88 / 604
ブートキャンプへようこそ♪
PHASE-18
しおりを挟む
冷静に対処出来るって事に関してなら、僕に一日の長がある。
彼等は新兵。まだ学舎から出たばかりだ。
対して僕は、畑は違えど、仕事で様々な方々と対面してきた。カグラさん、不死王さん、大公様に、邪神などなど――。
お歴々に比べれば、ここの方々はまだまだ嘴の黄色いひな鳥だ。
きっと、いま僕が思い浮かべた方々を前にしたら、醸し出す圧によって卒倒するだろう。
その点の胆力では負けない自信も自負も経験もある。
根気比べ、知恵比べと行こうじゃないか。
要は、相手に捕捉されなければ良いんだからね――。
頭の中に、僕を死地に追い詰めたジュラルミンさんが浮かんでくる。
――――静かだ。
やはり、周囲が砂漠地帯という事もあって、鳥以外の動物が発する音は耳には入らない。
だからこそ、それ以外の音はよく耳に届く。
耳の良い亜人の方なら更に聞こえているはずだ。
『こちら、チャーフィー・アルファ。対象――――まもなく。オーバー』
「シャーマン了解。アウト」
夜目に頼りすぎているな。羽音と高いびきがよく聞こえている。
堂々としすぎだね。
夜目が利かなくても、これだけ大きな羽音をさせて飛んでいれば、僕にでも距離感は掴めるもんさ。
「いくニャ」
「まだまだ」
猫のように体を伏せさせての姿勢。今にも狩りを始めようとしているシナンさん。
負けじとロウさんも伏せて待つ。
息を殺したように、細心の注意を行い、会話、そして、息づかいにも神経を研ぎ澄ませる。間違いなく、ここにいる僕たちは狩る側の立ち位置にいる。
僕はゆっくりと通信機のボタンに手を伸ばす。木々、草に触れないように、耳元のボタンに指を持っていくだけでも、慎重に慎重を重ねる。
深い呼気を行い、
「タリホー。対象、着地。数は三だニャ」
闇を見通すシナンさんの発言に頷いて返す。
――暗順応っていうんだっけ? 遠くまで見えるわけじゃないけど、近場なら新月の暗闇の中でも見えるようになってきた。
「おい、このオーク寝てるぜ」
「ラッキーだな。周りにも人影はない。てか、よく演習中に寝られるな。馬鹿なのか?」
「勝ってる余裕だろ。それよりも早くしろ、そいつ等が起きたらマズイ」
警戒してきた。シナンさんが隣で僕に逐次報告。
辺りを見渡しながら、嫌な気配を感じたのか、寝ているオークさんのベレー帽に触れようとしつつも、中々に触れられないでいる。
でも、触れる。手にしなければ逆転できないという欲に負けて。
――――そこを狙う。
銃は音が出る。なので、極力使用せず、時宜を見計らってアタック。
「おい、いくぞ」
人型の男性鳥人さんが、そう言うと、頷いて鳥の顔である鳥人さんの手がベレー帽に触れた瞬間。
僕は、耳元のボタンを押して、
「ゴーゴーゴー」
と、伝える。
待ってましたとばかりに、伏せていた体を勢いよく伸ばして、シナンさんと、ロウさんが飛び出し、あっという間に二人の動きを封じ制圧。
驚いて、飛び立とうとした一人も、彼の頭上から制空権を我が物にしたアクシャイさんが片手で顔を掴むと、力に物をいわせて地面に無理矢理キスをさせて拘束。
「くっそぉぉぉぉぉぉ」
アズナさん同様の悔しい声をいただきました。
ランタンに火を灯して、ググタムさんと僕が銃を向けつつ、拘束された三人へと近づく。
「何だよその恰好!? 妖精の真似か?」
全身に木の葉や苔を纏っている妖精だね。上手いこと例えるね。
捕らえた、鳥人さんが言うように、僕たちは全身を草で覆って、この方々が隙を見せるまで、森と一体化していた。
この森に足を踏み入れた時のジュラルミンさんの登場を思い出してのアイデアだ。
「これで、こちらはベレー帽を合計8奪取」
いいぞ。倍の数だ。各分隊にも早速この――――、ギリードゥ――。
――の、名前を拝借したギリースーツを作らせて、この戦いにおける隠蔽率を高めさせよう。
相手は通信のロストを知れば、更に三人がやられたと思うだろう。
そこに拍車をかける焦りで、大いに動きが散漫なものになる。そうなればこちらが完全に狩りの主導権を握る事が出来る。
「なんか、笑い方が悪い奴みないだニャ」
いいんじゃないかな。そのくらいの表情の方が、今のこの戦いの最中には必要かも知れませんよ。
