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驕った創造主
PHASE-1696【正体がばれる】
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「まだ連中がこの地にいるなら問題ない。ゴロ太を救い出す。案内をしてもらおうか」
ここでもベルが凄めば、
「製造所での話を信じるならば、協力はしないといけないんだろうな」
と、ソドンバアム。
「まあ、従わせてもらいますよ」
継ぐ時には敬語だった。
「急に態度を改めたな。逆に警戒したくなるぞ」
ガリオンがベルに代わって凄めば、
「落ち着けよ筋骨隆々さん。俺の目的は魔王軍を倒す事だ。この製造所ではその可能性があったから此処で励んでいた。だが、そうじゃなかったんだろう――此処は」
「そうだな。俺のような悪党が言うのもなんだが、悪党の巣窟だろうな」
「そうなんだろうな」
ガリオンへと返せば、次に俺を見てくる。
頭から爪先までをじっくりと見てれば、
「なるほど――な。そういう事でしたか」
ここでも敬語。
「いや、戦闘中に気がついた事もありました。俺が乗るレッサーワイバーンが毒を放つ時、冒険者殿は舞姫の事をベルと呼びましたね。アップではなくベルと呼びました。アップ・ファウンテンとは違う名をお持ちのようだ」
ああ、咄嗟にベルって言っちまってたか。
気がつかなかったな。
「ベルという名。そして体に纏った炎」
ソドンバアムのこの発言に、
「王都の美姫様!? となれば、勇者御一行のお一人!?」
と、私兵の某殿が驚きを漏らせば、直ぐさま片膝をついてベルへと恭しい姿勢による礼。
これに他の面子も続く。
「姿勢を戻されよ」
払うように手を動かしての答礼に皆して立ち上がる。
「否定されないとなればやはりご本人。道理でお強い訳ですね……」
ソドンバアム同様、丁寧な喋り方となる某殿。
「と……なれば……」
今度は俺へと目を向けてくる。
いつものパターンなら俺はスルーされたりもするんだけども。
「炎を纏う刃に赤と黒の出で立ち……つまりは……」
「俺たちが挑んでいたのは勇者様であり、この大陸で第二位のお力を有しておられる公爵様ということになるだろうな」
某殿にソドンバアムが発せば、皆さん顔面蒼白。
ベルの時以上の焦りっぷりで俺へと片膝をつけば、そのまま額を地面へとこすりつけてくる。
「知らぬ事とはいえ、ご無礼の数々! なにとぞお許しを!」
「気にしていないんで。ベルが言うように、一々そんな姿にならなくてもいいですよ。今はただの新人冒険者として活動していますから」
言ったところで現在の姿勢を戻すことはない。
なんか俺にも威厳ってのが出てきたのかな。
今までの経験とは違ったリアクションだよ。
「こんな小僧にペコペコしてんじゃねえよ情けねえ」
「あ? なんだ筋肉モリモリマッチョマン。ここの面々に圧倒的な力を見せつけた事で強くなったと勘違いしているのか? 俺が相手してやって現実に引き戻してやろうか?」
「怖い勇者様だぜ」
わざとらしく自分の上腕を擦る仕草。
「出で立ちに強さ。間違いなく勇者御一行。となれば、仰る内容は全てが真実ということなのでしょうね」
「ソドンバアム殿は存外、柔軟に受け入れるようですね」
「自分はこの大陸ために励んでおられる方々に強い敬意を抱いておりますので」
深々と頭を下げてくる。
「なんとも耳心地のいい発言だな」
「なんだルーフェンス。まだ突っかかってくるのか?」
「そんなにもこの大陸の為に働きたいのならば、騎鳥隊に残っていればよかっただろうに!」
「常にロイル領の巡回だけ。他の諸将が動き出しているというのに、この地の領主殿は今ごろになって動いた。それもクルーグ商会へのポーション流通に重きを置いたもの。そんなにもクルーグ商会が素晴らしいならと中に入ってみたら、なるほどハダン様がなぜ力を注いでいたのかが分かったというわけだ」
カイメラによる様々な力をもしかしたらハダン伯も見せられていたのかもな。
