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異文化
PHASE-20
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これはあれだな。子供と同じ扱いが一番だな。
ほっとこう。
「よいのですか?」
お奉行様は心配してくれてますけども、一人にしてあげるべきなんだろうと考えてくれたみたいで、ライゴウさんを離れた位置で待機させて、僕たちを案内。
もう一度、後ろを振り返れば、未だに砂利の上に突っ伏していた。
相当に痛かったんだな……。
「本当に無様だ」
二度目の無様発言を口から出してしまう。
「ああいう所は真似なくていいから」
「大丈夫です。手本になる所なんてあの人にはないんで」
「ピート君はたまに抉るよね」
仕方ないじゃないですか。あんな発言する人間は尊敬出来ません。
叩かれるのは当たり前。上司だからってセクハラ発言は許せませんよ。
なのでさっさと行きましょう――――。
黒漆喰の建物に続く石階段を上り、上り切ったところで靴を脱ぐように指示される。
中々に慣れないのが、この靴をいちいち脱ぐ行為だな。なんで建物内に入るのにわざわざ靴を脱がなければならないのか。
木造廊下を歩いて、今度は木造階段を登る――――。
「お~」
広場が眼下に広がる。
そこに有るのは、九つの長方形からなる闘技場と考えられる、地面から一段高くなった石造りの物がある。
それらを囲むように露天の段々で出来た客席。コロッセオみたいに思えた。
僕たちは建物の中で、高い位置から観戦。VIP待遇ありがとうございます。
「私はここで、離席します」
運営の責任者であるお奉行様は、つと立つと、足音も立てないすり足で、僕たちの前から去って行った。
仕事の出来る方は無駄のない動きをする。
砂利が冷たくて気持ちいいとか言ってる阿呆とは違う。
座布団に腰を降ろして眼下をもう一度眺める。まだ観客もいない風景。人がいる空間に人がいないのは寂しいね。
ほどなくしたらここも賑やかになるんだろうけど。
「私たちの知ってる人たち、善戦できるといいよね」
「実力者ですから。優勝候補まちがいなしですよ」
二人で談笑。幸せの時間。
でも、終わりの使者の気配。
トボトボとした足音が近づいてくる。幸せタイム終了のお知らせ。
体を後ろに捻れば、左頬を擦っている、テンションの低いおっさんが猫背で佇んでいる。なんとも弱々しい。後ろを付いてきてくれたライゴウさんもご心配のご様子。
心なしか、口元はへの字だ。いい歳して、拗ねてやがる。拗ねてやがるぞ……。
「とりあえず、謝ってもらっていいですか」
このままギスギスした状態で観戦したくないので、僕が繋ぎになってあげようじゃないか。
――――……おい、謝るんだよ。おっさん。
本気で拗ねてるな……。
あんたがバカみたいな事を言うから叩かれたんだぞ。自覚しなさいよ!
「謝る!」
ついつい大声。
とにかく僕は楽しく観戦して、サージャスさんを応援したいんだから。
「すみませんでした」
「ロールさんじゃない!」
「ご、ごめん……」
ああ、違うんです。つい大声出してしまいました。そんな落ち込んだ顔しないでください。やだ、可愛い。
「整備長!」
この強い語調は、おっさんに言い放ちたかったんです。ロールさんに向けるつもりはなかったんです。
「悪かった。女性に発言する冗談じゃなかった……」
なんでふてくされた感じなんだよ。きちんとした謝罪をしなさいよ。子供か!
「私も叩いてしまって、すみませんでした」
「ロールさんは謝らなくていいんで」
「なんで、お前は円滑に進んでいるところを邪魔するの?」
は? 違うでしょ。貴男が丁寧に頭さげればいいのに、それをしないからでしょ。
何が円滑だよ。摩擦だらけだよ。
心のこもってない謝罪なんて、政治屋でも出来るよ。
真心を込めろってこと! それが大事なの!!
