拝啓、あなた方が荒らした大地を修復しているのは……僕たちです!

FOX4

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トレジャーハントに挑む、三人の公務員

PHASE-11

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 ゴートさんは足の裏の水ぶくれ対策に、靴下二重履きで対処。
 これでいけるとばかりに意気揚々だったけど、開始、数十歩で微妙な表情だ。
 どうやら足の裏がビッショビショになってしまったようだね……。
 体全体も汗で同じように濡れてますけども……。
 
 それにしても、前日同様に革靴で道無き道をまるで平坦な道の如く軽快に歩みますね~。
 本日、地図を手にしてるのは僕なんですから、足並み揃えないと迷っちゃいますよ。ゲイアードさん。

 ――――。

「もうすぐ湖が見えてくるはずです」

「そこでの休憩を提案したい」
 息も絶え絶えなゴートさんが、高らかに挙手して発言。

「いいですね。しかし、湖の中央にはエルフ達が住んでいます。刺激をしないように外周で静かに休息しましょう」
 湖にて、カルタさんの呪剣・ダーインスレイブを取る方法があるかもしれないという話を以前していた記憶があるけど、そのエルフさん達が関係しているのかな?
 結局のところ、手から離れるって事はなかったみたいだけど……。
 
 キドさんのようなダークエルフには出会ったけど、まだエルフには会ったことないから、是非とも会ってみたいけどね。
 美人なんだろうな~。

「ここのエルフ達は気性が荒いと聞く。特におさは、湖のテリトリーを荒らす者に対して容赦がないそうだ。彼女を刺激したら命を取られるかもしれない、近づこうとは考えないように」
 それは残念だな。
 ここのエルフさん達は昔からここを拠点としているそうで、カグラさんの支配下になってからも、湖は独立した自治的な場所であるそうだ。

「皮肉な話だが、この地に住まうエルフ達は、現在が最も住みよい状況下だそうだよ」

「へ~。どうしてです?」
 グッショリとした足を清めたいのか、エルフが住まうというだけで効果がありそうだと考えてるのか、湖の水をすくってから足の裏にかけるゴートさんが質問。
 水が心地いいのか、それとも効果がある気になっているのか、表情はスッキリしている。
 
 ――――ゲイアードさんが簡単に歴史を話してくれる。
 
 この地が霊山として人間の支配下にあったころは、麓の森の木々を伐採。
 入山目的の人々の往来もあり、心ない方々によるゴミの投棄。
 自然環境に敏感なエルフさん達は非情に不快な思いをしていたらしいけど、炎竜王であるカグラさんがケルプト山を支配下に治めると、人々の往来はなくなり、伐採に、山や森を汚す者たちがいなくなった事で、エルフさん達は、カグラさんを大恩人として称えて、感謝しているそうだ。
 そもそも、エルフさん達は人間を見下す気質がある。
 特に、ここのエルフさん達は、人間を見下すどころか、不浄な存在と考えているそうで、その人間が近づかなくなった事に、この地のおさは大いに満足しているそうな。
 いやはや、人間として、耳が痛いですな……。
 カルタさん、話も聞いてもらえず、追い返されてたりして。 
 
 ――。

「いや~足が楽になってきた~」

「この湖には癒やしの効果があるらしいですから」
 え!? そうなんだ。
 確かにゴートさんの足取りは軽い。思い込みとかじゃなく、本当に効能があるんだな。
 歩む速度も心なしか速くなってる気がする。
 水筒に湖の水を入れて正解だったな。
 僕としては、魔石の消費を控えたかったのが理由だったけど、飲んだら、体を中から癒やしてくれたりして。
 
 ――――。

「このペースだと予定より早く本日の野営ポイントに到着しそうですね」
 距離が更に開いていくゲイアードさんに語りかけると、
「そうだね」
 と、簡素に返ってくる。
 もう少し会話を交わしたいところだけどね。そうする事で、疲労も会話で紛らわせる事が出来るし。精神的に楽になるんだけどな~。
 
 でも、ゲイアードさんは周囲に目を向けてるし、普段以上に炯眼で怖いんだよね……。
 何かを威圧しているようにも見えなくもない。
 
 ゴートさんに話しかけるのは気が引けるしな~。
 ペースは上がってるけども、ヒーヒーと息を切らしているのは相変わらず……。
 水筒片手に、懸命に後に続いている感じだ。
 ガブガブと飲んでるもんだから、横っ腹が痛いのか、押さえている。
 辛いでしょうが、頑張ってくださいよ。
 出来るだけ明るいうちに到着したいですからね――――。
 
 襲われる事もなく、無事にポイントに到着だ。
 
 ――結局、話をする事もなく移動が終わった。
 風景だけが――、僕の友達。みたいな状況だったな……。
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