拝啓、あなた方が荒らした大地を修復しているのは……僕たちです!

FOX4

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ITADAKI-頂-

PHASE-45

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「ええい!」
 振り払うムツ氏の様子は、蜂の群れに襲われているみたいだ。
 そちらにばかりかまってしまっている。

「いいんですか?」
 破片に傾注している事をサージャスさんに指摘される。

「いいもなにも、余裕がなくてね」
 いくら叩き落としてもきりがない小石に気を取られてはいけないとは理解しているようだけど、それを相手にするなといわれても難しいよね。
 誰だって自分の周囲をたくさんの飛翔物が舞ってたら意識するよ――――。


「ここまで差が出るのか……」
 ようやく小石を全て粉々に砕き落として、嘆息を一つ打ってからの一言。
 サージャスさんは、赤いチャクラを纏ったまま佇んでいる。

「これが魔法有りきか」
 二の句を継いで改めてサージャスさんの剣術だけでなく、巧みに使用する魔法に、現状では越えられない壁にぶち当たっているのを体感しているようだね。
 けどね、ムツ氏。サージャスさんて、これに加えて更に魔法剣も使えるっていうね……。
 今のところ使ってないけどさ、まあ、あれはなまくらでも名剣、名刀に変える事が出来ちゃうからね。木刀でも普通に斬れるようになるから使用しないんだろうな。

「致し方なし」

「きますか? では、受けましょう」
 ムツ氏の構えが飛電ってのを使った時のものになった。
 現状が打破出来ないからこそ、唯一速度で対応できるその未完の技である禁じ手に頼るようである。
 それを正面から受けようとするサージャスさんも本当に物好きだよ。それを見舞われて死にかけたのに……。

「では、まい――――」
 ――る。って部分だけ聞き取れなかった……。
 ムツ氏が消えたと同時に、それに呼応するようにサージャスさんも消えた。
 次の瞬間、突然発生した衝撃波が生み出す突風に僕たちは手で目を覆いながら、狭くなった視界の中で見続け、決勝の時とは逆となった光景を見る事になる。
 ――――宙を舞うムツ氏。
 手にする木刀は柄だけが残っていた。
 刀身部分は折れたというより、粉々に砕けてしまったようで、ムツ氏と共に舞い散っている。
 闘技場には木刀を振り抜いたサージャスさん。
 落下してくるムツ氏――――。

「ほっと、大丈夫ですか?」

「全くもって、届かなかったな……」

「いえ、届いてましたよ」
 落ちてきたムツ氏をお姫様だっこだ。
 この美少女勇者様の男前な所作たるや……。

「刹那の差でした」
 サージャスさん、自分の右前腕を見せる。
 あざが出来てた。
 ムツ氏の一撃が浅くも確かに届いていたようだ。

「この状態で、手傷を負わせる方は片手で数える程度です」
 励ましているのかな? 聞き取り方によっては、スペシャルな状態のボクにあざを作らせるなんて大したもんだ。と、上からな感じにも思われそうだけど……。
 サージャスさんに限ってそれはないだろうから、純粋に褒めてるんだろうけどね。
 
 凄いもんだ……。
 この圧倒的な強さ。でも、これだけ凄いのに、不死王さんを前にしたら勝てないっていうね……。
 で、その不死王さんが恐れるカグラさんの力ってのが、間接的に理解出来るね。
 魔王軍幹部って果てしなく高い壁が、勇者さん達の前に立ってるんだな~。
 カルタさんがいるパーティーは、その壁を乗り越えられる可能性を持っているのか――――。
 この大会に参加してもらわなくてよかったよ。
 他の参加者がなんの結果も残せなかっただろうから。 
 カルタさんには申し訳ないけど、呪剣ダーインスレイブに感謝だ。

「驚嘆の天稟の才よ。いや――――それは失礼か。努力の才であるな」
 お奉行様がワギョウ代表といってもいいムツ氏が容易く敗れてしまった事に対して、嘆息よりも、感嘆の息を漏らしながら、サージャスさんの実力を目に出来た事が貴重な経験だったとばかりに、瞳を輝かせてから賞賛している。
 努力の才に言い換えたのは、決勝の時のサージャスさんが、ムツ氏の賞賛に対して不機嫌になった事を考慮してからだろうね。

「ありがとうございます」

「うむ、気持ちのいい快活な声だ。流石は勇者」
 お奉行様、もはや憧れの人物を見る目だよ。娘くらいの年齢だろうに。
 まあ、それはいいんだけどさ――――――。
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