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ITADAKI-頂-
PHASE-03
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固唾を呑むとはこの事なのかな。緊張してきた。
散っていく参加者の方々に変わって、九つある闘技場の中央に、着物なのか袴なのか、二つの中間に位置しそうな服装で、腰に刀を帯びている美しい女性を先頭にして、楽団が上がってくる。
「雅楽だって。あの女に人は白拍子っていうらしいよ」
手にしているプログラム表を目にしてロールさんが教えてくれる。
どうやら、戦いを始める参加者たちの健闘を祈るための舞を行うそうだ。
――。
始めて耳にする音響。笙と呼ばれる笛みたいな楽器。
高い音色でよく響くけど、派手さはないと言うのが正直な感想。個人的な意見だと、パイプオルガンの高い音にも近いかな。笙のデザインもパイプオルガンのパイプ部分を手に持てるサイズにした感じにも見える。
音色から神々しさを感じられるけども、中央で優雅に舞う白拍子と呼ばれる美人の存在が加味となって、神聖な光景を作り出している。
ただ――。単純にこの音色に慣れてないのが原因なのか。この派手さがなくも、高い音色の心地よさが原因なのか。試合が始まる前に寝てしまいそうな……。
人をまどろみに誘うような独特な音色だ…………。
――。
「終わったよ」
「へあっ!?」
肩に何かが触れて驚いた。
ロールさんが僕の肩に手を当てたようだ。
――どうやら、完全に眠っていたらしい。白拍子に雅楽の演奏者の方々が闘技場から消えていた。
「涎、拭いてね」
「はい」
ワギョウ関係者いなくてよかった。寝るなんて不謹慎だからね。
お盆に乗ってる冷たいお茶を飲んで、目を覚ます。
目を合わせると、直ぐに馬鹿にされそうで嫌だから、素早く首を動かして隣の整備長を一瞥して状況確認。
一瞥してから今度は凝視に変わる僕。
――……寝てんじゃねえか。しかも僕と違って、畳の上に体を横にして堂々と寝てんじゃねえか。
本当に――、ワギョウ関係者がこの部屋にいなくてよかったよ。
「起こしてあげて」
ロールさんのご命令だ。
豪快にバチンとおっさんの臀部を叩いてやった。
「おっし!? なんだ!? 俺の城に敵襲か!」
どんな夢を見てたんだい?
そろそろ、第一試合が始まると説明してあげた。
体を起こして首を左右に動かしてる。小気味のいいポキポキ音が耳朶に届いてきた。
「おっ」
寝ぼけ眼をこすりつつ、下方の動きに整備長が欄干から身を乗り出す。
闘技場に第一試合の方々が歩んでいく。刀剣だけじゃなく、いろんな形の武器が見て取れる。長い棒はポールウエポンの代用かな。
鎌をモチーフにして、ロープで繋がったレモン大の革袋。中身は砂だろうか? 分銅の代わりだろう。
木刀、木剣にも種類がある。刀のデザインに、両刃剣の物。大きく歪曲した三日月みたいな作りのショーテルに似たのも有る。
これだけ制作して集めるのも大変だな。
ドレークさんみたいに持参してくれると、以外とありがたいだろうね。
――。
始まった。
知り合いはまだ出てこないから、見るのは僕たちのいる場所から見下ろして直ぐ手前の闘技場で相対する二人に目を向ける。
「両者、始め!」
よく通る、主審の方の声。
空に伸びた手が振り下ろされると、試合が始まる。
気合いの入った声が上がるかと思ったら、以外と静かに距離を詰めていく白い胴着の二名。
一人は片手用の木剣と、バックラータイプの木の盾。
相対する方は、自分の身長と同じくらいの長い棒。
胴着だけなんだよな……。
いくら利器ではないとはいえ、あんな物が頭に直撃したら死人でるな……。
「怖いね」
ロールさんも同じ事を考えてたのかな。
今日この日のために鍛えてきたとばかりの、鋭い眼光。
両者、ジリジリと足を動かして距離を縮めていく。
間合いのアドバンテージは、ポールウエポンタイプを手にする方である事くらい、素人の僕でも分かる。
遠心力を得るために、長い棒を勢いよく回転させ、振り下ろす時宜を窺う。
それを理解しているから、盾持ちの方は、それを如何に掻い潜って自分の間合いにしたいかといったところか。
