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驕った創造主
PHASE-1719【ゴロ太のお願い】
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まずは盤面を自分たちの有利な方へと傾けよう。
「無尽蔵に水が手に入るからって、それで勝機を得られると思わないことだな」
「思ってはいない。言っただろう。ここならモーモーチャーチャーの力を全力で出せると。本領発揮は別段、水源だけを欲するためでははい」
「だったら広々と戦えるからか? 広くなればこっちも自由に動き回れるけどな」
「だから貴様は凡愚なのだ勇者」
「ああ、そうかい。きっちりと仕留めてやるからな!」
「仕留めるか。そうなるとジュニアが――な」
「ぬぅぅ……」
「ハハハハハハッ」
無理に救い出せばゴロ太が元通りにならないというのが事実ならば、傘部分への直接攻撃は回避しないといけない……。
渋面で立つ俺の横にベルとガリオンが立てば、
「その高笑いを直ぐに引きつったものへと変えてやろう」
「賛成だ。ムカつくことこの上ねえからな。傘部分から引っ張り出して殴り倒してやる!」
「ではまずは動きを奪うぞガリオン」
「合点承知!」
あら、ベルとガリオンが連携で動くってのも新鮮だな。
「ゴロ太を無事に救うにはまずは無抵抗にする。その為には触手を全て断てばいいだけ」
「その通りってもんだ」
触手を全て奪い、ゼリー状の傘部分だけを残して行動不能へと追い込み、ゴロ太を助け出すことに注力するという。
「よっしゃ! やってやるか!」
俺も二人に続く。
「矮小な知性が集まってもその程度が関の山だな」
「追い詰められた後も同じことが言えたらいいな」
「追い詰めることが出来ればの話だぞ勇者。さあジュニア。救世主の力を見せつけてやりなさい」
傘の内部でバルバダイがそう言う。
言ったところでゴロ太からはなんの反応もない。
今まではバルバダイに明るい笑顔で返事をしていたが、それがなくなっている。
ゴロ太が声を発しないことに心配になるが――、
「動きがあるぞ」
対面の反応に構えるガリオン。
ソレと同時にモーモーチャーチャーの傘部分が大きくブルブルと震える。
震えが触手にも伝われば、湖に沈めた触手が水面に波紋を生み出していく。
「なにをしたんだ?」
「決まっているだろうトール」
「ベル?」
「あの男はゴロ太に力を行使させたのだ。つまりは――」
エメラルドグリーンの瞳が周囲を見渡す。
「あ、兄ちゃん……」
「ああ、分かってるよ。ミルモン……」
これか……。
「こういう事が出来るようになるのか……」
「おいおい、お前等と一緒に行動していた白い子グマはとんでもねえ力をもってんじゃねえか……」
「おう、そうだな……。実際に目にするととんでもねえよ……」
――……S級さん達が目にしたのはコレか……。
水源を求める以上に、この力を求めていたのか……。
「まあ、ワラワラと出てくる出てくる……」
湖を取り囲む森の木々が激しく揺れば、葉が大量に落ち、それとは反対に跳び上がってくる数え切れない影。
影の正体が月明かりに照らされる。
――……大小様々な野鳥の群れ……。
異変は森の木々だけでなく、波紋が広がっていた湖でも発生。
至るところからボコボコと泡が吹き上がってくれば、水中から現れるのは――大型ワーム。
トールハンマー付近にいるウォーターサイドのような泥に覆われているワームとは違って、表皮がちゃんと見えるタイプ。
茶褐色の表皮からなる環形動物が鎌首を上げて姿を見せてくる。
水中に浸かっている部分の長さは分からんが、鎌首を上げた部分だけでも三メートルほど。
環状の体節は木の幹を思わせる太さがある。
そんな大型ワームが湖のあちこちから姿を現す。
「空が数え切れないほどの鳥に覆われ、湖からは大型のワームが多数出現。圧倒的な物量とは正にこの事……」
実力あるジージーも、大多数が敵意を向けてくるこの光景に暗い声音となってしまう。
「スゲえよな」
戦いは数と言うが、本当にそう思うよ……。
これだけの数を即座に招集可能ってのは脅威でしかない。
ゴロ太がいればその場その場で生息する自然生物を即戦力として投入できるってことになるんだからな……。
この支配の力はどの勢力も喉から手が出るほどに欲する能力だ……。
「子グマの力を知れば、誰もが手にしたい力だな!」
俺の心の声を述べてくれるガリオン。
違うところは、俺は脅威と思うが、ガリオンは嬉々としたものだった。
自分たちの力として使用する事が出来れば、これからの戦いが楽になるという思いが感じ取れた。
俺もそういった考えが浮かばないわけじゃないが――、
「そのような事は許されない」
「お、おう……」
鶴の一声。
張り詰めたベルの声にガリオンは頷くだけ。
ゴロ太の能力が如何に神がかった能力であっても、ゴロ太を戦場へと立たせるというのはベルが許さない。
魅力的でもあるが、これが敵対する者に渡ればそれこそ目の前の状況が再びってことにもなる。
安全圏で過ごしてもらっているのがいい。
まあ、そういったことは置いといて――、
「今は眼前の脅威に集中しようか」
本来なら俺よりもベルの方がまとめ役としては適しているだろうけど、今はそんな余裕もないだろうから俺が仕切らせてもらおう。
勇者でもあるわけだし。
「どうするよ? 子グマの願いに応じた動物たちが俺たちに攻めてくるってなると手加減は出来ねえぞ」
「うん……」
この場に動物保護活動に力を入れているシャルナがいれば、真っ向から反対してくることだろうけども、
「敵となる以上、俺たちも加減をする余裕はないだろう」
「そうだな」
「犠牲を最小限に抑えるためには、クラゲの中からゴロ太を迅速に救い出すってのが最適解だ」
「だな。じゃあさっさとやろうか」
バチン! と、自分の掌に自分の拳を打ち込んで気合いを入れるガリオン。
問題は、救い出すというのがとんでもなく難しいってところなんだよな……。
「無尽蔵に水が手に入るからって、それで勝機を得られると思わないことだな」
「思ってはいない。言っただろう。ここならモーモーチャーチャーの力を全力で出せると。本領発揮は別段、水源だけを欲するためでははい」
「だったら広々と戦えるからか? 広くなればこっちも自由に動き回れるけどな」
「だから貴様は凡愚なのだ勇者」
「ああ、そうかい。きっちりと仕留めてやるからな!」
「仕留めるか。そうなるとジュニアが――な」
「ぬぅぅ……」
「ハハハハハハッ」
無理に救い出せばゴロ太が元通りにならないというのが事実ならば、傘部分への直接攻撃は回避しないといけない……。
渋面で立つ俺の横にベルとガリオンが立てば、
「その高笑いを直ぐに引きつったものへと変えてやろう」
「賛成だ。ムカつくことこの上ねえからな。傘部分から引っ張り出して殴り倒してやる!」
「ではまずは動きを奪うぞガリオン」
「合点承知!」
あら、ベルとガリオンが連携で動くってのも新鮮だな。
「ゴロ太を無事に救うにはまずは無抵抗にする。その為には触手を全て断てばいいだけ」
「その通りってもんだ」
触手を全て奪い、ゼリー状の傘部分だけを残して行動不能へと追い込み、ゴロ太を助け出すことに注力するという。
「よっしゃ! やってやるか!」
俺も二人に続く。
「矮小な知性が集まってもその程度が関の山だな」
「追い詰められた後も同じことが言えたらいいな」
「追い詰めることが出来ればの話だぞ勇者。さあジュニア。救世主の力を見せつけてやりなさい」
傘の内部でバルバダイがそう言う。
言ったところでゴロ太からはなんの反応もない。
今まではバルバダイに明るい笑顔で返事をしていたが、それがなくなっている。
ゴロ太が声を発しないことに心配になるが――、
「動きがあるぞ」
対面の反応に構えるガリオン。
