拝啓、あなた方が荒らした大地を修復しているのは……僕たちです!

FOX4

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ブートキャンプへようこそ♪

PHASE-22

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 構えて撃つなんてしない、腰で構えて、火線が合うと思った位置で撃つ。そして、直ぐに装填、撃つ。
 多分だけど、今この中で装填だけの才能なら、僕一番うまいと思う。
 撃って、折って、無名指と小指で排莢し、同時に食指と中指で挟んだ薬莢を拇指で押し込む。
 それも見ずにやってのけている。新月の中でも、暇を見つけては、装填練習をやってきた甲斐もあるってもんだ。
 全速力で駆けながら、それらの動作をする。
 悪路でそれを行えるバランス力の向上には本当に自分でも驚きだ。

「突撃ぃぃぃぃぃぃぃ!」

「ニャァァァァァァァァァ!」
 皆、見てよ。相手、まさかこの状況で向かってくるなんて思ってもみなかったのか、浮き足立ってるよ。
 どうするよ? ってな感じで、顔を向け合ってるのが見て取れる。
 こちらの事を狂ってると思うかもね。
 思いたければ思えばいい。僕たちには、先に倒れていった仲間達の、意地と思いを背負って駆けなければならない使命があるんだから。

「適当に撃っているだけだ。優勢火力で没セシメヨ!」
 激しい反撃で、僕の為に、我が身を盾としてくれた、グラント・ブラボーのオークさん達が倒れ、上空からの狙い撃ちで、ロウさんが倒れる。
 倒れ様に、上空の敵を一人、撃ち落とすと、口角を上げ、拇指を立てながら僕たちを先に進める。

「俺が狙う!」
 さっきから大声で指示してる声は通信機から聞こえてきた声。【栄えある忠臣しんぺい】、リケルメ・アロージさんだな。一矢だけでも報いさせてもらう。
 腰撃ちから、照門を覗き込み、彼の体を照星で捕捉。
 その間に、僕が誰を狙っているかを理解した、シナンさんとググタムさんが、阿吽の呼吸で、僕を狙う相手を撃ち倒し、装填しつつ、壁となり、銃弾を浴びてシナンさんが前のめりに倒れていく。

散華玉砕さんげぎょくさい! ばんざぁぁぁぁぁぁぁい!」
 僕の気迫に驚いたのか、引き金を引く力に無駄が入って、リケルメさんの弾は、僕の顔の横を通過。ガク引きした相手に、僕は呼吸を止めてから、照星が狙っている部分にそのまま弾を送り出してやった――。
 ――やったぜ! 
 倒れていく姿がよく見える――――。中心人物だったようで、周りの動きが一瞬止まった。
 再装填――、リケルメさんの横にいる方を狙い撃つ。
 ――やったぜ!
 再装填――――、とは流石に許してもらえず。
 動き出すかたがこちらを狙う。
 アズナさんとの戦闘の時と同様に、二度目の盾になってくれるググタムさんが、倒れ様に、僕に銃を掲げながら地面に突っ伏す。
 手にして、思いを受け取り、意地のもう一射!
 ――やったぜ!
 もう、装填はしない。出来る余裕がないからね。意地は見せたさ。満面の笑みを向けてやった。
 そして、向けている多方向からの銃口より白煙が上がる――――。

「あに゛ぃぃゅぅぅうぉぉぃいぃいぃぃいぃぃ」
 体中がしびれ上がって、情けない声を出しながら、記憶が飛んでいくところまでは理解出来たよ………………。
 


 ――――――。

「ぶっは!」
 鼻がツーンとするから!
 気がつくと、僕の横に転がっているのは、先ほどまで水が入っていたであろうブリキ製のバケツ。
 思いっ切り、水を僕にかけた馬鹿は何処の誰だ! もう少し丁寧な起こし方があるだろうに!

