1,591 / 1,861
天空要塞
PHASE-1591【デコピン】
しおりを挟む
ベルと似たポンコツなこの要塞の主様。
となれば、好みのタイプも似た感じだろうな。
ベルが心を射抜かれたゴロ太と出会ったら、文字通り飛び上がって喜ぶことだろう。
間違いなくゴロ太の虜になってしまうね。
ポームスもモフモフだし。
ゴロ太はこっちサイドとベスティリス達との間を取り持ってくれる友好の象徴となってくれるかもしれない。
まあそれは追々、同盟が大々的に世間へと広がった時だな。
いまは――、
「決着だからな。後腐れないように二人とも握手で終わろうか」
提案すれば、唇を尖らせながらも、
「兄ちゃんが言うなら仕方ない」
渋々とだが受け入れるミルモン。
ポームスもベスティリスに促されて従う。
やはり相性は良いようだな。二人揃って同じ顔なんだから。
唇を尖らせ、そっぽを向きながらもお互いに近づき、さっと手を出して握手を交わす。
「相手の攻撃の良かったところをお互いに一言」
ここでも提案すれば、もの凄く嫌な顔ではあるが、
「いいタックルだったと思うよ。次があれば二度と受けることなく圧勝するけどさ」
「回転蹴りは凄かったよ。次があれば足癖の悪さを出させることなく完勝するけどね」
「はあ!」
「なんだよ!」
「言い合いしない。お互いに称賛するところは称賛する。それが出来てこそ、強者への道を歩める」
認めないといけないところは認めないとな。それを怠ればその部分で足を掬われる。
俺も戒めとしている。
「高みを目指したいなら、心底に刻んでおくように」
継げば、両名とも素直に返事をしてくれた。
自分たちもそれは分かっているってことなんだろう。
だからなのかな、回復をしようとするベスティリスの厚意を断った。
理由は、この痛みを忘れず、次の成長の糧にしたいからだそうだ。
二人揃ってそう言うんだからね。
背格好だけでなく性格も似ているようだ。
そういった考え方は素晴らしいとしても――、
「「あいたっ!?」」
悪い事もしたので折檻もしとかないとな。
なにするのさ! と、俺を見上げてくる涙目の二人。
「食べ物を武器にするからだ」
「「あ、はい……」」
「本来なら拳骨だったけども、二人とも十分に痛い思いをしているからな。デコピンで勘弁してやる」
――……そんでもって……、
「これは必要な事だから!」
振り向きと同時に美人二人に説明。
やはりと言うべきか、俺のデコピン行為に対し、不服な顔になっていた。
でも食べ物を使って攻撃したのは事実なので、必要な折檻だと美人二人は納得してくれた。
良かった。ボコられなくて。
――愛らしい二名による天空要塞フロトレムリでの最終戦はドロー。
要塞の主は敗北宣言をしたけども、初手からこちらの力を推し量るような戦い方しかしてこなかったしな。
全力で来られていたら本当にやばかった。
なので俺達の戦いはドローでもいいのかもしれない。
――台詞として口からは出しませんけども。
出してしまえば、ストームトルーパーの面々を調子づかせてしまうからな。
そこはクレバーにやらせてもらいます。
――。
客室を借りての一泊。
身の回りの世話はクロウス氏が担当してくれた。
有りがたいが、ナンバーツーのポジションにそんなことをされると非常に緊張。
緊張で疲れはとれないよ。と、思っていたが体は正直。
擦り切れた精神の回復とばかりに、腹を満たして汗を洗い流せば、ベッドに入ったと同時に意識が飛び、あっという間に次の日となっていた。
「兄ちゃん、おはよう」
「おう、顔の腫れは少しは治って――ないな」
「大丈夫だよ。こんなの痛くないし! 疲れてもないよ!」
そうは言うが、腫れた目にはクマができている。
決闘後に再開された会食以降も、回復魔法やポーションに意地でも頼らなかったミルモンとポームスの男らしさよ。
回復を断った二人に、今日は寝ないで起きておくことだ。と、ゲッコーさんからのアドバイス。
ボクシングや格闘技の試合後、顔が腫れた時は寝ないで起きているそうだ。
横になることで血の巡りが良くなり、急激な自然治癒に繋がるそうだ。
この自然治癒が逆に体の負担になるそうで、腫れが余計にひどくなって熱も出るという。
座って腫れた部分を冷やすのが効果的とのこと。
素直にファンタジー世界の力の恩恵を受けとけば良かっただろうに。
二人揃って意地を張ったもんだよ。
目のクマからして、しばらくすれば寝ちゃうだろうから、その間にシャルナに回復してもらおう。
――着替えを済ませればノック音。
