拝啓、あなた方が荒らした大地を修復しているのは……僕たちです!

FOX4

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ITADAKI-頂-

PHASE-18

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「紳士だね」
「ですね。整備長も見習ったらどうです」
「うるさいよ。俺は紳士だろ」
「紳士の頭に変態って付きますけどね」
「あ? なんだこら。ここでも火蓋が切られるぞ」
 ハハ―――――。股間の恨みは無くなってないですよ。
 徹底的にここで上下関係を決めますか?

「二人とも、次はドレークさんですから。静かに見ましょう」
 ロールさんに救われたな。
 
 白胴着の部門。となるとその次は黒胴着の部門でサージャスさんか。
 ドレークさんはシード権の方が相手――――。

『どっこいしょ!』
 始め! って言われた途端に、手斧をモチーフにした木斧からの一撃が、盾を持った相手の方をそれごと吹き飛ばす。
 場外にまた落ちるのかと思ったけども、闘技場が前日の三倍くらいになってるし、加えて突破すれば、次は予選決勝。
 その思いで何とか踏ん張ったといったところ。

「おお」
 ドレークさんの一撃を耐えた事に賞賛の声。
 ――だったけども……。

「あ……」
 耐えたまではよかったけども、そこまで。
 それが限界だった。
 姿勢を整えようとしたところに、ドレークさんの猛牛のような突進からの、ステゴロが使うような、相手を押し倒す感じの蹴りを盾に見舞うと、後方に吹き飛ばされて、あっけなく場外。
 
 ――……う~ん。強いのかな? ドレークさん。
 全試合が圧倒的すぎて、ある意味、見応えがないな。
 まあ、観衆はドレークさんの圧倒的な強さに沸いてるけども、
「この試合も、あっという間だったね。まあ、ドレークさんと戦う人はいいね。大きな怪我をしなくていいし」
 僕とは違って、気遣いが出来るロールさん。

「お見事でした~」
 二の句を継いで、ドレークさんに大きく手を振ってる。
 それを横で見せられる僕。ちょっとした嫉妬が、顔をのぞかせる。
 声に対して、ドレークさんは嬉しそうに筋肉を見せつけるようなポーズ。
 数百の歓声より、女神様の声援一つの方が嬉しいようである。

「はい。次、次」
 そんなの見せなくていいよ。筋肉自慢のポージングはお腹いっぱいだよ。
 王都に戻れば筋肉担当のタモンさんと、そのタモンさんが造った、ゴーレムの勤労君たちが嫌でも見せてくれるから。
 
 さっさと次の試合を始めて下さい。
 
 闘技場に続く階段前には、次の参加者が立ってる。
 そこだけを凝視。筋肉なんて見てない。
 はやる気持ちを抑えられるほど、僕は年取ってないから。
 
 ――――来た来た来た来た来た来たぁぁぁぁぁぁぁぁ――――――。
 サージャスさんが闘技場に足を今――、付けましたよ。
 黒い胴着を体のラインに沿わせて、ぴっちりと着こなしてますな。
 かっこ可愛いとはサージャスさんのことだな。
 
 五回戦ともなると気合いの入り方が違う。
 亜麻色のショートカットが綺麗に整ってるじゃないですか。
 アメジストの瞳は素人でも理解出来るくらい闘気が漲っている。溢れんばかりだ。
 前に進む強さが宿った目だ。
 以前なら支払いの為だけに躍起になって、生き急いでいた感じだった。
 公務員を前にしたら、ふさぎこんでたし、ゲイアードさんの目をまともに見れないくらい怯えてた。
 今では生気を迸らせてますな――――。
 うん…………。あれ? 気負ってないかな? 
 なんだろう、闘気が漲るのはいいけど、しゃっちょこばってるような気もしないでもない。
 まだまだ予選ですよ。そこまで硬くならないで下さい。
 空回りしてなきゃいいけど……。
 
 相手はザイオン・ヴェアード氏。
 ロールさんよりも色素が薄めな銀髪だな。
 白髪に近い銀髪無造作ヘアーだ。
 髪の色素とは対極的な小麦色の肌。でもって、サージャスさんに負けないくらいの美少女だ。
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