拝啓、あなた方が荒らした大地を修復しているのは……僕たちです!

FOX4

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叙勲の日

PHASE-11

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 生き生きしてるね。なんの催し物だろうか? 名前的にイベントものみたいだし、てっぺん狙う感じだね。

「ITADAKI-頂-はワギョウで十年に一度開催される剣術試合です」

「へ~優勝すれば何かもらえるんですか?」
 サージャスさんとしては、お金がもらえれば文句なしにいいんだろうけども。

「優勝者にはなんと! サボ・セレクが打った最上業物の二振り、【雪風】と【時雨】が贈られます」
 へ~。ようわからけども、この喜び用からするに、相当に凄い刀のようだね。
 和刀はこの大陸でも人気があるからな~。切れ味もだし、繊細な作りは芸術品としても高い評価を受けて、高額で売買されてるからね。
 勇者の中にも和刀を愛用している方もいるというし。エルンさんのところフィットさんも元は侍だったっけ。あの方もワギョウの出なのかな?
 ――副賞で高額のお金も出るそうだ。
 
 本来は伝統を重んじていたそうだけど、世界から人を集めて試合の層を厚くしたいという事から、名刀と賞金を優勝者に与えることで、広く募集をしているそうだ。
 そもそもの剣術試合の名前は-頂-だったそうだけど、今後のグローバル化も視野に入れてITADAKI-頂-に変更したらしい。

「でも、ワギョウって鎖国でしょ? そう簡単に入れるんですか」
 グローバル化を考えてはいるようだけども、基本的にワギョウは国交を大陸とは行っておらず、独自の文化を発展させている。
 一部のトップの頭が硬いから、開国も遅れてるのかな? と、思うけども、独自の文化発展は外からの人間からしたら神秘的でもあるから、このままでもいいんじゃないのかとも思ってしまう。
 一部にだけ開国を認めていて、国交を行い、そこからワギョウの文化なんかが、王都にも入ってくるって感じ。
 バッカスのお座敷や蕎麦なんかも、そうやって入ってきた文化だ。

「最近は入国手形さえ持っていれば問題ないみたいですから。特に試合に出場目的の者には寛容にもなるそうですよ」
 まあ、層を厚くしたいんだから、寛容にもなるだろうけどね。

「じゃあ、サージャスさんはこれから――」

「ワギョウに赴いて、剣術の見聞を広めつつ、ITADAKI-頂-で頂点を目指したいです。魔法はクリネア、剣はワギョウ。後者を、剣もクリネアに変えて見せますよ」
 豪語したね。強気になっている。
 少し前までは、公務員に対して支払いからの恐怖で、覇気もなかったのに。
 立派な装備を纏うようになったら、それが自信にも繋がってくれたようだ。
 よかった。もう、春をひさぐとか言わないでくれるだろう。
 笑顔がとても素敵な美少女ボクッ子勇者様として、世界に名を轟かせてもらいたい。
 ――まあ、装備しているのは、砂漠オオトカゲのゲロだけども……。
 この事だけは、絶対に言わないでいてあげよう。 
 自信を失ってしまうかもしれないから。

「で――ですね」
 ずいっと僕に急接近。もの凄く接近してます。お互いの鼻頭がくっつきそうな距離だ。鼓動が早くなる。

「何でしょう!?」
 最近はよく女性とも交流するし、何より眼前の子とは食事も一緒にした仲ではあるんだけども、まだまだ、免疫が出来上がっていない僕の声は見事に裏返る。
 そして、ここは仕事場だ。
 書類とにらめっこで、些か暇な状況ではあるけども、仕事はしている。
 もちろん、周りでは今でも働いている同僚がいるわけだけども、僕に至近している美少女のこれからの行動に釘付けの模様。
 キスでも始まるのかなんて感じで見てるけどさ。本当に、どうなるの? 唇を突き出してた方がいいの。
 アグレッシブな子だな。じゃなきゃ勇者は出来ないってか。

「応援に来てもらえたり出来ますか?」

「ふぁ?」
 それだけの事を言うために、こんなに顔を近くに寄せてきたの。
 周囲も、なんだと、安堵の表情。仕事に戻った。
 これ、もし、キスなんてイベントだったら。この後、僕は同僚たちにしばき回されたかもしれない。
 残念半分。安堵半分。

「ダメですか?」
 なぜにそんなに悲しい顔をするのか。
 そもそも、二ヶ月後の予定もね~。基本、僕、仕事だし。
 まあ、その試合が休みの日ならいけない事もないけども、それも行われる場所が、目と鼻の先ならである。
 ワギョウでしょ? この大陸から海を越えての島国ですよ?
 長めの休暇取らないと、行く事は難しいからね。有休使えば問題なしだけども。

「いいんじゃねえの」
 書類を丸めて、肩に当てながらの登場は整備長じゃないですか。
 いいとか言われても、貴男にその権限は――――、ああ、あるのか。整備長だったね。
 行けるなら見てみたいよね~。

「私も行きたいな~」
 更に、横からロールさんが、紅茶をカップに入れて登場。
 これは、俄然行きたくなってきたんですが。
 紅茶をいただくサージャスさん。ごめんなさいね。うちのは違令管理課に比べたら、業務用のお安いやつですけど。
 ロールさんが入れてくれてるから、味は最高にいいですよ。
 一口、口にしての表情で、それは理解出来た。

「ボク、ピートさんに応援してもらえれば、頑張れそうな気がして」
 発言で、仕事に戻っていた同僚たちがざわめく。
 そして、怨嗟の目が向けられてきている。
【美少女勇者と、なにお近づきになってるんだ! ふざけんな新人!!】てな声が、聞こえてくるような気がします。
 僕、これから、仕事場でいじめなんかに合わないよね?

「!?」
 ロールさん! なんだろうか、何かを纏っているような。
 分かりきっている。それは嫉妬。まったく、ロールさんってば、僕の事を完全に特別な目で見るようになったんだね。
 正直、この嫉妬の表情を見る事が僕にとっては嬉しいわけで。
 いままで、女性にこんな態度なんてとってもらった事ないし、シナンさんに、アズナさん。それに、サージャスさんまで僕に好意を持っているみたいなんだもの。うれしくてたまらない。
 そこに、憧れのロールさんと来たなら、天にも昇る気分だ。

「じゃあ、皆で応援に行きましょうよ」
 とりあえず、当たり障りの無い発言で、場を取り繕ってみる。
 
 ワギョウは温泉の宝庫で、混浴という素晴らしき習慣も有るそうな。
 女性だけでなく、最近は男性も気にする美容健康。
 ワギョウの食は健康にも、美肌にもいい食べ物も多いと聞く。有給とって、たまにはのんびりってのもいいよね。

「乗った!」
 うん――。貴男は乗らなくていいんですよ整備長。僕はね、女性陣と行きたいの。混浴とかある宿を全力で探すからね。
 そもそも、三人も有給を同時にとったらダメでしょう。
 なので、頑張ってください。普段、頑張ってないんだから。
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