目にしている闘技場に立つ二人の動きが止まる。
観衆も静かに見ているから、他の闘技場で行われている木製武器同士がぶつかり合う、カンッカンッという、耳心地のよい音が響いてくる。
やはりそこは派手な戦いを目にしたいと思うのが男の性。
静の状況よりも、動が活発な、別の闘技場に目が移ってしまうのは仕方の無い事。
「あ」
声を漏らしたロールさん。
視線を辿れば、戦いが終わっていた。
長棒を手にした男性が床に倒れていた。
呼吸がままならないのか、くの字になって苦しがっている。
「なに? どうなったんです」
「ちゃんと見とけよ」
と、おっさんに小馬鹿な感じで言われてイラッとしたけども、落ち着きなく他を見ていたのも事実なもんだから、言い返す事が出来なかったので、歯を軋らせる事しか出来なかった……。
現状を目にして理解出来るのは、立ってい方は左手に装備していた木の盾がなくなっていて、床に砕け落ちていた事くらい。
「一瞬だったよ」
――――整備長と違って、丁寧に教えてくれるロールさん。
長棒の間合いに入り込んだと同時に、回転させる荒々しい風切り音から繰り出された一撃に対して、間合いを詰めつつ盾で受け止めながら、遠心力から来る脅威の一撃の威力を殺すように受け流したそうだ。
その威力から、盾は砕けたそうだけど、致命的な一撃にはならず、木剣の胴打ちが直撃。
拳で見舞うレバーブローなんて比較にならない木剣からの一撃が肝臓に叩き込まれて、現在に至る。
その一瞬を見逃す僕の情けなさよ…………。
次こそは見逃さないようにしとかないとね。
倒れた方が運ばれていくと、次に闘技場の上に立とうとしているのは、ドレークさんだった。
白い胴着に褐色の体。左手でペチペチとのんきに頭を叩きながら闘技場の床に足を置く。
残った右手に持つ両刃斧を象った木斧を振り回しつつ中央に立つと、先に待っていた相対する存在を見下ろす。
その視線に対して、小柄で額が広く、顎に向かって細い、カマキリを思わせる目鼻立ちの男性は、双剣のスタイル。
体躯の差で負けているも、ドレークさんを見上げる視線は強い。
散っていく参加者の方々に変わって、九つある闘技場の中央に、着物なのか袴なのか、二つの中間に位置しそうな服装で、腰に刀を帯びている美しい女性を先頭にして、楽団が上がってくる。
「雅楽だって。あの女に人は白拍子っていうらしいよ」
手にしているプログラム表を目にしてロールさんが教えてくれる。
どうやら、戦いを始める参加者たちの健闘を祈るための舞を行うそうだ。
――。
始めて耳にする音響。笙と呼ばれる笛みたいな楽器。
高い音色でよく響くけど、派手さはないと言うのが正直な感想。個人的な意見だと、パイプオルガンの高い音にも近いかな。笙のデザインもパイプオルガンのパイプ部分を手に持てるサイズにした感じにも見える。
音色から神々しさを感じられるけども、中央で優雅に舞う白拍子と呼ばれる美人の存在が加味となって、神聖な光景を作り出している。
ただ――。単純にこの音色に慣れてないのが原因なのか。この派手さがなくも、高い音色の心地よさが原因なのか。試合が始まる前に寝てしまいそうな……。
人をまどろみに誘うような独特な音色だ…………。
――。
「終わったよ」
「へあっ!?」
肩に何かが触れて驚いた。
ロールさんが僕の肩に手を当てたようだ。
――どうやら、完全に眠っていたらしい。白拍子に雅楽の演奏者の方々が闘技場から消えていた。
「涎、拭いてね」
「はい」
ワギョウ関係者いなくてよかった。寝るなんて不謹慎だからね。
お盆に乗ってる冷たいお茶を飲んで、目を覚ます。
目を合わせると、直ぐに馬鹿にされそうで嫌だから、素早く首を動かして隣の整備長を一瞥して状況確認。
一瞥してから今度は凝視に変わる僕。
――……寝てんじゃねえか。しかも僕と違って、畳の上に体を横にして堂々と寝てんじゃねえか。
本当に――、ワギョウ関係者がこの部屋にいなくてよかったよ。
「起こしてあげて」
ロールさんのご命令だ。
豪快にバチンとおっさんの臀部を叩いてやった。
「おっし!? なんだ!? 俺の城に敵襲か!」
どんな夢を見てたんだい?
