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ITADAKI-頂-
PHASE-05
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手にした革袋をだらり落とすと、ロープをゆっくりと回し始める長身の男性。
それを僕たちは、生の闘技場でなく、しっかりと接近の映像を映し出す魔石鏡で見ていた。
「よろしいでしょうか?」
「どうぞ」
観戦する僕たちの部屋に、すり足での小走りで入室してきた運営員の方が、紙を渡してくれる。これまた高価な紙だ。
――――トーナメント表を写してくれた物だった。
「相手の名前は、ドウダ・バンシュウさん」
僕が手にする表を覗き込んでくるロールさん。
欲を言えば、個人的な情報も知りたいところ。現状で分かるのは鎖鎌の使い手といったところか。
そんなドウダ氏が操るロープ。徐々に回転が速くなり、革袋が目では追えなくなる。軌跡をとして、円を描いているのが分かるくらいだ。
右手で掴んだロープを放すと、革袋は勢いよくサージャスさんの方へと向かっていく。
それを手にした木刀で払うような動きを見せた途端に、分銅の代わりである革袋が目の前で止まった。
あっけにとられているところに、ドウダ氏が一気に距離を詰めてからの、左手に持つ鎌の形をした木製武器で襲いかかる。
「これはまずいぞ」
それはないよ整備長。
この程度のフェイントではサージャスさんは崩れませんよ。迫る攻撃を木刀で軽く捌き、相手の姿勢を崩したところで、一撃を打ち込む一歩前までの動作――――。
だったけど、即座に後方に移動した。
「凄いな。生き物みたいだ」
まるで蛇のようだ。
捌いたところで、頭上から革袋が襲いかかってきた。
とっさに回避すると、革袋は床に触れる。
球体が半球に変形して、ズシリとした重さが伝わってくる。
直ぐに革袋が床から離れると、後方に移動したサージャスさんへと向かっていく。
「あの人、強い?」
「強いから、参加してるんじゃないかな」
ですよね。
流石というべき方々が集った大会なんだろうけども、初戦からサージャスさんは強敵とぶつかったようだ。
貧乏くじだな……。
ステータスが表記されるなら、サージャスさん、運の部分がゼロなんじゃないかと思うくらいだよ…………。
「捕まったぞ」
整備長が欄干から体を乗り出した。生き物のような革袋が木刀に絡まり動きを制する。
取り外そうと強く引っ張るも、余計にロープはきつく縛られていき、ドウダ氏が細身の体からは想像出来ない力で、手にしたロープを手繰り寄せていき、徐々に二人の間合いが縮まる。
やだ~。
初戦敗退なんて信じたくない!
力勝負では分が悪いサージャスさん。木刀の自由を奪われて、ドウダ氏が左手に持つ木製の鎌を右手に持ち替え、一気にロープを引き寄せて仕留めにかかる。
「やばいよ」
ついつい、魔石鏡から目を背けてしまう。魔石鏡での観戦だと、接近した映像だから臨場感がありすぎる。
焦燥の僕の心臓には悪いものだ。
整備長みたいに闘技場の方を眺めようかな。
「落ち着いて見てようね」
なんでそんなに冷静なんですかロールさん。それに、不安すらないよといった表情ですね。なんで? 魔石鏡に映される闘技場を、恐る恐る見直す。
引き寄せられた瞬間に合わせたのか、サージャスさんが跳躍。
愚策とばかりにドウダ氏が笑みを見せている。
宙に浮いて摩擦の抵抗もない軽量の体を引き寄せるように、全力で引く。
と、同時に、サージャスさんは手にした木刀をドウダ氏に投擲。
他愛なし。と、それを払いのけると、接近してくるサージャスさんを、右手の得物で迎え撃つ準備を終わらせている。
――――間合いに入ったところで一閃。
――――しかし、それはサージャスさんには届かなかった。
ドウダ氏の右手首には、サージャスさんの左足による蹴撃が見舞われた。
痛みで手にした木製の鎌が床に落ちると、ドウダ氏、左手にロープを持っているだけで、ほぼ無手の状態。
焦りから後方に跳躍するけども、追撃の体捌きはサージャスさんに分があるようで、引き離す事が出来ずに、先ほどとは違い、自らの意に反した接近を許してしまう。
サージャスさんが懐まで入り込み、右手で拳を作ると、ドウダ氏の腹部に拳打を一撃打ち込む。
ドウダ氏、くの字になって膝から崩れ落ち、そのまま闘技場に倒れ込んだ。
――――主審の方、倒れたドウダ氏の状況を確認すると、
「勝者、サージャス・バレンタイン」
サージャスさんへと手が向けられ、勝利を伝える。
観衆がざわめく。
流石は王都を守った勇者殿という声も耳に入ってくれば、ドウダ氏の敗北が信じられないとの声もある。
やはり、ドウダ氏、ワギョウでは名の知れた使い手だったようだ。
未だ意識の戻らない相手に対しても、サージャスさんは典雅の一礼。
そして、大きな呼気を一つ行うと、肩を弛緩させてから僕たちの方に快活な笑顔を見せ、大きく両手を振り、