古の怜悧狡猾な軍師よ、僕に宿りたまえ~。
「おい、起きろ」
「ふえ? アクシャイ――終わった?」
演技で寝てもらうと、ばれる可能性もあったので、リアリティを出す為に、グラント・ブラボーのオークさん達には本気で寝てもらっていた。
顔を軽く叩かれ、涎を拭きながら目を覚ましている。
――ここからは、釣りの要領だ。
餌である居眠り隊を配置。それが利かなくなれば更に効果のある、はぐれたと見せかけた遊撃部隊の一人を配置し、襲いかかってくるところを逆に襲う。カウンターアタック。先手を取れると自負している相手にすると、抜群の効果だ。
――――これで、更に五つをゲット。
成功したけども、一人を逃がしたとの報。
今までの編成から考えると、相手は三人一分隊で構成されていると思われる。
五十人の三人一組だから、十六組くらいか。四分隊ぐらいは潰したな。
こっちは四人一組の十二組と、残る二名がリーとグラントに一人ずつ入っている編成。で、損害は一分隊分。
彼我の残存は37対46か。
まだだな……。
相手との差をダブルスコアにしたいところ。
そしたら、後はごり押しでもいけると思う。もちろん油断するつもりはないけども。
――――――。
東側の空がうっすらだけど、淡い赤に染まり始める。
これだけ動き回って、神経すり減らして心身共にへばっているのに、以外と体は動く。
演習の成果が出ているのかな?
二日も持たないと思っていた堅パンも慣れてしまって、今では当たり前のように口に入れて食べている。
初日、テントでダークエルフの男性に教わった、口に含んで、柔らかくなったところをいただく方法。
味気ないし、物足りないけど、噛んでたら満腹中枢が刺激されるって言うのは、心底、理解出来る。
彼等は新兵。まだ学舎から出たばかりだ。
対して僕は、畑は違えど、仕事で様々な方々と対面してきた。カグラさん、不死王さん、大公様に、邪神などなど――。
お歴々に比べれば、ここの方々はまだまだ嘴の黄色いひな鳥だ。
きっと、いま僕が思い浮かべた方々を前にしたら、醸し出す圧によって卒倒するだろう。
その点の胆力では負けない自信も自負も経験もある。
根気比べ、知恵比べと行こうじゃないか。
要は、相手に捕捉されなければ良いんだからね――。
頭の中に、僕を死地に追い詰めたジュラルミンさんが浮かんでくる。
――――静かだ。
やはり、周囲が砂漠地帯という事もあって、鳥以外の動物が発する音は耳には入らない。
だからこそ、それ以外の音はよく耳に届く。
耳の良い亜人の方なら更に聞こえているはずだ。
『こちら、チャーフィー・アルファ。対象――――まもなく。オーバー』
「シャーマン了解。アウト」
夜目に頼りすぎているな。羽音と高いびきがよく聞こえている。
堂々としすぎだね。
夜目が利かなくても、これだけ大きな羽音をさせて飛んでいれば、僕にでも距離感は掴めるもんさ。
「いくニャ」
「まだまだ」
猫のように体を伏せさせての姿勢。今にも狩りを始めようとしているシナンさん。
負けじとロウさんも伏せて待つ。
息を殺したように、細心の注意を行い、会話、そして、息づかいにも神経を研ぎ澄ませる。間違いなく、ここにいる僕たちは狩る側の立ち位置にいる。
僕はゆっくりと通信機のボタンに手を伸ばす。木々、草に触れないように、耳元のボタンに指を持っていくだけでも、慎重に慎重を重ねる。
深い呼気を行い、
「タリホー。対象、着地。数は三だニャ」
闇を見通すシナンさんの発言に頷いて返す。
――暗順応っていうんだっけ? 遠くまで見えるわけじゃないけど、近場なら新月の暗闇の中でも見えるようになってきた。
「おい、このオーク寝てるぜ」
「ラッキーだな。周りにも人影はない。てか、よく演習中に寝られるな。馬鹿なのか?」
「勝ってる余裕だろ。それよりも早くしろ、そいつ等が起きたらマズイ」
警戒してきた。シナンさんが隣で僕に逐次報告。
辺りを見渡しながら、嫌な気配を感じたのか、寝ているオークさんのベレー帽に触れようとしつつも、中々に触れられないでいる。
でも、触れる。手にしなければ逆転できないという欲に負けて。
――――そこを狙う。
銃は音が出る。なので、極力使用せず、時宜を見計らってアタック。
