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ITADAKI-頂-
PHASE-10
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「は、始め!」
正式に始める事を伝えるツクシの合図。
耳にする前から始めようとしたので、二人の矢庭に動きに、観衆同様に、こちらの心の準備が出来ていないとばかりに困惑しながら、焦りつつ開始を伝えるはめになった――。
木琴を思わせる木刀の音色が再び奏でられる。
双方の飛び散る大玉の汗と、木屑。
その激しさに、大会員は更なる木刀の準備が必要なのでは? と心配になり。大急ぎで取りに行く始末。
苛烈さは、合の数が増え続けるにつれ増していく――――。
二名とも、やわな鍛え方はしてもいなければ、死線もくぐり抜けている女傑。
――だが、流石に強い衝撃を受け続ければ、負担がかかるのは木刀だけではない。
それを握る手にも限界がきているようで、痺れを通り越して、柄を掴んでいる感覚がなくなってきていた。
加えて、ぶつかり合う衝撃を受け続ける体全体にも、気にしなければまだどうとでもなるくらいではあるが、筋繊維や骨から発せられる軋む音が、体の中から伝播して耳朶に届いてくる。
「若いのに対したのもね」
「貴女も若いじゃないですか。そんなに変わらないでしょ」
「十六だっけ? 私とは五つ違う」
「二十一なら、変わらないと思いますが」
「変わらないのは、辛いかな……」
疑問符が浮かぶ。何が辛いのか。
事実、若いのだからそれを口にしたまで。
むしろ、老けてみられたいのだろうか? とすら考えてしまった。
嘘でもそれは言えない。どう見ても若く美しい女性にそれは言えない。ならば、何を気にしているのか。
そんな事を考えたくとも、それ以上に考え込めば、フィットの攻撃に集中出来なくなるので、サージャスは考える事をやめた――。
やめて、集中。
躱して、捌いて、反撃。
後の手となってしまっているけども、次第にフィットの動きが分かり始めてきた。
魔術学都市の俊英は次の一手を読む。
はたして正にだったようで――――、大振り。それに対し後退すると、先ほどの滑空にも似た驀地からの居合いの構え。
居合いの構えに、回転を加えて威力を増した神速の抜刀を見舞おうとする。
こちらが押し込まれると、好機とみてフィットは一撃必殺を繰り出す。
その通りな行動をとったフィットの右肘を押すように右足を当てると、神速による居合いの一撃を封じた。
先読みで封じられた事に、驚きを心に纏わせてしまった事で、逡巡が生まれ、その一瞬にサージャスの木刀がフィットの右肩に直撃した。
フィットは床に叩き付けられる。
共に落ちた木刀が小気味のよい木の音を響かせた。
小気味よい音色とは反対に、激痛による苦悶の表情。
倒れた体を起こし、膝を付き、痛む右肩をおさえる。
本来なら、頭部ないし首を狙われていたところであったが、あえてサージャスが肩を狙って致命傷を避けた事は、受けた本人が一番理解しており、
「参った……」
無駄にあがけば相手を侮辱すると考えたフィットは、素直に敗北を口にした。
「それまで。勝者、サージャス・バレンタイン」
ツクシの手がサージャスに向けられると、観衆だけでなく、他の闘技場で戦っていた者たちから拍手喝采が送られる。
当の本人はそれを受け、手早く一礼をすると、フィットへと駆け寄り、
「今からの行為は決して侮辱ではないので」
と、前置きを口にし、回復魔法をフィットの右肩に唱えた。
「すみません……折れてましたね」
「このくらいは覚悟して参加してるから。むしろ軽傷だよ」
暖かな光を当てられ、直ぐに痛みがひくと、フィットは腕を上下に動かして、根治している事を伝えた。
前置きの【侮辱ではない】と言う台詞――。
敗者に対して慰めの行動は傷口に塩を塗る行為とも受け止められてしまうが、サージャスが真剣な表情で傷を治したいという思い。
それを侮辱行為と邪険に出来る者はいないだろうと、笑みと礼で返すフィット。
とても勇者らしい行いだと、行為を否定せず称えた。
否定すれば、同じ行動を絶対にするであろう、自分のパーティーの勇者を否定する事にも繋がってしまう。
「五つも違うのに……」
「五つしかですよ。凄く若くて綺麗じゃないですか」
「ははははは――――」
何を勘違いしているのかと、フィットは大笑い。
「五つも――――だよ。貴女だって物心が付く頃には修練してたんでしょ」
「はい」
「五年の差が大きいのは、理解出来るよね」
