1,703 / 1,861
驕った創造主
PHASE-1703【成果の否定】
しおりを挟む
プラーガのようなジストマ・ブレーンという寄生生物か。
「人道に反するとはいえ、成功まで導いているのは凄いことではあるし、脅威でもある」
「分かってくださいますか勇者様!」
あ、様になった。
認めてもらえたと思ったのか、大層に喜んでいる。
脅威でもあると言っているのに、そこは耳に入っていないのか?
「しかし残念ですよ。もっと早く出会えていれば勇者様の元で我々も共に歩んでいたのかもしれませんのに」
――……いや、いいよ……。
無茶苦茶やってるマッドな奴等と一緒に行動していたら、俺が第二の魔王ってポジションになっちまうからな。
「色々と成功はさせているようだけど、その為に犠牲になった者達のことを考えれば、ここできっちりと倒さないといけないと考えているよ」
「不可能ですよ。我々はアンデッドを支配し、ジュニアにより生物の支配にも着手します」
「生者と死者の支配ってところか」
「ええ! そうですとも! 無敵の軍勢です! 生者が死んでもアンデッドとして再利用してあげましょう! 無駄がない最高の軍隊です! 素晴らしいでしょう!」
狂ってるな。
戦いという中で兵を常に補填できるって考えだけで見れば魅力的にも思えてしまうけども、これを素晴らしいと言いきれるヤツってのは、
「絶対に受け入れられないね!」
「何とも視野が狭い。先が見通せない者が勇者を名乗るべきではない。やはり我々が手を組む相手はお前達ではないようだ」
あ、見下し口調に戻った。感情の起伏が激しいね。
「申し訳ないが、お宅等の内面が分かってしまえば、誰も手を組もうとは思わないだろうけどね」
「フッ――」
鼻で嗤いやがって!
「しばく!」
「やり取りは終わりのようだな。殺せ!」
敬語をやめてこちらを見てくる目は冷たいもの。
号令に従って待機していたタイニーガーゴイル達が動き出す。
タリスマンで強化されたストーンゴーレムもこれに続く。
「まだまだ軍勢はいるぞ勇者!」
バルバダイの発言に周囲の白衣連中が大きく手を振れば、ここでもジャンパーが顕現。
出てくるのは、
「大量に犠牲者を出しているな!」
スケイルマンの大軍だった……。
「ゲス共が!」
俺たちの会話に口を出さず、聞くことだけに注力していたガリオンがここで動いてくれる。
「こういった連中ならば気兼ねなく殺せますな!」
と、ジージーも続く。
二人とも声に怒りを帯びさせている。
まあ、
「誰だって怒りの感情が湧き出るよな!」
感情を脚力に乗せて俺も駆ける。
ベルも続いてくれる。
「よしっ! 俺たちも出来る事だけをやるぞ。対処が可能な相手だけに絞る。勇者様たちの負担を軽減すると同時に、足枷にもならないように!」
「「「「オウッ!!!!」」」」
ソドンバアムに呼応する私兵たち。
タイニーガーゴイルなら問題ないと対応してくれる。
これにルーフェンスさんも加勢するように隊伍をソドンバアムと整えていた。
中の下程度の白衣組私兵とタイニーガーゴイルとの戦闘は悉くお任せしたいところ。
俺たちは――、
「まずはデカいの!」
「大したことはない」
頼りになる一言から跳躍すれば、私兵から拝借したショートソードで一閃。
「なっ!?」
見飽きたとばかりの驚きのリアクションを俺たちへと向けてくるバルバダイと白衣組。
強化されようとも最強さんの前では通常のストーンゴーレムとなんら違いはない。
まず一体。
ちらりと横を見れば、ガリオンに攻撃を仕掛けるストーンゴーレム。
それに対し、
「オラッ!」
野太い声による拳打を打ち込めば、ベルのような芸当は出来なくてもストーンゴーレムが打ち込んでくる拳を弾き返すだけの威力を見せてくれるオーラアーマーモードのガリオン。
「いただく!」
「あっ!? てめぇ!」
怯ませたところを自分が仕留めるとジージーが見舞うのは、
「チンゼイハチロウを憑依せし一矢よ!」
勝手に憑依させないように……。
でもまあ、
「言うだけある」
怯ませたストーンゴーレムの直上から放つ一矢が頭頂部へと突き刺されば、股間部まで貫く。
