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ウィザースプーン、ヴィン海域に行ったてよ
PHASE-06
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「やられたか!」
「おう、Nが落とされちまった」
「Nuts!」
ええっと、ナッツにナッツ? ピーナッツでも食べたいのかな?
というのは冗談として、最初のNはフォネティックコードの一つかな? 僕も演習で使わせてもらった。
ナイゼルさんの返しは、悔しかったのを表現したナッツだろう。
言葉遊びが出来る余裕はあると見るべきか。
「誰がやられた?」
「ブルムスの一行がやられた。全滅だ」
「そうか――――開始早々、出鼻を挫かれたな」
え!? なにその感じ。イリースさんの事も軽く僕に伝えたけど、ここでもそれですか?
やられて、全滅って事は、お亡くなりになったって事でしょ?
軽いぞ、ここでは命が羽毛の如き軽さだぞ。
「Nは破棄だな。対応していた残存戦力はOとQを攻略。その後、Rを挟撃だ」
やはり、ナイゼルさんが指揮官のポジションか。
上に立つ人物だからこそ、死者の数を統計でしか見ていないのかな。
「あの~」
「なんでしょう?」
「どんな戦いを?」
「ああ、説明していませんでしたね。今回はコンクエストです」
コンクエスト? 武力による制圧って事かな? 単純な戦闘を行っているわけじゃないみたいだね。
「ウィザースプーンさんは高台に下ろします。本日はそこで見学を、明日からは随伴で」
いえいえ、結構ですよ。今日も明日もずっと高台で身をかがめて過ごします。
――――ふわりとした落下から、足を地にゆっくりと下ろす。
僕の着地を確認したナイゼルさんは、伝達の方と爆心地へと飛んでいった。
ヴィン海域での戦う相手――――。
勇者を中心とした冒険者さん達が挑んでいるのは、もちろんカグラさんの妹である、氷竜王のシズクさんって方だ。
見た事ないけど、やっぱりカグラさんと姉妹なんだから、とんでもない美人様なんだろうね。
すんごいスタイルでさ――――。へへ、真っ先にそっちに挨拶に行くべきだったかな~。
なんて事に思いを巡らせてるけども、見下ろす方向ではさ……。
――――こんな天気のいい日にですよ、天候をわざわざ自分たちで変えてさ、雷だの氷の槍みたいなのをさ、空から降らせてさ、ドッカンドッカンと激しい音を立ててさ、衝撃波で大気に海面を震わせてさ、なにやってんだか……。
ガチ勢の皆々様は、命を惜しまずに激しい戦いを心の底から楽しんでる。
――――て、ことはですよ。シズクさんも戦いに愉悦を浸らせる人物なのだろうか? カグラさんの妹さんて考えると、それは信じがたいな。
だが……、自分好みの理想なんて持つもんじゃない。裏切られた時の衝撃は計り知れないからね。
こういう時は、悪いほうで考えるといいよね。保険ですよ保険。
生き肝抜いて、けたたましい高笑いをする方という可能性も、このヴィン海域だと、ゼロじゃないからね……。
情報を手に入れるまでは、両サイド共に、深入りしないようにする事が、ここでは吉だな。
てこでもここから動かないようにしたいものだ。
てなわけで、見学重視だ。
――――。
ハハハ……。
先ほど消滅したばかりなのに、小島が新たに誕生したよ。
凄いよ、もっとそれを世の中のために活かしてよ。でもそうなったら、僕たち整備局員はお役御免になるな……。
「おお!」
巨大な水柱が上がる。天にも届く勢いってやつだ。
「あんなのとも戦うのか……」
水柱の中から遠目でもはっきりと輪郭が分かる、どでかい海龍が姿を見せる。
ワギョウへの行き来でお世話になった大海蛇が、可愛いサイズに見える。
とてつもなく大きな存在だ。
胸鰭に背鰭、そして小島を簡単に包み込みそうな巨大な翼を広げて、海から空の存在になってる。
水しぶきが綺麗な虹を作りつつも、見える範囲の青空が漆黒の空に直ぐさま変わるや、雲耀と稲妻をバックに巨体をうねらせて空を舞う。
「ぶっは!」
翼を羽ばたかせれば、それだけで颶風を思わせる風が、僕のいる高台まで届く。
飛ばされるよ! 潮の香りがダイレクトに届くよ。
身を低くして、四肢でしっかりと踏ん張って、必死に颶風に耐える僕。
そんな中で、海龍が仕掛ける――――。
「すっげ……」
海龍が大きく口を開くと、集束された一筋の線が放たれ、海面を走り、先ほど誕生したばかりの小島に直撃すると、真っ二つになりましたよ……。
首を可動させて、集束された一筋を放出し続ける。
暗闇の空に触れると、そこから切り開かれ、青空が姿を見せる。
光芒が黒雲の空間を彩り、神秘的なものに変える。
薄明光線の神々しさとは違って、禍々しい攻撃である。
多分だけど、水を集束させての攻撃なんだろう。とんでもない威力だ。
なによりも――――、
雲まで届くってことは、ここにも余裕で届いてたって事だからね。
もしここに飛んできてたら、今ごろ僕は――――、故人でしたよ……。
「おう、Nが落とされちまった」
「Nuts!」
ええっと、ナッツにナッツ? ピーナッツでも食べたいのかな?