「もういいから。私も手を出したの悪かったし」
いい人だな~。懐が広いよ。妥協してくれてるよ。
「痛かったよ~もう少し力おさえてよ~」
ヘラヘラと! 反省してんのかよ。ロールさんが態度を軟化させたのをいい事に、すぐさま調子に乗って。
首がもげるくらいに、はたいてやればよかったんだ。
――――まあ、現状でも傑作だけどさ。
「ぷっ」
「なんだよ」
その頬だよ。綺麗に手形が付いてるじゃないですか。
ずっと消えないでいると、グラドさん達から崇められるよ。女神の聖痕としてさ。貴男でも人の役に立つことが出来ますよ。
ほっとこう。
「よいのですか?」
お奉行様は心配してくれてますけども、一人にしてあげるべきなんだろうと考えてくれたみたいで、ライゴウさんを離れた位置で待機させて、僕たちを案内。
もう一度、後ろを振り返れば、未だに砂利の上に突っ伏していた。
相当に痛かったんだな……。
「本当に無様だ」
二度目の無様発言を口から出してしまう。
「ああいう所は真似なくていいから」
「大丈夫です。手本になる所なんてあの人にはないんで」
「ピート君はたまに抉るよね」
仕方ないじゃないですか。あんな発言する人間は尊敬出来ません。
叩かれるのは当たり前。上司だからってセクハラ発言は許せませんよ。
なのでさっさと行きましょう――――。
黒漆喰の建物に続く石階段を上り、上り切ったところで靴を脱ぐように指示される。
中々に慣れないのが、この靴をいちいち脱ぐ行為だな。なんで建物内に入るのにわざわざ靴を脱がなければならないのか。
木造廊下を歩いて、今度は木造階段を登る――――。
「お~」
広場が眼下に広がる。
そこに有るのは、九つの長方形からなる闘技場と考えられる、地面から一段高くなった石造りの物がある。
それらを囲むように露天の段々で出来た客席。コロッセオみたいに思えた。
僕たちは建物の中で、高い位置から観戦。VIP待遇ありがとうございます。
「私はここで、離席します」
運営の責任者であるお奉行様は、つと立つと、足音も立てないすり足で、僕たちの前から去って行った。
仕事の出来る方は無駄のない動きをする。
砂利が冷たくて気持ちいいとか言ってる阿呆とは違う。
座布団に腰を降ろして眼下をもう一度眺める。まだ観客もいない風景。人がいる空間に人がいないのは寂しいね。
ほどなくしたらここも賑やかになるんだろうけど。
「私たちの知ってる人たち、善戦できるといいよね」
「実力者ですから。優勝候補まちがいなしですよ」
二人で談笑。幸せの時間。
でも、終わりの使者の気配。
トボトボとした足音が近づいてくる。幸せタイム終了のお知らせ。
体を後ろに捻れば、左頬を擦っている、テンションの低いおっさんが猫背で佇んでいる。なんとも弱々しい。後ろを付いてきてくれたライゴウさんもご心配のご様子。
心なしか、口元はへの字だ。いい歳して、拗ねてやがる。拗ねてやがるぞ……。
「とりあえず、謝ってもらっていいですか」
このままギスギスした状態で観戦したくないので、僕が繋ぎになってあげようじゃないか。
――――……おい、謝るんだよ。おっさん。
本気で拗ねてるな……。
あんたがバカみたいな事を言うから叩かれたんだぞ。自覚しなさいよ!
「謝る!」
ついつい大声。
とにかく僕は楽しく観戦して、サージャスさんを応援したいんだから。
「すみませんでした」
「ロールさんじゃない!」
「ご、ごめん……」
ああ、違うんです。つい大声出してしまいました。そんな落ち込んだ顔しないでください。やだ、可愛い。
「整備長!」
この強い語調は、おっさんに言い放ちたかったんです。ロールさんに向けるつもりはなかったんです。
「悪かった。女性に発言する冗談じゃなかった……」
なんでふてくされた感じなんだよ。きちんとした謝罪をしなさいよ。子供か!
「私も叩いてしまって、すみませんでした」
「ロールさんは謝らなくていいんで」
「なんで、お前は円滑に進んでいるところを邪魔するの?」
は? 違うでしょ。貴男が丁寧に頭さげればいいのに、それをしないからでしょ。
何が円滑だよ。摩擦だらけだよ。
心のこもってない謝罪なんて、政治屋でも出来るよ。
真心を込めろってこと! それが大事なの!!
「もういいから。私も手を出したの悪かったし」
いい人だな~。懐が広いよ。妥協してくれてるよ。
「痛かったよ~もう少し力おさえてよ~」
ヘラヘラと! 反省してんのかよ。ロールさんが態度を軟化させたのをいい事に、すぐさま調子に乗って。
首がもげるくらいに、はたいてやればよかったんだ。
――――まあ、現状でも傑作だけどさ。
「ぷっ」
「なんだよ」
その頬だよ。綺麗に手形が付いてるじゃないですか。
ずっと消えないでいると、グラドさん達から崇められるよ。女神の聖痕としてさ。貴男でも人の役に立つことが出来ますよ。
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