どんだけの強弓なんだか。
十中八九、
「魔法剣の応用かな?」
「然り」
鏃に魔法を纏わせての一矢。
ウインドランスを纏わせた一矢だったという。
物理と魔法の両面からなる矢は、強化されたストーンゴーレムであっても防ぎきる事はできなかったようだな。
「よしよし!」
やはりこの面子ならなんの問題もなければ、心配もない。
ルーフェンスさんとソドンバアム、私兵の面々も俺たちに当てられて士気が高まっている。
でもってそれを見ている俺も高揚してくる。
「だりゃ!」
「凄いよ兄ちゃん」
「だろ!」
強化ストーンゴーレムを残火で唐竹割り。
続けざまに隣から迫るゴーレムには、マラ・ケニタルで横一文字を書く。
これで四メートルサイズを二体を倒してやる。
皆と合わせて四体。
「なんだこの状況は……」
「曇ってるぞ。ああ、普段から曇った顔だったな」
「ふざけるなよ勇者!」
自分たちが創り出した者達。
強化した存在達。
研究と実験を繰り返して生み出した存在の悉くが、俺たちによって磨り減らされていくという光景。
これまでの成果が否定されているかのような眼界の光景を受け入れたくないとばかりに、頭を派手に掻きむしって苛立っておられる。
「人道に反するとはいえ、成功まで導いているのは凄いことではあるし、脅威でもある」
「分かってくださいますか勇者様!」
あ、様になった。
認めてもらえたと思ったのか、大層に喜んでいる。
脅威でもあると言っているのに、そこは耳に入っていないのか?
「しかし残念ですよ。もっと早く出会えていれば勇者様の元で我々も共に歩んでいたのかもしれませんのに」
――……いや、いいよ……。
無茶苦茶やってるマッドな奴等と一緒に行動していたら、俺が第二の魔王ってポジションになっちまうからな。
「色々と成功はさせているようだけど、その為に犠牲になった者達のことを考えれば、ここできっちりと倒さないといけないと考えているよ」
「不可能ですよ。我々はアンデッドを支配し、ジュニアにより生物の支配にも着手します」
「生者と死者の支配ってところか」
「ええ! そうですとも! 無敵の軍勢です! 生者が死んでもアンデッドとして再利用してあげましょう! 無駄がない最高の軍隊です! 素晴らしいでしょう!」
狂ってるな。
戦いという中で兵を常に補填できるって考えだけで見れば魅力的にも思えてしまうけども、これを素晴らしいと言いきれるヤツってのは、
「絶対に受け入れられないね!」
「何とも視野が狭い。先が見通せない者が勇者を名乗るべきではない。やはり我々が手を組む相手はお前達ではないようだ」
あ、見下し口調に戻った。感情の起伏が激しいね。
「申し訳ないが、お宅等の内面が分かってしまえば、誰も手を組もうとは思わないだろうけどね」
「フッ――」
鼻で嗤いやがって!
「しばく!」
「やり取りは終わりのようだな。殺せ!」
敬語をやめてこちらを見てくる目は冷たいもの。
号令に従って待機していたタイニーガーゴイル達が動き出す。
タリスマンで強化されたストーンゴーレムもこれに続く。
「まだまだ軍勢はいるぞ勇者!」
バルバダイの発言に周囲の白衣連中が大きく手を振れば、ここでもジャンパーが顕現。
出てくるのは、
「大量に犠牲者を出しているな!」
スケイルマンの大軍だった……。
「ゲス共が!」
俺たちの会話に口を出さず、聞くことだけに注力していたガリオンがここで動いてくれる。
「こういった連中ならば気兼ねなく殺せますな!」
と、ジージーも続く。
二人とも声に怒りを帯びさせている。
まあ、
「誰だって怒りの感情が湧き出るよな!」
感情を脚力に乗せて俺も駆ける。
ベルも続いてくれる。
「よしっ! 俺たちも出来る事だけをやるぞ。対処が可能な相手だけに絞る。勇者様たちの負担を軽減すると同時に、足枷にもならないように!」
「「「「オウッ!!!!」」」」
ソドンバアムに呼応する私兵たち。
タイニーガーゴイルなら問題ないと対応してくれる。
これにルーフェンスさんも加勢するように隊伍をソドンバアムと整えていた。
中の下程度の白衣組私兵とタイニーガーゴイルとの戦闘は悉くお任せしたいところ。
俺たちは――、
「まずはデカいの!」
「大したことはない」
頼りになる一言から跳躍すれば、私兵から拝借したショートソードで一閃。
「なっ!?」
見飽きたとばかりの驚きのリアクションを俺たちへと向けてくるバルバダイと白衣組。
強化されようとも最強さんの前では通常のストーンゴーレムとなんら違いはない。
まず一体。
ちらりと横を見れば、ガリオンに攻撃を仕掛けるストーンゴーレム。
それに対し、
「オラッ!」
野太い声による拳打を打ち込めば、ベルのような芸当は出来なくてもストーンゴーレムが打ち込んでくる拳を弾き返すだけの威力を見せてくれるオーラアーマーモードのガリオン。
「いただく!」
「あっ!? てめぇ!」
怯ませたところを自分が仕留めるとジージーが見舞うのは、
「チンゼイハチロウを憑依せし一矢よ!」
勝手に憑依させないように……。
でもまあ、
「言うだけある」
怯ませたストーンゴーレムの直上から放つ一矢が頭頂部へと突き刺されば、股間部まで貫く。
どんだけの強弓なんだか。
十中八九、
「魔法剣の応用かな?」
「然り」
鏃に魔法を纏わせての一矢。
ウインドランスを纏わせた一矢だったという。
物理と魔法の両面からなる矢は、強化されたストーンゴーレムであっても防ぎきる事はできなかったようだな。
「よしよし!」
やはりこの面子ならなんの問題もなければ、心配もない。
ルーフェンスさんとソドンバアム、私兵の面々も俺たちに当てられて士気が高まっている。
でもってそれを見ている俺も高揚してくる。
「だりゃ!」
「凄いよ兄ちゃん」
「だろ!」
強化ストーンゴーレムを残火で唐竹割り。
続けざまに隣から迫るゴーレムには、マラ・ケニタルで横一文字を書く。
これで四メートルサイズを二体を倒してやる。
皆と合わせて四体。
「なんだこの状況は……」
「曇ってるぞ。ああ、普段から曇った顔だったな」
「ふざけるなよ勇者!」
自分たちが創り出した者達。
強化した存在達。
研究と実験を繰り返して生み出した存在の悉くが、俺たちによって磨り減らされていくという光景。
これまでの成果が否定されているかのような眼界の光景を受け入れたくないとばかりに、頭を派手に掻きむしって苛立っておられる。
2
あなたにおすすめの小説
凡人がおまけ召喚されてしまった件
根鳥 泰造
ファンタジー
勇者召喚に巻き込まれて、異世界にきてしまった祐介。最初は勇者の様に大切に扱われていたが、ごく普通の才能しかないので、冷遇されるようになり、ついには王宮から追い出される。
仕方なく冒険者登録することにしたが、この世界では希少なヒーラー適正を持っていた。一年掛けて治癒魔法を習得し、治癒剣士となると、引く手あまたに。しかも、彼は『強欲』という大罪スキルを持っていて、倒した敵のスキルを自分のものにできるのだ。
それらのお蔭で、才能は凡人でも、数多のスキルで能力を補い、熟練度は飛びぬけ、高難度クエストも熟せる有名冒険者となる。そして、裏では気配消去や不可視化スキルを活かして、暗殺という裏の仕事も始めた。
異世界に来て八年後、その暗殺依頼で、召喚勇者の暗殺を受けたのだが、それは祐介を捕まえるための罠だった。祐介が暗殺者になっていると知った勇者が、改心させよう企てたもので、その後は勇者一行に加わり、魔王討伐の旅に同行することに。
最初は脅され渋々同行していた祐介も、勇者や仲間の思いをしり、どんどん勇者が好きになり、勇者から告白までされる。
だが、魔王を討伐を成し遂げるも、魔王戦で勇者は祐介を庇い、障害者になる。
祐介は、勇者の嘘で、病院を作り、医師の道を歩みだすのだった。
最強の異世界やりすぎ旅行記
萩場ぬし
ファンタジー
主人公こと小鳥遊 綾人(たかなし あやと)はある理由から毎日のように体を鍛えていた。
そんなある日、突然知らない真っ白な場所で目を覚ます。そこで綾人が目撃したものは幼い少年の容姿をした何か。そこで彼は告げられる。
「なんと! 君に異世界へ行く権利を与えようと思います!」
バトルあり!笑いあり!ハーレムもあり!?
最強が無双する異世界ファンタジー開幕!
