59 / 604
熱砂地帯の二王
PHASE-03
しおりを挟む
幻獣使いさんは優秀な方なんだろう。砂漠オオトカゲの乗り心地は悪くない。
四肢を激しく動かして、体が左右に波打つような動きではあるけども、不思議と乗ってる僕たちには振動が伝わってこない。
ラクダや馬なんかよりよっぽど乗りやすい。
扱いにくい生き物を、丁寧に育てて可愛がり、信頼を得た証拠だろうね。
グライフ君には小馬鹿にされる僕でも、砂漠オオトカゲはちゃんと、僕を乗せて走ってくれる。
大地に波打つ砂漠地帯をわけもなく上り下り、まるで平地を疾走するかのような足の進め方。休むことなく、ひたすら走り続けてくれる。
口を開けば大人一人くらい簡単に飲み込みそうな体躯をもっているから、砂漠生息のモンスターも姿を見ただけで、砂に潜って身を隠す。
ラクダなら何とか逃げ果せる。徒ならばモンスターに挑む力が無い限り、餌になるってところかな。
徒でこの広大な砂漠地帯を移動するのは、そもそもが自殺行為だけども。
ラクダでも、周囲に気を配っての移動。倍額払っても、砂漠オオトカゲを選択するのが砂漠の旅での今後のトレンドになるかもしれない。
鞍にのって二刻半ほど、流石にお尻も痛くなってきたけども、目的の場所には無事に到着出来そうだ。
風景に少しずつ草木が加わってきている。砂漠には不釣り合いな青々とした光景。
――――光景と言えば、道中、衝撃的な光景も目にしてしまったが……。
砂漠生息地には天敵がいないと考えられるのが、大熊くらいの大きさである、タイラント・デス・ストーカーって呼ばれる、刺されればコロイチな毒を持ったサソリ。
本来は人間やそのほかの生き物を見たら捕食対象として襲ってくる砂漠生態系の頂点にいる生物だが、唯一の天敵であろう存在が、僕たちが騎乗している砂漠オオトカゲ。
しかし、そこは砂漠の頂点に君臨するプライドか、はたまた空腹だったのかは分からないが、タイラント・デス・ストーカーが僕たちを襲ってきた。
恐怖の僕たちは、制止させようと手綱を引くも、砂漠オオトカゲは僕たちを乗せたまま加速し、長距離走の給水所感覚で、漆黒の外骨格をバリバリと音を立てて食しはじめた時たるや……。
ピギィ! って鳴き声なのか、外骨格の軋む音だったのかは知らんけども、タイラント・デス・ストーカーの断末魔として、耳に残った……。
トラウマみたいなものを植え付けられてしまった……。
ロールさんも整備長も、それ以降、眉間に皺を作って、表情が曇る。
ちなみに、タイラント・デス・ストーカーの外骨格って、珍重で、鎧や盾などの防具にも使用されて、一流の職人が仕立てれば、宝具にも認定される代物なんだけどね……。バリバリといってたね……。
脱皮したてだったと思いたいところ……。
この衝撃的光景は当分、忘れることは出来ないにしても、眼界に広がる風景で、少しでも気分を変えたところ。
――――――。
――――森林地帯である。
以前までの地図ならば、ここは砂漠地帯でしかなかった。
だが、今では全くの別物。
更新された、地図を見てみると、未だに砂漠だ……。制作者が怠けたのか? と言われると語弊も出て来る。
現在進行でこの森林は広がっていっているからだ。
なので、描き直しても意味が無いと、怠けたのではなく、萎えたというのが正解だろう。
未だに地図にはゲンジ砂漠とだけ名前が記されているだけ。
本来、このゲンジ砂漠は、ヴィン海域同様に、大魔法制限解除域だったんだけども、この森林の発生によって、自然保全の観点より大魔法制限解除域から禁止区域に認定されてしまった。
ガチ勢な方々からは、非難囂々だったみたいだけども、そんな方々の今の現状は、ヴィン海域で命の擦り切れる快感に、絶賛、悦に入っている。
うっそうとした木々の前で、砂漠オオトカゲからおりて、足での移動。
「ここで待ってて」
の一言で、慣らされた砂漠オオトカゲは、勢いよく沙中に潜り込み、僕たちが戻ってくるまでお休み状態になるようだ。
「真っ赤ですね」
隣に立つロールさんに話しかける。
「そうだね」
と、感嘆の一言。
砂漠の夕日は、王都や古都で見るのとは違うものだ。とにかく真っ赤。夕日だから真っ赤なのは当たり前なんだけども、なんというか、辺りが砂漠っていうのもあるのかな。障害物てきな建造物がないもんだから、ダイレクトに真っ赤な色が目に飛び込んでくる感じだ。
だからこそ、真っ赤って感想が、真っ先に頭に浮かんできた。
四肢を激しく動かして、体が左右に波打つような動きではあるけども、不思議と乗ってる僕たちには振動が伝わってこない。
ラクダや馬なんかよりよっぽど乗りやすい。
扱いにくい生き物を、丁寧に育てて可愛がり、信頼を得た証拠だろうね。
グライフ君には小馬鹿にされる僕でも、砂漠オオトカゲはちゃんと、僕を乗せて走ってくれる。
大地に波打つ砂漠地帯をわけもなく上り下り、まるで平地を疾走するかのような足の進め方。休むことなく、ひたすら走り続けてくれる。
口を開けば大人一人くらい簡単に飲み込みそうな体躯をもっているから、砂漠生息のモンスターも姿を見ただけで、砂に潜って身を隠す。
ラクダなら何とか逃げ果せる。徒ならばモンスターに挑む力が無い限り、餌になるってところかな。
徒でこの広大な砂漠地帯を移動するのは、そもそもが自殺行為だけども。
ラクダでも、周囲に気を配っての移動。倍額払っても、砂漠オオトカゲを選択するのが砂漠の旅での今後のトレンドになるかもしれない。
鞍にのって二刻半ほど、流石にお尻も痛くなってきたけども、目的の場所には無事に到着出来そうだ。
風景に少しずつ草木が加わってきている。砂漠には不釣り合いな青々とした光景。
――――光景と言えば、道中、衝撃的な光景も目にしてしまったが……。
砂漠生息地には天敵がいないと考えられるのが、大熊くらいの大きさである、タイラント・デス・ストーカーって呼ばれる、刺されればコロイチな毒を持ったサソリ。
本来は人間やそのほかの生き物を見たら捕食対象として襲ってくる砂漠生態系の頂点にいる生物だが、唯一の天敵であろう存在が、僕たちが騎乗している砂漠オオトカゲ。
しかし、そこは砂漠の頂点に君臨するプライドか、はたまた空腹だったのかは分からないが、タイラント・デス・ストーカーが僕たちを襲ってきた。
恐怖の僕たちは、制止させようと手綱を引くも、砂漠オオトカゲは僕たちを乗せたまま加速し、長距離走の給水所感覚で、漆黒の外骨格をバリバリと音を立てて食しはじめた時たるや……。
ピギィ! って鳴き声なのか、外骨格の軋む音だったのかは知らんけども、タイラント・デス・ストーカーの断末魔として、耳に残った……。
トラウマみたいなものを植え付けられてしまった……。
ロールさんも整備長も、それ以降、眉間に皺を作って、表情が曇る。
ちなみに、タイラント・デス・ストーカーの外骨格って、珍重で、鎧や盾などの防具にも使用されて、一流の職人が仕立てれば、宝具にも認定される代物なんだけどね……。バリバリといってたね……。
脱皮したてだったと思いたいところ……。
この衝撃的光景は当分、忘れることは出来ないにしても、眼界に広がる風景で、少しでも気分を変えたところ。
――――――。
――――森林地帯である。
以前までの地図ならば、ここは砂漠地帯でしかなかった。
だが、今では全くの別物。
更新された、地図を見てみると、未だに砂漠だ……。制作者が怠けたのか? と言われると語弊も出て来る。
現在進行でこの森林は広がっていっているからだ。
なので、描き直しても意味が無いと、怠けたのではなく、萎えたというのが正解だろう。
未だに地図にはゲンジ砂漠とだけ名前が記されているだけ。
本来、このゲンジ砂漠は、ヴィン海域同様に、大魔法制限解除域だったんだけども、この森林の発生によって、自然保全の観点より大魔法制限解除域から禁止区域に認定されてしまった。
ガチ勢な方々からは、非難囂々だったみたいだけども、そんな方々の今の現状は、ヴィン海域で命の擦り切れる快感に、絶賛、悦に入っている。
うっそうとした木々の前で、砂漠オオトカゲからおりて、足での移動。
「ここで待ってて」
の一言で、慣らされた砂漠オオトカゲは、勢いよく沙中に潜り込み、僕たちが戻ってくるまでお休み状態になるようだ。
「真っ赤ですね」
隣に立つロールさんに話しかける。
「そうだね」
と、感嘆の一言。
砂漠の夕日は、王都や古都で見るのとは違うものだ。とにかく真っ赤。夕日だから真っ赤なのは当たり前なんだけども、なんというか、辺りが砂漠っていうのもあるのかな。障害物てきな建造物がないもんだから、ダイレクトに真っ赤な色が目に飛び込んでくる感じだ。
だからこそ、真っ赤って感想が、真っ先に頭に浮かんできた。
0
あなたにおすすめの小説
僕の秘密を知った自称勇者が聖剣を寄越せと言ってきたので渡してみた
黒木メイ
ファンタジー
世界に一人しかいないと言われている『勇者』。
その『勇者』は今、ワグナー王国にいるらしい。
曖昧なのには理由があった。
『勇者』だと思わしき少年、レンが頑なに「僕は勇者じゃない」と言っているからだ。
どんなに周りが勇者だと持て囃してもレンは認めようとしない。
※小説家になろうにも随時転載中。
レンはただ、ある目的のついでに人々を助けただけだと言う。
それでも皆はレンが勇者だと思っていた。
突如日本という国から彼らが転移してくるまでは。
はたして、レンは本当に勇者ではないのか……。
ざまぁあり・友情あり・謎ありな作品です。
※小説家になろう、カクヨム、ネオページにも掲載。
防御力を下げる魔法しか使えなかった俺は勇者パーティから追放されたけど俺の魔法に強制脱衣の追加効果が発現したので世界中で畏怖の対象になりました
かにくくり
ファンタジー
魔法使いクサナギは国王の命により勇者パーティの一員として魔獣討伐の任務を続けていた。
しかし相手の防御力を下げる魔法しか使う事ができないクサナギは仲間達からお荷物扱いをされてパーティから追放されてしまう。
しかし勇者達は今までクサナギの魔法で魔物の防御力が下がっていたおかげで楽に戦えていたという事実に全く気付いていなかった。
勇者パーティが没落していく中、クサナギは追放された地で彼の本当の力を知る新たな仲間を加えて一大勢力を築いていく。
そして防御力を下げるだけだったクサナギの魔法はいつしか次のステップに進化していた。
相手の身に着けている物を強制的に剥ぎ取るという究極の魔法を習得したクサナギの前に立ち向かえる者は誰ひとりいなかった。
※小説家になろうにも掲載しています。
死んだはずの貴族、内政スキルでひっくり返す〜辺境村から始める復讐譚〜
のらねこ吟醸
ファンタジー
帝国の粛清で家族を失い、“死んだことにされた”名門貴族の青年は、
偽りの名を与えられ、最果ての辺境村へと送り込まれた。
水も農具も未来もない、限界集落で彼が手にしたのは――
古代遺跡の力と、“俺にだけ見える内政スキル”。
村を立て直し、仲間と絆を築きながら、
やがて帝国の陰謀に迫り、家を滅ぼした仇と対峙する。
辺境から始まる、ちょっぴりほのぼの(?)な村興しと、
