拝啓、あなた方が荒らした大地を修復しているのは……僕たちです!

FOX4

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ITADAKI-頂-

PHASE-60

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「お帰りなさいませ」
 小綺麗な制服の船員さん達が僕たちに挨拶。
 舷梯を渡って船の上の人になる。
 すると、大海蛇モーガウルに負けないくらいの人だかりが出来上がる。
 先客の船客の方々だ。
 ITADAKI-頂- を見終わって、僕たち同様、本日、帰るようだ。
 帰りの船もご一緒であると、喜んでいる。
 もちろん僕や整備長に対してのものじゃない。ロールさん限定だ。
 全く男ってのは…………。理解できるよ。

「また釣りするかい? こっちの店に置いていた釣り道具を運ばせたんだけど」

「俺のを使いなよ。いい物だから。いいの釣れるよ」
 お金に余裕のある方々が、ロールさんに自分の釣り竿を使って欲しいと言い寄ってくる。
 美人に使用してもらいたいという思いと、カジキを釣った幸運を宿してもらいたいという験担ぎもあるみたいだ。
 
 圧が凄くて困っておられる。
 しかたない、ここは僕が――――、
「はい、どいた、どいた」
 ロールさんから男達が離れていく。
 ズンズンとした強い歩みが甲板に伝わる。
 ドレークさんだ。
 声を聞かなかったとしても、歩みだけで理解出来る。

「帰りもやっぱりこの船なんですね」
「当たり前よ」
「どうも」
「サージャスさん!?」
 そりゃそうだ。ドレークさんがいるんだから、パーティーの中心が乗船するのは当然か。

 ――――てことは、
「一週間の船旅、よろしく願います」
 おう、ムツ氏。
 だな、船代はこの人の賞金から出たな。
 依存は駄目と言ってたし、サージャスさん、乗船にはごねただろうな。
 周囲が、後で払えばいいと言っていたのが、容易に想像出来るよ。
 
 しかし、今大会の優勝者と準優勝者が乗船するんだから、この船も箔が付くってもんだろう。いっそロハにしてあげればいいのに。

「すげ~! なんだこのデカさ」
 デカいのは船じゃなくて、貴女の声ですよ、ザイオン氏。
 ここはお金持ちが多いから、節度ある行動をしないと、中心のサージャスさんが恥をかくことになるからね。

「凄い船ですよね。幻獣まで動力になって」

「ですよね。僕たちもこんな船に乗れるなんて考えてもいなかったですし、ワギョウまで最高の船旅だったので、帰りもゆったりとした船旅を楽し――――」
 ここで、ふと思ったことがあり、【みましょう】を省いてしまった。

「サージャスさん。ワギョウに来た時はどんな船に?」

「あははははは――――」
 乾いた笑いが秀でてますね……。
 想像も出来ないような劣悪な環境下での船旅だったのかもしれない……。
 質素倹約もいいけど、命は削ってはいけない。

「こんな大きな船に乗れることが出来るなんて、いい思い出です」
 え!? サージャスさん死ぬんですか?
 声の調子が重々しいよ……。
 やっぱり、乗るのにごねてたな。

「ムツ様々だな」
 船端に体を預けてマストを眺めつつ、感謝の言葉と共に、隣で胡座をかいてるムツ氏の背中をバシバシと叩いているザイオン氏。
 頭が残念なもんだから、力の加減が出来てないようで、ムツ氏の顔が痛みで歪んでいる。
 まったく、年頃の女の子がミニスカート姿でそんなに足をガバッと広げて座っちゃ駄目だろ。
 これだから頭が残念な子は……。
 ――……白色のミニで、小麦色の太ももが栄えますな~。
 
 おや? ポケットから何かしらが甲板に落ちたような気がするよ――――。

「何も落ちてないからね。だから、顔を甲板にこすりつけて探し物なんてしなくてもいいよ」
 ロールさん笑顔だけども、僕の肩を掴む手に力が入ってますよ。
 冗談ですから。スカートの奥を覗くなんて邪な心はその笑顔によって浄化されましたから。許してください。
 肩が……痛いです…………。
 
 何はともあれ、ワギョウとはこれでおさらば。
 一週間の楽しく華やかな船旅の後には仕事が……、仕事か…………。
 働きたくないでござる。
 ゆったりとした仕事がしたい。偉くなればそんな仕事内容になるのかな~。
 やっぱり貴族を目指すべきなのか。
 帰りたくない~。

「ネーガルに到着するまでには気持ちを切り替えないとね――――仕事モードに」

「あ、はい……」
 仕事熱心な美人先輩様に釘を刺されてしまった。
 仕事をしたくないというオーラが僕の体から出ていたのだろう。
 でもね、ロールさん。
 僕よりも本日ずっと不機嫌で、船端に沿ってだらけて寝ている方に目を向けてくださいよ。
 あれ――――、僕たちの上司ですよ。
 あのおっさんには何も言わないんですか?

「ラウンジに行ってお茶でも飲みませんか?」

「いいですね!」
 あ、言う気は皆無なんですね……。
 ロールさんに連れられて、初体験なのか、サージャスさんがノリノリで追従。

「行かないんですか? ピートさん」

「行こうよピート君」
 あ! はい!! ハハハ――ッ。ですよね~。

「行きます~♪」
 両手に花だ。
 何れ菖蒲あやめ杜若かきつばたな美人様が二人。最高だぜぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇえ!
 
 おっさんなんか知るかい!
 楽しい船旅だっぜ!
 ネーガルに戻れば仕事始めなんだ。
 この一週間の黄金の時間を、全身全霊で楽しもうじゃないか――――――!!
 
 ヒャッハー―――!!!!
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