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ウィザースプーン、ヴィン海域に行ったてよ
PHASE-31
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――――。
「うん! ドレッドノートを倒せたのが大きかったな!」
吉報に大喜びのナイゼルさん。
そんな彼は、本日もプールさんを殺めて、その手を恋人の血で染めている。
とても歪んだ猟奇的バカップルである。
「まさか、WにXを制圧できるなんてな!」
「これで氷竜王まで目と鼻の先。裏取りしなくても正攻法で突っ込めるなんて初めてじゃないか? ピートさんがここに来て以降、初めての事が多いな」
と、口にするのは、裏取りまでは成功したけど、僕の目の前でシズクさんに氷漬けにされたあげく、イスキさんによって粉々に砕かれたダグラスさん。
実力差を考えると、正面から挑んでも、結局は同じ道を辿るだろうに……、全くもって前回の死の反省が活かされていないね。
「こちらも半数ほど減ったが、攻勢であり士気も高い。明日にでも決着をつけよう。後は、拠点を奪還されないように気を配りつつ、一気呵成に畳みかけるぞ!!」
「「「「ypaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaa!!!!」」」」
――――なんて?
「それにこちらにはとっておきもいらっしゃるからな。ヴィン海域、初日でMVP! 鬼神ピートマック・ウィザースプーンが!」
やめろ、虹彩のない目で爛々と僕を見るんじゃない。不気味なんだよ。
僕に何の期待をしてるんだよ。鬼神ってなんだよ! 僕は公務員なの! 変な二つ名を勝手に作るなよ! ナイゼルさん!!
「今回も、氷竜王を屈服させてくださいよ! MVPのピートさん」
「いっそ、孕ませたらどうです? MVPのピートさん」
「自分の女にしちゃってくださいよ。MVPのピートさん」
やめろ、野卑共。僕は戦闘力なんてゼロなんだよ。
あと、ピートさんと呼ばないで。それは親しい方と、女性オンリーなの。
MVPの連呼もやめろ、馬鹿にされてる気分だ。
MVPなんてのになってしまったせいで、僕に対するリスペクトが凄い事になってる。
―――甚だ迷惑である。
「明日はピートさんに期待して、盛大に食ってくれ」
「「「「ypaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaa!!!!」」」」
――――って、返事すれば、なんでも解決できると思うなよ!
宴が始まる。
攻勢な夜は宴だ。
場を更に盛り上げるために、イリースさんが戦楽師としての美声を披露してくれる……。と、思ってしまうのは、この方の歌声を聞いた事のない人たちだけだろう。
僕は今回の戦闘中に聴いた……。
歌で鼓舞し、潜在能力を引き出す不思議な能力。結構レアな存在との事。
だが基本、この方の歌声は、〝ボエェェェェェェェェェェェェェェ――――〟としか聞き取れないのだ……。
空き地などで開催される、どこぞのリサイタルもビックリな歌声。戦闘時は皆さん高揚しているからいいんだけども、素面の時は総じて耳を塞いでいる。
当の本人は、歌う事が好きみたいだから、自身の歌唱力を気にしていないご様子。
攻撃に向いてるんじゃないか? と思える歌声である……。
ご満悦な皆々様は、七面鳥より一回り大きな鳥を丸焼きに、蒸しただけの芋に、ハムの化け物と、味付けなんて塩だけでいいというような、シンプルな食事に丸かぶりだ。
中はまだレアな状態だけど、気にせずにモモを手にして鶏肉にかぶりつき、酒で流し込んでいる。
酒、酒、酒――――。
とにかく呑む。味わって飲む――――、ではなく、口に入った食べ物を胃に流し込むように呑む。
ここだけを切り取って見れば、教養のないように見える方々ばかりなのだが、高位の魔法が使用出来る時点で、知性は高いんだよね……。
まったくもって、そうは見えない不思議。
可愛らしい少女のマリアンさんも、油で口周りテカテカ。愛らしさの微塵もない……。
「食べてますか?」
攻勢なのが嬉しいようで、ほろ酔いのナイゼルさんが、僕の隣に腰を下ろす。
「ええ、まあ」
「一週間ほど経ちましたっけ? 短い期間で食事も取れるくらいに心に余裕が出来る。血みどろが苦手な者が訪れれば、普通は一ヶ月はまともに食事も取れないんですがね。ピートさん、存外ここがまほろばかもしれませんね」
冗談でもそんな事は言ってほしくない。
あと、十分に血みどろは苦手ですから。サイコパスの素質があるみたいに思ってほしくないよ。
「ピートさん。そんな隅にいないで、中央に来てくださいよ」
「皆さんから期待されてる。マジで尊敬します」
バロニアさんと、未だ戦場に立てないロッケンジーさんが僕に接近。
期待なんてされたくもない。僕はノムロのおっさんを殴った罰で、内容なんてない、フワッフワな調査に来てるんだから。
出向とは名ばかりの、詰め腹を切らされただけだし。
【もういいよ。頑張ったね】って感じの書簡が、王都から届かないかな~。
じゃなきゃ僕は、眼前から迫る、酒臭い男共にSiegeされてしまう状況になってしまいそうだ……。
呑みすぎて、ゲロで虹を描かないでくださいね。
「うん! ドレッドノートを倒せたのが大きかったな!」
吉報に大喜びのナイゼルさん。
そんな彼は、本日もプールさんを殺めて、その手を恋人の血で染めている。
とても歪んだ猟奇的バカップルである。
「まさか、WにXを制圧できるなんてな!」
「これで氷竜王まで目と鼻の先。裏取りしなくても正攻法で突っ込めるなんて初めてじゃないか? ピートさんがここに来て以降、初めての事が多いな」
と、口にするのは、裏取りまでは成功したけど、僕の目の前でシズクさんに氷漬けにされたあげく、イスキさんによって粉々に砕かれたダグラスさん。
実力差を考えると、正面から挑んでも、結局は同じ道を辿るだろうに……、全くもって前回の死の反省が活かされていないね。
「こちらも半数ほど減ったが、攻勢であり士気も高い。明日にでも決着をつけよう。後は、拠点を奪還されないように気を配りつつ、一気呵成に畳みかけるぞ!!」
「「「「ypaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaa!!!!」」」」
――――なんて?
「それにこちらにはとっておきもいらっしゃるからな。ヴィン海域、初日でMVP! 鬼神ピートマック・ウィザースプーンが!」
やめろ、虹彩のない目で爛々と僕を見るんじゃない。不気味なんだよ。
僕に何の期待をしてるんだよ。鬼神ってなんだよ! 僕は公務員なの! 変な二つ名を勝手に作るなよ! ナイゼルさん!!
「今回も、氷竜王を屈服させてくださいよ! MVPのピートさん」
「いっそ、孕ませたらどうです? MVPのピートさん」
「自分の女にしちゃってくださいよ。MVPのピートさん」
やめろ、野卑共。僕は戦闘力なんてゼロなんだよ。
あと、ピートさんと呼ばないで。それは親しい方と、女性オンリーなの。
MVPの連呼もやめろ、馬鹿にされてる気分だ。
MVPなんてのになってしまったせいで、僕に対するリスペクトが凄い事になってる。
―――甚だ迷惑である。
「明日はピートさんに期待して、盛大に食ってくれ」
「「「「ypaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaa!!!!」」」」
――――って、返事すれば、なんでも解決できると思うなよ!
宴が始まる。
攻勢な夜は宴だ。
場を更に盛り上げるために、イリースさんが戦楽師としての美声を披露してくれる……。と、思ってしまうのは、この方の歌声を聞いた事のない人たちだけだろう。
僕は今回の戦闘中に聴いた……。
歌で鼓舞し、潜在能力を引き出す不思議な能力。結構レアな存在との事。
だが基本、この方の歌声は、〝ボエェェェェェェェェェェェェェェ――――〟としか聞き取れないのだ……。
空き地などで開催される、どこぞのリサイタルもビックリな歌声。戦闘時は皆さん高揚しているからいいんだけども、素面の時は総じて耳を塞いでいる。
当の本人は、歌う事が好きみたいだから、自身の歌唱力を気にしていないご様子。
攻撃に向いてるんじゃないか? と思える歌声である……。
ご満悦な皆々様は、七面鳥より一回り大きな鳥を丸焼きに、蒸しただけの芋に、ハムの化け物と、味付けなんて塩だけでいいというような、シンプルな食事に丸かぶりだ。
中はまだレアな状態だけど、気にせずにモモを手にして鶏肉にかぶりつき、酒で流し込んでいる。
酒、酒、酒――――。
とにかく呑む。味わって飲む――――、ではなく、口に入った食べ物を胃に流し込むように呑む。
ここだけを切り取って見れば、教養のないように見える方々ばかりなのだが、高位の魔法が使用出来る時点で、知性は高いんだよね……。
まったくもって、そうは見えない不思議。
可愛らしい少女のマリアンさんも、油で口周りテカテカ。愛らしさの微塵もない……。
「食べてますか?」
攻勢なのが嬉しいようで、ほろ酔いのナイゼルさんが、僕の隣に腰を下ろす。
「ええ、まあ」
「一週間ほど経ちましたっけ? 短い期間で食事も取れるくらいに心に余裕が出来る。血みどろが苦手な者が訪れれば、普通は一ヶ月はまともに食事も取れないんですがね。ピートさん、存外ここがまほろばかもしれませんね」
冗談でもそんな事は言ってほしくない。
あと、十分に血みどろは苦手ですから。サイコパスの素質があるみたいに思ってほしくないよ。
「ピートさん。そんな隅にいないで、中央に来てくださいよ」
「皆さんから期待されてる。マジで尊敬します」
バロニアさんと、未だ戦場に立てないロッケンジーさんが僕に接近。
期待なんてされたくもない。僕はノムロのおっさんを殴った罰で、内容なんてない、フワッフワな調査に来てるんだから。
出向とは名ばかりの、詰め腹を切らされただけだし。
【もういいよ。頑張ったね】って感じの書簡が、王都から届かないかな~。
じゃなきゃ僕は、眼前から迫る、酒臭い男共にSiegeされてしまう状況になってしまいそうだ……。
呑みすぎて、ゲロで虹を描かないでくださいね。
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