そろそろ、第一試合が始まると説明してあげた。
体を起こして首を左右に動かしてる。小気味のいいポキポキ音が耳朶に届いてきた。
「おっ」
寝ぼけ眼をこすりつつ、下方の動きに整備長が欄干から身を乗り出す。
闘技場に第一試合の方々が歩んでいく。刀剣だけじゃなく、いろんな形の武器が見て取れる。長い棒はポールウエポンの代用かな。
鎌をモチーフにして、ロープで繋がったレモン大の革袋。中身は砂だろうか? 分銅の代わりだろう。
木刀、木剣にも種類がある。刀のデザインに、両刃剣の物。大きく歪曲した三日月みたいな作りのショーテルに似たのも有る。
これだけ制作して集めるのも大変だな。
ドレークさんみたいに持参してくれると、以外とありがたいだろうね。
――。
始まった。
知り合いはまだ出てこないから、見るのは僕たちのいる場所から見下ろして直ぐ手前の闘技場で相対する二人に目を向ける。
「両者、始め!」
よく通る、主審の方の声。
空に伸びた手が振り下ろされると、試合が始まる。
気合いの入った声が上がるかと思ったら、以外と静かに距離を詰めていく白い胴着の二名。
一人は片手用の木剣と、バックラータイプの木の盾。
相対する方は、自分の身長と同じくらいの長い棒。
胴着だけなんだよな……。
いくら利器ではないとはいえ、あんな物が頭に直撃したら死人でるな……。
「怖いね」
ロールさんも同じ事を考えてたのかな。
今日この日のために鍛えてきたとばかりの、鋭い眼光。
両者、ジリジリと足を動かして距離を縮めていく。
間合いのアドバンテージは、ポールウエポンタイプを手にする方である事くらい、素人の僕でも分かる。
遠心力を得るために、長い棒を勢いよく回転させ、振り下ろす時宜を窺う。
それを理解しているから、盾持ちの方は、それを如何に掻い潜って自分の間合いにしたいかといったところか。
目にしている闘技場に立つ二人の動きが止まる。
観衆も静かに見ているから、他の闘技場で行われている木製武器同士がぶつかり合う、カンッカンッという、耳心地のよい音が響いてくる。
やはりそこは派手な戦いを目にしたいと思うのが男の性。
静の状況よりも、動が活発な、別の闘技場に目が移ってしまうのは仕方の無い事。
「あ」
声を漏らしたロールさん。
視線を辿れば、戦いが終わっていた。
長棒を手にした男性が床に倒れていた。
呼吸がままならないのか、くの字になって苦しがっている。
「なに? どうなったんです」
「ちゃんと見とけよ」
と、おっさんに小馬鹿な感じで言われてイラッとしたけども、落ち着きなく他を見ていたのも事実なもんだから、言い返す事が出来なかったので、歯を軋らせる事しか出来なかった……。
現状を目にして理解出来るのは、立ってい方は左手に装備していた木の盾がなくなっていて、床に砕け落ちていた事くらい。
「一瞬だったよ」
――――整備長と違って、丁寧に教えてくれるロールさん。
長棒の間合いに入り込んだと同時に、回転させる荒々しい風切り音から繰り出された一撃に対して、間合いを詰めつつ盾で受け止めながら、遠心力から来る脅威の一撃の威力を殺すように受け流したそうだ。
その威力から、盾は砕けたそうだけど、致命的な一撃にはならず、木剣の胴打ちが直撃。
拳で見舞うレバーブローなんて比較にならない木剣からの一撃が肝臓に叩き込まれて、現在に至る。
その一瞬を見逃す僕の情けなさよ…………。
次こそは見逃さないようにしとかないとね。
倒れた方が運ばれていくと、次に闘技場の上に立とうとしているのは、ドレークさんだった。
白い胴着に褐色の体。左手でペチペチとのんきに頭を叩きながら闘技場の床に足を置く。
残った右手に持つ両刃斧を象った木斧を振り回しつつ中央に立つと、先に待っていた相対する存在を見下ろす。
その視線に対して、小柄で額が広く、顎に向かって細い、カマキリを思わせる目鼻立ちの男性は、双剣のスタイル。
体躯の差で負けているも、ドレークさんを見上げる視線は強い。
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