拝啓、あなた方が荒らした大地を修復しているのは……僕たちです!

FOX4

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PHASE-01

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「はいよ」

「ありがとうございます」

「ワギョウに行くんだよな? あっちはパンより米が主流だから、おにぎりを作ってみたぞ」

「おお」 
 おにぎり、ケーシ―さんが作るんだから、美味しいだろうけど、おにぎりか……。
 蕎麦は食べるし、お米も口にはする。
 三角形の形状なんだね。中央に巻かれているのが海苔か、蕎麦にもこれを刻んだのを入れるよね。
 けど、お米と海苔だけの食べ物か……。味気なさそうだな。

「いいか、ピート。よくきけ」

「はっ!」

「このように、みぎてにオニギリ。ひだりてにとりにく。あたしのいいたいことが――――わかるな?」

「はっ! つまりは最強という事ですね」

「そのとおりだ!!」
 僕の横に座って、おにぎりと、骨付きの鶏のモモ肉を手にして、マスター・レインが、僕に師事してくれております。
 自分の顔を隠せるくらいのモモ肉にかぶりつき、咀嚼からのおにぎりを口に投入――――。

「な! さいきょう」

「はっ!」

「いや、それ、お前のじゃないから。ブールさんのだから。食べるなよ……」
 僕が、ワギョウに出張という話をケーシ―さんのお店で話したら、現在お店に来ている常連さんである、骨董店店主のブールさんが興味をしめしたようで、酒の肴であるモモ肉と一緒に、追加でおにぎりを注文したまでは良かったけども、それをレインちゃんに強奪された結果、今に至る。

「すいません。ブールさん」

「いいよ、ここではレインちゃんが絶対正義だから」

「さすがだ! よくわかってるな、ブールのおじき」

「ははっ!」
 とまあ、毎回こんな感じなんだけども――。
 ちょっと聞き捨てならない言葉があったね。

「レインちゃん。伯父貴なんて言葉、何処で覚えてきたのかな?」

「全くだ!」
 明らかに堅気じゃない匂いをかぎつけた僕とケーシ―さん。

「あのな、きのうのきのうな。ねこをおいかけてた――」
 んん――、ああ?
 猫を追いかけたら何なの? そこで、話をやめて、食べないでください。

「それで、猫を追いかけての先は?」

「おお! それな」
 よく咀嚼してからの嚥下。口に食べ物を入れたまま話さないのは、ケーシ―さんの教育が行き届いている証拠。
 
 口を開くと、続きを話してくれた。
 
 ――――昼食時で忙しい店内から出たレインちゃんは、店先で寝転んでいた猫を愛でていたそうだ。
 撫でていた猫が起き上がり、移動を開始。
 レインちゃんも後を追う。
 大通りから外れた細道に進むや、うるさい所に行き着いたとの事。
 なぜにうるさかったのか。
 レインちゃんの語りでは、お家の中で、カードを手にしたおっさん達がたくさんいて、飛び跳ねて喜んだり、落ち込んだりしていたそうだ。
 一喜一憂の光景だった事が窺える。
 
 ――それは、あれだね。
 よい子が行ってはいけない所だね。
 危ないからそんな所には行ってはいけないと、嘆息混じりにお叱りするケーシ―さん。
 言われる当人はいまいち実感がないようで、
「おかしもらった」
 まったく気にしてなかったし、どうやら、レインちゃんは子供が入っては行けない場所に足を踏み入れて、楽しんでいたようだ。
 無邪気とは凄いもの。きっと、そこで商いをしている方々も、突然訪問してきた癒やしの存在に、ひりつく感じを削ぎ落とされたのかも。
 レインちゃんの話には、伯父貴だのボスだの、困った事に、あまり聞きたくない単語が出てきて、ボスなる存在の膝に座って、お菓子をたくさんもらったそうな……。

「もう、そんな所には行ってはダメだよ」
 心配から、本気を伝えたい僕は、真剣な語調だ。

「はははははは――――」
 なんで、笑いで返すんだい? 真剣なんだよこっちは!
 で、笑い続けていると思ったら、ピタリと笑いが止まり、
「おことわりだぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁっ!」
 この子は放っておくと、確実にお菓子目的でまた行くな…………。
 ダメと強く言い聞かせても行くぞコレ……。
 男三人、揃って嘆息でしか返せなかった。
 
 その後は、最強の装備をバクバクと食べるだけ食べた……。
 支払いは、律儀にブールさんが支払うと言う……。
 家族みたいな感じで食事が出来るもんだから、支払う当人は気にしてないけども、ケーシ―さんは申し訳なさそうだった。
 断っても、席にお金置いて帰っていくところが、格好良かったりする。
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