夢幻の錬金術師 ~【異空間収納】【錬金術】【鑑定】【スキル剥奪&付与】を兼ね備えたチートスキル【錬金工房】で最強の錬金術師として成り上がる~
青山 有
ファンタジー
女神の助手として異世界に召喚された厨二病少年・神薙拓光。
彼が手にしたユニークスキルは【錬金工房】。
ただでさえ、魔法があり魔物がはびこる危険な世界。そこを生産職の助手と巡るのかと、女神も頭を抱えたのだが……。
彼の持つ【錬金工房】は、レアスキルである【異空間収納】【錬金術】【鑑定】の上位互換機能を合わせ持ってるだけでなく、スキルの【剥奪】【付与】まで行えるという、女神の想像を遥かに超えたチートスキルだった。
これは一人の少年が異世界で伝説の錬金術師として成り上がっていく物語。
※カクヨムにも投稿しています
貧弱の英雄
カタナヅキ
ファンタジー
この世界では誰もが生まれた時から「異能」と「レベル」呼ばれる能力を身に付けており、人々はレベルを上げて自分の能力を磨き、それに適した職業に就くのが当たり前だった。しかし、山奥で捨てられていたところを狩人に拾われ、後に「ナイ」と名付けられた少年は「貧弱」という異能の中でも異質な能力を身に付けていた。
貧弱の能力の効果は日付が変更される度に強制的にレベルがリセットされてしまい、生まれた時からナイは「レベル1」だった。どれだけ努力してレベルを上げようと日付変わる度にレベル1に戻ってしまい、レベルで上がった分の能力が低下してしまう。
自分の貧弱の技能に悲観する彼だったが、ある時にレベルを上昇させるときに身に付ける「SP」の存在を知る。これを使用すれば「技能」と呼ばれる様々な技術を身に付ける事を知り、レベルが毎日のようにリセットされる事を逆に利用して彼はSPを溜めて数々の技能を身に付け、落ちこぼれと呼んだ者達を見返すため、底辺から成り上がる――
※修正要請のコメントは対処後に削除します。
冷遇された聖女の結末
菜花
恋愛
異世界を救う聖女だと冷遇された毛利ラナ。けれど魔力慣らしの旅に出た途端に豹変する同行者達。彼らは同行者の一人のセレスティアを称えラナを貶める。知り合いもいない世界で心がすり減っていくラナ。彼女の迎える結末は――。
本編にプラスしていくつかのifルートがある長編。
カクヨムにも同じ作品を投稿しています。
異世界に召喚されて2日目です。クズは要らないと追放され、激レアユニークスキルで危機回避したはずが、トラブル続きで泣きそうです。
もにゃむ
ファンタジー
父親に教師になる人生を強要され、父親が死ぬまで自分の望む人生を歩むことはできないと、人生を諦め淡々とした日々を送る清泉だったが、夏休みの補習中、突然4人の生徒と共に光に包まれ異世界に召喚されてしまう。
異世界召喚という非現実的な状況に、教師1年目の清泉が状況把握に努めていると、ステータスを確認したい召喚者と1人の生徒の間にトラブル発生。
ステータスではなく職業だけを鑑定することで落ち着くも、清泉と女子生徒の1人は職業がクズだから要らないと、王都追放を言い渡されてしまう。
残留組の2人の生徒にはクズな職業だと蔑みの目を向けられ、
同時に追放を言い渡された女子生徒は問題行動が多すぎて退学させるための監視対象で、
追加で追放を言い渡された男子生徒は言動に違和感ありまくりで、
清泉は1人で自由に生きるために、問題児たちからさっさと離れたいと思うのだが……
異世界へ行って帰って来た
バルサック
ファンタジー
ダンジョンの出現した日本で、じいさんの形見となった指輪で異世界へ行ってしまった。
そして帰って来た。2つの世界を往来できる力で様々な体験をする神須勇だった。
はずれスキル『本日一粒万倍日』で金も魔法も作物もなんでも一万倍 ~はぐれサラリーマンのスキル頼みな異世界満喫日記~
緋色優希
ファンタジー
勇者召喚に巻き込まれて異世界へやってきたサラリーマン麦野一穂(むぎのかずほ)。得たスキルは屑(ランクレス)スキルの『本日一粒万倍日』。あまりの内容に爆笑され、同じように召喚に巻き込まれてきた連中にも馬鹿にされ、一人だけ何一つ持たされず荒城にそのまま置き去りにされた。ある物と言えば、水の樽といくらかの焼き締めパン。どうする事もできずに途方に暮れたが、スキルを唱えたら水樽が一万個に増えてしまった。また城で見つけた、たった一枚の銀貨も、なんと銀貨一万枚になった。どうやら、あれこれと一万倍にしてくれる不思議なスキルらしい。こんな世界で王様の助けもなく、たった一人どうやって生きたらいいのか。だが開き直った彼は『住めば都』とばかりに、スキル頼みでこの異世界での生活を思いっきり楽しむ事に決めたのだった。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる