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天空要塞
PHASE-1590【食卓決着】
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――ガイナ立ちで自信に満ちあふれるミルモン。
転がり倒れながらも負けん気な睨みで返すポームス。
二人揃って闘気が漲っている……のだが……。
そんな二人を見る美人二人の顔は、血の気が引いて真っ青だった……。
見るに堪えないのだろうが、愛らしい二人から視線を逸らすことはない。
視線を逸らすことは、戦う二人に対して非礼。
辛くとも事の顛末を見守る姿勢である。
――……だが時折、二人して俺を見てくる……。
もう、いいんじゃないか? そういった思い――というか圧を与えてくる……。
俺だって可愛らしい二人が傷ついていくのを見続けるのは辛いんだよ。
でもね――、
「ま、まだまだだよ……」
ふらつきながらも立ち上がるポームス。
戦う姿勢を見せる以上、止めるのは無粋であり侮辱だからな。
一応、
「ポームス、まだやれるか? やれるならファイティングポーズを」
言えば、
「もちろんだね!」
構えてみせる。
「まだやる気なんだ。大したもんだよ」
と、自信は見せても余裕という過信は見せないとばかりにミルモンも構え、
「次で確実に仕留めてあげるよ。ケサランパサラン!」
「やってみなよエセコウモリ!」
ポームス――食卓を強く踏みしだきながら前へ。
さっきまでの不動の構えとは違い、ミルモンに向かって足を止めることなく突撃。
ミルモンも同様。
――双方、驀地。
フェイントなんて入れない。ただ真っ直ぐ。
小賢しい手段による攻撃ではなく、真正面からの一撃を狙っている。
力で完膚なきまでに叩き伏せることで、自分の方が強いと相手に分からせてやる! そういった気持ちを乗せた――、
「見事な一撃」
は、決着をつけるには十分な威力だった。
まあ――、
「相打ちでいいですかね」
「だな」
解説役のゲッコーさんも同意見。
お互いの拳がぽかりと決まる。
もちもちほっぺへと食い込むポームスの拳。
モフモフほっぺへと食い込むミルモンの拳。
打撃音は俺達が経験している戦闘に比べれば可愛いものだけども、戦う当人達にとっては強烈な一撃であったことは確か。
打ち込み、打ち込まれた双方は仲良く膝から崩れおちる。
ローリングソバットを見舞った時は、このまま勝てるかと思ったけど、マウントを取られた時のダメージ蓄積はかなりのものだったようだな。
「仕切り役」
解説役からの一言に頷きで返しつつ、
「ドロー。この決闘はドローとする」
大の字で倒れる二人。
俺の裁定に納得はしているのか、異を唱えることなく寝そべって立ち上がる事はない。
「早く回復を」
「もちろん!」
決着がついたところでベルが促し、ベスティリスが回復魔法を唱えようとすれば、
「結構です」
寝そべったままポームスが回復を拒否。
「まったくだね」
これにミルモンも続く。
「分かってるじゃないか。チビ悪魔」
「チビの獣と違って、オイラは幾多もの戦いを経験しているんだよ。だからこそ戦いの流儀ってのも知ってるってわけさ」
「ハッ! 経験豊富なわりにボクと相打ち。大した経験だよ」
「はぁ!」
おう、元気よく立ち上がるじゃないか。
と、思ったけど、かなり足に来ているな。ミルモン。
「ハンデでこれなんだけど。本気を出せば余裕なんだけど」
足をプルプルと震わせながらの反論。
「勇者の使い魔がなんか必死に弁解しているよ。皆で笑ってあげなよ」
「本当だからね! 空は飛ばない、術も使わない。ハンデだよ。対してケサランパサランはどんな制約をしてたんだか」
「ぅぅうぅ……」
「言葉が詰まったね。制約してなくてあれなんだ。皆で笑ってあげなよ」
カウンターを決めてご満悦なミルモン。
「別に続けてもいいんだぞ!」
勢いよくポームスも立ち上がるが、やはり足はプルプル。
「オイラも構わないけど!」
この二人の継続発言にもう耐えられないとばかりに、愛玩を愛でる勢が俺に睨みを利かせてくる……。
そんなに睨まなくてもいいじゃない……。
「駄目駄目。もう終わり。ドロー。もうこれ以上の戦闘はやってはいけません。仕切り役である俺がドローと発した時点で終わり。それでも続けると言えば、潔さのない醜態だけが結果となる戦いになるぞ。二人とも」
「「ぬぅぅぅ……」」
睨み合いながらも悔しそうな声は揃えてくるね。
以外と相性よかったりして。
「兄ちゃんがそう言うなら従うさ」
ここでベスティリスにアイコンタクト。
察してくれたようで、
「ポームスもここで止めておきなさい」
優しい声で諭せば、
「分かりました」
今度は素直に従ってくれた。
二人が戦いを止めるとなれば、誰よりも安堵するベルとベスティリス。
心の底から安心したとばかりに笑顔になっている……。
「この様な戦いを目にしないといけないとは、この世の終わりを経験した」
安堵から声を漏らすベル。
「全くよ。あり得ない戦いが起こる世界なら滅んでしまえばいいのよ」
――……続くベスティリスの発言……。
この発言に鷹揚に頷くベル……。
ベルは言わずもがなだが、よもや魔王軍大幹部の一人がここまでポンコツだったとはね……。
この要塞を訪れる前までは、全くもって想像できなかったよ。そんな事は……。