ソレと同時にモーモーチャーチャーの傘部分が大きくブルブルと震える。
震えが触手にも伝われば、湖に沈めた触手が水面に波紋を生み出していく。
「なにをしたんだ?」
「決まっているだろうトール」
「ベル?」
「あの男はゴロ太に力を行使させたのだ。つまりは――」
エメラルドグリーンの瞳が周囲を見渡す。
「あ、兄ちゃん……」
「ああ、分かってるよ。ミルモン……」
これか……。
「こういう事が出来るようになるのか……」
「おいおい、お前等と一緒に行動していた白い子グマはとんでもねえ力をもってんじゃねえか……」
「おう、そうだな……。実際に目にするととんでもねえよ……」
――……S級さん達が目にしたのはコレか……。
水源を求める以上に、この力を求めていたのか……。
「まあ、ワラワラと出てくる出てくる……」
湖を取り囲む森の木々が激しく揺れば、葉が大量に落ち、それとは反対に跳び上がってくる数え切れない影。
影の正体が月明かりに照らされる。
――……大小様々な野鳥の群れ……。
異変は森の木々だけでなく、波紋が広がっていた湖でも発生。
至るところからボコボコと泡が吹き上がってくれば、水中から現れるのは――大型ワーム。
トールハンマー付近にいるウォーターサイドのような泥に覆われているワームとは違って、表皮がちゃんと見えるタイプ。
茶褐色の表皮からなる環形動物が鎌首を上げて姿を見せてくる。
水中に浸かっている部分の長さは分からんが、鎌首を上げた部分だけでも三メートルほど。
環状の体節は木の幹を思わせる太さがある。
そんな大型ワームが湖のあちこちから姿を現す。
「空が数え切れないほどの鳥に覆われ、湖からは大型のワームが多数出現。圧倒的な物量とは正にこの事……」
実力あるジージーも、大多数が敵意を向けてくるこの光景に暗い声音となってしまう。
「スゲえよな」
戦いは数と言うが、本当にそう思うよ……。
これだけの数を即座に招集可能ってのは脅威でしかない。
ゴロ太がいればその場その場で生息する自然生物を即戦力として投入できるってことになるんだからな……。
この支配の力はどの勢力も喉から手が出るほどに欲する能力だ……。
「子グマの力を知れば、誰もが手にしたい力だな!」
俺の心の声を述べてくれるガリオン。
違うところは、俺は脅威と思うが、ガリオンは嬉々としたものだった。
自分たちの力として使用する事が出来れば、これからの戦いが楽になるという思いが感じ取れた。
俺もそういった考えが浮かばないわけじゃないが――、
「そのような事は許されない」
「お、おう……」
鶴の一声。
張り詰めたベルの声にガリオンは頷くだけ。
ゴロ太の能力が如何に神がかった能力であっても、ゴロ太を戦場へと立たせるというのはベルが許さない。
魅力的でもあるが、これが敵対する者に渡ればそれこそ目の前の状況が再びってことにもなる。
安全圏で過ごしてもらっているのがいい。
まあ、そういったことは置いといて――、
「今は眼前の脅威に集中しようか」
本来なら俺よりもベルの方がまとめ役としては適しているだろうけど、今はそんな余裕もないだろうから俺が仕切らせてもらおう。
勇者でもあるわけだし。
「どうするよ? 子グマの願いに応じた動物たちが俺たちに攻めてくるってなると手加減は出来ねえぞ」
「うん……」
この場に動物保護活動に力を入れているシャルナがいれば、真っ向から反対してくることだろうけども、
「敵となる以上、俺たちも加減をする余裕はないだろう」
「そうだな」
「犠牲を最小限に抑えるためには、クラゲの中からゴロ太を迅速に救い出すってのが最適解だ」
「だな。じゃあさっさとやろうか」
バチン! と、自分の掌に自分の拳を打ち込んで気合いを入れるガリオン。
問題は、救い出すというのがとんでもなく難しいってところなんだよな……。
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