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ウィザースプーン、ヴィン海域に行ったてよ
PHASE-04
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「それなんすか?」
僕の作業用ポシェットにしまっていた物に一人が注視すると、囲んでいた残りの方々もそれに続く。
鬱陶しいぐらいに囲まれてしまう。ぞんざいに応対すると、これからの調査にも支障が出そうだから、ここは素直に見せよう。
植物が繁殖する力強さが着想になった、手の込んだ金のエングレーブが彫られた銃を取り出して、代表者であるナイゼルさんに手渡す。
「弩? じゃあないな。よければ使ってみてもらえないですか?」
中折れ状態にして弾を込める。スタン弾を装填して、岩に向かって撃鉄を起こしてから、引き金を引く――――。
大きな銃声が響くと、どっと沸く。
――――静まったところで、簡単に説明をしてあげた。
「スゲえな。音が難点だけどな」
「だが、大魔法クラスのが封じられたのも使用出来るってんなら、魔力を消費しなくていいぶん、使い勝手がいいぞ。そもそも音なんて関係ないだろう。ここじゃあ、これ以上の音ばかりだ」
やいのやいのと、感想や考察を深めるように語り合っている。
戦いに使用する物に関しては、凄く情熱を持っているな。
「俺たちがここで戦ってる最中、こんな物が流通してんですか?」
一人の方の質問に、僕は、特注品で、壌獣王であるキドさんからいただいた物だと伝える。
ゲンジ砂漠では、森の中でこれを使って演習をしているという事も伝えると、
「ゲンジ砂漠か……よかったな~あそこも」
「なあ」
あれ? やめて、僕は悪くないですからね。
僕は制限域にした事には一切関与していない公務員一年生ですから。
「これ、いくらだったら譲ってくれます?」
「すみません。売り物ではないので」
受け取った時は誰かに渡すなり、処分したかったけど、丁寧な作りのワンオフだし、これで戦いを中断させられた功績もあるし。功績というか自然破壊だったけども……。
ごめんなさいと、断りたかったけど――――、
「個人が一生遊べる額を出しますよ」
「俺はその倍」
と、勝手にオークション的な流れが出来つつあった……。
正直、赤貧だからね。心が揺れ動く魅力ある内容だ。
「いい加減にしろ。売らんと言っているだろう」
ナイゼルさんの一喝で、周囲は黙った。
と、同時に僕の煩悩も虚空に消える。
邪魔だという感じで手を横に振ると、僕たちの前に道が出来上がる。
足を動かしはじめたナイゼルさんの後をついていく。
――。
「大したものですね」
「え? なにがです?」
「ここに来たばかりの初見さんは、この鳴り続ける爆音と振動で、恐怖に支配されたりするんですがね。ロッケンジー達は来た当初、顔が真っ青でしたよ」
「どうも」
怖いですよ。怖いけど、怖すぎてどうすりゃいいのか、頭が追っつかなくなってるだけなんでしょうね。
それ以上に、爆音などより、貴方方に接近されて取り囲まれる方が怖いんですけど。
目が魚類ですからね……。
ゴロゴロゴロ――――。
曇天に変わって雷鳴が轟いている。
灰色の雲がすぐに真っ黒なものに変わり、カッと空を走る雲耀の次に刹那で続く、でっかくていびつな一本の稲妻が、轟音と共に大地に落ちた。
「うわ、凄い……」
「やはり、大したものだ」
ナイゼルさん、離れた位置に落ちた稲妻に驚くだけで、怯まなかった僕を高く評価してくれている。
ゲンジ砂漠でこれよりも凄い、キドさんとちびっ子の、戦略クラスの融合大魔法を目の当たりにしてるからね。このくらいならね。
「この辺りはまだまだ安全圏ですから。本日はここに宿泊して、明朝、一気に中心地まで移動しますよ」
僕としては、ここまででいいんですが。簡単に話でも聞かせてもらえれば、後は上手い具合にレポートを制作するんで。
「というか、ここは安全圏なんですね」
「ええ、セーフゾーンを作っておかないと、ここいらで大魔法を使用したら、ポズンの村にも累がおよびますから」
なんだろう、何でもありと思っていたけど、ちゃんとルールを設けてるんだな。
「じゃあ、今日はゆっくりと――――」
ドォォォォォォォン――――、
「休めますね…………」
「ごゆっくり。夜になれば静かになります。夜間戦を除けば夜は戦わないので」
なるほど、だからポズンの村でも夜は静かに眠れたわけだ。
――。
テントにて寝袋を支給される。
もぞもぞと寝袋に入り込むけども、う~ん、なんだろうか……。違和感がある。体にフィットしない。というより、明らかに新品じゃない。
贅沢は言えないけどさ。でも、装備に金かけてるんだから、お客用とかで新品を用意しててもいいと思うんだけど。我が儘ですかね?