それらをひっさげて王都へと馳せ参じる。
精鋭である騎鳥隊も率いれば尚更、他の諸将よりも目立つし、王様や俺たちからの覚えも良くなる。
戦いとなった時に自分たちが必要な立場となれば、戦後に有利なポジションに立つ事も出来るしね。
あの伯爵はちゃんと戦後の事を考えてもいるようだし、何より戦勝による戦後を考えているのは好感が持てる。
勝つと信じて行動するってのは何よりも頼りになるからな。
力を注いでいた商会だけども、内側の一部がよろしくなかったことを見抜けなかったのはマイナスポイントだな。
――いや、内相であるタークさんに監視を命じていることからして、一応の警戒はしていたのか。
「ソドンバアム殿」
「敬称は省いてください」
「ではソドンバアム」
「なんでしょう」
「この先を案内していただきたい。雇い主を裏切る行為になるかもしれませんが」
「そうはならないでしょう。我々の雇い主は商会の上層部であって、白衣連中ではありません」
モーリスのおっさん達と同じ言い様だね。
でも直轄連中もいるって話だったな。
「直轄の私兵も?」
「います。この先で守っているでしょう。ですが実力は自分たちに比べれば落ちますよ。数もここの半分ほどです」
ここの半分か。
実力もここの面子に比べれば大したことないって事なら、こっちサイドは一人で対応しても問題ないレベルの相手しかいないな。
白衣組直属となれば、もしかしたらストーンゴーレムよりもやっかいな存在をスクロールに保有しているとも考えられるけど、私兵の質だけで見れば容易。
「事後、我々の処遇はどうなるのでしょうか?」
「どうなるもなにも、知らないままに従っていたとなれば仕方ないことです。無罪ですよ。後はこちらの心証が良くなれば尚良しでしょうね。ソドンバアムはこれからどう身を振ります?」
「許されるのならば案内役だけでなく、ご助力させていただければと」
「そう言って、何かしらを企てているのではないか?」
間へと入ってくるルーフェンスさん。
「横からうるせえ敗北者だな」
「なんだと!」
この二人が言葉を交わせば子供のような言い合いに発展するね。特にルーフェンスさんが……。
ここでもベルが凄めば、
「製造所での話を信じるならば、協力はしないといけないんだろうな」
と、ソドンバアム。
「まあ、従わせてもらいますよ」
継ぐ時には敬語だった。
「急に態度を改めたな。逆に警戒したくなるぞ」
ガリオンがベルに代わって凄めば、
「落ち着けよ筋骨隆々さん。俺の目的は魔王軍を倒す事だ。この製造所ではその可能性があったから此処で励んでいた。だが、そうじゃなかったんだろう――此処は」
「そうだな。俺のような悪党が言うのもなんだが、悪党の巣窟だろうな」
「そうなんだろうな」
ガリオンへと返せば、次に俺を見てくる。
頭から爪先までをじっくりと見てれば、
「なるほど――な。そういう事でしたか」
ここでも敬語。
「いや、戦闘中に気がついた事もありました。俺が乗るレッサーワイバーンが毒を放つ時、冒険者殿は舞姫の事をベルと呼びましたね。アップではなくベルと呼びました。アップ・ファウンテンとは違う名をお持ちのようだ」
ああ、咄嗟にベルって言っちまってたか。
気がつかなかったな。
「ベルという名。そして体に纏った炎」
ソドンバアムのこの発言に、
「王都の美姫様!? となれば、勇者御一行のお一人!?」
と、私兵の某殿が驚きを漏らせば、直ぐさま片膝をついてベルへと恭しい姿勢による礼。
これに他の面子も続く。
「姿勢を戻されよ」
払うように手を動かしての答礼に皆して立ち上がる。
「否定されないとなればやはりご本人。道理でお強い訳ですね……」
ソドンバアム同様、丁寧な喋り方となる某殿。
「と……なれば……」
今度は俺へと目を向けてくる。
いつものパターンなら俺はスルーされたりもするんだけども。
「炎を纏う刃に赤と黒の出で立ち……つまりは……」
「俺たちが挑んでいたのは勇者様であり、この大陸で第二位のお力を有しておられる公爵様ということになるだろうな」