「一回戦、通過しましたー!」
と、喜びの大音声。
よしよし。心の中で、胸をなで下ろす僕。
よかった。怪我もなく勝利してくれて。
それを僕たちは、生の闘技場でなく、しっかりと接近の映像を映し出す魔石鏡で見ていた。
「よろしいでしょうか?」
「どうぞ」
観戦する僕たちの部屋に、すり足での小走りで入室してきた運営員の方が、紙を渡してくれる。これまた高価な紙だ。
――――トーナメント表を写してくれた物だった。
「相手の名前は、ドウダ・バンシュウさん」
僕が手にする表を覗き込んでくるロールさん。
欲を言えば、個人的な情報も知りたいところ。現状で分かるのは鎖鎌の使い手といったところか。
そんなドウダ氏が操るロープ。徐々に回転が速くなり、革袋が目では追えなくなる。軌跡をとして、円を描いているのが分かるくらいだ。
右手で掴んだロープを放すと、革袋は勢いよくサージャスさんの方へと向かっていく。
それを手にした木刀で払うような動きを見せた途端に、分銅の代わりである革袋が目の前で止まった。
あっけにとられているところに、ドウダ氏が一気に距離を詰めてからの、左手に持つ鎌の形をした木製武器で襲いかかる。
「これはまずいぞ」
それはないよ整備長。
この程度のフェイントではサージャスさんは崩れませんよ。迫る攻撃を木刀で軽く捌き、相手の姿勢を崩したところで、一撃を打ち込む一歩前までの動作――――。
だったけど、即座に後方に移動した。
「凄いな。生き物みたいだ」
まるで蛇のようだ。
捌いたところで、頭上から革袋が襲いかかってきた。
とっさに回避すると、革袋は床に触れる。
球体が半球に変形して、ズシリとした重さが伝わってくる。
直ぐに革袋が床から離れると、後方に移動したサージャスさんへと向かっていく。
「あの人、強い?」
「強いから、参加してるんじゃないかな」
ですよね。
流石というべき方々が集った大会なんだろうけども、初戦からサージャスさんは強敵とぶつかったようだ。
貧乏くじだな……。
ステータスが表記されるなら、サージャスさん、運の部分がゼロなんじゃないかと思うくらいだよ…………。
「捕まったぞ」
整備長が欄干から体を乗り出した。生き物のような革袋が木刀に絡まり動きを制する。
取り外そうと強く引っ張るも、余計にロープはきつく縛られていき、ドウダ氏が細身の体からは想像出来ない力で、手にしたロープを手繰り寄せていき、徐々に二人の間合いが縮まる。
やだ~。
初戦敗退なんて信じたくない!
力勝負では分が悪いサージャスさん。木刀の自由を奪われて、ドウダ氏が左手に持つ木製の鎌を右手に持ち替え、一気にロープを引き寄せて仕留めにかかる。
「やばいよ」
ついつい、魔石鏡から目を背けてしまう。魔石鏡での観戦だと、接近した映像だから臨場感がありすぎる。
焦燥の僕の心臓には悪いものだ。
整備長みたいに闘技場の方を眺めようかな。
「落ち着いて見てようね」
なんでそんなに冷静なんですかロールさん。それに、不安すらないよといった表情ですね。なんで? 魔石鏡に映される闘技場を、恐る恐る見直す。
引き寄せられた瞬間に合わせたのか、サージャスさんが跳躍。
愚策とばかりにドウダ氏が笑みを見せている。
宙に浮いて摩擦の抵抗もない軽量の体を引き寄せるように、全力で引く。
と、同時に、サージャスさんは手にした木刀をドウダ氏に投擲。
他愛なし。と、それを払いのけると、接近してくるサージャスさんを、右手の得物で迎え撃つ準備を終わらせている。
――――間合いに入ったところで一閃。
――――しかし、それはサージャスさんには届かなかった。
ドウダ氏の右手首には、サージャスさんの左足による蹴撃が見舞われた。
痛みで手にした木製の鎌が床に落ちると、ドウダ氏、左手にロープを持っているだけで、ほぼ無手の状態。
焦りから後方に跳躍するけども、追撃の体捌きはサージャスさんに分があるようで、引き離す事が出来ずに、先ほどとは違い、自らの意に反した接近を許してしまう。
サージャスさんが懐まで入り込み、右手で拳を作ると、ドウダ氏の腹部に拳打を一撃打ち込む。
ドウダ氏、くの字になって膝から崩れ落ち、そのまま闘技場に倒れ込んだ。
――――主審の方、倒れたドウダ氏の状況を確認すると、
「勝者、サージャス・バレンタイン」
サージャスさんへと手が向けられ、勝利を伝える。
観衆がざわめく。
流石は王都を守った勇者殿という声も耳に入ってくれば、ドウダ氏の敗北が信じられないとの声もある。
やはり、ドウダ氏、ワギョウでは名の知れた使い手だったようだ。
未だ意識の戻らない相手に対しても、サージャスさんは典雅の一礼。
そして、大きな呼気を一つ行うと、肩を弛緩させてから僕たちの方に快活な笑顔を見せ、大きく両手を振り、
「一回戦、通過しましたー!」
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