「寝袋、あいませんか」
「はい、まあ……」
ゴロゴロしてたら、ナイゼルさんに気をつかわせてしまった。
「一応、ウィザースプーンさんの体型に近い、イリースのを用意したんですが」
「イリース?」
「ええ、中々に気立てのいい、美しい戦楽師でして」
ほほう、かすかにだけど、いい香りがするのは、美人様が使用していた物だったからか。
むしろ嬉しい。
「ですが、申し訳ないですね。僕なんかが使っちゃって」
「そんな事をいちいち気にしてたら、ここでは、やっていけませんよ」
「なるほど」
「それに」
「ん?」
「イリースは昨日、死んだんで」
へ、へ~……。
そんな重要な事を、軽々しく口にしましたね。挨拶程度の調子でしたよ……。
「では、おやすみなさい」
おい、そんな話をされて、すんなりと眠りにつけるほど、ここになじんでないんですけど……。
枕元に立つなんて事ないですよね!? ね!?
――――この後の僕は、外でちょっとでも音がすると、過敏に反応して飛び起きるという、鋭敏感知な特技を習得しました……。
僕の作業用ポシェットにしまっていた物に一人が注視すると、囲んでいた残りの方々もそれに続く。
鬱陶しいぐらいに囲まれてしまう。ぞんざいに応対すると、これからの調査にも支障が出そうだから、ここは素直に見せよう。
植物が繁殖する力強さが着想になった、手の込んだ金のエングレーブが彫られた銃を取り出して、代表者であるナイゼルさんに手渡す。
「弩? じゃあないな。よければ使ってみてもらえないですか?」
中折れ状態にして弾を込める。スタン弾を装填して、岩に向かって撃鉄を起こしてから、引き金を引く――――。
大きな銃声が響くと、どっと沸く。
――――静まったところで、簡単に説明をしてあげた。
「スゲえな。音が難点だけどな」
「だが、大魔法クラスのが封じられたのも使用出来るってんなら、魔力を消費しなくていいぶん、使い勝手がいいぞ。そもそも音なんて関係ないだろう。ここじゃあ、これ以上の音ばかりだ」
やいのやいのと、感想や考察を深めるように語り合っている。
戦いに使用する物に関しては、凄く情熱を持っているな。
「俺たちがここで戦ってる最中、こんな物が流通してんですか?」
一人の方の質問に、僕は、特注品で、壌獣王であるキドさんからいただいた物だと伝える。
ゲンジ砂漠では、森の中でこれを使って演習をしているという事も伝えると、
「ゲンジ砂漠か……よかったな~あそこも」
「なあ」
あれ? やめて、僕は悪くないですからね。
僕は制限域にした事には一切関与していない公務員一年生ですから。
「これ、いくらだったら譲ってくれます?」
「すみません。売り物ではないので」
受け取った時は誰かに渡すなり、処分したかったけど、丁寧な作りのワンオフだし、これで戦いを中断させられた功績もあるし。功績というか自然破壊だったけども……。
ごめんなさいと、断りたかったけど――――、
「個人が一生遊べる額を出しますよ」
「俺はその倍」
と、勝手にオークション的な流れが出来つつあった……。
正直、赤貧だからね。心が揺れ動く魅力ある内容だ。
「いい加減にしろ。売らんと言っているだろう」
ナイゼルさんの一喝で、周囲は黙った。
と、同時に僕の煩悩も虚空に消える。
邪魔だという感じで手を横に振ると、僕たちの前に道が出来上がる。