某殿にソドンバアムが発せば、皆さん顔面蒼白。
ベルの時以上の焦りっぷりで俺へと片膝をつけば、そのまま額を地面へとこすりつけてくる。
「知らぬ事とはいえ、ご無礼の数々! なにとぞお許しを!」
「気にしていないんで。ベルが言うように、一々そんな姿にならなくてもいいですよ。今はただの新人冒険者として活動していますから」
言ったところで現在の姿勢を戻すことはない。
なんか俺にも威厳ってのが出てきたのかな。
今までの経験とは違ったリアクションだよ。
「こんな小僧にペコペコしてんじゃねえよ情けねえ」
「あ? なんだ筋肉モリモリマッチョマン。ここの面々に圧倒的な力を見せつけた事で強くなったと勘違いしているのか? 俺が相手してやって現実に引き戻してやろうか?」
「怖い勇者様だぜ」
わざとらしく自分の上腕を擦る仕草。
「出で立ちに強さ。間違いなく勇者御一行。となれば、仰る内容は全てが真実ということなのでしょうね」
「ソドンバアム殿は存外、柔軟に受け入れるようですね」
「自分はこの大陸ために励んでおられる方々に強い敬意を抱いておりますので」
深々と頭を下げてくる。
「なんとも耳心地のいい発言だな」
「なんだルーフェンス。まだ突っかかってくるのか?」
「そんなにもこの大陸の為に働きたいのならば、騎鳥隊に残っていればよかっただろうに!」
「常にロイル領の巡回だけ。他の諸将が動き出しているというのに、この地の領主殿は今ごろになって動いた。それもクルーグ商会へのポーション流通に重きを置いたもの。そんなにもクルーグ商会が素晴らしいならと中に入ってみたら、なるほどハダン様がなぜ力を注いでいたのかが分かったというわけだ」
カイメラによる様々な力をもしかしたらハダン伯も見せられていたのかもな。
それらをひっさげて王都へと馳せ参じる。
精鋭である騎鳥隊も率いれば尚更、他の諸将よりも目立つし、王様や俺たちからの覚えも良くなる。
戦いとなった時に自分たちが必要な立場となれば、戦後に有利なポジションに立つ事も出来るしね。
あの伯爵はちゃんと戦後の事を考えてもいるようだし、何より戦勝による戦後を考えているのは好感が持てる。
勝つと信じて行動するってのは何よりも頼りになるからな。
力を注いでいた商会だけども、内側の一部がよろしくなかったことを見抜けなかったのはマイナスポイントだな。
――いや、内相であるタークさんに監視を命じていることからして、一応の警戒はしていたのか。
「ソドンバアム殿」
「敬称は省いてください」
「ではソドンバアム」
「なんでしょう」
「この先を案内していただきたい。雇い主を裏切る行為になるかもしれませんが」
「そうはならないでしょう。我々の雇い主は商会の上層部であって、白衣連中ではありません」
モーリスのおっさん達と同じ言い様だね。
でも直轄連中もいるって話だったな。
「直轄の私兵も?」
「います。この先で守っているでしょう。ですが実力は自分たちに比べれば落ちますよ。数もここの半分ほどです」
ここの半分か。
実力もここの面子に比べれば大したことないって事なら、こっちサイドは一人で対応しても問題ないレベルの相手しかいないな。
白衣組直属となれば、もしかしたらストーンゴーレムよりもやっかいな存在をスクロールに保有しているとも考えられるけど、私兵の質だけで見れば容易。
「事後、我々の処遇はどうなるのでしょうか?」
「どうなるもなにも、知らないままに従っていたとなれば仕方ないことです。無罪ですよ。後はこちらの心証が良くなれば尚良しでしょうね。ソドンバアムはこれからどう身を振ります?」
「許されるのならば案内役だけでなく、ご助力させていただければと」
「そう言って、何かしらを企てているのではないか?」
間へと入ってくるルーフェンスさん。
「横からうるせえ敗北者だな」
「なんだと!」
この二人が言葉を交わせば子供のような言い合いに発展するね。特にルーフェンスさんが……。
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