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ITADAKI-頂-
PHASE-19
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見た目からすると、年齢もサージャスさんに近いな。
シード権の中で残った方か。
「お互いに礼」
一礼すると、サージャスさんは左手に持った木刀を諸手にして、ザイオン氏に向ける。
向けられるザイオン氏は背の方に諸手を回してから得物を取り出す――――。
それは――、ナックルダスターの打撃部分に刃が付いたようなデザインの木製武器。
「ブンディ・ダガーか」
整備長が武器の名を口にする。
それ以上に、なんでそんな事を知ってるのか? 流石にマニアックな武器だと思うんですけど。
そして、【俺、知ってるんだぜ】みたいなドヤ顔やめてもらっていいっすか。
実際、大したもんですけども。
やっぱあれか、勇者御一行や魔王軍の方々と接する仕事でもあるし、どんな武器を使用しているのか直ぐに理解するために、覚えてた方がいいのかな。
こんなおっさんでも知ってるわけだし、覚えておかないと恥をかく事もありそうだな。
実際、ワギョウ初日には、蝉の件で恥をかいた。
覚えよう。
ロールさんも知らないままでいる方が恥だとか言ってたし。
それは追々として――――。
まずは現在の観戦が大事。
『始めっ』
を、待っていたとばかりにザイオン氏が突撃。
形状からして刺突メインの武器だな。
一応、先端の形状は丸みをおびて厚みもある。本来の利器なら鋭利な物なんだろう。
配慮だね。
拳を延長したイメージとしての武器と考えていいのかな? サージャスさんのように、格闘が得意なタイプか?
『シャァァァァァァ』
可愛い顔に似合わず、闘争心まる出しだな。
まるで、獣。俊敏な猫だな。
強い踏み込みと共に、右のブンディ・ダガーを打ち込んでくる。
サージャスさんそれを払って一歩後退。
追撃で今度は左。更に右とワンツー。
『りゃりゃりゃりゃりゃりゃりゃりゃりゃ!』
連打――――というか、乱打。
快活を通り越して、ちょっとお馬鹿な気がするな。この子……。
「アレは、お馬鹿な子だな」
代弁ありがとうございます。整備長。
「失礼ですよ。元気があっていいじゃないですか」
う~ん。この会話のやり取り、遺憾ですが、整備長に賛同させても――――、
「ねえ、失礼だよね」
「全くですよ。元気な子じゃないですか」
この神速の掌返しである。自分でも驚きを隠せない。
――こうやって、社会は渡り歩いて行くものなのよね。
おっさん選ぶより、ロールさんを選ぶ。男の性です。
はい、僕を見て〝チッ〟って、舌打ちをしない。
【お前だって、俺と同じ考えだっただろうが】という視線だ。ハハ――、分かってたようだね。その通りですよ。さ、僕なんか見てないで、試合を見ましょう。
その怒りを潜ませたブラウンアイを、魔石鏡に向けて下さい。
――。
『おりゃりゃりゃりゃりゃりゃりゃ』
『元気だね……』
サージャスさんも、行きすぎた元気さに、引き気味のご様子。
攻撃を受けては捌き続け、相手への反撃の機会を探る。
『元気が取り柄だから!』
大きな声だな。
でも、不思議なもので、観衆の方々はザイオン氏に興味を持ち始めてきているようだ。
ちょっとお馬鹿っぽいのが親しまれるのが世相というもの。
走って、飛び跳ねて、規則正しい動きなんてありゃしない。
「本当に猫みたいだな」
「無軌道だよね」
「だから、反撃するのが難しいんですかね?」
後手後手といったところ。
反撃に打って出ようとしているよなうな動きも見せるけど、ブンディ・ダガーにばかり気を取られていると、蹴撃が迫ってくる。
やっぱり、格闘戦に特化してるな。足技も鋭い。
今大会の場数なら、シード権のあったザイオン氏より、サージャスさんが多いけど、この子、相手の勝ちの流れを気にしないで戦えるタイプだな。
単にお馬鹿っぽいから、そこまで考えてないだけかもしれないけども……。
それはそれで、強みだよな。精神面で左右されないもんな。エルンさんも、ここまでじゃなくても、楽観的な性格なら、ムツ氏との勝敗も逆になってたかもな~。
「しっかし、運が悪いな。やり手とばかりぶつかる。流石は莫大な違反金を背負っているだけはあるな」
なんて失礼な事を言うんだよ! おっさん!
僕だけでなくロールさんも睨み付けていた。
ロールさん。もう一発きついのを見舞ってください。今度は平手じゃなく拳で。
今一度このおっさんに砂利の冷たさを堪能させて下さい。オナシャス!
おっさん速攻で、視線を顔ごと動かして、ロールさんの視線から逃げやがった。
シード権の中で残った方か。
「お互いに礼」
一礼すると、サージャスさんは左手に持った木刀を諸手にして、ザイオン氏に向ける。
向けられるザイオン氏は背の方に諸手を回してから得物を取り出す――――。
それは――、ナックルダスターの打撃部分に刃が付いたようなデザインの木製武器。
「ブンディ・ダガーか」
整備長が武器の名を口にする。
それ以上に、なんでそんな事を知ってるのか? 流石にマニアックな武器だと思うんですけど。
そして、【俺、知ってるんだぜ】みたいなドヤ顔やめてもらっていいっすか。
実際、大したもんですけども。
やっぱあれか、勇者御一行や魔王軍の方々と接する仕事でもあるし、どんな武器を使用しているのか直ぐに理解するために、覚えてた方がいいのかな。
こんなおっさんでも知ってるわけだし、覚えておかないと恥をかく事もありそうだな。
実際、ワギョウ初日には、蝉の件で恥をかいた。
覚えよう。
ロールさんも知らないままでいる方が恥だとか言ってたし。
それは追々として――――。
まずは現在の観戦が大事。
『始めっ』
を、待っていたとばかりにザイオン氏が突撃。
形状からして刺突メインの武器だな。
一応、先端の形状は丸みをおびて厚みもある。本来の利器なら鋭利な物なんだろう。
配慮だね。
拳を延長したイメージとしての武器と考えていいのかな? サージャスさんのように、格闘が得意なタイプか?
『シャァァァァァァ』
可愛い顔に似合わず、闘争心まる出しだな。
まるで、獣。俊敏な猫だな。
強い踏み込みと共に、右のブンディ・ダガーを打ち込んでくる。
サージャスさんそれを払って一歩後退。
追撃で今度は左。更に右とワンツー。
『りゃりゃりゃりゃりゃりゃりゃりゃりゃ!』
連打――――というか、乱打。
快活を通り越して、ちょっとお馬鹿な気がするな。この子……。
「アレは、お馬鹿な子だな」
代弁ありがとうございます。整備長。
「失礼ですよ。元気があっていいじゃないですか」
う~ん。この会話のやり取り、遺憾ですが、整備長に賛同させても――――、
「ねえ、失礼だよね」
「全くですよ。元気な子じゃないですか」
この神速の掌返しである。自分でも驚きを隠せない。
――こうやって、社会は渡り歩いて行くものなのよね。
おっさん選ぶより、ロールさんを選ぶ。男の性です。
はい、僕を見て〝チッ〟って、舌打ちをしない。
【お前だって、俺と同じ考えだっただろうが】という視線だ。ハハ――、分かってたようだね。その通りですよ。さ、僕なんか見てないで、試合を見ましょう。
その怒りを潜ませたブラウンアイを、魔石鏡に向けて下さい。
――。
『おりゃりゃりゃりゃりゃりゃりゃ』
『元気だね……』
サージャスさんも、行きすぎた元気さに、引き気味のご様子。
攻撃を受けては捌き続け、相手への反撃の機会を探る。
『元気が取り柄だから!』
大きな声だな。
でも、不思議なもので、観衆の方々はザイオン氏に興味を持ち始めてきているようだ。
ちょっとお馬鹿っぽいのが親しまれるのが世相というもの。
走って、飛び跳ねて、規則正しい動きなんてありゃしない。
「本当に猫みたいだな」
「無軌道だよね」
「だから、反撃するのが難しいんですかね?」
後手後手といったところ。
反撃に打って出ようとしているよなうな動きも見せるけど、ブンディ・ダガーにばかり気を取られていると、蹴撃が迫ってくる。
やっぱり、格闘戦に特化してるな。足技も鋭い。
今大会の場数なら、シード権のあったザイオン氏より、サージャスさんが多いけど、この子、相手の勝ちの流れを気にしないで戦えるタイプだな。
単にお馬鹿っぽいから、そこまで考えてないだけかもしれないけども……。
それはそれで、強みだよな。精神面で左右されないもんな。エルンさんも、ここまでじゃなくても、楽観的な性格なら、ムツ氏との勝敗も逆になってたかもな~。
「しっかし、運が悪いな。やり手とばかりぶつかる。流石は莫大な違反金を背負っているだけはあるな」
なんて失礼な事を言うんだよ! おっさん!
僕だけでなくロールさんも睨み付けていた。
ロールさん。もう一発きついのを見舞ってください。今度は平手じゃなく拳で。
今一度このおっさんに砂利の冷たさを堪能させて下さい。オナシャス!
おっさん速攻で、視線を顔ごと動かして、ロールさんの視線から逃げやがった。
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