「おい、いくぞ」
人型の男性鳥人さんが、そう言うと、頷いて鳥の顔である鳥人さんの手がベレー帽に触れた瞬間。
僕は、耳元のボタンを押して、
「ゴーゴーゴー」
と、伝える。
待ってましたとばかりに、伏せていた体を勢いよく伸ばして、シナンさんと、ロウさんが飛び出し、あっという間に二人の動きを封じ制圧。
驚いて、飛び立とうとした一人も、彼の頭上から制空権を我が物にしたアクシャイさんが片手で顔を掴むと、力に物をいわせて地面に無理矢理キスをさせて拘束。
「くっそぉぉぉぉぉぉ」
アズナさん同様の悔しい声をいただきました。
ランタンに火を灯して、ググタムさんと僕が銃を向けつつ、拘束された三人へと近づく。
「何だよその恰好!? 妖精の真似か?」
全身に木の葉や苔を纏っている妖精だね。上手いこと例えるね。
捕らえた、鳥人さんが言うように、僕たちは全身を草で覆って、この方々が隙を見せるまで、森と一体化していた。
この森に足を踏み入れた時のジュラルミンさんの登場を思い出してのアイデアだ。
「これで、こちらはベレー帽を合計8奪取」
いいぞ。倍の数だ。各分隊にも早速この――――、ギリードゥ――。
――の、名前を拝借したギリースーツを作らせて、この戦いにおける隠蔽率を高めさせよう。
相手は通信のロストを知れば、更に三人がやられたと思うだろう。
そこに拍車をかける焦りで、大いに動きが散漫なものになる。そうなればこちらが完全に狩りの主導権を握る事が出来る。
「なんか、笑い方が悪い奴みないだニャ」
いいんじゃないかな。そのくらいの表情の方が、今のこの戦いの最中には必要かも知れませんよ。
古の怜悧狡猾な軍師よ、僕に宿りたまえ~。
「おい、起きろ」
「ふえ? アクシャイ――終わった?」
演技で寝てもらうと、ばれる可能性もあったので、リアリティを出す為に、グラント・ブラボーのオークさん達には本気で寝てもらっていた。
顔を軽く叩かれ、涎を拭きながら目を覚ましている。
――ここからは、釣りの要領だ。
餌である居眠り隊を配置。それが利かなくなれば更に効果のある、はぐれたと見せかけた遊撃部隊の一人を配置し、襲いかかってくるところを逆に襲う。カウンターアタック。先手を取れると自負している相手にすると、抜群の効果だ。
――――これで、更に五つをゲット。
成功したけども、一人を逃がしたとの報。
今までの編成から考えると、相手は三人一分隊で構成されていると思われる。
五十人の三人一組だから、十六組くらいか。四分隊ぐらいは潰したな。
こっちは四人一組の十二組と、残る二名がリーとグラントに一人ずつ入っている編成。で、損害は一分隊分。
彼我の残存は37対46か。
まだだな……。
相手との差をダブルスコアにしたいところ。
そしたら、後はごり押しでもいけると思う。もちろん油断するつもりはないけども。
――――――。
東側の空がうっすらだけど、淡い赤に染まり始める。
これだけ動き回って、神経すり減らして心身共にへばっているのに、以外と体は動く。
演習の成果が出ているのかな?
二日も持たないと思っていた堅パンも慣れてしまって、今では当たり前のように口に入れて食べている。
初日、テントでダークエルフの男性に教わった、口に含んで、柔らかくなったところをいただく方法。
味気ないし、物足りないけど、噛んでたら満腹中枢が刺激されるって言うのは、心底、理解出来る。
0
あなたにおすすめの小説
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
お飾りの妻として嫁いだけど、不要な妻は出ていきます
菻莅❝りんり❞
ファンタジー
貴族らしい貴族の両親に、売られるように愛人を本邸に住まわせている其なりの爵位のある貴族に嫁いだ。
嫁ぎ先で私は、お飾りの妻として別棟に押し込まれ、使用人も付けてもらえず、初夜もなし。
「居なくていいなら、出ていこう」
この先結婚はできなくなるけど、このまま一生涯過ごすよりまし
無能なので辞めさせていただきます!
サカキ カリイ
ファンタジー
ブラック商業ギルドにて、休みなく働き詰めだった自分。
マウントとる新人が入って来て、馬鹿にされだした。
えっ上司まで新人に同調してこちらに辞めろだって?
