溜め息を漏らす。
強者二人が揃って疲労を見せるのは火龍戦以来かな。
それだけ今回の強者達との戦いが苛烈だったということだな。
俺だけじゃどうやっても攻略不可能の天空要塞。
ちらりとプレイギアが入ったポーチに目を落とす。
――律しつつも、使う時には使わないとな。
それこそ最強格の投入も考えていかないと。
スパルタ二人もベスティリスの発言を正論として受け止めていた。
手の届かない者達を救う為にも、力を振るわないといけない時には振るわなければならない。
俺自身もその力に釣り合うために、心身共に精進せねば。
クロウス氏との戦闘にてボドキンと烈火の複合による新技も生まれたし、アドゥサル戦において新たな可能性も見いだした。
見いだした可能性を新技へと昇華させないとね。
「どのみち、妾達は勇者に負けたわけだから、解放されて当然なのは当然」
とのこと。
「大幹部の一角が敗北となれば、お宅や幹部達への査問会議が開かれるのではないかな」
ゲッコーさんの質問に、それはどの組織においてもそうでしょうとベスティリス。
上手く対応するし、この位置からフロトレムリを動かすつもりもないと申し開くそうだ。
勇者一行の活躍によって、要塞の下方に位置する領地も活発化し、その牽制にも従事しないといけない。
それも要塞の主と幹部達が負傷する中で行わないとならないので、魔大陸――レティアラ大陸へと戻る事も難しいと、兎に角それらしい弁解で誤魔化すそうだ。
「それでショゴスや周囲の連中が納得し、翼幻王殿が魔王軍の戦力に編制されない流れになるのなら、好きなだけ俺達を言い訳に使ってください」
「そうなれば、貴方たちに対する脅威は更に引き上がることになるでしょうね」
「でしょうね。まあ、そもそもショゴス自身が俺にご執心との事ですからね。どのみち苛烈になるのは覚悟していますよ」
「良い心構えね。貴方たちがアナクシメネス様を救い出してくれれば、妾達は玉体をこの地に避難させた後、貴方たちの元へと馳せ参じましょう」
「その言葉はこちらの戦意を大いに高めてくれるものです」
「耳にすることが可能なのも、貴方たちが妾が思い描いていた以上に期待できる者達だったから。誇っていいわよ」
「誇りましょう」
「上からな言い様だったのに、眉を顰めることなくそう言いきれるのは美徳よね」
上から物を言う連中には慣れているからね。
その程度で一々と不快感を抱く事はなくなったよ。
実際、立場としては俺よりも上の存在だろうし。
一応は公爵という立場だけど、人間の公爵と、風龍の巫女であり魔王軍大幹部の一角と比べればね。
――上も上だよ。
で、俺よりも上となれば、
「この報を我々の王が耳にすれば、大地を震わせるほどの喜びを体全体で表現することでしょう。よろしければ調印式の段取りを直ぐに決めて、翼幻王殿との会談が早期に成されれば更に良いかと。もちろん内々によるものですが」
「その時が来たらそうさせてもらいましょう。いま妾が直接王都へと赴くとなれば、王都で生き残った者達は妾を怖がるかもしれないから」
王都侵攻には参加していないとはいえ、蹂躙王の軍勢の侵攻準備が整うまでは、翼幻王率いる有翼の部隊が王軍を苦しめたということだからな。
王都の生き残りの中には、それを経験している者達もいるはずだ。
自分たちを大いに苦しめた連中のトップの来訪となれば、いざこざが起こることも考えられる。
「ならば我々が下地を作っておきましょう」
「そうしてもらえると助かるわね」
「ではそういった段取りでいきましょう。それでは――」
この報告を王様に――と、続けようとしたところで、
「待ちなさい。口約束だけでは駄目でしょう」
「――確かに」
「こういったのは、ちゃんと証拠として残しておかないとね」
「――確かに」
秘密同盟――といってもまだ仮契約のようなもの。
風龍を救い出したところでベスティリス達による本格参戦。
その旨を伝える手紙を書くそうな。
時が来れば、同盟の為の調印式を正式に開き、両陣営のトップによる対面からの署名と押印。
これは必ず達成させねばならないな!
「風龍――アナクシメネスを必ず救い出してみせます!」
「頼りになる声ね」
信頼してくれているのは表情から伝わってくる。
こちらの鼓動を高める柔和な笑みを向けられれば、俺って男は頑張れるってもんですよ。
「何よりもまずは南だね」
「おうよミルモン」
「オイラ、もっともっと頑張るよ」
「頼りにしてるぞ!」
「本当に頼りになるのかな~」
――……ここで俺達の意気込みを挫くかのような小馬鹿な言い方は……ポームス。
「あ? なに負けた側が言ってんの?」
意気込みの腰を折られた事で、俺の左肩に座る小悪魔は不快感まる出し。
「やめなさい。みっともないから」
「う、うぅぅ……」
ここでベスティリスが窘めれば、悔しそうに声を漏らすポームス。
これを見てミルモンは鼻を鳴らして上機嫌。
これには主として俺がミルモンを窘めれば、ポームス同様のリアクションとなる。
やれやれ……、同身長によるライバル意識は、俺達が思っている以上に強いようだ。
「さて、祝勝会でも開こうかしら? 敗北した側が提案するのもなんだけど」
「いえいえ、直ぐにでも王都に戻って報告をしたいところです」
なんだかんだでまだ正規の同盟を結んでいるわけじゃないからね。
ベスティリスやクロウス氏たちはいいとしても、他の面子――特にストームトルーパーの面々が敵対してきても嫌だしな。
ラズヴァートに挑発されれば、俺もミルモンの事を言えないくらいの口論に発展する可能性もあるし。
「ま、そう言わず少しは休んでいくといいわ。流石に心の疲労までは取れていないでしょうからね」
「助かります」
おう!? ベルが言うか。
最も重要なところで矢面に立ってくれたからな。凛とした表情を崩すことはなくても、心底ではしんどいってところか。
「では、お言葉に甘えて」
皆を見れば、顔から疲労感が滲み出ていたので、ご厚意に甘えさせてもらう。
相手の提案に応じれば、俺にだけ聞こえるくらいの音量で、側に立つゲッコーさんも溜め息を漏らす。
強者二人が揃って疲労を見せるのは火龍戦以来かな。
それだけ今回の強者達との戦いが苛烈だったということだな。
俺だけじゃどうやっても攻略不可能の天空要塞。
ちらりとプレイギアが入ったポーチに目を落とす。
――律しつつも、使う時には使わないとな。
それこそ最強格の投入も考えていかないと。
スパルタ二人もベスティリスの発言を正論として受け止めていた。
手の届かない者達を救う為にも、力を振るわないといけない時には振るわなければならない。
俺自身もその力に釣り合うために、心身共に精進せねば。
クロウス氏との戦闘にてボドキンと烈火の複合による新技も生まれたし、アドゥサル戦において新たな可能性も見いだした。
見いだした可能性を新技へと昇華させないとね。
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