というのは冗談として、最初のNはフォネティックコードの一つかな? 僕も演習で使わせてもらった。
ナイゼルさんの返しは、悔しかったのを表現したナッツだろう。
言葉遊びが出来る余裕はあると見るべきか。
「誰がやられた?」
「ブルムスの一行がやられた。全滅だ」
「そうか――――開始早々、出鼻を挫かれたな」
え!? なにその感じ。イリースさんの事も軽く僕に伝えたけど、ここでもそれですか?
やられて、全滅って事は、お亡くなりになったって事でしょ?
軽いぞ、ここでは命が羽毛の如き軽さだぞ。
「Nは破棄だな。対応していた残存戦力はOとQを攻略。その後、Rを挟撃だ」
やはり、ナイゼルさんが指揮官のポジションか。
上に立つ人物だからこそ、死者の数を統計でしか見ていないのかな。
「あの~」
「なんでしょう?」
「どんな戦いを?」
「ああ、説明していませんでしたね。今回はコンクエストです」
コンクエスト? 武力による制圧って事かな? 単純な戦闘を行っているわけじゃないみたいだね。
「ウィザースプーンさんは高台に下ろします。本日はそこで見学を、明日からは随伴で」
いえいえ、結構ですよ。今日も明日もずっと高台で身をかがめて過ごします。
――――ふわりとした落下から、足を地にゆっくりと下ろす。
僕の着地を確認したナイゼルさんは、伝達の方と爆心地へと飛んでいった。
ヴィン海域での戦う相手――――。
勇者を中心とした冒険者さん達が挑んでいるのは、もちろんカグラさんの妹である、氷竜王のシズクさんって方だ。
見た事ないけど、やっぱりカグラさんと姉妹なんだから、とんでもない美人様なんだろうね。
すんごいスタイルでさ――――。へへ、真っ先にそっちに挨拶に行くべきだったかな~。
なんて事に思いを巡らせてるけども、見下ろす方向ではさ……。
――――こんな天気のいい日にですよ、天候をわざわざ自分たちで変えてさ、雷だの氷の槍みたいなのをさ、空から降らせてさ、ドッカンドッカンと激しい音を立ててさ、衝撃波で大気に海面を震わせてさ、なにやってんだか……。
ガチ勢の皆々様は、命を惜しまずに激しい戦いを心の底から楽しんでる。
――――て、ことはですよ。シズクさんも戦いに愉悦を浸らせる人物なのだろうか? カグラさんの妹さんて考えると、それは信じがたいな。
だが……、自分好みの理想なんて持つもんじゃない。裏切られた時の衝撃は計り知れないからね。
こういう時は、悪いほうで考えるといいよね。保険ですよ保険。
生き肝抜いて、けたたましい高笑いをする方という可能性も、このヴィン海域だと、ゼロじゃないからね……。
情報を手に入れるまでは、両サイド共に、深入りしないようにする事が、ここでは吉だな。
てこでもここから動かないようにしたいものだ。
てなわけで、見学重視だ。
――――。
ハハハ……。
先ほど消滅したばかりなのに、小島が新たに誕生したよ。
凄いよ、もっとそれを世の中のために活かしてよ。でもそうなったら、僕たち整備局員はお役御免になるな……。
「おお!」
巨大な水柱が上がる。天にも届く勢いってやつだ。
「あんなのとも戦うのか……」
水柱の中から遠目でもはっきりと輪郭が分かる、どでかい海龍が姿を見せる。
ワギョウへの行き来でお世話になった大海蛇が、可愛いサイズに見える。
とてつもなく大きな存在だ。
胸鰭に背鰭、そして小島を簡単に包み込みそうな巨大な翼を広げて、海から空の存在になってる。
水しぶきが綺麗な虹を作りつつも、見える範囲の青空が漆黒の空に直ぐさま変わるや、雲耀と稲妻をバックに巨体をうねらせて空を舞う。
「ぶっは!」
翼を羽ばたかせれば、それだけで颶風を思わせる風が、僕のいる高台まで届く。
飛ばされるよ! 潮の香りがダイレクトに届くよ。
身を低くして、四肢でしっかりと踏ん張って、必死に颶風に耐える僕。
そんな中で、海龍が仕掛ける――――。
「すっげ……」
海龍が大きく口を開くと、集束された一筋の線が放たれ、海面を走り、先ほど誕生したばかりの小島に直撃すると、真っ二つになりましたよ……。
首を可動させて、集束された一筋を放出し続ける。
暗闇の空に触れると、そこから切り開かれ、青空が姿を見せる。
光芒が黒雲の空間を彩り、神秘的なものに変える。
薄明光線の神々しさとは違って、禍々しい攻撃である。
多分だけど、水を集束させての攻撃なんだろう。とんでもない威力だ。
なによりも――――、
雲まで届くってことは、ここにも余裕で届いてたって事だからね。
もしここに飛んできてたら、今ごろ僕は――――、故人でしたよ……。
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