まるでこっちの動きが筒抜けのようなタイミング。
監視カメラ的な物でも仕掛けられているかと部屋全体を見渡してしまう。
「よろしいでしょうか」
忙しなく頭を動かしている中でドア向こうからの声。
声の主は昨晩から俺達の世話をしてくれているクロウス氏。
「どうぞ」
許可を出せば、
「おはようございます」
と、執事然とした典雅な一礼による朝の挨拶。
オウム返しで挨拶をし、
「わざわざ起こしに来なくてもいいんですよ」
「これは申し訳ございません」
しまった! なんか嫌味な言い方になってしまった……。
クロウス氏の顔が曇ってしまう。
「違うんですよ。貴男ほどの御仁に起こされるほどの存在ではないんですよ。俺なんて庶民は」
「いえいえ、勇者殿であり公爵様ではありませんか」
まあ、そうですけど。
「今後のお付き合い。それも物資の提供をしてくださる御方なのです。私がお世話をするのが当然です」
そんなに胸を張られて言われれば、拒むことも出来ません。
可能であったのなら、美人のメイドさんも一緒だったら凄く嬉しかったんですがね。
――昨日に続き、今朝も大立者が一人で俺の身の回りを世話してくれた。
――……で……、
「ぬぅぅぅ……なぜだ……」
広間にて皆と合流。
――……なぜ皆には綺麗なメイドさんがついているんだ……。
俺も美翼人メイドさんがよかった……。
となれば、好みのタイプも似た感じだろうな。
ベルが心を射抜かれたゴロ太と出会ったら、文字通り飛び上がって喜ぶことだろう。
間違いなくゴロ太の虜になってしまうね。
ポームスもモフモフだし。
ゴロ太はこっちサイドとベスティリス達との間を取り持ってくれる友好の象徴となってくれるかもしれない。
まあそれは追々、同盟が大々的に世間へと広がった時だな。
いまは――、
「決着だからな。後腐れないように二人とも握手で終わろうか」
提案すれば、唇を尖らせながらも、
「兄ちゃんが言うなら仕方ない」
渋々とだが受け入れるミルモン。
ポームスもベスティリスに促されて従う。
やはり相性は良いようだな。二人揃って同じ顔なんだから。
唇を尖らせ、そっぽを向きながらもお互いに近づき、さっと手を出して握手を交わす。
「相手の攻撃の良かったところをお互いに一言」
ここでも提案すれば、もの凄く嫌な顔ではあるが、
「いいタックルだったと思うよ。次があれば二度と受けることなく圧勝するけどさ」
「回転蹴りは凄かったよ。次があれば足癖の悪さを出させることなく完勝するけどね」
「はあ!」
「なんだよ!」
「言い合いしない。お互いに称賛するところは称賛する。それが出来てこそ、強者への道を歩める」
認めないといけないところは認めないとな。それを怠ればその部分で足を掬われる。
俺も戒めとしている。
「高みを目指したいなら、心底に刻んでおくように」
継げば、両名とも素直に返事をしてくれた。
自分たちもそれは分かっているってことなんだろう。
だからなのかな、回復をしようとするベスティリスの厚意を断った。
理由は、この痛みを忘れず、次の成長の糧にしたいからだそうだ。
二人揃ってそう言うんだからね。
背格好だけでなく性格も似ているようだ。
そういった考え方は素晴らしいとしても――、
「「あいたっ!?」」
悪い事もしたので折檻もしとかないとな。
なにするのさ! と、俺を見上げてくる涙目の二人。
「食べ物を武器にするからだ」
「「あ、はい……」」
「本来なら拳骨だったけども、二人とも十分に痛い思いをしているからな。デコピンで勘弁してやる」
――……そんでもって……、
「これは必要な事だから!」
振り向きと同時に美人二人に説明。
やはりと言うべきか、俺のデコピン行為に対し、不服な顔になっていた。
でも食べ物を使って攻撃したのは事実なので、必要な折檻だと美人二人は納得してくれた。
良かった。ボコられなくて。
――愛らしい二名による天空要塞フロトレムリでの最終戦はドロー。
要塞の主は敗北宣言をしたけども、初手からこちらの力を推し量るような戦い方しかしてこなかったしな。
全力で来られていたら本当にやばかった。
なので俺達の戦いはドローでもいいのかもしれない。
――台詞として口からは出しませんけども。
出してしまえば、ストームトルーパーの面々を調子づかせてしまうからな。
そこはクレバーにやらせてもらいます。
――。
客室を借りての一泊。
身の回りの世話はクロウス氏が担当してくれた。
有りがたいが、ナンバーツーのポジションにそんなことをされると非常に緊張。
緊張で疲れはとれないよ。と、思っていたが体は正直。
擦り切れた精神の回復とばかりに、腹を満たして汗を洗い流せば、ベッドに入ったと同時に意識が飛び、あっという間に次の日となっていた。
「兄ちゃん、おはよう」
「おう、顔の腫れは少しは治って――ないな」
「大丈夫だよ。こんなの痛くないし! 疲れてもないよ!」
そうは言うが、腫れた目にはクマができている。
決闘後に再開された会食以降も、回復魔法やポーションに意地でも頼らなかったミルモンとポームスの男らしさよ。
回復を断った二人に、今日は寝ないで起きておくことだ。と、ゲッコーさんからのアドバイス。
ボクシングや格闘技の試合後、顔が腫れた時は寝ないで起きているそうだ。
横になることで血の巡りが良くなり、急激な自然治癒に繋がるそうだ。
この自然治癒が逆に体の負担になるそうで、腫れが余計にひどくなって熱も出るという。
座って腫れた部分を冷やすのが効果的とのこと。
素直にファンタジー世界の力の恩恵を受けとけば良かっただろうに。
二人揃って意地を張ったもんだよ。
目のクマからして、しばらくすれば寝ちゃうだろうから、その間にシャルナに回復してもらおう。
――着替えを済ませればノック音。
まるでこっちの動きが筒抜けのようなタイミング。
監視カメラ的な物でも仕掛けられているかと部屋全体を見渡してしまう。
「よろしいでしょうか」
忙しなく頭を動かしている中でドア向こうからの声。
声の主は昨晩から俺達の世話をしてくれているクロウス氏。
「どうぞ」
許可を出せば、
「おはようございます」
と、執事然とした典雅な一礼による朝の挨拶。
オウム返しで挨拶をし、
「わざわざ起こしに来なくてもいいんですよ」
「これは申し訳ございません」
しまった! なんか嫌味な言い方になってしまった……。
クロウス氏の顔が曇ってしまう。
「違うんですよ。貴男ほどの御仁に起こされるほどの存在ではないんですよ。俺なんて庶民は」
「いえいえ、勇者殿であり公爵様ではありませんか」
まあ、そうですけど。
「今後のお付き合い。それも物資の提供をしてくださる御方なのです。私がお世話をするのが当然です」
そんなに胸を張られて言われれば、拒むことも出来ません。
可能であったのなら、美人のメイドさんも一緒だったら凄く嬉しかったんですがね。
――昨日に続き、今朝も大立者が一人で俺の身の回りを世話してくれた。
――……で……、
「ぬぅぅぅ……なぜだ……」
広間にて皆と合流。
――……なぜ皆には綺麗なメイドさんがついているんだ……。
俺も美翼人メイドさんがよかった……。
1
あなたにおすすめの小説
凡人がおまけ召喚されてしまった件
根鳥 泰造
ファンタジー
勇者召喚に巻き込まれて、異世界にきてしまった祐介。最初は勇者の様に大切に扱われていたが、ごく普通の才能しかないので、冷遇されるようになり、ついには王宮から追い出される。
仕方なく冒険者登録することにしたが、この世界では希少なヒーラー適正を持っていた。一年掛けて治癒魔法を習得し、治癒剣士となると、引く手あまたに。しかも、彼は『強欲』という大罪スキルを持っていて、倒した敵のスキルを自分のものにできるのだ。
それらのお蔭で、才能は凡人でも、数多のスキルで能力を補い、熟練度は飛びぬけ、高難度クエストも熟せる有名冒険者となる。そして、裏では気配消去や不可視化スキルを活かして、暗殺という裏の仕事も始めた。
異世界に来て八年後、その暗殺依頼で、召喚勇者の暗殺を受けたのだが、それは祐介を捕まえるための罠だった。祐介が暗殺者になっていると知った勇者が、改心させよう企てたもので、その後は勇者一行に加わり、魔王討伐の旅に同行することに。
最初は脅され渋々同行していた祐介も、勇者や仲間の思いをしり、どんどん勇者が好きになり、勇者から告白までされる。
だが、魔王を討伐を成し遂げるも、魔王戦で勇者は祐介を庇い、障害者になる。
祐介は、勇者の嘘で、病院を作り、医師の道を歩みだすのだった。
最強の異世界やりすぎ旅行記
萩場ぬし
ファンタジー
主人公こと小鳥遊 綾人(たかなし あやと)はある理由から毎日のように体を鍛えていた。
そんなある日、突然知らない真っ白な場所で目を覚ます。そこで綾人が目撃したものは幼い少年の容姿をした何か。そこで彼は告げられる。
「なんと! 君に異世界へ行く権利を与えようと思います!」
バトルあり!笑いあり!ハーレムもあり!?
最強が無双する異世界ファンタジー開幕!
