拝啓、あなた方が荒らした大地を修復しているのは……僕たちです!

FOX4

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ウィザースプーン、ヴィン海域に行ったてよ

PHASE-46

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「進めぇぇぇぇぇぇぇぇぇ! 我らに後退の文字はない」
 衝角ラム先端に立ってクレイモアをこちらに向けて大音声。
 まったくさ……。ここまで戦いで生き生きと出来る集団の中でも、貴男は飛び抜けての戦闘狂ですね。

「ナイゼェェェェェェェェェェル!!!!」
 僕のとこを勢いよく通り過ぎて軽やかに跳躍し、左舷の船端に立つと、ナイゼルさん目がけて空間魔法。
 穴が現れ、以前のように黒い穴にめがけて、氷の魔法。
 ナイゼルさんの周囲に点在する穴からの全方位攻撃。

「無駄だ!」
 ナイゼルさんも以前と同様に、タリスマンを輝かせて、黒点ごと魔法をかき消していく。

「代わり映えがないな。料理の味付けもそうだが」
 うわ~。そんな事を恋人に言うとか、さいて~。
 貴男も対処のしかたが代わり映えないけどね。
 侮辱された事に、三角帽子の垂れた先端が、今にも天を貫きそうだ。と、思わせるくらいに、歯を軋らせて怒りをにじみ出している。

「死ね! ナイゼル」
 怒りのままにレイピアを鞘から抜いて、衝角ラム先端に立つナイゼルさんを突く。

「くどい!」
 ああ! また斬った!! こちらに飛び移ると同時に斬り殺した。この人、いい加減、恋人に対して加減ってのを覚えるべきだぞ!

 ――。

「対ショック!」
 ――――イスキさんの大声が耳朶に届いた時には、僕は衝撃に襲われ、ふわりと体が浮き上がっていた。
 そのまま船端に体を叩き付けられるのかと、緊張で体が硬直してしまう中、柔らかな感触で、体が止まる。
 振り返れば、
「ご無事ですか?」
 優しく、僕を抱きしめてくれるシズクさんの姿。
 初心なため、僕との密着で赤面している。
 正直、可愛いと思ってしまった。いや、もともと可愛いんだけども、先行している冷酷なイメージを払拭させる可愛さだった。

「ありがとうございます」

「当然の事をしたまでです」
 ――――柔らかいな~。やはり女性は柔らかい存在ですな。
 胸はあれだけど、全体的に柔らかい。細身の体なのに、とても柔らかくて暖かい。氷竜王を冠するのが嘘なくらいの暖かさ。

「まったく無茶をする! ピート様が怪我でもしてたら、皆殺しよ!」
 うむ、いらついてますね。
 出来れば、そのる気を、僕を守る為のやる気にだけ傾倒していただきたい。
 
 見てください。眼前では左舷中央が衝角ラムによって大きくひしゃげてますよ。甲板が押されて盛り上がってます。
 沈没待ったなしなんじゃないですか。不沈艦なんですよね?

「不沈艦なんですよね?」
 ついつい、声にも出してしまった。

「ええ、浅瀬なので、船が沈む事はありません」
 そういう意味ぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃ!
 驚きですよ。不沈艦って言葉をそういう風に捉えて使用するなんて。なんて斬新!

「蛮勇を見せてやれ! 全力躍進!!!!」
 プールさんを斬り屠り、こちらに乗船したナイゼルさんがクレイモア片手に暴れつつ、指示を出している。

「「「「イィィィィハァァァァァァァァァ!」」」」
 と、指示に応えて、吶喊攻撃から次の段階に移行している。
 マストにロープを垂らすと、それを手にしてこちらに飛び込んでくる。

移乗攻撃アボルダージュ! 迎撃!」
 鋭い声で船全体に下知を出すシズクさん。
 剣を口に咥えて飛び込んでくる冒険者の迎撃に動くシズクさんの配下の方々も、抜剣、抜刀。
 
 しかし……、なにあの振る舞い。勇者が中心の冒険者じゃないよ……。ただの海賊じゃねえか。
 まさかの移乗攻撃アボルダージュとか……。
 魔王軍サイドがそれを行うならまだ分かる。善悪でいうと、悪サイドだからね、その行動。それを善サイドから仕掛けてくるって……。
 倫理観は氷竜王軍の方がまだましだな。
 見てよ、あの虹彩ないのにキラキラとした目で、咥えてた剣を手にして斬りかかる姿。ドクロの旗がよく似合うと思いますよ。

「イスキ」

「お任せください」
 一礼して、丁々発止な剣戟の中に突っ込んで行く、青い肌のイスキさん。
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