異世界冒険記『ストレージ・ドミニオン』

FOX4

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驕った創造主

PHASE-1703【成果の否定】

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 プラーガのようなジストマ・ブレーンという寄生生物か。

「人道に反するとはいえ、成功まで導いているのは凄いことではあるし、脅威でもある」

「分かってくださいますか勇者様!」
 あ、様になった。
 認めてもらえたと思ったのか、大層に喜んでいる。
 脅威でもあると言っているのに、そこは耳に入っていないのか?

「しかし残念ですよ。もっと早く出会えていれば勇者様の元で我々も共に歩んでいたのかもしれませんのに」
 ――……いや、いいよ……。
 無茶苦茶やってるマッドな奴等と一緒に行動していたら、俺が第二の魔王ってポジションになっちまうからな。

「色々と成功はさせているようだけど、その為に犠牲になった者達のことを考えれば、ここできっちりと倒さないといけないと考えているよ」

「不可能ですよ。我々はアンデッドを支配し、ジュニアにより生物の支配にも着手します」

「生者と死者の支配ってところか」

「ええ! そうですとも! 無敵の軍勢です! 生者が死んでもアンデッドとして再利用してあげましょう! 無駄がない最高の軍隊です! 素晴らしいでしょう!」
 狂ってるな。
 戦いという中で兵を常に補填できるって考えだけで見れば魅力的にも思えてしまうけども、これを素晴らしいと言いきれるヤツってのは、

「絶対に受け入れられないね!」

「何とも視野が狭い。先が見通せない者が勇者を名乗るべきではない。やはり我々が手を組む相手はお前達ではないようだ」
 あ、見下し口調に戻った。感情の起伏が激しいね。

「申し訳ないが、お宅等の内面が分かってしまえば、誰も手を組もうとは思わないだろうけどね」

「フッ――」
 鼻で嗤いやがって!

「しばく!」

「やり取りは終わりのようだな。殺せ!」
 敬語をやめてこちらを見てくる目は冷たいもの。
 号令に従って待機していたタイニーガーゴイル達が動き出す。
 タリスマンで強化されたストーンゴーレムもこれに続く。

「まだまだ軍勢はいるぞ勇者!」
 バルバダイの発言に周囲の白衣連中が大きく手を振れば、ここでもジャンパーが顕現。
 
 出てくるのは、

「大量に犠牲者を出しているな!」
 スケイルマンの大軍だった……。

「ゲス共が!」
 俺たちの会話に口を出さず、聞くことだけに注力していたガリオンがここで動いてくれる。

「こういった連中ならば気兼ねなく殺せますな!」
 と、ジージーも続く。
 二人とも声に怒りを帯びさせている。

 まあ、

「誰だって怒りの感情が湧き出るよな!」
 感情を脚力に乗せて俺も駆ける。
 ベルも続いてくれる。

「よしっ! 俺たちも出来る事だけをやるぞ。対処が可能な相手だけに絞る。勇者様たちの負担を軽減すると同時に、足枷にもならないように!」

「「「「オウッ!!!!」」」」
 ソドンバアムに呼応する私兵たち。
 タイニーガーゴイルなら問題ないと対応してくれる。
 これにルーフェンスさんも加勢するように隊伍をソドンバアムと整えていた。
 中の下程度の白衣組私兵とタイニーガーゴイルとの戦闘は悉くお任せしたいところ。
 
 俺たちは――、

「まずはデカいの!」

「大したことはない」
 頼りになる一言から跳躍すれば、私兵から拝借したショートソードで一閃。

「なっ!?」
 見飽きたとばかりの驚きのリアクションを俺たちへと向けてくるバルバダイと白衣組。
 強化されようとも最強さんの前では通常のストーンゴーレムとなんら違いはない。
 
 まず一体。
 
 ちらりと横を見れば、ガリオンに攻撃を仕掛けるストーンゴーレム。
 それに対し、

「オラッ!」
 野太い声による拳打を打ち込めば、ベルのような芸当は出来なくてもストーンゴーレムが打ち込んでくる拳を弾き返すだけの威力を見せてくれるオーラアーマーモードのガリオン。

「いただく!」

「あっ!? てめぇ!」
 怯ませたところを自分が仕留めるとジージーが見舞うのは、

「チンゼイハチロウを憑依せし一矢よ!」
 勝手に憑依させないように……。
 でもまあ、

「言うだけある」
 怯ませたストーンゴーレムの直上から放つ一矢が頭頂部へと突き刺されば、股間部まで貫く。
 どんだけの強弓なんだか。
 十中八九、

「魔法剣の応用かな?」

「然り」
 鏃に魔法を纏わせての一矢。
 ウインドランスを纏わせた一矢だったという。
 物理と魔法の両面からなる矢は、強化されたストーンゴーレムであっても防ぎきる事はできなかったようだな。

「よしよし!」
 やはりこの面子ならなんの問題もなければ、心配もない。
 ルーフェンスさんとソドンバアム、私兵の面々も俺たちに当てられて士気が高まっている。
 でもってそれを見ている俺も高揚してくる。

「だりゃ!」

「凄いよ兄ちゃん」

「だろ!」
 強化ストーンゴーレムを残火で唐竹割り。
 続けざまに隣から迫るゴーレムには、マラ・ケニタルで横一文字を書く。
 これで四メートルサイズを二体を倒してやる。
 皆と合わせて四体。

「なんだこの状況は……」

「曇ってるぞ。ああ、普段から曇った顔だったな」

「ふざけるなよ勇者!」
 自分たちが創り出した者達。
 強化した存在達。
 研究と実験を繰り返して生み出した存在の悉くが、俺たちによって磨り減らされていくという光景。
 
 これまでの成果が否定されているかのような眼界の光景を受け入れたくないとばかりに、頭を派手に掻きむしって苛立っておられる。
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