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ウィザースプーン、ヴィン海域に行ったてよ
PHASE-47
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「シズクさんは動かないんですか?」
「私は指揮だけですから。今回、戦闘には直接は参加しません」
「え!?」
そうなの? てっきり戦うものかと思ってた。僕を全力で守るって言ってたし。
だからナイゼルさん達も、こっちの方には攻めてこないのか。
「こちらに攻撃は来ませんよね?」
「絶対とは言い切れませんが、ピート様は私の側にいればいいので」
「離れませんよ」
「は、はい……」
いや、違いますよ。紅潮しないでいただきたい。プロポーズ的なものと認識しないでくださいね。
船は狭い。狭いからこそ、魔法は使用出来ない。お互いの肉体がものを言うところだろう。
両断される伝達役のカラフルな半漁人さん。
お返しとばかりに、カラフルさんを倒した冒険者を四方から三叉矛で突き刺したまま空へと掲げている。
滴る鮮血を体に浴びて興奮しているのか、半漁人さん達が発狂気味に哄笑。
地獄の宴だ……。
なおも続く移乗攻撃。ロープを掴んで乗り込んでいる時宜に合わせて、シズクさんの配下がメイスを諸手に持って、迫る顔面に目がけてフルスイング。
顔が潰れて即昇天。
「ナイゼル。中々にいい攻め方ね」
イスキさんが掌から水を生み出すと、それはサーベルを象る。徒手空拳と違って、武器を使用するのは初めて見る。
「こういう後先考えない突撃が好みなんだろう? ウンディーネ様は」
「そうね。快感よ」
言葉を交わすと、先日の屠られた事への意趣返しとばかりにイスキさんが先攻。
――――四大精霊の一角はやはり強い。
変幻自在の水の武器。サーベルとクレイモアの剣戟の後、一呼吸いれるために距離をおくナイゼルさんに対してサーベルを槍へと変化させて刺突。それよりも更に距離をおけば、水は鞭に姿を変え、打つ。
「流石だなイスキ。逃がしてくれない。身体能力の差は人間では太刀打ち出来ないな」
傷口に回復魔法を唱えながら賞賛のナイゼルさん。顔が痛みに歪まず、しっかりとした語り口は流石だ。
「基本、勇者一行は、集団で強きもの一人を襲う卑怯な者達。そんな連中に一対一で負けるわけがない」
「言ってくれる。勇者、冒険者はその強者と戦うために、強者の配下達を倒し進み、艱難辛苦を乗り越えて、胡座をかく強者と戦うのだ。その過程を評価すべし!」
――――激しい。
ナイゼルさん、イスキさんを相手に一歩も引かない。むしろ押してきた。
戦いに対する思想は理解したくはないけど、なんだかんだで、ここにいる冒険者は単純に強いんだよな。
ここで戦う方々は、間違いなくこの大陸やその他の国々の冒険者たちの中で上位に立つ存在だ。
もし、覇道に目覚めて挙兵でもしたら、とんでもない軍事力になることは間違いない。躊躇なく命を奪える、最強集団の誕生だ。
救いなのは、ここが隔絶されたヴィン海域で、冒険者さん達はこの地にて、死ぬまで戦う事に愉悦を感じ、興味はそこだけに向けられ、俗世には感心が薄い事だろう。
「人間が――やるようになったわね」
「常に大精霊と敵対し、戦っていれば誰でも強くなるさ」
ナイゼルさんの実力は、大精霊様の一角といい戦いをするレベル。それでもシズクさんを相手すれば、いかんともしがたい実力差の前に氷漬け待ったなしだからね。
シズクさんが戦闘に出る事は、冒険者サイドとしては喜ばしくはないだろうから、今回のような指揮だけを行う立ち位置なら、脅威を気にする事もなく、のびのびと命のやり取りが出来るんだろう。
「ナイゼル。どうするの? アイスブランドに乗船する者達は精鋭よ。見てご覧なさい。旗色が悪くなりつつあるわよ」
イスキさんの言うように、鮮血を甲板に流し、絶命している方や、腕を切り落とされて、今まさにとどめをさされている方もいる。
移乗攻撃までは成功したけど、徐々に不利な状況になりつつある冒険者サイド。
自然と船端の方へと押されていっている。
「俺たちの戦いは、まだまだこれからだ!」
「それ、終わってるって意味と、同義なんじゃないかしら?」
「思いたければ思うがいい!」
ナイゼルさんの大音声に合わせたかのように、左舷後方から銅鑼の音がまたも海域に鳴り響く。
小島の奥からガレー船が三艘すがたを見せる。
「いけー! 先攻が相手の体力を削ってくれているぞ」
バロニアさん!
そうか、まだ主力にカウントされるマリアンさんのパーティーがいたな。
「私は指揮だけですから。今回、戦闘には直接は参加しません」
「え!?」
そうなの? てっきり戦うものかと思ってた。僕を全力で守るって言ってたし。
だからナイゼルさん達も、こっちの方には攻めてこないのか。
「こちらに攻撃は来ませんよね?」
「絶対とは言い切れませんが、ピート様は私の側にいればいいので」
「離れませんよ」
「は、はい……」
いや、違いますよ。紅潮しないでいただきたい。プロポーズ的なものと認識しないでくださいね。
船は狭い。狭いからこそ、魔法は使用出来ない。お互いの肉体がものを言うところだろう。
両断される伝達役のカラフルな半漁人さん。
お返しとばかりに、カラフルさんを倒した冒険者を四方から三叉矛で突き刺したまま空へと掲げている。
滴る鮮血を体に浴びて興奮しているのか、半漁人さん達が発狂気味に哄笑。
地獄の宴だ……。
なおも続く移乗攻撃。ロープを掴んで乗り込んでいる時宜に合わせて、シズクさんの配下がメイスを諸手に持って、迫る顔面に目がけてフルスイング。
顔が潰れて即昇天。
「ナイゼル。中々にいい攻め方ね」
イスキさんが掌から水を生み出すと、それはサーベルを象る。徒手空拳と違って、武器を使用するのは初めて見る。
「こういう後先考えない突撃が好みなんだろう? ウンディーネ様は」
「そうね。快感よ」
言葉を交わすと、先日の屠られた事への意趣返しとばかりにイスキさんが先攻。
――――四大精霊の一角はやはり強い。
変幻自在の水の武器。サーベルとクレイモアの剣戟の後、一呼吸いれるために距離をおくナイゼルさんに対してサーベルを槍へと変化させて刺突。それよりも更に距離をおけば、水は鞭に姿を変え、打つ。
「流石だなイスキ。逃がしてくれない。身体能力の差は人間では太刀打ち出来ないな」
傷口に回復魔法を唱えながら賞賛のナイゼルさん。顔が痛みに歪まず、しっかりとした語り口は流石だ。
「基本、勇者一行は、集団で強きもの一人を襲う卑怯な者達。そんな連中に一対一で負けるわけがない」
「言ってくれる。勇者、冒険者はその強者と戦うために、強者の配下達を倒し進み、艱難辛苦を乗り越えて、胡座をかく強者と戦うのだ。その過程を評価すべし!」
――――激しい。
ナイゼルさん、イスキさんを相手に一歩も引かない。むしろ押してきた。
戦いに対する思想は理解したくはないけど、なんだかんだで、ここにいる冒険者は単純に強いんだよな。
ここで戦う方々は、間違いなくこの大陸やその他の国々の冒険者たちの中で上位に立つ存在だ。
もし、覇道に目覚めて挙兵でもしたら、とんでもない軍事力になることは間違いない。躊躇なく命を奪える、最強集団の誕生だ。
救いなのは、ここが隔絶されたヴィン海域で、冒険者さん達はこの地にて、死ぬまで戦う事に愉悦を感じ、興味はそこだけに向けられ、俗世には感心が薄い事だろう。
「人間が――やるようになったわね」
「常に大精霊と敵対し、戦っていれば誰でも強くなるさ」
ナイゼルさんの実力は、大精霊様の一角といい戦いをするレベル。それでもシズクさんを相手すれば、いかんともしがたい実力差の前に氷漬け待ったなしだからね。
シズクさんが戦闘に出る事は、冒険者サイドとしては喜ばしくはないだろうから、今回のような指揮だけを行う立ち位置なら、脅威を気にする事もなく、のびのびと命のやり取りが出来るんだろう。
「ナイゼル。どうするの? アイスブランドに乗船する者達は精鋭よ。見てご覧なさい。旗色が悪くなりつつあるわよ」
イスキさんの言うように、鮮血を甲板に流し、絶命している方や、腕を切り落とされて、今まさにとどめをさされている方もいる。
移乗攻撃までは成功したけど、徐々に不利な状況になりつつある冒険者サイド。
自然と船端の方へと押されていっている。
「俺たちの戦いは、まだまだこれからだ!」
「それ、終わってるって意味と、同義なんじゃないかしら?」
「思いたければ思うがいい!」
ナイゼルさんの大音声に合わせたかのように、左舷後方から銅鑼の音がまたも海域に鳴り響く。
小島の奥からガレー船が三艘すがたを見せる。
「いけー! 先攻が相手の体力を削ってくれているぞ」
バロニアさん!
そうか、まだ主力にカウントされるマリアンさんのパーティーがいたな。
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