その発言には疑問符を浮かべる事なく、素直に首肯でサージャスは返した。
正式に始める事を伝えるツクシの合図。
耳にする前から始めようとしたので、二人の矢庭に動きに、観衆同様に、こちらの心の準備が出来ていないとばかりに困惑しながら、焦りつつ開始を伝えるはめになった――。
木琴を思わせる木刀の音色が再び奏でられる。
双方の飛び散る大玉の汗と、木屑。
その激しさに、大会員は更なる木刀の準備が必要なのでは? と心配になり。大急ぎで取りに行く始末。
苛烈さは、合の数が増え続けるにつれ増していく――――。
二名とも、やわな鍛え方はしてもいなければ、死線もくぐり抜けている女傑。
――だが、流石に強い衝撃を受け続ければ、負担がかかるのは木刀だけではない。
それを握る手にも限界がきているようで、痺れを通り越して、柄を掴んでいる感覚がなくなってきていた。
加えて、ぶつかり合う衝撃を受け続ける体全体にも、気にしなければまだどうとでもなるくらいではあるが、筋繊維や骨から発せられる軋む音が、体の中から伝播して耳朶に届いてくる。
「若いのに対したのもね」
「貴女も若いじゃないですか。そんなに変わらないでしょ」
「十六だっけ? 私とは五つ違う」
「二十一なら、変わらないと思いますが」
「変わらないのは、辛いかな……」
疑問符が浮かぶ。何が辛いのか。
事実、若いのだからそれを口にしたまで。
むしろ、老けてみられたいのだろうか? とすら考えてしまった。
嘘でもそれは言えない。どう見ても若く美しい女性にそれは言えない。ならば、何を気にしているのか。
そんな事を考えたくとも、それ以上に考え込めば、フィットの攻撃に集中出来なくなるので、サージャスは考える事をやめた――。
やめて、集中。
躱して、捌いて、反撃。
後の手となってしまっているけども、次第にフィットの動きが分かり始めてきた。
魔術学都市の俊英は次の一手を読む。
はたして正にだったようで――――、大振り。それに対し後退すると、先ほどの滑空にも似た驀地からの居合いの構え。
居合いの構えに、回転を加えて威力を増した神速の抜刀を見舞おうとする。
こちらが押し込まれると、好機とみてフィットは一撃必殺を繰り出す。
その通りな行動をとったフィットの右肘を押すように右足を当てると、神速による居合いの一撃を封じた。
先読みで封じられた事に、驚きを心に纏わせてしまった事で、逡巡が生まれ、その一瞬にサージャスの木刀がフィットの右肩に直撃した。
フィットは床に叩き付けられる。
共に落ちた木刀が小気味のよい木の音を響かせた。
小気味よい音色とは反対に、激痛による苦悶の表情。
倒れた体を起こし、膝を付き、痛む右肩をおさえる。
本来なら、頭部ないし首を狙われていたところであったが、あえてサージャスが肩を狙って致命傷を避けた事は、受けた本人が一番理解しており、
「参った……」
無駄にあがけば相手を侮辱すると考えたフィットは、素直に敗北を口にした。
「それまで。勝者、サージャス・バレンタイン」
ツクシの手がサージャスに向けられると、観衆だけでなく、他の闘技場で戦っていた者たちから拍手喝采が送られる。
当の本人はそれを受け、手早く一礼をすると、フィットへと駆け寄り、
「今からの行為は決して侮辱ではないので」
と、前置きを口にし、回復魔法をフィットの右肩に唱えた。
「すみません……折れてましたね」
「このくらいは覚悟して参加してるから。むしろ軽傷だよ」
暖かな光を当てられ、直ぐに痛みがひくと、フィットは腕を上下に動かして、根治している事を伝えた。
前置きの【侮辱ではない】と言う台詞――。
敗者に対して慰めの行動は傷口に塩を塗る行為とも受け止められてしまうが、サージャスが真剣な表情で傷を治したいという思い。
それを侮辱行為と邪険に出来る者はいないだろうと、笑みと礼で返すフィット。
とても勇者らしい行いだと、行為を否定せず称えた。
否定すれば、同じ行動を絶対にするであろう、自分のパーティーの勇者を否定する事にも繋がってしまう。
「五つも違うのに……」
「五つしかですよ。凄く若くて綺麗じゃないですか」
「ははははは――――」
何を勘違いしているのかと、フィットは大笑い。
「五つも――――だよ。貴女だって物心が付く頃には修練してたんでしょ」
「はい」
「五年の差が大きいのは、理解出来るよね」
その発言には疑問符を浮かべる事なく、素直に首肯でサージャスは返した。
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