「よう」

「あっ、百人長」
 一日ぶりかな? それとも、気を失って、長い時間、眠りについていたりするのかな?
 辺りを見れば、僕の周囲を一緒に行動した方々が取り囲んでいた。
 空は茜色だ。

「まったく、情けない。期限まで持つ事が出来ないなんてな」
 って台詞で、どうやら僕の記憶が飛んだのは、わずかな時間だったようだ。

「勝利の栄光とやらは何処にあるんだ? んん――?」
 継いだ二の句は、何とも嫌らしく、額に手を当てて、探し物を探しているかのようにキョロキョロと辺りを見回していますよ。
 言いましたもんね。勝利の栄光を百人長に。って、
「申し訳ありません。全て、僕の不徳の致すところ」

「だな! お前が悪い」
 何も返せないよ。しかし、慈悲無いな~この人。もう慣れたけどさ。
 大敗だからね。機嫌も悪くなるよね。

「違います! 百人長! 悪いのは自分であります」
 と、声の方向に目をやると――、
 ギョッとした。
 アクシャイさんが、目から鼻から、大いに汁を出しての大号泣です。
 自分が、勝利は確定と浮つき、再三の僕の指示を軽く聞いてしまっていた事で、相手に大きな隙を与えてしまい。
 結果、主力である実行分隊の自分の隊が、何も出来ないまま、相手に撃たれて終わってしまったと、悔しさを滲ませながら、立派な牙を軋らせて、エリートである龍人ドラゴニュートが皆に対して平謝りだった。
 
 それに対し、皆も、アクシャイさん同様に浮ついていたのは一緒で、誰も攻める事は出来ないと、返し、
「全員の責任ニャ」
 と、シナンさんが締めた。
 皆して、視線下方は45度凝視だ。

「まあいい、次に生かすんだな。――――ただ、これ以上、俺に負け犬のような発言はさせるなよ。死んだら次には生かせんのだからな、今度は勝て」
 低くも、胸に届く言葉だ。だからこそ皆、うつむいていた視線を百人長に向けて、大きくはっきりと、肯定の返事を口にした。
 

 ――――足下がまだふらつく。
 濡れた体で、地面に寝たままでいると寒くてかなわない。立ったら立ったで、視界が未だに定まらない。
 後遺症とか残らないよね?

「肩を貸すニャ」
 これはありがたい。シナンさん、僕よりは背は低いけど、肩を預けるのには苦労のしない身長差。ロウさん達は僕より長身だから、肩を預けるには苦労する。
 アクシャイさんなんてデカすぎて問題外だ。まあ、いち早く僕の所にやってきて、体を支えようとしていたけども。シナンさんに役割取られて、ちょっと挙動が不審になった姿は笑えた。

「ボロ負けでしたね」

「最初は良かったんですけどね」

「全ては実行部隊の俺の責任です」
 ググタムさんとの会話に割って入ってきたアクシャイさん。肩を貸せなかったけども、会話に入る事で、不審な動きをしなくてよいポジションを得た感じ。
 でも、このままだと、堂々巡りの内容になりそうなので、
「相手の偵察が凄かったと、賞賛するところですね」
 と、戦った相手の話しにすげ替えていく。
 それを耳にした方々は、一様に首肯した。
 こちらも部隊、分隊の振り分けには、人物の特徴を生かした適材適所の編成だったけど、それでも、相手の飛行による機動力と、即座に僕たちシャーマンを狙ってきたアズナさん達の展開力は、正確な情報を得てなければ考えられない動きである。

 まさか、内通者なんて事はないだろけども、意識が飛ぶ前だって、僕たちが隠れた場所は直ぐさま発見されたわけだし。
 魔法の使用も駄目、内通者もあり得ない。
 と、なると、
 周囲に目を向ければ、僕のような人間とは違う方々ばかり。
 個人的な能力の使用は禁止されてなかったし、特徴を生かした方の存在が、高い索敵を可能としたのだろうか?

「よう! 勝たせてもらったぜ」
 快活の良いその声に、こっちサイドは水を打ったように静まりかえった。
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