残業は無能の証拠、職務に時間が長くかかる分、
無駄に残業代払わせてるからお前を辞めさせたいって?
はいはいわかりました。
辞めますよ。
退職後、困ったんですかね?さあ、知りませんねえ。
自分無能なんで、なんにもわかりませんから。
カクヨム、なろうにも同内容のものを時差投稿しております。
クラス転移したけど、皆さん勘違いしてません?
青いウーパーと山椒魚
ファンタジー
加藤あいは高校2年生。
最近ネット小説にハマりまくっているごく普通の高校生である。
普通に過ごしていたら異世界転移に巻き込まれた?
しかも弱いからと森に捨てられた。
いやちょっとまてよ?
皆さん勘違いしてません?
これはあいの不思議な日常を書いた物語である。
本編完結しました!
相変わらず話ごちゃごちゃしていると思いますが、楽しんでいただけると嬉しいです!
1話は1000字くらいなのでササッと読めるはず…
僕の秘密を知った自称勇者が聖剣を寄越せと言ってきたので渡してみた
黒木メイ
ファンタジー
世界に一人しかいないと言われている『勇者』。
その『勇者』は今、ワグナー王国にいるらしい。
曖昧なのには理由があった。
『勇者』だと思わしき少年、レンが頑なに「僕は勇者じゃない」と言っているからだ。
どんなに周りが勇者だと持て囃してもレンは認めようとしない。
※小説家になろうにも随時転載中。
レンはただ、ある目的のついでに人々を助けただけだと言う。
それでも皆はレンが勇者だと思っていた。
突如日本という国から彼らが転移してくるまでは。
はたして、レンは本当に勇者ではないのか……。
ざまぁあり・友情あり・謎ありな作品です。
※小説家になろう、カクヨム、ネオページにも掲載。
【完結】兄の事を皆が期待していたので僕は離れます
まりぃべる
ファンタジー
一つ年上の兄は、国の為にと言われて意気揚々と村を離れた。お伽話にある、奇跡の聖人だと幼き頃より誰からも言われていた為、それは必然だと。
貧しい村で育った弟は、小さな頃より家の事を兄の分までせねばならず、兄は素晴らしい人物で対して自分は凡人であると思い込まされ、自分は必要ないのだからと弟は村を離れる事にした。
そんな弟が、自分を必要としてくれる人に会い、幸せを掴むお話。
☆まりぃべるの世界観です。緩い設定で、現実世界とは違う部分も多々ありますがそこをあえて楽しんでいただけると幸いです。
☆現実世界にも同じような名前、地名、言葉などがありますが、関係ありません。
【完結】妖精を十年間放置していた為SSSランクになっていて、何でもあり状態で助かります
すみ 小桜(sumitan)
ファンタジー
《ファンタジー小説大賞エントリー作品》五歳の時に両親を失い施設に預けられたスラゼは、十五歳の時に王国騎士団の魔導士によって、見えていた妖精の声が聞こえる様になった。
なんと十年間放置していたせいでSSSランクになった名をラスと言う妖精だった!
冒険者になったスラゼは、施設で一緒だった仲間レンカとサツナと共に冒険者協会で借りたミニリアカーを引いて旅立つ。
ラスは、リアカーやスラゼのナイフにも加護を与え、軽くしたりのこぎりとして使えるようにしてくれた。そこでスラゼは、得意なDIYでリアカーの改造、テーブルやイス、入れ物などを作って冒険を快適に変えていく。
そして何故か三人は、可愛いモモンガ風モンスターの加護まで貰うのだった。
後日譚追加【完結】冤罪で追放された俺、真実の魔法で無実を証明したら手のひら返しの嵐!! でももう遅い、王都ごと見捨てて自由に生きます
なみゆき
ファンタジー
魔王を討ったはずの俺は、冤罪で追放された。 功績は奪われ、婚約は破棄され、裏切り者の烙印を押された。 信じてくれる者は、誰一人いない——そう思っていた。
だが、辺境で出会った古代魔導と、ただ一人俺を信じてくれた彼女が、すべてを変えた。 婚礼と処刑が重なるその日、真実をつきつけ、俺は、王都に“ざまぁ”を叩きつける。
……でも、もう復讐には興味がない。 俺が欲しかったのは、名誉でも地位でもなく、信じてくれる人だった。
これは、ざまぁの果てに静かな勝利を選んだ、元英雄の物語。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる