拝啓、あなた方が荒らした大地を修復しているのは……僕たちです!

FOX4

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ITADAKI-頂-

PHASE-59

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 狭い通路を歩いて、程なくして中腰スタイルから這い這いスタイルになり、ロールさんのお尻様を見ることなく、三畳台目さんじょうだいめの茶席に到着。
 
 ――。

「お疲れ様でした」

「いえ、それはオサフネお奉行様ではありませんか。運営進行お疲れ様でした」
 ここでも、ロールさんが応対だ。
 サージャスさんのパーティー結成時の祝辞を述べたのに続いて、ここでもロールさんだ。
 おっさん、もう整備長辞めろ。ロールさんに譲れ。僕でもいいけど。
 
 ――。

「おいしいお茶ですね」

「本日は一番茶、初物です」
 不思議と甘みのあるお茶だ。砂糖が入ってるとかじゃなく、お茶そのものの味なんだろう。
 お茶っ葉入れて飲むのと同じタイプだけど、元々のポテンシャルが違う高価な物だな。
 こういうのをお土産に買って帰るか。
 でも、ワギョウに滞在してルールも分かったから、回し飲みの苦いタイプのでもよかったのに……。
 茶室って分かった時から、間接チューばっちこい! だったのに……。
 はあ、スッキリとした美味しいお茶だこと。
 でも、間接チューも水泡と帰したからか、苦い経験として記憶に残りそうだ……。

「これからワギョウも変わっていくでしょう」
 異人街には役所も建設される。
 デジマの発展が進んで、大きな結果が生まれれば、開国も近いだろう。
 そうなったらワギョウ全体で交易が自由になる。
 デジマは寂しくなるかもね――。
 反面、国全体に大陸からの商人や旅人が増加して、経済的にはプラスになる。
 剣聖の御業によって二つに割れた山にも人が押し寄せるだろう。
 僕も見てみたいものである。
 お金と時間に余裕が出来たら旅行もいいかもな。

「また入らしてください。今度は仕事抜きで」

「是非」
 僕が考えていたような内容が、お奉行様とロールさんの間で交わされている。
 声の調子からして、ロールさん本当にこの国が気に入ったようだ。
 だったら、一緒に旅行ってのもいいですよね。花魁ファッションとか見せてもらいたいな~。

「今回、デジマを全力で楽しんでいただいたみたいですから、ニーズィー殿も次回全力で楽しんでいただければ」

「あ、はい…………」
 ケッケケケケケケケケケケケ――――。
 ただでさえヘコんでたのに、追撃のぐしゃりだ。
 ナイスです! お奉行様。
 誰も見えないところで拇指立ててのサムズアップ。
 
 
 ――――お茶を済ませて仕事抜きの談笑を行い、門前までわざわざ別れの挨拶。
 お奉行様、ライゴウさん。お世話になった思いをこめて、僕たちは深々と一礼。

 奉行所を後にしてからは出港時間まで余裕もあるという事で、ゆったりと歩いて町並みを楽しみながら、お土産を買っていく。
 お茶に、せんべい、おかきに金平糖などなど――――。
 奮発して切子グラスも購入。
 おかげで財布の中はスッカラカンだ。
 お土産を持って歩き出す。
 
 蝉の鳴き声――。初日は木が鳴いてるとか思って、魔王軍の関係者と勘違いして恥かいたな……。
 
 ――――夏の陽射しを堪能しつつ、拠点となった家屋に戻り、旅の荷物も加える。
 土産もだから、重くてかなわない……。
 海が見える高台の家屋から次に向かう先は船着場。
 そこから港まで出ている小舟に乗って移動。
 一気に楽になった。
 水の涼に癒やされて、海まで続く水路の流れにゆっくりと沿いながら進む。
 しばらくすると、鼻孔に潮の香りが届いてくる。

「港に到着」
「重い荷物も持って、狭い小舟にゆられて、腰がいてえよ」
「口を開いたらブチブチと、少しは我慢を覚えてください」
「我慢は覚えてるよ」
「へ~」
「本来だったら、お前のことボコボコだぞ」
「出来もしないことは言わない方がいいですよ――――弱く見えますから」
「なんだ? ここでまた始める気か?」
 はぁ~。不毛。不毛だよ、おっさん。
 昨晩も周囲に迷惑をかけたのに、またここで一緒に乗っている方々にも迷惑をかけようとしてるよ。

「少しはね。前日の事を反省しましょう。ね~、ロールさん」

「そうだね。大人げないよね」
 イエェェェェェ~イ。僕が正義ジャスティス。僕に賛同。絶好調な関係。
 だからこそ、整備長はどんどんと不愉快になっていく~。
 右の頬の傷が弾けて鮮血が吹き出しそうな勢い。

「どうしてこうなった……」
 だから、今までの行いで失墜した、皆無な人徳だっつてんだろうが! 
 それを失うような事ばかりをする事によって、今の貴男が構成されてるわけだ。
 愚者は経験で学ぶって本当だな。

 ――。

 ――――これからまた船の上の生活か――。
 
 眼界には美しき白い船体。マスト三本からなる横帆おうはんのシップ型帆装。
 希望エスポワールの金文字も輝いてるよ。
 船首では船を牽引してくれる、ネーガルからの出港時、ロールさん曰く、可愛い大海蛇モーガウルが、水面から鎌首をもたげている。
 群青のエッジの効いた鱗。翼のような胸鰭を扇のように動かすと、水しぶきが虹を作りだしてる。
 怖いもの見たさに、船の周囲には人だかりが出来てる。
 特に子供が多い。好奇心旺盛である。勇気のある子は、鱗にタッチして直ぐさまそこから逃げ出して、キャッキャしてる。
 楽しませるように、それに合わせて胸鰭を動かしてるみたい。子供たちの度胸試しの遊びに付き合ってくれているようだ。
 
 流石は幻獣。そこいらの獣や、整備長とは頭の出来が違う。
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