拝啓、あなた方が荒らした大地を修復しているのは……僕たちです!

FOX4

文字の大きさ
228 / 604
ITADAKI-頂-

PHASE-48

しおりを挟む
「どうしてボクのお供に?」
「小生、未だ実戦は皆無。貴女の側で磨き上げたいのです。自分の腕を」
「それならボクじゃなくても」
「いえ、貴女の強さと思いやり、それを学びたいのです。側にいさせてください」
 なんだよ、側にいさせてくださいってさ! プロポーズみたいな発言しやがって! ふざけんな、僕はそんなパーティーは認めないぞ!!

「よかったじゃねえか。仲間が出来て」
 黙れ整備長! 寝っ転がったまま言うなよ! ぶっ飛ばすぞ!!

「だったら、あたいも」
 はあ? なに言ってんの。この小麦色の天真爛漫自然児は!!

「じゃあ、俺も」
 はあ? なに言ってんの。この褐色スキンヘッドオヤジは!!

「いやいや、その子はともかく。あんたは妻子いるだろ」
 ようやく起こした体で正論を言ったよ。
 整備長。まったくもってその言やよし!
 勇者御一行になるなんて、安定した収入じゃないんだよ。
 ずっとクエストをこなしてればデカい金額も入ってくるだろうけど、旅に出るとなると、奥さんと娘さんはどうすればいいのさ。

「やめておいた方がいいです。ボクと行動するのは」
 う……、一気に暗い表情になった。
 嫌な思い出がフラッシュバックだ。
 未だに一億九千ほどの違反金を抱えてるからね。
 その原因がパーティーメンバーだったわけだし、裏切りを心に深く刻まれたからね。抵抗はあるに決まっている。

「あのね、皆さん。簡単にパーティーとか言いますけど、責任持てます?」
 サージャスさんに変わって、僕が威圧しつつ言ってみるけども、当人たちに僕の思いは通じなかったようで、
「俺は理由知ってるからな。それでもかまわねえよ」
 ああ……、一番、話を理解してくれそうな、まともな年長者がまともじゃなくなってる。

「ですが、額が額ですから、一緒になるとご迷惑が」

「気にすんなよ。一緒に行動すれば、今まで一人で出来なかった高額のクエストだって挑戦出来るぜ」

「う……」
 稼ぎが大きくなるのは魅力的なようだ。断ろうとしている決心が逡巡している。

「俺もさ、傭兵業ばっかりだったからな。もっと世のためになる仕事をやりたくてよ」
 だったらその筋肉を活かして、真面目に働けばいいだろうに――――。
 
 サージャスさんは妻子を心配しているようだけども、ドレークさん、そこそこの蓄えはあるという事と、嫁は出来たヤツだから蓄えを上手くやりくりして娘を育てられるし、クエストの報酬を仕送りすれば更に問題はないと言い張り、パーティーに入れてくれと、剃り上がった頭を深く下げている。
 ハハハ――――。こいつぁ、本腰入れてパーティーを作ろうとしてやがりますよ。

「小生は全く問題ない。金もいらん。サージャス殿の下で経験が積めれば、握り飯あれば問題ない」
 それ、以前のサージャスさんの前で言ってたら、僕が間違いなく貴男の頬を殴ってますよ。
 握り飯だけとか、とんだ贅沢発言ですわ。

「それに今大会で多額の賞金も得た。金銭の問題はござらん」
 そうじゃん! 刀ばっかりに皆の視線が集まってたけど、副賞扱いの金額も凄いものだったはずだ。
 いっそそれを違反金の返済に充てるのもいいかもしれない。ムッツリ氏とのパーティーは反対だけど。

「やめましょう。ボクと行動すると不幸が訪れます」
 うわ~い……。久しぶりのネガティブモードだ。
 オドオド、ビクビク。勇者様にはほど遠い姿だよ。
 違令管理課のゲイアードさんはここにはいませんよ。

「ならないよ! だってサージャスの事、大好きだもん」
 おい、それは百合的な感じかね? ザイオン氏。
 それは――――、存外悪くないな。
 がっしりとしがみついて離さないって感じだ。
 なんか、エロく見えてきた――――。

「お試しで俺たちと行動してみないか? その間に決めてくれればいい。クエストとかこなしていこうぜ」
 ズイッとサージャスさんに近づいて、ドレークさんしつこく言い寄る。
 僕としてはこんな暑苦しいのより、女性限定だと嬉しいんだけどな。

「でも、不幸に――――」

「――ならないってば! あたいがサージャスをずっと笑顔でいさせてやるから」
 出会って日も浅いのに、随分とご執心なことだ。
 なぜにそこまでこだわるのか――――。
しおりを挟む
感想 27

あなたにおすすめの小説

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

お飾りの妻として嫁いだけど、不要な妻は出ていきます

菻莅❝りんり❞
ファンタジー
貴族らしい貴族の両親に、売られるように愛人を本邸に住まわせている其なりの爵位のある貴族に嫁いだ。 嫁ぎ先で私は、お飾りの妻として別棟に押し込まれ、使用人も付けてもらえず、初夜もなし。 「居なくていいなら、出ていこう」 この先結婚はできなくなるけど、このまま一生涯過ごすよりまし

無能なので辞めさせていただきます!

サカキ カリイ
ファンタジー
ブラック商業ギルドにて、休みなく働き詰めだった自分。 マウントとる新人が入って来て、馬鹿にされだした。 えっ上司まで新人に同調してこちらに辞めろだって? 残業は無能の証拠、職務に時間が長くかかる分、 無駄に残業代払わせてるからお前を辞めさせたいって? はいはいわかりました。 辞めますよ。 退職後、困ったんですかね?さあ、知りませんねえ。 自分無能なんで、なんにもわかりませんから。 カクヨム、なろうにも同内容のものを時差投稿しております。

クラス転移したけど、皆さん勘違いしてません?

青いウーパーと山椒魚
ファンタジー
加藤あいは高校2年生。 最近ネット小説にハマりまくっているごく普通の高校生である。 普通に過ごしていたら異世界転移に巻き込まれた? しかも弱いからと森に捨てられた。 いやちょっとまてよ? 皆さん勘違いしてません? これはあいの不思議な日常を書いた物語である。 本編完結しました! 相変わらず話ごちゃごちゃしていると思いますが、楽しんでいただけると嬉しいです! 1話は1000字くらいなのでササッと読めるはず…

僕の秘密を知った自称勇者が聖剣を寄越せと言ってきたので渡してみた

黒木メイ
ファンタジー
世界に一人しかいないと言われている『勇者』。 その『勇者』は今、ワグナー王国にいるらしい。 曖昧なのには理由があった。 『勇者』だと思わしき少年、レンが頑なに「僕は勇者じゃない」と言っているからだ。 どんなに周りが勇者だと持て囃してもレンは認めようとしない。 ※小説家になろうにも随時転載中。 レンはただ、ある目的のついでに人々を助けただけだと言う。 それでも皆はレンが勇者だと思っていた。 突如日本という国から彼らが転移してくるまでは。 はたして、レンは本当に勇者ではないのか……。 ざまぁあり・友情あり・謎ありな作品です。 ※小説家になろう、カクヨム、ネオページにも掲載。

【完結】兄の事を皆が期待していたので僕は離れます

まりぃべる
ファンタジー
一つ年上の兄は、国の為にと言われて意気揚々と村を離れた。お伽話にある、奇跡の聖人だと幼き頃より誰からも言われていた為、それは必然だと。 貧しい村で育った弟は、小さな頃より家の事を兄の分までせねばならず、兄は素晴らしい人物で対して自分は凡人であると思い込まされ、自分は必要ないのだからと弟は村を離れる事にした。 そんな弟が、自分を必要としてくれる人に会い、幸せを掴むお話。 ☆まりぃべるの世界観です。緩い設定で、現実世界とは違う部分も多々ありますがそこをあえて楽しんでいただけると幸いです。 ☆現実世界にも同じような名前、地名、言葉などがありますが、関係ありません。

【完結】妖精を十年間放置していた為SSSランクになっていて、何でもあり状態で助かります

すみ 小桜(sumitan)
ファンタジー
 《ファンタジー小説大賞エントリー作品》五歳の時に両親を失い施設に預けられたスラゼは、十五歳の時に王国騎士団の魔導士によって、見えていた妖精の声が聞こえる様になった。  なんと十年間放置していたせいでSSSランクになった名をラスと言う妖精だった!  冒険者になったスラゼは、施設で一緒だった仲間レンカとサツナと共に冒険者協会で借りたミニリアカーを引いて旅立つ。  ラスは、リアカーやスラゼのナイフにも加護を与え、軽くしたりのこぎりとして使えるようにしてくれた。そこでスラゼは、得意なDIYでリアカーの改造、テーブルやイス、入れ物などを作って冒険を快適に変えていく。  そして何故か三人は、可愛いモモンガ風モンスターの加護まで貰うのだった。

後日譚追加【完結】冤罪で追放された俺、真実の魔法で無実を証明したら手のひら返しの嵐!! でももう遅い、王都ごと見捨てて自由に生きます

なみゆき
ファンタジー
魔王を討ったはずの俺は、冤罪で追放された。 功績は奪われ、婚約は破棄され、裏切り者の烙印を押された。 信じてくれる者は、誰一人いない——そう思っていた。 だが、辺境で出会った古代魔導と、ただ一人俺を信じてくれた彼女が、すべてを変えた。 婚礼と処刑が重なるその日、真実をつきつけ、俺は、王都に“ざまぁ”を叩きつける。 ……でも、もう復讐には興味がない。 俺が欲しかったのは、名誉でも地位でもなく、信じてくれる人だった。 これは、ざまぁの果てに静かな勝利を選んだ、元英雄の物語。

処理中です...