静かに進む策略と復讐の物語。
友人(勇者)に恋人も幼馴染も取られたけど悔しくない。 だって俺は転生者だから。
石のやっさん
ファンタジー
パーティでお荷物扱いされていた魔法戦士のセレスは、とうとう勇者でありパーティーリーダーのリヒトにクビを宣告されてしまう。幼馴染も恋人も全部リヒトの物で、居場所がどこにもない状態だった。
だが、此の状態は彼にとっては『本当の幸せ』を掴む事に必要だった
何故なら、彼は『転生者』だから…
今度は違う切り口からのアプローチ。
追放の話しの一話は、前作とかなり似ていますが2話からは、かなり変わります。
こうご期待。
冤罪で辺境に幽閉された第4王子
satomi
ファンタジー
主人公・アンドリュート=ラルラは冤罪で辺境に幽閉されることになったわけだが…。
「辺境に幽閉とは、辺境で生きている人間を何だと思っているんだ!辺境は不要な人間を送る場所じゃない!」と、辺境伯は怒っているし当然のことだろう。元から辺境で暮している方々は決して不要な方ではないし、‘辺境に幽閉’というのはなんとも辺境に暮らしている方々にしてみれば、喧嘩売ってんの?となる。
辺境伯の娘さんと婚約という話だから辺境伯の主人公へのあたりも結構なものだけど、娘さんは美人だから万事OK。
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
戦場帰りの俺が隠居しようとしたら、最強の美少女たちに囲まれて逃げ場がなくなった件
さん
ファンタジー
戦場で命を削り、帝国最強部隊を率いた男――ラル。
数々の激戦を生き抜き、任務を終えた彼は、
今は辺境の地に建てられた静かな屋敷で、
わずかな安寧を求めて暮らしている……はずだった。
彼のそばには、かつて命を懸けて彼を支えた、最強の少女たち。
それぞれの立場で戦い、支え、尽くしてきた――ただ、すべてはラルのために。
今では彼の屋敷に集い、仕え、そして溺愛している。
「ラルさまさえいれば、わたくしは他に何もいりませんわ!」
「ラル様…私だけを見ていてください。誰よりも、ずっとずっと……」
「ねぇラル君、その人の名前……まだ覚えてるの?」
「ラル、そんなに気にしなくていいよ!ミアがいるから大丈夫だよねっ!」
命がけの戦場より、ヒロインたちの“甘くて圧が強い愛情”のほうが数倍キケン!?
順番待ちの寝床争奪戦、過去の恋の追及、圧バトル修羅場――
ラルの平穏な日常は、最強で一途な彼女たちに包囲されて崩壊寸前。
これは――
【過去の傷を背負い静かに生きようとする男】と
【彼を神のように慕う最強少女たち】が織りなす、
“甘くて逃げ場のない生活”の物語。
――戦場よりも生き延びるのが難しいのは、愛されすぎる日常だった。
※表紙のキャラはエリスのイメージ画です。
後日譚追加【完結】冤罪で追放された俺、真実の魔法で無実を証明したら手のひら返しの嵐!! でももう遅い、王都ごと見捨てて自由に生きます
なみゆき
ファンタジー
魔王を討ったはずの俺は、冤罪で追放された。 功績は奪われ、婚約は破棄され、裏切り者の烙印を押された。 信じてくれる者は、誰一人いない——そう思っていた。
だが、辺境で出会った古代魔導と、ただ一人俺を信じてくれた彼女が、すべてを変えた。 婚礼と処刑が重なるその日、真実をつきつけ、俺は、王都に“ざまぁ”を叩きつける。
……でも、もう復讐には興味がない。 俺が欲しかったのは、名誉でも地位でもなく、信じてくれる人だった。
これは、ざまぁの果てに静かな勝利を選んだ、元英雄の物語。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる