拝啓、あなた方が荒らした大地を修復しているのは……僕たちです!

FOX4

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ブートキャンプへようこそ♪

PHASE-14

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 アクシャイさんが頭の悪い発言をしてしまったもんだから、〝やっぱりピートさんだな〟なんて、声が一斉に上がり始めて――、なんという事でしょう。今では僕の周囲を皆さんが取り囲んでおります。
 
 これは、あれだな――。 
 素人に任せようとしてる時点で、負ける気だな。本気で勝つ気があるのかな!
 どうするの【勝利の栄光を百人長に】なんて言ったけども、辛酸の味を堪能させる事になりそうだよ……。
 
 まいったね、これね。
 とりあえず、出来る範囲でやるしかないか。
 
 僕は戦力外だってのは自分で理解してるからね。後は強そうで、且つ、魔王軍の学舎で戦闘教練の成績の良かった方に前線を任せよう。
 

 ――――……。
 
 なんてこったい。任せるとなったら、僕を真っ先に頼ろうとしたアクシャイさんが、やはりというべきか、学舎では一番戦績がよかったそうで……。
 脳筋かよ……。
 オールラウンダーはおらんかえ?
 ――――大丈夫だろうか……、こんな方に前線指揮をまかせても……。
 
 よし! やれるだけの事を必死にやっていこう。捨て鉢ではないよ。頑張ったって事で、ロールさんに褒めてもらう事を考えて、それをモチベーションにするだけ。
 
 いいぞ。そう考えたら、なんか、気が楽になってきたぞ。
 こんな素人に頼ろうとしてる貴方たちが悪いんだからね。
 それっぽい事を考えてから、それで編成をしてやるんだからね。
 


 ――――――――。
 
 決まった事を伝えていく――。
 前線での戦闘を担当する実行部隊は、アクシャイさんに任せる事にした。
 
 前線で会敵したら、即座に制圧の実行部隊の影で動いてもらう為の遊撃部隊。
 
 前線を後方から援護するための支援部隊。
 
 戦いの要となる、戦いを有利に進めるための情報を得る偵察部隊。

 偵察部隊と他の部隊の連絡の中継、兼任で偵察部隊補助の伝令部隊。
 
 そして、それらを動かす頭脳である指揮。
 
 これらの部隊で組み立てていく。 
 
 僕たちの分隊は指揮担当だ。
 
 だって仕方ないじゃないか、皆が僕を頼るんだもの。負ける道を歩む事を少しでも跳ね除けられる凡小指揮官として意地を見せてあげますよ。
 
 ――――本当に僕でいいの?
 知らないよ? 本当にいいんだね?

「お願いします、指揮官殿」
 ロウさん。そんな風に役職を作られるとさ、完全に逃げ場なしですよ。
 すでに、逃げ場なかったけどさ。とどめ刺してきたね……。
 
 皆さんの僕に向けるキラキラの瞳たるや。澱みがないですね~。魔王軍にしておくには勿体ないくらいの美しさですよ。

「ささ、司令官殿」
 あれ? アクシャイさん。僕、階級上がってますよ。指揮官から司令官って……、

 凄い勢いで、位が上がってしまって展開について行けないんですけど。でも、それは僕だけなようだね。
 皆はその乗りを完全に乗りこなしております。

「司令官殿。部隊名とか付けたらそれっぽくないかニャ?」
 部隊名か……。
 確かに、名前呼ぶより、各部隊に名前を付けた方が素早く指示が出せそうだ。個人名を呼んでも、どの部隊で、どの分隊だ? って、なっちゃいそうだしね。
 
 ――――ここまで来たんだ。付けていこう。
 
 ――――――。   

 実行部隊・パーシング。
 
 遊撃部隊・ロウカスト。
 
 支援部隊・リーとグラント。
   
 偵察部隊・チャーフィー。
 
 伝令部隊・スチュアート。
 
 指揮所というか、指揮官が階級が上がって司令官になったから、司令所になるのかな?
 司令所・シャーマン。
 
 司令所以外は、各部隊の名称に加えて、各分隊にはアルファチームやブラボーチームと付け加えていく。
 シナンさんのご要望通りに、それっぽくなってきたので、頑張ってやっていきましょう!
 勝つよ! キツイ思いしてきたんだから。勝って、褒めてもらう! ロールさんに!!
 
「並んでください」
 
 ――並びましたね。うん、皆、一段高い位置にいる僕にガッツリと視線を向けてるね。
 よしよし――――。
 
 呼気を大きく行って――、
「勝利万歳!」
 両手を高らかに掲げると、
「「「「勝利万歳!!」」」」
 五十人の諸手が天に向けられた。
 皆で、一致団結して成し遂げましょう!
 
 以上――、解散。
 ゆっくりお風呂入って、しっかり堅パンハード・タック食べて、寝ますよ。
 今日はもう誰も干渉してくるなよ。ゆっくりしたいんだから。


 ――――――――。 
 
 実習戦の朝だ。流石に気遣ってくれたのか、ゆっくりとした時間を昨晩は与えてもらえた。
 きっと、皆も実習戦前夜だからナーバスになって、精神統一したかったのかもしれない――。
 
 総勢五十人が、実戦に近い為に用意された実習戦の森の中に、銃のスリングを肩に通して、通信機を付けてから入っていく。

「よし、準備出来たな」
 あら、もうここからは僕たちだけだと思っていたら、百人長が現れましたよ。
 お見送りですかね?

「自分たちの地力を信じて戦い抜け」
 だそうだ。体と知恵で戦えってね。

「でも、なぜに魔法を使用しないで、銃なんて使うんですかね?」

「ここは元々、過激な奴らの集まりだったからな」
 ガチ勢の巣窟でしたからね。
 僕もここに来た時、危うく奈落に落とされそうでしたから、大魔法を直ぐに使用するとか、僕から見たら、悪癖もいいところ。
 
 百人長、この訓練の本質は、そんなガチ勢気質の癖を直す為のものでもあるそうで、新兵のころから、魔法なんかに頼らず、武器と戦略を駆使して戦うスタイルを染みこませていく為の大切な訓練なんだとか。
 
 もちろんこれが実戦なら魔法の使用も解除されるそうで、多角的な攻撃方法で敵を圧倒していくスタイルに変わるそうだ。
 
 大魔法を使わなくても、武器と魔法。そして、個の武ではなく、集団で息の合った行動を取り、戦う事で、力のない者でも、強者に立ち向かえる戦い方をここで身につける。
 演習戦が、その集大成となるわけだ。

「頼んだぞ、役職だけならすでに俺より階級が上なんだからな」
 肩に手を当てられて、ここから先は僕が百人長に代わって、皆に指示を出していく。
 僕が司令官に就任したの聞いてたんですね……。
 
 ――――。
 
 戦闘開始の合図なんて上がらない。鏑矢とか、ラッパの吹鳴とか、今から開戦だよ。って、物は一切ないようだ。
 この森に入った時点で、火蓋は切られるという事だね。
 
 息を殺して、演習で行ってきたように、体を低く伏せて匍匐で移動。空にも警戒したいから、仰臥も織り交ぜて進んでいく。
 木々が少しでも動いたら、動きを止めて窺う。
 
 ――凄いぞ、この緊張感。
 
 勇者対魔王軍のど派手な戦いとも違えば、兵隊さん達が重い防具を纏って密集隊形で一塊になってぶつかり合うような混戦でもない。
 
 散兵ってやつかな。
 大きくまとまらず、各部隊、分隊でまとまって、小規模で素早く静かに動いて戦闘を行う。
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