なんなの? 美人で強者な存在は、愛らしい存在を前にするとポンコツになってしまうという見えないルールがこの世界にはあるのかな……。
転がり倒れながらも負けん気な睨みで返すポームス。
二人揃って闘気が漲っている……のだが……。
そんな二人を見る美人二人の顔は、血の気が引いて真っ青だった……。
見るに堪えないのだろうが、愛らしい二人から視線を逸らすことはない。
視線を逸らすことは、戦う二人に対して非礼。
辛くとも事の顛末を見守る姿勢である。
――……だが時折、二人して俺を見てくる……。
もう、いいんじゃないか? そういった思い――というか圧を与えてくる……。
俺だって可愛らしい二人が傷ついていくのを見続けるのは辛いんだよ。
でもね――、
「ま、まだまだだよ……」
ふらつきながらも立ち上がるポームス。
戦う姿勢を見せる以上、止めるのは無粋であり侮辱だからな。
一応、
「ポームス、まだやれるか? やれるならファイティングポーズを」
言えば、
「もちろんだね!」
構えてみせる。
「まだやる気なんだ。大したもんだよ」
と、自信は見せても余裕という過信は見せないとばかりにミルモンも構え、
「次で確実に仕留めてあげるよ。ケサランパサラン!」
「やってみなよエセコウモリ!」
ポームス――食卓を強く踏みしだきながら前へ。
さっきまでの不動の構えとは違い、ミルモンに向かって足を止めることなく突撃。
ミルモンも同様。
――双方、驀地。
フェイントなんて入れない。ただ真っ直ぐ。
小賢しい手段による攻撃ではなく、真正面からの一撃を狙っている。
力で完膚なきまでに叩き伏せることで、自分の方が強いと相手に分からせてやる! そういった気持ちを乗せた――、
「見事な一撃」
は、決着をつけるには十分な威力だった。
まあ――、
「相打ちでいいですかね」
「だな」
解説役のゲッコーさんも同意見。
お互いの拳がぽかりと決まる。
もちもちほっぺへと食い込むポームスの拳。
モフモフほっぺへと食い込むミルモンの拳。
打撃音は俺達が経験している戦闘に比べれば可愛いものだけども、戦う当人達にとっては強烈な一撃であったことは確か。
打ち込み、打ち込まれた双方は仲良く膝から崩れおちる。
ローリングソバットを見舞った時は、このまま勝てるかと思ったけど、マウントを取られた時のダメージ蓄積はかなりのものだったようだな。
「仕切り役」
解説役からの一言に頷きで返しつつ、
「ドロー。この決闘はドローとする」
大の字で倒れる二人。
俺の裁定に納得はしているのか、異を唱えることなく寝そべって立ち上がる事はない。
「早く回復を」
「もちろん!」
決着がついたところでベルが促し、ベスティリスが回復魔法を唱えようとすれば、
「結構です」
寝そべったままポームスが回復を拒否。
「まったくだね」
これにミルモンも続く。
「分かってるじゃないか。チビ悪魔」
「チビの獣と違って、オイラは幾多もの戦いを経験しているんだよ。だからこそ戦いの流儀ってのも知ってるってわけさ」
「ハッ! 経験豊富なわりにボクと相打ち。大した経験だよ」
「はぁ!」
おう、元気よく立ち上がるじゃないか。
と、思ったけど、かなり足に来ているな。ミルモン。
「ハンデでこれなんだけど。本気を出せば余裕なんだけど」
足をプルプルと震わせながらの反論。
「勇者の使い魔がなんか必死に弁解しているよ。皆で笑ってあげなよ」
「本当だからね! 空は飛ばない、術も使わない。ハンデだよ。対してケサランパサランはどんな制約をしてたんだか」
「ぅぅうぅ……」
「言葉が詰まったね。制約してなくてあれなんだ。皆で笑ってあげなよ」
カウンターを決めてご満悦なミルモン。
「別に続けてもいいんだぞ!」
勢いよくポームスも立ち上がるが、やはり足はプルプル。
「オイラも構わないけど!」
この二人の継続発言にもう耐えられないとばかりに、愛玩を愛でる勢が俺に睨みを利かせてくる……。
そんなに睨まなくてもいいじゃない……。
「駄目駄目。もう終わり。ドロー。もうこれ以上の戦闘はやってはいけません。仕切り役である俺がドローと発した時点で終わり。それでも続けると言えば、潔さのない醜態だけが結果となる戦いになるぞ。二人とも」
「「ぬぅぅぅ……」」
睨み合いながらも悔しそうな声は揃えてくるね。
以外と相性よかったりして。
「兄ちゃんがそう言うなら従うさ」
ここでベスティリスにアイコンタクト。
察してくれたようで、
「ポームスもここで止めておきなさい」
優しい声で諭せば、
「分かりました」
今度は素直に従ってくれた。
二人が戦いを止めるとなれば、誰よりも安堵するベルとベスティリス。
心の底から安心したとばかりに笑顔になっている……。
「この様な戦いを目にしないといけないとは、この世の終わりを経験した」
安堵から声を漏らすベル。
「全くよ。あり得ない戦いが起こる世界なら滅んでしまえばいいのよ」
――……続くベスティリスの発言……。
この発言に鷹揚に頷くベル……。
ベルは言わずもがなだが、よもや魔王軍大幹部の一人がここまでポンコツだったとはね……。
この要塞を訪れる前までは、全くもって想像できなかったよ。そんな事は……。
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