足を動かしはじめたナイゼルさんの後をついていく。
――。
「大したものですね」
「え? なにがです?」
「ここに来たばかりの初見さんは、この鳴り続ける爆音と振動で、恐怖に支配されたりするんですがね。ロッケンジー達は来た当初、顔が真っ青でしたよ」
「どうも」
怖いですよ。怖いけど、怖すぎてどうすりゃいいのか、頭が追っつかなくなってるだけなんでしょうね。
それ以上に、爆音などより、貴方方に接近されて取り囲まれる方が怖いんですけど。
目が魚類ですからね……。
ゴロゴロゴロ――――。
曇天に変わって雷鳴が轟いている。
灰色の雲がすぐに真っ黒なものに変わり、カッと空を走る雲耀の次に刹那で続く、でっかくていびつな一本の稲妻が、轟音と共に大地に落ちた。
「うわ、凄い……」
「やはり、大したものだ」
ナイゼルさん、離れた位置に落ちた稲妻に驚くだけで、怯まなかった僕を高く評価してくれている。
ゲンジ砂漠でこれよりも凄い、キドさんとちびっ子の、戦略クラスの融合大魔法を目の当たりにしてるからね。このくらいならね。
「この辺りはまだまだ安全圏ですから。本日はここに宿泊して、明朝、一気に中心地まで移動しますよ」
僕としては、ここまででいいんですが。簡単に話でも聞かせてもらえれば、後は上手い具合にレポートを制作するんで。
「というか、ここは安全圏なんですね」
「ええ、セーフゾーンを作っておかないと、ここいらで大魔法を使用したら、ポズンの村にも累がおよびますから」
なんだろう、何でもありと思っていたけど、ちゃんとルールを設けてるんだな。
「じゃあ、今日はゆっくりと――――」
ドォォォォォォォン――――、
「休めますね…………」
「ごゆっくり。夜になれば静かになります。夜間戦を除けば夜は戦わないので」
なるほど、だからポズンの村でも夜は静かに眠れたわけだ。
――。
テントにて寝袋を支給される。
もぞもぞと寝袋に入り込むけども、う~ん、なんだろうか……。違和感がある。体にフィットしない。というより、明らかに新品じゃない。
贅沢は言えないけどさ。でも、装備に金かけてるんだから、お客用とかで新品を用意しててもいいと思うんだけど。我が儘ですかね?
「寝袋、あいませんか」
「はい、まあ……」
ゴロゴロしてたら、ナイゼルさんに気をつかわせてしまった。
「一応、ウィザースプーンさんの体型に近い、イリースのを用意したんですが」
「イリース?」
「ええ、中々に気立てのいい、美しい戦楽師でして」
ほほう、かすかにだけど、いい香りがするのは、美人様が使用していた物だったからか。
むしろ嬉しい。
「ですが、申し訳ないですね。僕なんかが使っちゃって」
「そんな事をいちいち気にしてたら、ここでは、やっていけませんよ」
「なるほど」
「それに」
「ん?」
「イリースは昨日、死んだんで」
へ、へ~……。
そんな重要な事を、軽々しく口にしましたね。挨拶程度の調子でしたよ……。
「では、おやすみなさい」
おい、そんな話をされて、すんなりと眠りにつけるほど、ここになじんでないんですけど……。
枕元に立つなんて事ないですよね!? ね!?
――――この後の僕は、外でちょっとでも音がすると、過敏に反応して飛び起きるという、鋭敏感知な特技を習得しました……。
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