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王都の休日・舞台鑑賞
第四幕
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――僕の長嘆息を合図にとばかり第四幕が始まる。
――衰弱していた王は勇者達と出会い、日に日に生気を取り戻していき、手入れもされずボサボサだった髪は綺麗に整えられ、以前よりは眠りも深いものとなり、肉付きに顔色と、よいものとなってきた。
落ち着きを取り戻し、王妃や家臣たちは胸をなで下ろす。
軍議に割いていた時間は、治政に重きを置くようになっていく。
王は冷静さを取り戻した目で、世界を見る。
――魔王軍の侵攻。
それを迎え撃つ人々、腕に自信のある者達が先頭に立ち、苛烈に対抗し、大地は荒廃の一途をたどっていく。
どちらが勝利しても残るのは闇だけだと王は危惧する。いつまでもこの様なことを続けて良いのかと、むろん答えは否である。
一人で語る王役に光が集められ、そこに勇者役が現れると、光はそちらにも向けられる。
若き王は勇者と従者を側に置き、共に世界のこれからを語ることが日課の一つになっていた。
自分よりも十ほど下の子供と話すことではないのだろうが、王に一番近い歳の者は妻を除くといなかった。皆、歳が二十は上の家臣ばかりだった。
故に立場などの垣根を取り外し、彼女たちとは友情を築き上げている。
三人が語らい合い、たどり着く答えは、一度、侵攻を行う存在の長。つまりは魔王との会談を開いてみては、ということで合致していた。
――――協議を行う中には、若き勇者たちも参加している。
それをよく思わぬ家臣役に光が向けられる。
家臣は、王が単身で村に向かった際に、新たな王を擁立した方が良いと発言した者であった。名をマルケル・セイドル。家臣団の中でも勇敢なる男。
勇敢さを持っていても、それを振るうに値しない王を見限ろうとしていた。
だが、正気を取り戻し始めた王に心底では安堵をしていた。が、左右に子供をおいての協議には眉をひそめていた。
幼き考えを取り入れるのは、幼稚で夢想。現実的ではなかったからだ。
それだけでも不快なものであったが、王はあろう事か魔王との会談を開いてみようかと口にしたのである。
これには、未だ頭は惚けているのかと、マルケルは激しく立ち上がる。椅子が激しく音を立て倒れる中で王を侮辱した。
王はその形相に驚くが、魔王軍との戦いには反対をしていた家臣団。その中でも勇猛であり、引き際もわきまえた名将からの罵声。
王は困惑する。戦をしない事にこした事はないのではないのかと。それをなぜ反対するのかと。
無理な徴兵により、民を失いたくないということから反対はしたが、倒れていった同胞達の無念を晴らすためには、魔王とその手先は倒さねばならない。
そして勝利を得、古都となった王都を奪還する。王が自ら、脱出のさい、天嶮である山脈の中腹で奪還を強く誓ったからこそ、付き従ってきた。
少し前まで情緒も不安定であり、見放そうともした。それでも立ち戻ったことに喜びを得たのに、会談という、自分にとって裏切りにも値する発言。到底、許せるものではなかった。
マルケルは怒りに満ちた瞳で王を一瞥すると、勢いよくドアを開き出て行く。その後ろには、彼と思いを同じとする数人の家臣の姿もあった。
――場が変わる。
兵舎を舞台とした場には、マルケルとそれに賛同する同僚と兵達。
王は確かに生気を取り戻したが、弱くなってしまった。心弱き存在は、王である資格がない。
マルケルは新たに王を擁立し、その下で、魔王軍と戦える力を得なければならないと、そのためには弱腰となりはてた王を、排さなければならない。つまりは王の命を奪わなくてはならない。
その場にいる者達は理解する。忠義を貫いてきた王を弑逆。
彼等は肩をふるわせて涙を流す。好きこのんでこの様なことを誰がしたいのかと、しかし、このままでは世界は、大陸は蹂躙されてしまう。
強い国を作らなければならないのだから。後世の歴史家達に大罪人の汚名を付けられようとも後の世のために。
そう口にし、王の命を奪う決意をするかのように、その場にいる者達は、鞘から白刃を抜き、それを高く掲げた。
――第四幕が終わる。
あたりは暗いが、舞台が建てられている噴水広場は王都の目抜き通りの中心ということもあって、街灯が明るく、足下の心配もない。
演劇が始まると、芝居の明かりを邪魔しないように街灯の光は弱いものになるが、幕が降りている時はいつもの夜道を照らす頼りになる明かりを与えてくれる。
流石に、祭りを楽しみすぎて疲れたのか、レインちゃんは雑多な賑わいの中でもお構いなしに、ケーシーさんの膝の上で涎を垂らして眠りについていた。
「かわいい」
寝顔を見てロールさんがレインちゃんの頭を優しく撫でる。
「これ、大変ですね」
「だろ……漏らしてないからな」
苦笑いのケーシーさん。レインちゃんの大量の涎で、ケーシーさんの股間周りはびっしょりだ。
演劇が終わった後、どうやって前を隠して帰るかというのを本気で悩んでいた。
重々しい芝居の合間のこの緩急。
周囲の方々は、僕たちの会話が丸聞こえなので、ケーシーさんが困っている内容に、失礼で有りながらもクスクスと笑いを起こしている。
僕たちのやり取りはちょっとした幕間劇みたいになっていた。
――衰弱していた王は勇者達と出会い、日に日に生気を取り戻していき、手入れもされずボサボサだった髪は綺麗に整えられ、以前よりは眠りも深いものとなり、肉付きに顔色と、よいものとなってきた。
落ち着きを取り戻し、王妃や家臣たちは胸をなで下ろす。
軍議に割いていた時間は、治政に重きを置くようになっていく。
王は冷静さを取り戻した目で、世界を見る。
――魔王軍の侵攻。
それを迎え撃つ人々、腕に自信のある者達が先頭に立ち、苛烈に対抗し、大地は荒廃の一途をたどっていく。
どちらが勝利しても残るのは闇だけだと王は危惧する。いつまでもこの様なことを続けて良いのかと、むろん答えは否である。
一人で語る王役に光が集められ、そこに勇者役が現れると、光はそちらにも向けられる。
若き王は勇者と従者を側に置き、共に世界のこれからを語ることが日課の一つになっていた。
自分よりも十ほど下の子供と話すことではないのだろうが、王に一番近い歳の者は妻を除くといなかった。皆、歳が二十は上の家臣ばかりだった。
故に立場などの垣根を取り外し、彼女たちとは友情を築き上げている。
三人が語らい合い、たどり着く答えは、一度、侵攻を行う存在の長。つまりは魔王との会談を開いてみては、ということで合致していた。
――――協議を行う中には、若き勇者たちも参加している。
それをよく思わぬ家臣役に光が向けられる。
家臣は、王が単身で村に向かった際に、新たな王を擁立した方が良いと発言した者であった。名をマルケル・セイドル。家臣団の中でも勇敢なる男。
勇敢さを持っていても、それを振るうに値しない王を見限ろうとしていた。
だが、正気を取り戻し始めた王に心底では安堵をしていた。が、左右に子供をおいての協議には眉をひそめていた。
幼き考えを取り入れるのは、幼稚で夢想。現実的ではなかったからだ。
それだけでも不快なものであったが、王はあろう事か魔王との会談を開いてみようかと口にしたのである。
これには、未だ頭は惚けているのかと、マルケルは激しく立ち上がる。椅子が激しく音を立て倒れる中で王を侮辱した。
王はその形相に驚くが、魔王軍との戦いには反対をしていた家臣団。その中でも勇猛であり、引き際もわきまえた名将からの罵声。
王は困惑する。戦をしない事にこした事はないのではないのかと。それをなぜ反対するのかと。
無理な徴兵により、民を失いたくないということから反対はしたが、倒れていった同胞達の無念を晴らすためには、魔王とその手先は倒さねばならない。
そして勝利を得、古都となった王都を奪還する。王が自ら、脱出のさい、天嶮である山脈の中腹で奪還を強く誓ったからこそ、付き従ってきた。
少し前まで情緒も不安定であり、見放そうともした。それでも立ち戻ったことに喜びを得たのに、会談という、自分にとって裏切りにも値する発言。到底、許せるものではなかった。
マルケルは怒りに満ちた瞳で王を一瞥すると、勢いよくドアを開き出て行く。その後ろには、彼と思いを同じとする数人の家臣の姿もあった。
――場が変わる。
兵舎を舞台とした場には、マルケルとそれに賛同する同僚と兵達。
王は確かに生気を取り戻したが、弱くなってしまった。心弱き存在は、王である資格がない。
マルケルは新たに王を擁立し、その下で、魔王軍と戦える力を得なければならないと、そのためには弱腰となりはてた王を、排さなければならない。つまりは王の命を奪わなくてはならない。
その場にいる者達は理解する。忠義を貫いてきた王を弑逆。
彼等は肩をふるわせて涙を流す。好きこのんでこの様なことを誰がしたいのかと、しかし、このままでは世界は、大陸は蹂躙されてしまう。
強い国を作らなければならないのだから。後世の歴史家達に大罪人の汚名を付けられようとも後の世のために。
そう口にし、王の命を奪う決意をするかのように、その場にいる者達は、鞘から白刃を抜き、それを高く掲げた。
――第四幕が終わる。
あたりは暗いが、舞台が建てられている噴水広場は王都の目抜き通りの中心ということもあって、街灯が明るく、足下の心配もない。
演劇が始まると、芝居の明かりを邪魔しないように街灯の光は弱いものになるが、幕が降りている時はいつもの夜道を照らす頼りになる明かりを与えてくれる。
流石に、祭りを楽しみすぎて疲れたのか、レインちゃんは雑多な賑わいの中でもお構いなしに、ケーシーさんの膝の上で涎を垂らして眠りについていた。
「かわいい」
寝顔を見てロールさんがレインちゃんの頭を優しく撫でる。
「これ、大変ですね」
「だろ……漏らしてないからな」
苦笑いのケーシーさん。レインちゃんの大量の涎で、ケーシーさんの股間周りはびっしょりだ。
演劇が終わった後、どうやって前を隠して帰るかというのを本気で悩んでいた。
重々しい芝居の合間のこの緩急。
周囲の方々は、僕たちの会話が丸聞こえなので、ケーシーさんが困っている内容に、失礼で有りながらもクスクスと笑いを起こしている。
僕たちのやり取りはちょっとした幕間劇みたいになっていた。
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