夢幻の錬金術師 ~【異空間収納】【錬金術】【鑑定】【スキル剥奪&付与】を兼ね備えたチートスキル【錬金工房】で最強の錬金術師として成り上がる~
青山 有
ファンタジー
女神の助手として異世界に召喚された厨二病少年・神薙拓光。
彼が手にしたユニークスキルは【錬金工房】。
ただでさえ、魔法があり魔物がはびこる危険な世界。そこを生産職の助手と巡るのかと、女神も頭を抱えたのだが……。
彼の持つ【錬金工房】は、レアスキルである【異空間収納】【錬金術】【鑑定】の上位互換機能を合わせ持ってるだけでなく、スキルの【剥奪】【付与】まで行えるという、女神の想像を遥かに超えたチートスキルだった。
これは一人の少年が異世界で伝説の錬金術師として成り上がっていく物語。
※カクヨムにも投稿しています
貧弱の英雄
カタナヅキ
ファンタジー
この世界では誰もが生まれた時から「異能」と「レベル」呼ばれる能力を身に付けており、人々はレベルを上げて自分の能力を磨き、それに適した職業に就くのが当たり前だった。しかし、山奥で捨てられていたところを狩人に拾われ、後に「ナイ」と名付けられた少年は「貧弱」という異能の中でも異質な能力を身に付けていた。
貧弱の能力の効果は日付が変更される度に強制的にレベルがリセットされてしまい、生まれた時からナイは「レベル1」だった。どれだけ努力してレベルを上げようと日付変わる度にレベル1に戻ってしまい、レベルで上がった分の能力が低下してしまう。
自分の貧弱の技能に悲観する彼だったが、ある時にレベルを上昇させるときに身に付ける「SP」の存在を知る。これを使用すれば「技能」と呼ばれる様々な技術を身に付ける事を知り、レベルが毎日のようにリセットされる事を逆に利用して彼はSPを溜めて数々の技能を身に付け、落ちこぼれと呼んだ者達を見返すため、底辺から成り上がる――
※修正要請のコメントは対処後に削除します。
異世界に召喚されて2日目です。クズは要らないと追放され、激レアユニークスキルで危機回避したはずが、トラブル続きで泣きそうです。
もにゃむ
ファンタジー
父親に教師になる人生を強要され、父親が死ぬまで自分の望む人生を歩むことはできないと、人生を諦め淡々とした日々を送る清泉だったが、夏休みの補習中、突然4人の生徒と共に光に包まれ異世界に召喚されてしまう。
異世界召喚という非現実的な状況に、教師1年目の清泉が状況把握に努めていると、ステータスを確認したい召喚者と1人の生徒の間にトラブル発生。
ステータスではなく職業だけを鑑定することで落ち着くも、清泉と女子生徒の1人は職業がクズだから要らないと、王都追放を言い渡されてしまう。
残留組の2人の生徒にはクズな職業だと蔑みの目を向けられ、
同時に追放を言い渡された女子生徒は問題行動が多すぎて退学させるための監視対象で、
追加で追放を言い渡された男子生徒は言動に違和感ありまくりで、
清泉は1人で自由に生きるために、問題児たちからさっさと離れたいと思うのだが……
冷遇された聖女の結末
菜花
恋愛
異世界を救う聖女だと冷遇された毛利ラナ。けれど魔力慣らしの旅に出た途端に豹変する同行者達。彼らは同行者の一人のセレスティアを称えラナを貶める。知り合いもいない世界で心がすり減っていくラナ。彼女の迎える結末は――。
本編にプラスしていくつかのifルートがある長編。
カクヨムにも同じ作品を投稿しています。
神の加護を受けて異世界に
モンド
ファンタジー
親に言われるまま学校や塾に通い、卒業後は親の進める親族の会社に入り、上司や親の進める相手と見合いし、結婚。
その後馬車馬のように働き、特別好きな事をした覚えもないまま定年を迎えようとしている主人公、あとわずか数日の会社員生活でふと、何かに誘われるように会社を無断で休み、海の見える高台にある、神社に立ち寄った。
そこで野良犬に噛み殺されそうになっていた狐を助けたがその際、野良犬に喉笛を噛み切られその命を終えてしまうがその時、神社から不思議な光が放たれ新たな世界に生まれ変わる、そこでは自分の意思で何もかもしなければ生きてはいけない厳しい世界しかし、生きているという実感に震える主人公が、力強く生きるながら信仰と奇跡にに導かれて神に至る物語。
異世界へ行って帰って来た
バルサック
ファンタジー
ダンジョンの出現した日本で、じいさんの形見となった指輪で異世界へ行ってしまった。
そして帰って来た。2つの世界を往来できる力で様々な体験をする神須勇だった。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる