拝啓、あなた方が荒らした大地を修復しているのは……僕たちです!

FOX4

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トレジャーハントに挑む、三人の公務員

PHASE-09

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 ビンゴだ。
 セイロンさん属するバラクーダ。そして、ガリンペイロも化石を狙っているんだ。
 でも、どうやって知った? 子爵様の下男のおっさんの話だと、トレジャーハンターは信頼できないから依頼は出していないと言っていた。
 だけども、トレジャーハンターの中でも、最も信頼できない二つのギルドが入り込んでるぞ。
 独占情報じゃないのか? ザルじゃないか……。

「では刃傷沙汰が起きていると?」

「見りゃ分かるだろ!」
 あら、治療をしてもらってその態度。
 お茶を手渡した時は会釈で返したくせに。
 僕が年下だから横柄なのかな?

「じゃあ、人数は?」
 今一度、質問。

「…………」
 そっぽ向かれてしまった。

「ピート君は人数を聞いている。言葉、分かりますか?」

「分かったから。顔を近づけるなよ」
 ゴートさんの圧には勝てないようだ。
 僕だけ見下されているのは納得いかないけど、まあいいか。
 
 ――――バラクーダの参加人数は十三人。
 急な情報として古龍の化石の情報が入ってきたそうで、王都近辺を根城にしている方々が先遣隊として動いているそうだ。
 衝突したガリンペイロの方々も似たくらいの人数だったとの事。

「で、情報元は?」
 質問すると、それに合わせてゴートさんが顔をセイロンさんに近づけるので、素直に答えてくれた。
 ――――上からの指示なだけで、情報源は聞いてないそうだ。
 そして、本隊到着まで化石の防衛に成功したら、先遣隊の一人一人に百万ギルダーを支払うという太っ腹な報酬。
 まったく、こっちはそんな報酬もなく命かけてるのにさ。
 安定した給金をもらえるとはいえ、こういうのにはロマンを感じざるをえませんな。
 いいな~、百万ギルダー。
 そりゃ夢見て冒険者になりたがる人が多いのも頷ける。
 命をかけるだけあって、見返りは大きいけどもさ、流石にここに挑むには報酬が安いような気もする。
 ギルドだからってのもあるのかもしれないけど。
 組織だから、上からの指示を素直に受けないといけないだろうし。
 その辺は僕たち公務員と似てるな。

「なんで化石くらいでここまで躍起に?」

「知るかよ。古龍のやつだからだろ。価値なんて知らないけどよ」
 曲がりなりにもトレジャーハンターなんだから、価値の有無くらいは最低限は理解していてほしいけどね。
 で、化石が古龍だという情報もバラクーダは得ているのか……。
 本当にザルな情報だよ。ノムロのおっさん!!

「どうします? ここに置いて、合流を待たせますか」
 と、ゴートさん。

「勘弁してくれよ。俺、地図持ってないんだよ。迷ってたとこに、ここの明かりを見つけて助かったんだからよ。こんな最古参位エルダークラスがいるところに一人にしないでくれよ」
 あら、先ほどまでは僕に対して横柄だったのに、ここにきて一人になるのは嫌だとばかりに僕の足に縋ってくるよ。【離せぃ下郎!】って言いたいシチュエーションだな。
 
 置いていくなと言われても、この人といるのは正直なところメリットなんてないからな~。
 目的地に着いた途端に態度を変えて、剣を向けられても困るし。
 
 そもそも危険覚悟で来てるんでしょ? こうなる事も運命として受け入れるのも、トレジャーハンターとしての生き方ですよ。と、冷たくあしらってあげたいよ。
 とはいえ、一人にするのも非人道的だし。セイロンさんが無事に戻った時に、公務員連中は――、みたいな事に尾ひれをつけられての流言を飛ばされるのも困る。

「ふむん」
 ちょっと試してみよう。

「あの~この人の事をお願いできませんかね~。事が済み次第、この森からご退場でいいので」
 僕の急な大音声に、一体、何事だと、ゴートさんが目を丸くする。
 
 ――――原生の木々の中のしじま。
 やっぱり無理なのかな~。
 博打なんだけどな。
 と、思っていたら、ズンズンと、体に響く振動。
 ゴクリと唾を飲んで、徐々に強くなる振動を伝えてくる方向に目を向ける。
 草木をかきわけて現れたの存在。

焔馬えんばだ」
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