拝啓、あなた方が荒らした大地を修復しているのは……僕たちです!

FOX4

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ウィザースプーン、ヴィン海域に行ったてよ

PHASE-48

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 波状攻撃の強襲とでも言うべきか、それを目にするシズクさんの配下の方々の表情は、【またか】と、いった感じで、面倒くさそうに曇ったものになっている。
 冒険者サイドは狙っていたんだろう。相手の心を攻める戦い方を。

「放てぇ!」
 マストに立つバロニアさんが楽しげに、口角を上げて大剣をこちらに向ければ、魔法だけでなく、矢まで飛んできている。
 防ぐ最中、相対する三艘は、二艘が留まり攻撃を行い続け、一艘がオールを全力で漕ぎ、こちらの船体にぶつかってきた。
 背の低いガレー船にぶつけられたら、船底に穴が空いてしまう。
 沈没しても水深は浅いから、座礁程度で船と入水ってのはないけど、殲滅戦だからね。沈没扱いになったら負けでしょ? ガルイルさん達は未だに通せんぼくらってるし、向こうが無事ならまだ戦いようもあるんだろうけど。旗艦が没セシメラレタラ、士気はだだ下がりだ。

「迎撃対応が遅いわね」

「申し訳ございません」
 戦闘中なのに律儀に謝罪するイスキさん。
 シズクさんの冷ややな視線に、青い肌が更に青ざめている感じだ。

「でも、指揮をするのはシズクさんなんですから、指揮官がもっと早く指示を出すべきでしょ?」
 衝角ラムの初撃の衝撃から守ってもらったけど、ここでチクリと指揮官のミスを指摘してしまう。
 勝手に口が開く、僕の悪癖が出てしまった……。

「申し訳ございません」
 イスキさん以上に頭を下げるシズクさん。焦燥が冒険者の方々の目にもばっちりと入った。

「流石はピートさん!」
 と、ナイゼルさん。
 うるさいと、心底で返す。

「わたくしだけに傾倒したのは、船尾にわたくしの目を向かせないためね」

「お前に防衛に行かれると面倒だからな」
 だったら銅鑼なんて鳴らさずに隠密で攻めればいいだろうに。ここの馬鹿凸たちの考え方が分からないよ。


「しかし、氷竜王もピートさんの前ではただのシズクになるな」

「人間が気安く呼び捨てにするな! ナイゼル!! 生意気ぃ!!!!」

「生意気でも、真実しか口にしない! それがナイゼル!! だから信用できる!!!!」
 ――――ザンデさんが船端を飛び越えて登場。先ほどの吶喊を敢行したガレー船から上がってきたようだ。
 周囲にはロングナイフを舞わせながら、弧を描くショートソード二刀流。それらでイスキさんの背後を襲う。

「小手先の技で!」

「の、割には渋面よね」

「呆れ顔というのよ!」
 深く切り込まれたスリットからイスキさんの艶めかしい太ももが現れて、毎度の事ながら目を奪われる僕。
 この胆力の付き方は自分でも大したものだと思うよ。

「――――いいんですか? 本当に助力しないで」
 堪能したところで、隣に立つシズクさんに問えば、
「私に頼ることなく戦ってもらいたいので。それに……ピート様を守る事が第一ですから」
 可愛いじゃないか。後半の発言のちょっと照れてるところが実にポイント高い。

「でも、押されてますよ」
 次々と移乗してくる冒険者勢。
 身軽なザンデさんに続いて、船尾から上がってきたマリアンさんとバロニアさんが、シズクさん配下を次々と屠っていく。
 挟撃状態だ。
 狭い船上という事で、魔法も使えないし、地力の差が拮抗してきたところに数の差がものを言い出した。

「防戦にまわるな!」
 範を示すようにイスキさんが気迫ある水の剣での刺突。狙うはナイゼルさん。
 ザンデさんが掩護にロングナイフをイスキさんに飛ばすけど、手を振るだけで現出する水弾で全てを迎撃してみせる。

「流石は水の大精霊。的確」
「違うわよ。貴女が大したことないだけ」
「なにを!」
「挑発に乗るなザンデ!」
 刺突を回避したナイゼルさんが、無鉄砲に踏み込んだザンデさんに静止を求めるも、上空から迫った鋭い爪で背中を切り裂かれる。

「くそ……」
 何とか致命傷は避けたようだ。しかし、飛行禁止の上空からの強襲? 実行した方が、甲板に音もなく着地。

「――――ハーピーさん?」
 ちびっ子の配下を思い出す。ロープ一本にぶら下がって、崖から崖を移動してた時に風で煽られて、恐怖を感じたな~。


「違います。セイレーンのドーナ・ダルブです」
 セイレーン。歌で船乗りを誘い出すっていう海の怪物か。
 ――――怪物とはほど遠い美人様だな。
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